顧客満足度の向上は、すべての企業にとって重要な課題です。しかし、優れた商品やサービスを提供すれば顧客満足度が向上するとは限らないのが難しいところです。現場で顧客に応対する一人一人の社員が、企業の印象を決め、顧客満足度を左右するからです。
社員によって顧客への対応力にばらつきがあると、ある社員は顧客からの評判が良くても、ある社員は評判が悪くて顧客満足度を下げている、といった状態になりかねません。研修を導入して社員の対応力を底上げすることで、組織全体として顧客満足度を高めていきましょう。
この記事では、顧客満足度を向上させるのに役立つ研修を紹介していきます。以下の研修を導入し、顧客満足度を高めましょう。
目次
企業の印象アップや業績向上を達成「接遇研修」
接遇とは顧客に対してサービスを行うことです。顧客満足度を向上させるためには、相手が心地よいと感じるような態度や言葉遣いでおもてなしを行う必要があります。
一言で接遇やサービスといっても、接遇のスキルはさまざまに切り分けることができます。言葉遣いやマナーだけでなく、身だしなみや笑顔といった第一印象を決める要素、顧客を安心させたり悩みを解決したりする会話力や対応力などです。
これらのスキルの基礎を身につけずに現場に出てしまうと、顧客に不快感を与え、怒らせてしまうかもしれません。そうならず顧客満足度を高めるためにも、接遇研修でプロから学びましょう。この章では、接遇研修の内容とともに顧客満足度が向上する理由を解説していきます。
感じの良さを理解して身につけられる
接遇研修でサービスや応対のプロフェッショナルから接遇を学べば、「感じの良さ」を理解して実践できるようになります。
顧客満足度が高い接遇には、「感じが良い」ことが必須ですが、具体的に感じの良さとは何か…と考えていくと非常に難しいです。特に接遇に苦手意識のある社員は、「自分は好印象ではないことを何となく感じているけど、何をどうすれば改善するのか分からない」と感じてしまいがちです。「感じの良さ」に具体性が無いため、社員の個性や性格に委ねることになってしまうのです。
研修では講師がお手本を見せたり、ロールプレイングを通して改善点を指導したりします。現状の対応だと何が良くないのか、どうすれば顧客満足度を高められるのかを論理的に教えてもらえるので、社員は「感じの良さ」の意味を具体的に理解して実践できるようになります。
接遇は、業務上でお客様に対するサービスのことで、接客マナーや言動、空間作りなど広範囲に渡ります。接客と混同してしまいがちですが、ただ接するのではなく、お客様が快適に過ごせるように、心地良さを感じてもらえるようにというところまで考え行動するのが接遇です。
ビジネスで役立つおもてなしを学べる「ホスピタリティ研修」
ホスピタリティとは、思いやりや心を尽くしたおもてなしといった意味の言葉です。一般的には、企業の社員から顧客へのおもてなしを指すことが多いのですが、社員どうしのコミュニケーションにも重要なスキルです。
ホスピタリティを具体的に言うと、相手の立場に立ち、喜んでもらうにはどうしたら良いかを考えて行動することです。ホスピタリティに溢れたサービスを受けた顧客は、「また来たいな」「次もこの担当者にお願いしよう」と考えます。顧客満足度を高め、リピート率も高められるのです。
したがって、ホスピタリティは顧客満足度の向上に欠かせないスキルです。しかし社員一人一人の独学に任せるとスキルに差が出てしまうので、組織全体として顧客満足度を底上げできるよう、ホスピタリティ研修を導入しましょう。この章では、ホスピタリティ研修で学べる内容と顧客満足度の向上に役立つ理由を解説していきます。
相手の状況を察する観察力を身につけられる
ホスピタリティ溢れるおもてなしをするには、顧客が要望を口に出す前にそれを叶える必要があります。日本人ならではの察するスキルと言い換えても良いでしょう。要望を言われてから動くのは誰にでもできますし、言わないと動いてくれないと顧客に思われたら顧客満足度が下がってしまいます。
ホスピタリティ研修では、相手の状況を把握する観察力を学習します。観察に基づき、具体的にはどのような行動でおもてなしをしたら良いのかを落とし込む方法も学びます。
プロフェッショナルから観察や行動のイロハを学ぶことで、本当に顧客のためになるおもてなしを身につけることができます。顧客満足度を高めるためにも、ホスピタリティ研修で観察力や行動力を身につけましょう。
効果的な質問のやり方を練習できる
顧客が何を求めているかを把握するためには、効果的な質問をすることも重要です。ホスピタリティ研修ではおもてなしのためのコミュニケーションも学べるので、顧客への質問方法も分かります。ロールプレイングなど実践形式で練習するため、ビジネスの現場ですぐに応用することができます。
顧客のニーズを把握するためには質問が欠かせませんが、失礼な言葉遣いをしたり、質問攻めにしたりすると顧客をいら立たせてしまい、逆効果になってしまいます。そうならないためにも、ホスピタリティ研修で正しい言葉遣いや質問のやり方を学び、顧客のニーズを引き出せる社員を育成しましょう。
効果的な質問をしてニーズを把握できれば、顧客が求めることを提供して顧客満足度を向上させることができます。ホスピタリティ研修を通じて上手な質問方法を身につけ、組織の力を底上げしましょう。
接遇は、業務上でお客様に対するサービスのことで、接客マナーや言動、空間作りなど広範囲に渡ります。接客と混同してしまいがちですが、ただ接するのではなく、お客様が快適に過ごせるように、心地良さを感じてもらえるようにというところまで考え行動するのが接遇です。
競合他社に勝つための「電話応対研修」
メールやSNSの発達のためか、若い社員になるほど電話が苦手な傾向があり、社員の電話応対力に頭を悩ませている経営者は多いです。電話応対研修では基礎的な電話応対のやり方や言葉遣いから、相手に好印象を与えるコミュニケーション方法を学べるので、電話が苦手な社員でも電話応対のスキルを高めることができます。
電話はビジネスの現場で必須のツールであり、上手に使いこなせば顧客満足度を向上させることができます。この章では電話応対研修の内容と、顧客満足度の向上に役立つ理由を解説していきます。
電話における発声を学べる
電話は対面と異なり相手の顔が見えないため、普通のコミュニケーションも難しく、さらに相手に好印象を与えるとなると難易度が飛躍的に向上します。電話応対研修では正しい発声を学べるので、顔が見えない相手とも上手にコミュニケーションができるようになります。
例えば、対面でのコミュニケーションには問題が無いのに、電話だと声が小さくなってしまう人は大勢います。電話の相手は聞き取りづらいので大きめの声で喋った方が良いのですが、本人は相手との距離がつかめず独り言を話すかのようになってしまうのです。
電話応対研修では、座学でよくあるNGな電話応対を学び、ロールプレイングで個別に改善点を指摘していきます。電話における適切な発声を学ぶことで、社員の電話応対力が上がり、顧客満足度の向上に役立ちます。
正しい言葉遣いを学べる
電話応対ならではの言葉遣いも、電話応対研修で学ぶことができます。例えば、相手の声が小さいときに「お電話が遠いようなのですが」と遠回しに伝える言葉遣いなどです。また、相手が呼び出したい社員が不在のときは「ただいま不在にしております」「後ほど折り返しさせていただきます」のように言いますが、これも電話ならではの言葉遣いです。
このような言葉は電話以外では使わないので、身についていない社員も多く、いざ電話応対をしているときにスムーズに言葉が出てこないことがあります。正しい言葉遣いで話せないと、顧客に「なんだか失礼に感じる」「他社の方が電話応対が良いな」と思われ、顧客を怒らせたり、競合他社に取られたりするかもしれません。
電話応対研修ではロールプレイングを通じて言葉遣いを練習するので、正しい言葉遣いをしっかりと身につけることができます。顧客に「電話応対が丁寧で気持ちがいいな」と思ってもらえるように研修で学び、顧客満足度を向上させましょう。
企業のイメージを左右する電話応対は、社員一人ひとりがより良い対応をするという意識を持っていなければ、全体のレベルアップには至りません。電話応対研修を効果的に行うためのポイントや、実施するメリット、カリキュラムについてご紹介します。
顧客の信頼感を高める「クレーム対応研修」
クレームとは狭義では不満表現のことを指しますが、お問い合わせや要望を含むこともあり、顧客からの意見を幅広く含めた概念です。昨今は商品やサービスの高度化に伴い、顧客の求めることも高度化してきており、クレームの発生頻度も高くなってきています。
クレーム対応というと、とにかく謝罪をするイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。クレームの電話は顧客と会社の重要な接点でもあるので、クレーム対応によって顧客の信頼感を高め、顧客満足度を向上させることもできるのです。
クレームをチャンスに変えるためにも、クレーム対応研修でプロフェッショナルから正しい対応方法を学びましょう。この章では、クレーム対応研修の内容と顧客満足度の向上に役立つ理由を解説していきます。
当事者意識を持って対応できるようになる
クレーム対応においては、顧客の立場に立ち、対応する社員自身も当事者意識を持って対応することが重要です。
実際は、クレームの原因となった社員とクレームの対応をしている社員は別の人物であることも多く、クレーム対応をしている社員は自分の行動ではないのに顧客の怒りに対応するという理不尽な目にあっています。しかし、他人のミスだという気持ちでクレーム対応をすると当事者意識がないことが顧客に伝わり、さらなるクレームにつながってしまう可能性があります。
クレーム対応をするとき、社員は組織を代表している自覚を持たなければなりません。このことをクレーム対応研修を通じて学ぶことで、当事者意識を持った対応ができるようになります。よって顧客の気持ちを理解した対応ができ、顧客満足度の向上につながるのです。
何が問題なのかを上手に聞き出せるようになる
クレーム対応の目的は問題を解決することで、とりあえず謝って顧客をなだめることではありません。しかし、感情的になっている相手から、何が問題なのかを引き出すのは難しいです。
研修では、クレーム対応における正しい言葉遣いやクッション言葉(恐れ入りますが等)を学び、感情的になっている相手とのコミュニケーション方法を学びます。問題を把握して適切な対応を行うことで、顧客からの信頼を回復できるので、顧客満足度の向上につながります。
クレームは対応を間違うとトラブルに発展しますが、対応が上手くいくと新たなファンになってくれる可能性があります。クレームが起こった時に、正しい行動ができる顧客対応のスペシャリストを育成する研修を紹介します。
多様化する要望に対応できるようになる「サービス業向け研修」
小売業、外食産業、航空産業、医療福祉業界など、顧客に直接サービスを提供する業種は社員教育が最も重要と言っても過言ではありません。
最近はインターネットの発達によって顧客が専門的な情報や例外的な情報を持っていることもあります。そのためサービス業に求められる要望も高度化しており、対応が難しくなってきています。
サービス業においては社員一人一人の対応力がサービスの品質に直結し、顧客満足度を大きく左右します。業種別に細かく研修を用意している研修会社も多いので、ご自身の業種にマッチした研修を導入し、社員のレベルを底上げしましょう。この記事では一般的なサービス業向け研修で学べる内容と、顧客満足度の向上につながる理由を解説していきます。
顧客の要望を上回る仕事ができるようになる
サービス業では、顧客の「こうしてほしい」という思いを把握し、その要望を応えることが仕事です。しかし、最近では要望どおりにサービスを提供することは当たり前になっており、顧客満足度にはつながりません。
どうすれば良いのかというと、顧客の要望を上回るサービスを提供することです。顧客が「ここまでやってくれるんだ!」と感動すれば、顧客満足度は向上します。
サービス業向け研修では、顧客を感動させるサービスを考える方法を学ぶことができます。要望どおりのサービスをするだけでなく、感動するようなサービスを提供する重要性を社員が理解して実践できるよう、サービス業向け研修を導入しましょう。
「コールセンター向け研修」
コールセンターは顧客と直に接する部門なので、社員のマナーや対応力が顧客満足度に直結します。最近ではよくある質問への回答はAIチャットに任せ、イレギュラーのみコールセンターの社員が対応する態勢になっていることもあり、コールセンターの対応力にはますます高いレベルが求められるようになってきています。
社員が高い対応力を身につけられるようにするためにも、コールセンター向け研修を導入しましょう。コールセンター向け研修は、主にオペレーター向け、スーパーバイザー向けの2つに分かれているので、社員の立場や経歴に合った研修を導入しましょう。この章では、コールセンター向け研修で学べる内容と、顧客満足度の向上に役立つ理由を解説していきます。
傾聴力を高めて顧客のニーズを把握できるようになる
コールセンター業務では、顧客から寄せられる問題を適切に把握し、解決する対応力が求められます。適切な対応をするためには問題の特定が重要なので、どのような問題が起きているのか顧客に話を聞かなくてはなりません。
しかし、顧客のほとんどは商品やサービスについての専門知識がないため、電話で上手く説明できないことが多いです。また、コールセンターに電話をかける顧客は商品が使えずに焦っているなど、平常心を欠いていることも多く、説明がしどろもどろになっていることもあります。
コールセンターではこのような顧客から情報を引き出さなくてはなりません。そこで、相手を落ち着かせて話を促す傾聴力が必要になります。
具体的には、丁寧な相槌や分かりやすい言葉による質問を行い、顧客の話を促します。顧客が話している途中なのに割り込んで喋ってしまうといったことがないよう、相手の話を最後まで聞く姿勢も求められます。
コールセンター向け研修では、このようなスキルを学ぶことができるので、コールセンターの第一線で活躍できる人材を育てることができます。コールセンターに電話をかける顧客は、電話口で問題が解決すると安心するので、コールセンターの人材育成は顧客満足度の向上にも大いに役立ちます。
セキュリティの知識を身につけられる
近年、コールセンターでは情報管理を始めとするセキュリティが重要視されています。オペレーター業務では顧客の個人情報を取り扱うことが多く、情報漏えいなどがあれば顧客からの信頼を一瞬で失ってしまうからです。
コールセンター向けの研修でも、現場におけるセキュリティを学ぶことができます。個人情報の保護にはどのような法律があるのか、情報漏えいがあるとどのような賠償責任が生じるのかなど、コールセンターの実務では学ばないことも勉強できます。
もちろん、現場における情報管理のやり方など実践的なことも研修で学ぶことができます。コールセンター向け研修を通じて現場のセキュリティ意識を高め、顧客の信頼を獲得して顧客満足度を高めましょう。
コールセンター研修は顧客満足度の向上・対応時間・応対品質の改善・クライアント企業からの評価向上・センター全体の売上向上が見込めるなどのパファーマンス向上が見込めます。
「ホテル業界向け研修」
サービス業の中でも、ホテルは得に高品質なサービスや臨機応変な対応力を求められる職種です。一定のマニュアルはあるにせよ、マニュアル以外の要望に臨機応変に応えられないようでは、顧客満足度は低下してしまいます。
高いレベルが求められるからこそ、研修を通じて社員を教育しなければなりません。この章ではホテル向け研修で学べる内容と、顧客満足度を高められる理由について解説していきます。
チームワークが高まり高いサービスを提供できるようになる
ホテルのサービスはフロントでの案内、清掃が行き届いた客室、美味しい料理を提供するレストランなど多岐にわたっており、それぞれに専門のスタッフが配属されています。そのため部門の中では上手く回っていることが多いのですが、一方で部門間の連携がスムーズでないケースが見られます。
部門間の連携が上手くいかないと、チェックインの時間に清掃が間に合っておらず顧客を待機させてしまうといったことが起こりやすくなり、クレームにつながってしまいます。連携不足によるクレームを減らすためにも、部門間で悩みを共有できる時間を作るべきです。
基礎的なホテル向け研修は、特定の部門だけでなく部門横断で行う研修を想定しています。異なる部門の社員を同じグループに配属してディスカッションを行うことで、自分の所属部門以外の部門における悩みを学ぶことができるからです。
研修で他部門の悩みを理解することで、解決するにはどうしたら良いかを考えられるようになります。部門間の連携が強化されればクレームが発生しにくくなり、顧客満足度を向上させることができます。
クレームに迅速に対応できる力が身につく
社員がベストを尽くしても、一定のクレームは発生してしまいます。クレームが発生したら迅速に解決することで顧客満足度を高められるので、ホテル向け研修では迅速な対応方法を学びます。
クレーム対応では、自分のミスでないことで顧客から責められることがあります。そのような場合でも当事者意識を持って対応することで、顧客の信頼を回復することができます。
研修では、当事者意識を持って顧客の話を正面から受け止めるための対応方法を学ぶことができます。「自分の責任ではないのに怒られている」と感じている社員も、研修を通じて学べば「組織の代表としてお詫びをしている」という感覚に変わってくるので、顧客の信頼を回復して顧客満足度を向上させることにつながります。
ホテルには世界中から、国籍、性別、年齢を問わずたくさんのお客様が訪れます。すべてのお客様へ最高のホスピタリティを提供するには、その基盤となる知識や技術が必要不可欠です。