企業研修の総合メディアのキーセッションでは、講演会で講師として活躍する方の魅力をお伝えすべく取材を行っています。
今回は、研修デザイナー&ファンタジスタとして活動する久田邦博さんにお話を伺いました。
目次
講演を行っている専門分野を教えてください。
医療コミュニケーション、サバイバーシップなどの専門分野で活動しています。
講演を始めたきっかけや背景を教えてください
がん告知後に営業から研修部門に異動となり、最初は人に教える難しさに落ち込んでいました。そこで営業時代から得意としていたプレゼンテーション等のスキルを磨きました。
製品説明等のお手伝いをしながら医療機関を訪問している内に、接遇・倫理や医療コミュニケーションが課題になっていることを把握しました。治療が安定した時点で、周囲にもっと貢献したいという思いから、医療機関に課題に対して患者視点で語る講演を提案しました。
現役がん患者が患者視点が語る講演は新鮮だったようで、口コミで社内外に広まり日本全国で講演する活動に繋がりました。製薬会社社員だったという背景もあり、シビアなフィードバックも数多く頂きました。
今はこれが財産となりニーズに応えられるようになっています。
講演を通じて伝えたいメッセージや目標は何ですか?
疾患に対する医療介護従事者、市民、患者自身が抱く間違ったイメージを払拭することが目標です。
間違ったイメージというベールを脱ぎ去ることで、生きづらさを解消し自分らしく生活できるように解放できればと思い、講演を行っています。
講演の内容やテーマを決める際の工程はどのようにしていますか?
ほとんどが口コミや紹介から講演内容を把握した上で依頼が来ます。その上で参加者の属性や企画者の狙いをお聞きしてテーマやタイトルを決めており、それに合わせて内容も変更します。
企業勤務時代に上司の考え・目標を研修プログラムに落とし込み、社員を動かすことをしてきました。その経験から課題をお聴きしているうちにプログラムが浮かんで来ます。
現状と研修後になっていて欲しい状態をコーチングスキルを使って明確にするサポートをしており、依頼者の方からも喜んでもらえています。
講演を聴いた方との印象深いエピソードを教えてください。
がんの専門医の研修会で講演した際に、ひとりの医師から「医師になって最も大切なことを学びました。もっと患者さんの思いに耳を傾けます」とお礼を言われたことがあります。このことにより私の存在価値を認識することができ、積極的に活動するようになりました。
がんが全身転移されて落ち込んでいた患者さんからは「講演を聴いて、死を恐れて小さくなっている事がバカらしく感じてきました。残された時間をもっと積極的に活動していきます」と言っていただきました。その方はその後外出されるようになり2年半たった現在も自ら患者支援団体を立ち上げるとともに他の団体の支援のため車で忙しく走り回っています。
薬学部・看護学部での講義では、初めて見るがん患者があまりにも元気なことに最初は驚いています。しかし、徐々に自分たちがアンコンシャスバイアイス(無意識の思い込み)を持っていることに気づき、「思い込みを排除して患者に寄り添える医療者を目指す」との感想文を多数頂いています。
医療機関でも学生と同様な感想がレポートに記載されています。学生と違う点は、患者の生活や社会的役割・活動を意識することが抜けていたという反省が良く書かれていることです。
薬剤師からは、「これまでは患者さんの話を何となく話したり聴いていた。大学時代や企業研修で本格的なコミュニケーションスキル研修を受けたことがなかった。対人業務にシフトする時代だからこそ本格的に学ぶ必要性を感じた」との声を頂いています。
これまでの講演活動で達成した成果や成功体験について教えてください
口コミだけで800回以上日本全国で講演出来たことや、その中で一番は前の設問に答えた通り、多くの方に生きる力を与えることができたと思っています。
また、医学部薬学部の非常勤講師の依頼を受けたこと、現在も絶え間なく講演を依頼を受け続けて必要とされていることが達成した成果です。
講演活動の将来的な展望や目標は何ですか?
がんになっても、認知症になっても、安心して過ごせる社会を作ることが将来的な目標です。
そして、その実現のために寄り添うことができる医療者の育成のために講演することです。
最後に、講演会に参加しようか迷っている方に、メッセージをお願いします。
がんになって落ち込んでいる方、がん患者への寄り添い方に悩んでいる方、僕の生き方を是非知ってください。その後の人生が変わります。
医療関係者の方は、日頃の患者さんへの接し方や倫理観を見つめ直す機会としてご参加ください。院内研修講師をお探しの方にもおすすめです。
久田邦博さんの基本情報
基本情報 | 項目 |
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ホームページ | https://www.kunibou.net/ |
SNS | Facebook :しあわせです感謝グループ |