社員研修の発注先の比較サイト「KeySession(キーセッション)」を運営する株式会社東邦メディアプランニングは、全国の20〜59歳の正社員300名を対象に、勤務先の人材育成方針や本人の成長実感、研修・OJTの評価、転職意向に関する調査を実施しました。
<調査の背景と目的>
長期雇用を前提とした雇用慣行が変化し、転職はキャリアの選択肢として一般的になりつつあります。総務省統計局の労働力調査によると、2024年の転職者数は331万人で3年連続で増加しているうえ、2025年の転職等希望者は1,023万人と過去最多です。
一社にとどまらないことが当たり前となった環境では、社員にとって「この会社で何を学べるか」「どのような経験・スキルを身につけられるか」「今後どのようなキャリアを描けるか」が、働く場所を選ぶうえでの重要な判断材料になっています。
研修会社の比較サイトKeySessionでも、具体的な研修テーマでのご相談が寄せられますが、ヒアリングを進めると「どのような人材を育てたいか」「研修後にどのような状態を目指すか」「何を身につけてもらうか」といった、研修以前の育成目的や計画が定まっておらず、整理が必要なケースが増えてきました。
そこで今回は、会社の育成方針の明確さや研修等の成長機会と、勤務先で今後働き続けたいかの意欲との関係を調査しました。
<調査結果サマリー>
- 正社員の53.0%が、勤務先の「今後育成したい人材の方針」は不明確だと回答
- 自分が何を学び、どのようなスキル・経験を身につければよいかが不明確な社員も54.3%
- 育成方針が明確だと感じる社員の85.8%は、自分の成長方向も明確。不明確に感じている社員の場合、成長方向を理解しているのは10.1%にとどまる
- 勤務先に「研修・学習機会がない」と感じる社員の23.5%が、すでに転職活動中
- 研修とOJTの両方をポジティブに評価する社員の転職意向は10.3%。両方ともポジティブではない社員では55.1%が転職を検討
- 育成方針・成長方向・研修・OJTの4項目すべてをポジティブに評価する社員の転職意向は8.1%。4項目すべてネガティブな社員では56.9%
<調査概要>
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名 | 人材育成方針・成長実感・転職意向に関する調査 |
| 調査期間 | 2026年9月18日 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査対象 | 全国の20〜59歳の正社員 |
| 有効回答数 | 300名(20代・30代・40代・50代 各75名/男性152名・女性148名) |
| 調査主体 | KeySession(株式会社東邦メディアプランニング) |
※構成比は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
<調査利用条件>
本調査の結果を引用・転載する際は、以下の条件を守ってご利用ください。
- 出典として「研修比較のKeySession調べ」と明記すること
- Web上で使用する場合は、出典元としてhttps://keysession.jp/media/hr-development-turnover-survey/へのリンク設置をお願いいたします。
正社員の53.0%が「会社の育成方針は不明確」と回答
勤務先で「今後どのような人材を育成していきたいのか」という方針が明確になっていると感じるかを尋ねたところ、「あまり明確になっていない」(25.7%)と「まったく明確になっていない」(27.3%)を合わせて53.0%が「不明確」と回答しました。

「非常に明確」は15.0%、「ある程度明確」は32.0%で、明確だと感じている社員は47.0%です。半数以上の社員が、会社側の育成方針を読み取れていない状況がうかがえます。
| 回答(Q1 n=300) | 割合 |
|---|---|
| 非常に明確 | 15.0% |
| ある程度明確 | 32.0% |
| あまり明確になっていない | 25.7% |
| まったく明確になっていない | 27.3% |
自分の成長方向が不明確な社員も54.3%
現在の勤務先で成長していくために、自分が何を学び、どのようなスキル・経験を身につければよいかが明確かを尋ねました。「あまり明確になっていない」(27.7%)と「まったく明確になっていない」(26.7%)を合わせ、54.3%が「不明確」と回答しています。

会社の育成方針とほぼ同じ水準で、社員自身も「この会社でどう成長すればよいか」を描けていないことがわかります。
| 回答(Q2 n=300) | 割合 |
|---|---|
| 非常に明確になっている | 15.0% |
| ある程度明確 | 30.7% |
| あまり明確になっていない | 27.7% |
| まったく明確になっていない | 26.7% |
研修・OJTを成長につながると評価する社員は4割未満
日常業務とは別に実施される研修や学習機会が、自分の成長やキャリアにつながっていると感じるかを尋ねたところ、「強く感じる」「ある程度感じる」の合計は37.3%でした。「あまり感じない」「まったく感じない」は合計34.3%、「研修・学習機会がない」も28.3%にのぼります。

OJTや上司からの指導・フィードバックなど、日常業務を通じた成長支援についても、「強くそう感じる」「ややそう感じる」の合計は39.3%です。「あまりそう感じない」「まったくそう感じない」が合計38.3%、「わからない/該当する機会がない」が22.3%でした。

研修とOJTのどちらの設問においても、成長につながっていると実感している社員は4割に届いていません。研修やOJTの機会を設けるだけでなく、社員自身が成長につながっていると実感できるような設計や支援が重要であることが示唆されます。
| 回答※n=300 | 研修・学習機会(Q3) | OJT・上司支援(Q4) |
|---|---|---|
| 強く感じる | 11.7% | 11.7% |
| ある程度/やや感じる | 25.7% | 27.7% |
| あまり感じない | 23.0% | 23.0% |
| まったく感じない | 11.3% | 15.3% |
| 機会がない(Q4は「わからない」含む) | 28.3% | 22.3% |
育成方針が明確な社員ほど、成長方向・研修・OJTへの評価も高い
会社の育成方針が「明確」と回答した社員(141名)と「不明確」と回答した社員(159名)に分け、自身の成長方向や、研修等の学習機会およびOJT・上司のフィードバックにおける成長実感の回答を比較しました。

育成方針が明確な社員の85.8%は、自身の成長方向も明確だと回答した一方、育成方針が不明確な社員では10.1%にとどまり、75.7ポイントの差がみられました。
また研修が成長につながると感じる割合は、明確層は72.3%と不明確層は6.3%、OJT・上司からの支援を感じる割合は70.9%と11.3%。それぞれ66.0ポイント、59.6ポイントの差がみられました。
| ポジティブ回答の割合 | 育成方針が明確(n=141) | 育成方針が不明確(n=159) | 差 |
|---|---|---|---|
| 自分の成長方向が明確 | 85.8% | 10.1% | 75.7pt |
| 研修が成長につながる | 72.3% | 6.3% | 66.0pt |
| OJT・上司支援を感じる | 70.9% | 11.3% | 59.6pt |
会社の育成方針を明確だと感じている社員ほど、自身の成長方向も明確であり、研修やOJTについてもポジティブに評価する傾向がみられました。
※各項目の「明確」「ポジティブ」は上位2選択肢の合計。研修・OJTの非ポジティブには「機会がない」「わからない」を含む
育成環境をネガティブに評価する社員ほど転職意向が高い傾向
現在の勤務先で今後働き続けたいかを尋ねたところ、全体では38.7%に転職意向がありました。
この転職意向を、育成方針・成長方向・研修・OJTの4項目それぞれについて、ポジティブな回答をした社員とネガティブな回答をした社員で比較しました。どの項目でもネガティブな社員の転職意向は5割を超え、ポジティブな社員との差は30pt以上あります。

差が最も大きかったのはOJTで、支援を感じる社員の14.4%に対し、感じない社員では56.5%でした。研修も15.2%と52.4%で、37.2ptの差があります。
日々の業務を通じた成長支援や研修を「成長につながる」と実感している社員と、そうでない社員では、転職意向に大きな差がみられました。
| 項目 | ポジティブ | ネガティブ | 差 |
|---|---|---|---|
| 育成方針(明確 n=141/不明確 n=159) | 22.0% | 53.5% | 31.5pt |
| 成長方向(明確 n=137/不明確 n=163) | 21.2% | 53.4% | 32.2pt |
| 研修(つながる n=112/つながらない n=103) | 15.2% | 52.4% | 37.2pt |
| OJT(感じる n=118/感じない n=115) | 14.4% | 56.5% | 42.1pt |
※数値は転職意向ありの割合。転職意向あり=「良い機会があれば転職を検討したい」「できれば転職したい」「すでに転職活動をしている」の合計
※研修・OJTのネガティブは「あまり」「まったく」の合計で、「機会がない」「わからない」は含まない
「研修・学習機会がない」社員の23.5%がすでに転職活動中
研修・学習機会への評価別に、転職意向と「すでに転職活動をしている」割合を比較しました。

研修が成長に「つながらない」と感じる社員と「研修・学習機会がない」社員では、転職意向は52.4%と52.9%でほぼ同水準です。一方で、すでに転職活動をしている割合は、「つながらない」の5.8%に対し、「機会がない」では23.5%と約4倍でした。
研修が成長に「つながる」と感じる社員では、転職意向15.2%、転職活動中1.8%にとどまります。学習機会がないことは、転職を考えるだけでなく、実際に転職へ動き出すことと関係している可能性があります。
| 研修・学習機会への評価 | 転職意向あり | 転職活動中 |
|---|---|---|
| 成長につながる(n=112) | 15.2% | 1.8% |
| 成長につながらない(n=103) | 52.4% | 5.8% |
| 研修・学習機会がない(n=85) | 52.9% | 23.5% |
OJTでも同様の傾向がみられ、日常業務を通じた成長支援について「わからない/該当する機会がない」と回答した社員(67名)では、転職活動中の割合が28.4%にのぼりました。
また、「研修・学習機会がない」社員85名のうち56名は、OJTでも「わからない/該当する機会がない」と回答しています。
研修・学習機会がなく、OJTや上司からの支援についてもぴんときていない社員は転職活動中の割合も高い傾向がみられました。
研修とOJTの両方をポジティブに評価する社員では転職意向10.3%
研修とOJTの組み合わせで見ると、両方をポジティブに評価する社員(97名)の転職意向は10.3%でした。一方、両方ともポジティブではない社員(167名)では55.1%です。

どちらか一方だけをポジティブに評価する社員は36名と少数ですが、転職意向は38.9%で、両方ポジティブな社員の約4倍でした。
研修を実施するだけでなく、研修と日常の業務での育成支援を一体で考えることの重要性が示唆されます。
| 研修・OJTの評価 | 転職意向あり |
|---|---|
| 両方ポジティブ(n=97) | 10.3% |
| どちらか一方のみポジティブ(n=36) | 38.9% |
| 両方ともポジティブではない(n=167) | 55.1% |
※「ポジティブではない」には「機会がない」「わからない」を含む
4つの育成要素すべてをポジティブに評価する社員の転職意向は8.1%
さらに、育成方針・成長方向・研修・OJTの4項目すべての評価の組み合わせ別に、転職意向を比較しました。

4項目すべてをポジティブに評価する社員(86名)の転職意向は8.1%で、すでに転職活動をしている人は0名でした。一方、4項目すべてをネガティブに評価する社員(51名)では、転職意向が56.9%にのぼります。両者の差は48.8ptです。
| 4項目の評価 | 転職意向あり |
|---|---|
| すべてポジティブ(n=86) | 8.1% |
| すべてネガティブ(n=51) | 56.9% |
| 差 | 48.8pt |
※ネガティブ=各設問で「あまり」「まったく」を選んだ人。研修の「機会がない」、OJTの「わからない/該当する機会がない」は含まない
育成方針、成長方向、研修、OJTのいずれか1つではなく、全項目が一貫して機能していると社員が感じられるかどうかが、定着意向と大きく関係していることがうかがえます。
年代・性別でみた結果
年代別では、50代で育成方針・成長方向・研修・OJTのいずれのポジティブ評価も20代を下回るなど、年代が高い層ほど評価が低い傾向がみられました。
研修が成長につながると感じる割合は20代の45.3%に対し、50代は29.3%です。OJT支援も20代45.3%、50代29.3%で、同じ差がありました。
転職意向は30代が48.0%で最も高く、すでに転職活動をしている割合も30代が16.0%で最多です。50代は転職意向36.0%に対し、転職活動中は2.7%にとどまりました。
| 年代(各n=75) | 育成方針が明確 | 成長方向が明確 | 研修が成長につながる | OJT支援を感じる | 転職意向あり | 転職活動中 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 20代 | 52.0% | 53.3% | 45.3% | 45.3% | 33.3% | 10.7% |
| 30代 | 48.0% | 46.7% | 38.7% | 46.7% | 48.0% | 16.0% |
| 40代 | 45.3% | 41.3% | 36.0% | 36.0% | 37.3% | 8.0% |
| 50代 | 42.7% | 41.3% | 29.3% | 29.3% | 36.0% | 2.7% |
男女別では、育成方針が明確と回答した割合が男性50.7%、女性43.2%、成長方向が明確な割合が男性49.3%、女性41.9%で、いずれも女性がやや低い結果でした。転職意向は男性37.5%、女性39.9%で、大きな差はみられませんでした。
まとめ
長期雇用を前提とした雇用慣行が変化し、社員がキャリアを選択しやすくなった今、企業には「この会社でどう成長できるか」を社員に示すことが求められています。
今回の調査では、正社員の半数以上が会社の育成方針も、自分の成長方向も不明確だと感じていることが明らかになりました。なかでも、勤務先に「研修・学習機会がない」社員の23.5%がすでに転職活動をしており、研修が成長につながると感じている社員の1.8%とは大きな差があります。研修や学習機会・環境の整備ができているかどうかは、社員の定着を考えるうえでの出発点といえるでしょう。
KeySessionは、研修会社の比較サイトとして、管理職研修やマナー研修、AI研修など、企業の課題や目的に合った研修会社・研修内容の比較・選定を支援しています。「自社に合う研修がわからない」「複数の研修会社を比べて選びたい」といった段階から、お気軽にご相談ください。
一方で、単に研修機会を用意するだけでは十分とはいえません。育成計画を明確にしたうえで、計画に沿った研修の実施および、日々の業務や上司からのフィードバックをしていくことが重要です。
今回の調査では、研修とOJTの両方をポジティブに評価する社員の転職意向は10.3%、さらに育成方針・成長方向まで含めた4項目すべてをポジティブに評価する社員では8.1%でした。
研修とOJTや日々の指導を切り離さず、一貫した人材育成計画として設計することが、社員の成長実感と定着の両方につながると考えられます。
また、勤務先の育成方針を明確だと感じていない社員が半数を超えています。企業側で育成方針を定めるだけでなく、「どのような人材を目指してほしいのか」「そのために何を学び、どのような経験を積んでほしいのか」まで具体化し、社員に伝えていくことも重要です。
KeySessionでは、研修会社の選定だけでなく、「どのような人材を育てたいか」「研修後にどのような状態を目指すか」といった育成目的・人材像の整理から、研修とOJTを組み合わせた人材育成計画の策定までを支援しています。研修テーマが決まる前の段階でも、お気軽にご相談ください。

