研修の必要性
現代はチャットやテレビ電話などさまざまなコミュニケーションツールが溢れる時代です。近年は特にテレワークの台頭が目覚ましく、大手企業が自社ビルの売却を検討するなど、その流れは社会全体に広がっています。その流れはコールセンター業界も例外ではありません。テレワークでも高いスキルで業務が行えるオペレーターの育成は急務であり、その観点からコールセンター研修の必要性は高まっていると言えます。
コールセンター研修によって期待できる効果として次のようなものが挙げられます。
オペレーターとして必要な知識と技術が習得できる
コールセンターで働くオペレーターとして、必要な商品知識や話し方などの技術を習得できます。座学と実技を織り交ぜながら研修をすることで、自社商品・サービスに対する知識を養い、相手にあわせた話し方、敬語の使い方を学べます。
お客様の目線に立った対応を意識できるようになる
コールセンター業務において最も大切なことは、お客様の目線に立って考えることです。そのためには、お客様の伝えたいことを正確に聞き取るための「傾聴力」が必要不可欠です。
コールセンター研修のカリキュラムには、先輩オペレーターとお客様が話している内容をリアルタイムでモニタリングするものがあります。
実際のやりとりを聴くことで「自分だったらどう思うだろう」と、お客様の目線に立った解決策を提案できるオペレーターへと成長します。
正しい日本語の使い方を学べる
コールセンター業務でポイントとなるものに「日本語が正しく使えるか」があります。日本語が正しく使えているかでオペレーターのレベルがわかると言っても過言ではありません。
コールセンター研修では、敬語・謙譲語・尊敬語の違いや、具体的にどのような場面で用いるかについて詳しく解説してくれます。
研修の選び方
コールセンター研修の業者選定に困った際は、以下の項目をチェックしてください。役職にあわせた研修が実施できるか
コールセンターには、オペレーター・管理者(企業によっては、リーダーなどと呼ぶことがある)・スーパーバイザーなどの役職があります。それぞれ担っている業務が異なるため、研修の内容にも違いが出てきます。
簡単な例を挙げると次のようなイメージです。
オペレーター
・基本的な商品、サービスの知識・正しい日本語の使い方
・傾聴力を鍛える など
管理者
・正しい日本語の使い方・ハラスメントについて
・部下とのコミュニケーション など
スーパーバイザー
・ハラスメントについて・KPIの具体的な設定方法
・コーチング など
特定の役職でなければこなせない業務もあることから、それぞれの階層にあわせた研修を実施できる業者を選択するようにしましょう。
研修内容を要望にあわせてカスタマイズできるか
研修内容を要望にあわせてカスタマイズできるかも業者を選ぶ際の重要なポイントです。研修はただやればいいのではありません。目指しているゴールや中長期的な目標に向けた足掛かりとするものです。
そのためにも、事前に貴社のビジョンを研修業者と共有し、目的に沿った具体的な研修内容を提案してくれる業者を選ぶようにしましょう。
実務経験者が講師に含まれているか
コールセンターの実務経験者が講師に含まれているかチェックしてください。実際に現場の雰囲気や大変さを理解している講師であれば、みずからの経験を踏まえた上で意味のある研修を行ってくれるでしょう。
また、質疑応答の際にも実体験に則した回答が期待できるため、新たな気づきを得る良い機会となります。
研修導入までの時期を明確に示してくれるか
あつかっている商品やサービスによりますが、コールセンターにも繁忙期があるため、研修を行うタイミングを入念に見定める必要が出てきます。「年度末で忙しい時期だと思うが問題ないか」「何日に分けて研修を行うか」など、研修を実施する時期や日数を相談の上で明確に提示してくれる業者を選びましょう。
そうすることで、研修後のスキルの落とし込みや席配置などを事前に想定でき、現場の運用をスムーズに進められるようになります。
研修が組織にもたらす効果
コールセンター研修が貴社にもたらすパフォーマンスは主に4つあります。顧客満足度の向上
研修によるスキルのブラッシュアップによって、顧客満足度の向上が期待できます。これまで以上に素晴らしい対応ができれば、お客様の貴社に対するイメージも高まり、「この企業は気持ちのいい対応をしてくれる」と思っていただけます。
対応時間・応対品質の改善
研修によって傾聴力などのスキルが向上すると、お客様の伝えたいことを瞬時に理解できるようになり、適切な回答を短時間でご案内できるようになります。これにより、今まで発生していた対応時間の超過や、対応の長時間化による応対品質の低下を改善できます。
クライアント企業からの評価向上
クライアント企業から仕事を承っているのであれば、顧客満足度や応対品質の向上はクライアント企業のイメージアップに直結します。企業イメージアップの功績により、貴社の評価はさらに高まるでしょう。
センター全体の売上向上が見込める
研修の実施によって、センター全体の売上向上が見込めます。例えば、化粧品販売の受付窓口業務を担っている場合、追加提案(アップセル)による販売も行う機会があると思います。
そのとき、対応したオペレーターがあなたにあった化粧品を親身になって提案してくれたらどうでしょうか?一度試してみたくなりますよね?
このように、コールセンター研修でお客様目線になって考える訓練を積むことで、お客様への提案にも幅が出てきますし、その結果が売上の向上につながります。
研修のカリキュラム例
研修カリキュラムの例をご紹介します。今回は新人オペレーター向けに実施される研修をもとに見ていきましょう。
1日目 | 午前 | 会社概要(所属部署が具体的にどのような業務を行っているのか理解する) |
午後 | ・話し方や抑揚、言葉づかいについて学ぶ ・傾聴スキル向上のための座学やグループワークを実施 | |
2日目 | 午前 | ・業務研修(取り扱う商品やサービスについて学ぶ) |
午後 | ・利用するシステムの説明(実務で利用するシステムについて座学) | |
3日目 | 午前 | ・業務研修(昨日までの復習と簡単なQAを実施) ・システムを実際に使用した顧客検索方法などを学ぶ |
午後 | ・ロールプレイング(スクリプトを見ながら受講者同士でグループワークを行う) | |
4日目 | 午前 | ・ロールプレイング(昨日の続きと研修担当者からのフィードバックあり) ※システムで顧客情報を閲覧しながら実施 |
午後 | ・リアルタイムモニタリング(現場のオペレーターとお客様とのやりとりを聴く) | |
5日目 | 午前 | ・ロールプレイング(昨日のモニタリングをもとにスクリプト外の質問がきた際の対応を理解する) |
午後 | ・モニタリング(システムで顧客検索を平行して実施しながら行う) | |
6日目 | 午前 | ・ロールプレイング(システムを活用しながら適切な回答ができるか確認する) ※研修担当者からのフィードバックもあり |
午後 | ・OJT(現場の先輩オペレーターが横について実際にお客様対応を行う) | |
7日目 | 午前 | ・OJT(昨日に引き続き、顧客対応を行う) |
午後 | ・デビュー判定(OJTを終了するか継続するかの判断をする) |
新人研修を1週間で行う際のスケジュールを例としてご紹介しました。
テクニカル窓口など専門性の高い部署はさらに時間を費やす場合もあります。