研修体系とは、社内で実施する研修プログラムを、階層・職種・テーマなどの軸で整理し、抜け漏れや重複なく計画的に実施できるようにした仕組みです。教育体系のうち「研修(Off-JT)」の部分を、実務で使える形まで具体化したものだと捉えると分かりやすいでしょう。
階層によって研修の有無・質にばらつきがある
似たようなテーマの研修が、複数部署で重複している
研修担当者が変わるたびに、体系がゼロから作り直されている
外部研修と内製研修の使い分けが場当たり的になっている
どの研修が誰向けなのか、全体像を把握している人がいない
思い当たる項目がある場合、原因は個々の研修の質ではなく、社内の研修プログラムを一つの体系として管理できていないことにあるかもしれません。
研修体系とは、社内で実施する研修(Off-JT)プログラムを、階層・職種・テーマなどの軸で分類・整理し、一覧化したものです。「どの階層の、どんな社員に、どのテーマの研修を、いつ実施するか」を体系立てて管理する実務上の枠組みだと捉えると分かりやすいでしょう。
研修体系を一言で言うと、「研修を場当たり的に追加・実施しないための、社内研修プログラムの一覧表」です。
※研修体系は、OJTや自己啓発なども含む「教育体系」のうち、研修(Off-JT)の部分を体系化したものです。教育体系そのものについては「教育体系とは」の記事で解説しています。
研修体系は、研修を無秩序に並べたものではありません。階層・職種・テーマといった一定の軸に沿って整理されていることが、単なる「研修一覧」との違いです。
研修体系を構築する目的は、研修を「実施すること」自体が目的化するのを防ぎ、教育体系・人材育成計画に沿った形で研修を運用し続けられる状態をつくることです。
全社の研修を一覧化することで、「この階層には研修がない」「別部署でほぼ同じ研修をしている」といった状態に気づきやすくなります。
研修体系が文書化されていれば、担当者が交代しても、全体像を一から把握し直す必要がなくなります。
研修体系だけを単独で管理していると、経営戦略や求める人材像から離れた研修が増えがちです。上位の教育体系・人材育成計画と接続しておくことが欠かせません。
どのテーマを内製し、どのテーマを外部の研修会社に依頼するかを整理しておくことで、コストと専門性のバランスを取りやすくなります。
研修体系は、次のような軸を組み合わせて整理するのが一般的です。実務上は「階層別×テーマ別」を基本の軸にする企業が多く見られます。
| 分類軸 | 整理の視点 | 具体例 |
|---|---|---|
| 階層別 | 役職・等級ごとに求める研修を整理する | 新入社員研修・中堅社員研修・管理職研修 |
| 職種別 | 職種ごとに必要な専門研修を整理する | 営業研修・エンジニア研修・人事研修 |
| テーマ別 | 経営課題やスキルテーマごとに整理する | DX研修・ハラスメント研修・リーダーシップ研修 |
| 形式別 | 実施形式で整理する | 集合研修・オンライン研修・eラーニング |
階層別・職種別・テーマ別の分類は、いずれか一つだけを使うのではなく、「縦軸に階層、横軸にテーマ」のように組み合わせて研修体系図に落とし込むと、全体像が把握しやすくなります(体系図の例は後述します)。
研修体系は、次の手順で整理すると作りやすくなります。
ここで扱っているのは、複数の研修プログラムを体系として整理する手順です。研修1本ごとの目的・内容・進行を設計する5W1Hレベルの手順は、「社員研修プログラムの作り方」で解説しています。
研修体系づくりの6ステップと分類軸をそのまま使える形式で、無料テンプレートを配布しています。Excel・Googleスプレッドシートで開いて、進捗管理や見直しの自己診断に使えます。
無料テンプレート・Excel形式(全4シート)
研修体系チェックリスト
①構築チェックリスト②分類軸メモ③見直しチェックリスト④使い方ガイドの4シート構成です。構築の進捗管理と、既存の研修体系を見直すタイミングの自己診断に使えます。
ご入力いただいたメールアドレス宛に、ダウンロードURLをお送りします。送信をもってプライバシーポリシーに同意したものとします。
研修体系図は、縦軸に階層、横軸にテーマを置いたマトリクス図で表現するのが一般的です。簡単な例を示すと、次のようになります。
空欄のマス(上の例では「新入社員×マネジメント」など)は、その階層にはまだ対応する研修がないことを示しています。空欄をすべて埋める必要はありませんが、意図せず空いているのか、あえて空けているのかを説明できる状態にしておくことが重要です。より詳しい作り方や、そのまま使えるテンプレート例は「研修体系図とは」で解説しています。
次のような変化があったときは、研修体系の見直しを検討するタイミングです。
各研修の受講率やアンケート結果を確認し、現状を把握します。
研修体系図を最新の組織状況に照らし合わせ、空欄や重複を確認します。
上位の教育体系・人材育成計画が更新されていないか確認し、整合を取ります。
不要になった研修の廃止・統合と、新たに必要な研修の追加を決めます。
更新内容を研修体系図と年間スケジュールに反映し、関係者に共有します。
一度作った研修体系が使われなくなるのには、共通した原因があります。
研修担当者の異動のたびに、属人化した体系が失われる
現場からの要望だけで、場当たり的に研修を追加してしまう
研修を実施すること自体が目的化し、重複に気づかない
教育体系・人材育成計画と接続されていない
一度作った体系図が、更新されないまま放置されている
研修体系は、あくまで教育体系のうち「研修(Off-JT)」の部分を実務レベルまで具体化したものです。OJTや自己啓発、配置・異動なども含めた育成手段全体を整理したい場合は、研修体系の一段上にある教育体系の作り方・見直し方から検討することをおすすめします。
さらにその上流にある、経営戦略から人材育成全体を設計する段階まで立ち返りたい場合は、人材育成計画の立て方・策定支援をご覧ください。
研修体系づくりは、次のような理由でつまずくケースが少なくありません。
こうした場合は、外部の支援を活用するという選択肢もあります。KeySessionの人材育成計画 策定支援では、教育体系・研修体系の整理から、不足しているテーマに合う研修会社の選定までを、経営戦略から逆算する形で支援しています。
研修体系を作る目的は、実施している研修をきれいな表にまとめることではありません。階層・職種・テーマの軸で研修を整理し、抜け漏れや重複なく、担当者が変わっても運用し続けられる状態を作ることが本来の目的です。
研修体系だけを単独で見直すのではなく、上位にある教育体系・人材育成計画との整合を定期的に確認することで、研修体系は経営戦略に沿った形で機能し続けます。
研修体系の一段上にある教育体系全体から整理したい場合は「教育体系とは」を、経営戦略から人材育成全体を組み立てたい場合は人材育成計画の立て方・策定支援もあわせてご覧ください。
研修体系だけでなく、教育体系・求める人材像・年間人材育成計画まで整理したい企業は、人材育成計画の策定支援をご覧ください。