近年、職場や日常生活において「コーチング」と「カウンセリング」という言葉をよく耳にするようになりました。
これらは、人々の心や行動に関するサポートを目的としていますが、それぞれのアプローチや目的は異なります。
この記事では、コーチングとカウンセリングの基本的な定義と、それぞれの特徴や適用されるシチュエーションについて詳しく解説します。これを通じて、自分自身や他者の悩みや課題に対して、どのようなサポートが最も適しているのかを理解する手助けとなることを目指します。
目次
コーチングとは
コーチングとは、クライアントの未来や目標に焦点を当てて、必要な意識や行動を明確にし目標達成のサポートをするものです。クライアントの持っている能力を引き出し、自分で意思決定、行動決定をしていきます。
コーチングをおこなう人をコーチと呼びますが、馬車という意味があり、目的地まで送り届けるという役割を持つことから、コーチングはクライアントを達成地点(ゴール)まで支援するという意味を持ちます。
行動を自分で決めたという意識が生まれ自信が持てるというメリットがありますが、経験が少ない場合は選択肢が狭くなるというデメリットがあります。
企業では、人事担当者や管理職の人が勉強をしコーチとなっている場合もありますし、外部のコーチと契約をして、定期的にコーチングが受けられる体制を取っているなど様々です。
カウンセリングとは
カウンセリングは広い意味では専門的な相談行為を指し、法律関係、美容関係、婚姻関係など様々な分野があります。
しかし、一般的に知られているのは心理カウンセリングという心に関する相談です。
アドバイスをし、解決策を早急に見出すものではなく、話を聴きながらクライアント自ら気づきを得たり、新しい考えに辿り着くよう心理的にサポートします。
否定されない、話を聞いもらえる安心感が得られるメリットがある一方で、具体的なアドバイスがもらえない物足りなさを感じる人もいます。
カウンセラーの民間資格は多数ありますが、近年では大学で心理学を学び、より専門的な知識を備えた臨床心理士も増えてきています。
企業では、産業カウンセラーを配置しているケースもありますが、まだまだその数は少ないのが現状です。
コーチングとカウンセリングの違い
コーチングとカウンセリングにはコミュニケーションによるサポート、クライアントの中にある答えを引き出すという共通点がある一方で、特徴的な3つの違いがあります。
未来か過去か
コーチングの場合は未来に向けての意識が強く、将来の夢や理想に関する内容を多く扱います。
それに対してカウンセリングは、過去からの問題が引き金になって今も辛い思いをしている場合が多く見受けられます。
どちらも問題や悩みがあるのは共通ですが、未来に向かった悩みか、過去の出来事が関わっている悩みかの違いがあります。
目標達成か問題解決か
コーチングは目標を達成するために今すべきこと、これから取り組むべきことを明確にしていきます。
カウンセリングでは、心の辛さを解決するために必要なことを明確にしていきます。
コーチングは解決することがなくても受けることで前向きな気持ちになりますし、カウンセリングでは今の悩みを解決することでより良い精神状態を取り戻すことができます。
思考か会話か
コーチングはクライアントに適切な質問をして考えてもらうことで、答えを導き出す方法です。
カウンセリングはクライアントに話をしてもらい、会話の中から気づきを得て気持ちを整理していきます。
コーチングは質問を通して進めるのに対して、カウンセリングは会話を通して進めるという違いになります。
項目 | コーチング | カウンセリング |
---|---|---|
目的 | クライアントの目標達成やパフォーマンス向上をサポートする | クライアントの心の問題や悩みを解決するためのサポートを提供する |
焦点 | 未来と現在の行動 | 過去の経験と現在の感情 |
手法 | 質問、フィードバック、行動計画の作成 | 対話、感情の探求、治療的技法 |
期間 | 短期間から中期間 | 中期間から長期間 |
関係性 | パートナーシップ | 治療者とクライアント |
未来か過去か | 未来に向けての意識が強く、将来の夢や理想に関する内容を多く扱う | 過去からの問題が引き金になって今も辛い思いをしている場合が多い |
目標達成か問題解決か | 目標を達成するために今すべきこと、これから取り組むべきことを明確にする | 心の辛さを解決するために必要なことを明確にする |
思考か会話か | クライアントに適切な質問をして考えてもらうことで、答えを導き出す | クライアントに話をしてもらい、会話の中から気づきを得て気持ちを整理する |
コーチングに向いている悩み
コーチングは、目標や自分を成長させることに関する悩みを持っている人にお勧めです。
目標があるが何をして良いかわからない
理想とする未来像があるが、そこに向かって何をしたら良いのか、具体的な行動を知りたいという人には最適です。
現状を整理し、目標達成のために必要なスキル、道具、行動を質問を通して整理します。
目標までの時間軸も考えながら答えを出していきますので、すぐに行動に移せるようになります。
目標が見つけられない
将来の夢や目標がなくて毎日がつまらない、何か始めたいけれどひとつに絞れない、やりたいことが見つからず焦りが強いなど、人生の行き先を見失っている時もコーチングが効果的です。
あなたが持っている能力や可能性を自分で引き出し、納得できる目標が見つけられます。
今の仕事にやりがいを感じず、転職を考えているという時にも背中を押してくれます。
同じ失敗を繰り返している
同じ失敗を何度もしてしまう、自分の成長が感じられないという時もコーチングが有効です。
成長している自分を客観的に見つめ、足りないもの、必要なスキル、改善すべき行動を明らかにすることで、自信を持って仕事に臨めるようになります。
カウンセリングに向いている悩み
カウンセリングは、精神的なサポートや安心感を求めている人にお勧めです。
漠然とした不安がある
具体的な原因が思い当たらないにも関わらず、不安やモヤモヤした気持ちがある場合はカウンセリングを受けることで、気持ちが落ち着き穏やかになります。
不安を感じ始めた時期、状況などを話すことでひとりで考えてもわからなかった理由に気づいたり、不安を感じる時の共通点がわかってきます。
同じ悩みを抱えやすい
今まで人や状況に違いがあっても同じような悩みを定期的に繰り返す場合は、過去を振り返ることで悩みから解放される方法が見つかります。
心の持ち方や考え方を変えることで、物事との距離感や付き合い方、感じ方が変わりますので、今まで持ち続けてきた悩みが悩みではなくなり、解決へと向かいます。
誰かに話を聞いてもらいたい
カウンセリングの基本はクライアントに話をしてもらうことです。ですから誰かに話を聞いてもらいたい、気持ちを吐き出したいという気持ちが強い時はカウンセリングを受けると気持ちがスッキリします。
解決策のアドバイスがなくても、具体的な解決方法が見つからなくても、話をするだけで気持ちが前向きになることがたくさんあります。
どちらを受けても悩みは解決できる
コーチングもカウンセリングも、『クライアントが良い方向に進むためのサポートをする』というのが共通している部分になります。
どちらを受けても悩みは解決しますが、悩みの種類や気持ちの状態により選択肢が変わります。
仕事で良いパフォーマンスを発揮するためにも、悩みがある時は早期解決を目指し、専門家の力を借りるようにしましょう。
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