「社員の研修に必要な費用の相場はいくらくらい?」「コストを抑えて予算内に希望の研修を行いたい」
といった悩みを抱えている経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、社員研修の予算の実態と相場、費用の内訳などを解説しています。予算内に希望の内容で研修を行いたい方はぜひ、参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 研修に必要な費用相場
- 研修費用に含まれる項目
- 研修費用を抑える方法
キーセッションでは、貴社にぴったりな研修を、豊富な提携研修会社からご提案可能です。予算にあわせた内容でのご提案も可能なので、費用が気になっている担当者さまもぜひお気軽にご相談ください。
目次
社員研修費用の一人あたりの相場
産労総合研究所の調査によると、2022年度の社員研修費用の一人あたりの相場は、43,261円です。
企業規模によって費用は異なり、具体的には以下の表の通りです。
教育研修費用総額(万円) | 従業員ひとり当たりの額(円) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
2021年予算 | 2021年実績 | 2022年予算 | 2021年予算 | 2021年実績 | 2022年予算 | |
調査計 | 6,821 | 5221 | 7,083 | 40,896 | 29,904 | 43,261 |
1000人~ | 11,125 | 8,644 | 11,447 | 38,000 | 29,629 | 40,048 |
300~999人 | 2,568 | 1,742 | 2,866 | 49,258 | 31,323 | 49,452 |
299人以下 | 684 | 477 | 724 | 41,500 | 28,682 | 43,591 |
参考:株式会社 産労総合研究所「2022年度 教育研修費用の実態調査」
どの規模の企業も予算が実績を上回っています。この特徴は2021年だけではなく、毎年同様です。予算と実績に差があることから、研修を担当する人事部もしくは責任者は、研修の回数や内容を見直してもいいかもしれません。
2021年度と2022年度の予算額を比較すると、大企業では6割が増額しています。売り手市場の加速で人材確保が難しくなっている昨今において、社員のモチベーション・スキルの向上など、研修にコストをかける重要性は高まるでしょう。
形式別社員研修の費用相場
社員研修の費用相場は、研修の形式によって異なります。研修の形式は、主に以下の3つです。
- 公開講座
- 社内研修
- eラーニング
形式別に費用相場を紹介していきます。
公開講座
公開講座の費用相場は1日講座で18,000~30,000円/人が相場です。一般募集している公開講座は、個人で参加することも、企業の代表として数人だけ参加することもできます。
公開講座の期間は、2時間程度から数日間にわたるものまでさまざまです。
社内研修
社内研修を発注した場合の費用は、1日あたり20~50万円が相場です。短時間の研修であれば、1時間当たり1~5万円が一般的です。
費用が安いところは、交通費や教材費などが別料金になっていることがあります。また、有名な講師に個別に依頼する場合は、費用がさらに上がる可能性があります。
eラーニング
eラーニングの初期費用は20~40万円ほどであり、追加で月額費用がかかることもあります。会場の準備や交通費などの予算が不要なので、長期的に見るとコストを抑えられる方法です。パソコンやスマホがあればできるため、手軽に学べる点が社員からも人気です。
費用は会員制を取っているところも多く、会員以外の料金と差があります。また、人数によって料金が変わるシステムにしている研修会社もあるため、少人数でも取り入れやすいのが特徴です。
月定額や年間契約などさまざまなプランがあり、どのプランを活用するのかによっても費用が変わります。講師を派遣してもらう社内研修よりは、費用を抑えられます。
研修費用に含まれる項目ごとの内訳
研修費用に含まれる項目は、主に以下の7つです。
- 研修費
- 教材費委
- 交通費
- 食事代
- 宿泊費
- 会場費
- 備品・設備代
項目ごとに内訳を紹介していきます。
研修費
研修費は、研修を実施するのが個人か法人かによって異なります。個人であれば10〜15万円程度、法人であれば20〜30万円程度が相場です。
研修費とは、研修会社の企画や準備にかかる費用です。講師の派遣料も含まれていることが多いですが、まれに別料金になっていることもあります。
基本のプログラムに、有料のオプションメニューを設定している研修会社もあります。費用が抑えめの研修は、オプションをつける必要がある可能性が高いです。
教材費
教材費は研修費に含まれていることも多いですが、特別なツールを使用する場合には、教材費が別途かかることがあります。たとえば、研修会社オリジナルの教材や市販の有料教材を使う場合などです。
また、教材費にはテキストや資料の印刷代が含まれることもあります。
交通費
講師が遠方から来る場合は、交通費が発生する場合もあります。また駐車料金などが必要であれば、実費で支払いになることが多いです。
外部研修であれば、自社社員の交通費もかかります。
食事代
1日講座の場合は昼食代が、数日間の講座の場合は日数分の食事代がかかります。講師だけではなく、受講する社員の食事代も必要です。
社員に食事代を渡す際には、日当として支給することもあります。
宿泊費
数日にわたる研修では、講師の宿泊費がかかります。また、勤務地から遠い場所で開催する場合は、社員の宿泊費を会社が負担する必要があります。
会場費
会場費は小規模であれば数万円、大規模であれば数十万円以上かかることもあります。
食事や宿泊を伴う場合などはさらに高額になるでしょう。
自社で研修できる会議室などを所有していれば会場費を抑えられますが、そうでない場合は会場を借りなければなりません。リーズナブルに借りられる場所が見つからないと、ホテルや設備の整った研修会場を借りることが多く、費用が高額になります。
備品・設備代
参加人数や会場規模によっても変わりますが、備品・設備代の相場は5~15万円ほどです。
主に以下のような備品が含まれています。
- パソコン
- スクリーン
- プロジェクター
- マイク
- 演台
- パーテーション
外部会場でも備品を借りられますが、高額になる可能性があります。
研修タイプ別の費用相場
研修タイプによっても、研修費用の相場は異なります。ここでは、おもな研修のタイプの以下3つごとに費用相場を解説します。
- 新入社員・新卒向けの研修
- 管理職向けの研修
- ロールプレイングやOJTなどの実践研修
新入社員・新卒向けの研修
新人社員の人数にもよりますが、1〜2週間程度で数十万〜数百万の研修費用が必要です。
新人社員・新卒向けの研修では、ビジネスマナーや業務ソフトの操作方法などの導入研修を実施するのが一般的です。
外部に研修をお願いする場合は、ロールプレイング研修や営業研修など、企業の即戦力となる内容を学べます。
管理職向けの研修
管理職向けの研修は、5~10名前後で2~3日の研修を実施すると30〜40万円ほどかかります。
マネジメントスキルやリーダーシップを高めるための研修が基本です。若手社員のロールモデルとなれるよう学びます。また、管理職は若手社員を育成する機会が多いため、人材育成に関する研修も多いです。
ロールプレイングやOJTなどの実践研修
ロールプレイングやOJTなどの実践研修は、一般的に1日あたり20~30万円ほどかかります。
資料作成や営業、カスタマーサポート、プログラミング技術など、業務に直結する実践的なスキルを身に着ける研修です。
研修費用は会社負担が基本
業務をする上で必要な研修は、原則会社が負担します。業務において不可欠であるかどうかが判断基準です。したがって、直接的に関係ない研修を受ける場合は、受講者負担になることもあります。
ただし、業務と直接関係のない研修であっても、会社が受講を業務命令にする場合があります。このような場合は、研修費用は会社負担です。
業務において必要かを判断するためには、これまでの研修の履歴を残しておくことが大切です。
研修費用を自己負担させるときの注意点
研修費用を自己負担してもらうためには、会社側が準備を整えておく必要があります。というのも、社員が研修費用を自己負担する旨は、就業規則と労働条件通知書に記載する必要があるからです。
入社後のトラブルを避けるためには、入社前の説明と同意書の提出を促すことが肝心です。自己負担になるケースを理解し、同意した上で入社してもらいましょう。
研修費用を安く抑える工夫
研修費用を安くするには、以下11個の方法があります。
- パックプランを活用する
- 参加者を絞る
- 研修の優先順位を考える
- 諸費用を抑える
- 助成金を活用する
- カリキュラムを再考する
- オンライン研修を検討する
- 内部研修を検討する
- 研修効果の分析と改善
- 相見積を取る
- 専門性の高い研修会社に依頼する
それぞれ紹介していきましょう。
パックプランを活用する
パックプランとは、以下の項目がすべて込みになった料金プランであり、お得なパックプランを用意している研修会社が多くあります。
- 研修の企画
- 運営
- 講師派遣
- 交通費
- 食事代
費用を抑えられるというメリットがある一方で、内容等のカスタマイズがしにくくなる点には注意が必要です。
参加者を絞る
人数によって価格が変わる研修プランもあるため、参加者を絞って開催するのも一つの方法です。参加者を絞って開催する場合は、研修後に社内で伝達研修を行うことをおすすめします。そうすることで、社員全員に対して研修内容を共有できます。
研修の優先順位を考える
研修の優先順位を考えることで、早急に解決が必要なことを優先でき、研修の回数を減らせます。
人材を育成する上では誰しも、多くの知識と技術を習得してほしいと思うものです。しかし、あれもこれもとなるのではなく、現状必要なことや優先させるべきことを洗い出すことが大切です。
諸経費を抑える
会場費や備品レンタル料金などの諸経費を、できる限り抑えるのも効果的です。交通費や食事代は節約が難しいため、細かい経費を削減しましょう。
具体的には、備品をあらかじめ社内で手配しておく、安くレンタルできる会場を探すなどの方法があります。
助成金を活用する
企業の研修にはさまざまな助成金の制度があります。たとえば、以下のような助成金です。
- 人材開発助成支援金
- 事業内職業能力開発計画
- キャリアアップ助成金
助成金の対象となる研修が多くあるため、一度調べてみるのがおすすめです。
助成金の存在を知らず、申請しそびれている企業も多いです。国だけでなく、地方自治体による助成金の制度などもあるため、一度調べてみてください。
研修で利用できる助成金については、こちらの記事で詳しく解説しています。
カリキュラムを再考する
カリキュラムを見直すことで、研修費用が安くなるケースがあります。研修内容の中で必要だと思うものを洗い出し、企業のニーズに合った研修が受けられるよう再考しましょう。
また、ジャンルの違う研修を一緒に行うと、参加者が効率よく学べません。研修の内容だけでなく、優先順位をつけて順序立てて行うことも大切です。
オンライン研修を検討する
特に地方の会社では、講師の交通費がかかります。そのため、オンライン研修の方が研修費用が安くなることもあります。オンライン研修のメリットは、会場の準備や交通費が必要ないため、コストを抑えられる点です。
ただし、実技学習には不向きなことが多いです。他にも研修の内容次第によってはオンライン研修に向いていないことがあるので、よく検討してください。
内部研修を検討する
スキルや経験豊富な社員に研修を担当してもらうスキルや経験が豊富な社員に講師を担当してもらう、つまり内部研修をするという方法もあります。日々の業務に差し支えがなければ、担当社員の給与内で済ませられるのがメリットです。
研修効果の分析と改善
研修効果の分析と改善をすることでより研修の修得度を高められ、研修費用を無駄にしません。直接的ではありませんが、長期的に考えると節約といえます。
具体的な方法としては、研修後に研修についてレポートを書いてもらう、定期的に研修内容を復習してもらう機会を作るなどの方法があります。
研修の効果測定の方法は、こちらの記事でご紹介しています。
⇒研修効果測定の方法は?目的・効果や問題点、ポイントも合わせて解説
相見積を取る
複数の研修会社から相見積もりをとることで料金を抑えられる可能性があります。外部に研修を委託する際は、研修内容のカスタマイズができるかどうか確認しておきましょう。不要な研修をカットすることで、費用を安くできる可能性があります。
キーセッションでは、ご希望の内容にあわせて複数の研修会社から相見積もりをお出しできます。予算を抑えたい方はぜひご相談ください。
専門性の高い研修会社に依頼する
専門性の高い研修会社に依頼することで、費用を抑えることができます。たとえば、以下のような研修会社があります。
- 研修プロデュース会社
- スペシャリスト(専門性の高い研修企業)
研修プロデュース会社とは、営業マンや研修プランのコーディネーターが営業やプランを作成し、実際の講師は外部取引先に外注する仕組みの会社です。研修プロデュース会社に丸投げできるメリットがあります。
スペシャリスト(専門性の高い研修企業)とは、特定の分野に特化した研修を提供してくれる研修会社です。代表者が講師であるケースが多く、特定の分野に特化しているのが特徴です。自社で研修を運営しているので、費用の調整がしやすいという特徴があります。
キーセッションでは、専門性の高い提携会社から最適なプランを紹介可能です。予算や研修内容に合わせてプランをご提案するため、費用を安く抑えたい方もお気軽にご相談ください。
研修費用の予算を検討するポイント
研修費用の予算を検討するポイントは、金額だけでなく、研修の効果について考えることです。研修費用は、安ければいいわけではありません。費用を安く抑えることだけを考えると、効果的な研修が行えない可能性があります。研修を受けることで、どのくらいのスキルアップが見込めるかで判断しましょう。
研修の目的は、社員のスキルアップやレベルの底上げにより、企業の生産性や業務の最適化を向上させることです。自社への事前投資だと考え、費用について検討してください。
社員研修の費用漏れがないように計画を
社員研修の予算は社員数が多ければ総額が上がりますが、ひとり当たりの金額は下がります。
社員数が少なければこの逆の現象になります。どちらの場合も、社員研修の費用漏れがないように計画を立てましょう。
研修の費用相場や抑えるポイントを理解して、社員研修を成功させてください。