業界が抱える課題
ホテル業界は、現代において以下のような課題を抱えています。・新型コロナウイルス感染症の懸念による打撃
・慢性的な人手不足
・外国人観光客に対する満足度の向上
まずホテル業界は新型コロナウイルス感染症によって大きな打撃を受けました。まだこのダメージから立ち直れていない企業が多々あります。この状況下でもホテルを経営していくには、利用者を集め、サービスやホスピタリティを高め、なおかつ運営コストはおさえていく必要があります。
人手不足も重要な問題です。ホテル業界ではとにかく社員の定着がしづらく、いかにして長期間働ける環境を作れるかがポイントとなります。
そして外国人観光客に対する満足度の向上も重要です。海外からの顧客に対して、その国々の文化にあったサービスを提供できるかが、ひとつのポイントになります。
研修の目的
ホテル業界研修向け研修の目的は、大きく分けて5つ挙げられます。● 自社全体のサービスやホスピタリティを、研修を通じてレベルアップさせる
● 社員にホテル業・接客業の喜びを感じさせる
● 外国人観光客に対する接客やサービスを向上させる
● 教育を効率化し、運営コストをおさえる
● 新入社員、フロントなど、ピンポイントに教育を実施する
上記を通じ、最終的にホテルや旅館自体が、多くの顧客から選ばれるようになることを目指します。
いずれもが、ホテル業界において重要なポイントです。これを独力で達成できる体力がある企業はほとんどありません。だからこそホテル業界向けの研修が広く求められるようになったと言えます。
研修のカリキュラム一例
ホテル向け研修はさまざま存在しますが、「何がレクチャーされるのかわからない」という担当者・経営者も多いでしょう。もちろん、指導内容は企画や研修会社ごとで異なるもの。
ただし一般的なホテル向け研修のカリキュラムとして、以下のような例は挙げられるでしょう。あくまでも平均的なサンプルですが、ご参考ください。
<対象者>
現場スタッフ、マネジメント担当者、新入社員
<目標とする到達点>
ホスピタリティや”おもてなし”など、ホテル業界で必要となるマインドを知る
一般的なマナーや言葉遣いをマスターする
ニーズを理解し、より適切なサービスを提供できるようになる
必要な立ち振る舞いを覚える
外国人観光客に対するホスピタリティの重要性を身につける
学習テーマ | 内容 |
ホテル業界を取り巻く現状について |
ホテル業界の現状理解 サービスや接遇を向上させるべき理由 ホテルマンや接客担当者としての本来の役割 |
基本的なマナーと心構えについて | 顧客の立場になること ホテルマンとしての身だしなみ 基本的な言葉遣いとあいさつ 接客における基本的な用語 プロフェッショナルとしての表情の作り方 |
ケーススタディ | チェックイン・チェックアウト時の対応 クレームが入った時の対応 |
ホスピタリティの基本学習と実践 | ホスピタリティの基本的な理解 顧客体験の追跡によるニーズの理解 接客・接遇に付加価値を付与する 適切な言葉選びと豊かな表現力 |
海外顧客への対応 | 外国人観光客の現状 基本的な英語対応とフレージング 外国人観光客のニーズを聞き取る 異文化理解 |
接客コミュニケーション実習 |
ホテルマンとして望ましい立ち振る舞い・動作 より発展的な立ち振る舞い 接客・接遇のシミュレーション |
上記が一般的なホテル向け研修の内容です。
研修のラインナップ
ホテル向けの研修について、ラインナップを紹介します。上記はホテル業界向け研修において権威が高いとされる研修・セミナーです。多くの場合上記いずれかが、自社にとって有効な施策となるでしょう。それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
サービス業の現場リーダーの為の現場マネジメント力向上研修|「ザ・ホスピタリティチーム株式会社」
ザ・ホスピタリティチーム株式会社では、現場をまとめるリーダー向けにマネジメントスキルに注目したカリキュラムを提供しています。ホテルや旅館では、接客する当人の意識はもちろん、マネージャー格がどれだけ指導してモチベーションを持たせられるかが重要です。本カリキュラムでは以下の学習を通じて、無理なく高度なマネジメントができるレベルを目指します。
・ホテル、旅館業を取り巻く現状理解
・ホスピタリティの重要性とサービス潮流
・ホスピタリティを体現する具体的なステップ
・スタッフの業務理解
・部下のモチベーションとロイヤリティについて
・目標を達成するためのPDCAサイクル周回
ホテル・旅館業の現状とホスピタリティを理解し、それを周知するまでのステップについて学習できます。マネージャー格には必要な要素ばかりであり、受講者から高い支持を受けています。実際、これまで一部上場企業を中心にカリキュラムを展開し、売り上げを前年度比150%以上に伸ばしたり、離職率を20%以上低下させたり、成果を残しています。
「ザ・ホスピタリティチーム株式会社」は、接客・接遇を軸として研修を開催する企業です。同社はホスピタリティこそが、これからの時代において最大のポイントになると考え、専門性の高いカリキュラムを続々と打ち出しています。

サービス業の現場リーダーの為の現場マネジメント力向上研修 - ザ・ホスピタリティチーム株式会社
サービス業のマネジメントに重要なのは、如何にスタッフがこの仕事にやりがいを持ち、主体性を持ち、高いモチベーションでお客様に良いサービスを提供する環境をつくることです。それが売上、定着率、生産性の最大化に繋がります。この現場リーダーマネジメント向上研修は、プレイングマネージャーとして負担の多い現場リーダーが現場で生かせるマネジメント手法を実践型で学ぶ研修です。
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明日から実践できる接客・接遇力向上ホスピタリティ研修|「ザ・ホスピタリティチーム株式会社」
「ザ・ホスピタリティチーム株式会社」は、マネージャーからスタッフまで、すべての従業員を対象とした総合的なホスピタリティ研修も実施しています。スタンダードかつ充実した内容で、基本中の基本から応用まで学べるのがポイントです。
具体的な研修内容は以下のとおりです。
・ホスピタリティの概要と範囲
・ホスピタリティが求められる背景
・適応型サービス、精神的満足、付加価値のトレンド化
・ホスピタリティの提供に求められるマインド
・必要なホスピタリティとポイントの絞り込み
・顧客体験の振り返りによる接客ポイントと付加価値サービスの発見
・接客における表現力・傾聴力・会話力
本研修を始め同社のカリキュラムは一部上場企業からも必要とされ、円滑な新人教育や経営状況の改善など、さまざまな成果を上げてきました。特に新人教育では、初年度の離職をゼロ人にするなど、圧倒的な成果が出ています。
ホスピタリティが求められる中で、接客マニュアルやマナーへの理解は当然ながら必要です。さらに競争が激しくなりつつあるホテル・旅館業では、それ以上の付加価値や精神的満足など、従来ではなかったものを提供する必要があります。
本研修はそれら包括的に学び、ホスピタリティを高度かつ安定して提供できる状況を目指すものです。

明日から実践できる接客・接遇力向上ホスピタリティ研修 - ザ・ホスピタリティチーム株式会社
本研修ではホスピタリティを深く理解し、ホスピタリティを接客・接遇に生かす具体的な方法を、一方的な講義ではなく、ロールプレイングやワークショップを通じて気づきを得ながら楽しく学びます。
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顧客感動を引き出す!ホスピタリティ顧客対応研修「株式会社ノビテク」
株式会社ノビテクが提供する研修では、ホスピタリティあふれるコミュニケーションと最高級のマナーを以下のようなカリキュラムで学べます。新入社員や若手社員はもちろん、お客様と接するすべての社員が知っておきたい内容です。・ホスピタリティ、マナーとは
・ホスピタリティの5つの基本スキル
・感じのよいマナーから最高級のマナーへ
・実際の業務内容に合ったマナートレーニング
・お客様とのコミュニケーションのコツ(きき方・話し方)
・クレーム対応の基本と事例研究
・現場での実践に活かすための行動宣言
「顧客満足を超えた、顧客感動を与える」ことを目的として、現場ですぐに使えるポイントを絞った内容です。1日の研修で、社員のホスピタリティ顧客対応力を実践レベルにまで引き上げます。
株式会社ノビテクは、日々みずからの成長を感じ、仕事を通じて達成感を得る社員の育成に取り組んでいます。すべての行動の源である「やる気」に着目し、研修の受講者へ実践的なノウハウを伝えることで行動不安を取り除いて、「私にもできる」と前向きに進む原動力を引き出します。
初級・中級管理者向けホテルオペレーションプログラム「一般財団法人日本ホテル教育センター」
一般財団法人日本ホテル教育センターのホテルオペレーションプログラムは、ホテルの初級・中級管理者を対象とした研修です。部門マネージャーや管理スタッフ、新任の管理職、企画スタッフなどが対象です。研修では、計数管理を基本とした部門別管理の実践トレーニングを行い、職場で活かせるように実践的な知識を身につけます。損益分岐点やメニュー分析などのツールを使えるようになり、受講者の宿泊・料飲・宴会の各部門の運営スキルを高めます。
一般財団法人日本ホテル教育センターは、ホテルや旅館を中心とするホスピタリティ産業の人材育成を目指す組織です。教育研修分野では、ホテルオペレーションプログラムのほか、ホテルマネジメントシミュレーションや受入れ研修など、スタッフや社員の階層ごとに必要なスキルを学べる研修があります。(参照:一般財団法人日本ホテル教育センター)
顧客満足を高めるホスピタリティマインド研修「ホスピタリティマネジメント株式会社」
ホスピタリティマネジメント株式会社のホスピタリティマインド研修は、1回4~6時間程度で、経営者やマネジメント層を含むすべてのスタッフにおすすめの研修です。これまでに受講した実績のある業種は、ホテル、旅館、結婚し企業、ジュエリーショップ、医療施設、料飲施設、ガソリンスタンド、ゴルフ場です。研修では、ホスピタリティの本質や、お客様の喜びが従業員の喜びであることなどを学ぶことができます。職場全体でホスピタリティについて学ぶことで、お客様満足度を高める施策に取り組めるようになります。
ホスピタリティマネジメント株式会社は、抽象論や正論よりも、具体論や現実論を大切にし、地に足のついた考え方でホスピタリティ研修を行っています。現場で活かせる手法や考え方を学べる、実践的な研修が特徴です。(参照:ホスピタリティマネジメント株式会社)
動画で学べる接客研修eラーニング(オンライン学習動画)講座「株式会社リョケン」
株式会社リョケンは、eラーニングで受講できる接客研修を開催しています。旅館におけるプロの接客を、インターネットに接続できれば、いつでもどこでも動画で学ぶことができます。PC・タブレット・スマートフォンを使って個人で学習することもできますし、会議室のスクリーンに映して集合研修として活用することもできます。株式会社リョケンは、旅館・ホテルの発展のため、経営や運営の改善を幅広くサポートしている企業です。講演やワークショップだけでなっく、設備投資や商品づくり、経営改善支援、診断や調査など、多彩なサービスを提供しています。(参照:株式会社リョケン)
ネイティブ講師がレッスンを提供するホテル業界向け英語研修「シェーン英会話」
シェーン英会話では、ホテル業界向けの英語研修を主催しています。ホテル業界においてよくあるシチュエーションに合わせて制作されたカリキュラムを基に、ネイティブ講師がレッスンを提供します。ホテル業界ならではの専門的な表現などを学べるので、現場で使える英語力を高めることができます。特に、外国人のお客様を接客することに苦手意識や恥ずかしさを感じている方や、ホテルや電話で外国のお客様の応対をするときに使える表現を学びたい方におすすめです。
シェーン英会話は1977年から日本で英語教育を行っている英会話スクールです。全国に188校あり、創業以来、ネイティブ講師が英語を英語で教える直接教授法を採用しています。(参照:シェーン英会話)
ホテル・旅行業界特有の課題をクリアするための研修|「キャプラン株式会社」
キャプラン株式会社は近年のホテル・旅行業界における問題をクリアするためにデザインされた研修を提供しています。現状の問題といえば、やはり優秀な接遇スタッフと外国人観光客への対応。ここに重きを置いたカリキュラムにより課題をクリアし、より安定したサービスの提供と企業成長へと繋げていきます。
キャプラン株式会社では以下のような研修パッケージを提供しています。
新人でも”おもてなし”を実践的に学べる「接客・マナー研修」
マンツーマンの指導により、徹底してスキルを磨く「接客力・現場実践トレーニング」
外国人観光客をより深く知り、接遇につなげる「異文化理解研修」
キャプラン株式会社は主に宿泊ビジネスに関するソリューションや研修を提供している企業です。官公庁や自治体からの依頼も多数受けた経験があり、たいへん頼りになる存在だと言えます。(参照:キャプラン株式会社)
ニーズを掴んで感動を提供する|「株式会社トゥルース」
「株式会社トゥルース」は「接客・接遇マナー研修」にて、高品質なカリキュラムを提供。接客や接遇のマインドや具体的なスキルを、ロールプレイング形式で学ぶことが可能です。
そしてニーズを正確に掴み、顧客の感動を創出するというのが目的になります。具体的なカリキュラムは以下のとおりです。
・顧客満足度と接遇について
・接客、接遇に対する心構え
・基本的なマナーの実践トレーニング
・業績向上を目的とした話し方
・各種ケーススタディ
「株式会社トゥルース」は、ビジネス関係の研修やセミナーを中心に提供する企業です。これまで官公庁や自治体含む5,000件以上の案件を経験しており、実績も十分です。(参照:株式会社トゥルース)
顧客への思いやりをもう一度学び直せる研修|「特定非営利活動法人 日本サービスマナー協会」
「日本サービスマナー協会」の「接遇マナー研修」を実施しています。同協会は「接客・接遇は思いやりから始まる」と語り、そのうえでホスピタリティを作り出すことを目的としています。研修を受けることにより、より顧客の立場に立った振る舞いができるようになります。具体的なカリキュラム内容は以下のとおりです。
・第一印象のチェック
・接客・接遇の基本的なマナー
・コミュニケーションの取り方
・CSを表現するテクニック
・顧客に対するマインドの持ち方
「特定非営利活動法人 日本サービスマナー協会」は全国で研修を提供し、出版物も多数監修する企業。各種メディアでも取り上げられるほどの影響力を持っています。(参照:特定非営利活動法人 日本サービスマナー協会)
研修がもたらす効果
ホテル向け研修がもたらす効果としては、以下3つが挙げられます。● サービスやホスピタリティ・接客技術が向上する
● 他社との差別化を図り、今後激化する競争を勝ち抜くための素地ができる
● 教育にかかるコストをおさえて効率的に学習できる
いずれもホテル経営において重要なポイントです。これらは最終的にはホテル・旅館の経営が発展・安定するところへとつながります。
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
サービスやホスピタリティ・接客技術が向上する
研修により、当然ながらサービスやホスピタリティ、接客技術は向上するでしょう。多くの研修では接客における心構えから具体的な技術まで、徹底してレクチャーされます。現場のスタッフには接遇スキルは、マネージャーにはそれを管轄する能力を磨くチャンスが与えられるでしょう。ホテルマンとして成長する場所としては、うってつけの機械です。
さらにホテル業界の現状を踏まえて、将来的に必要となるサービスやホスピタリティを身につけることも可能です。
他社との差別化を図り、今後激化する競争を勝ち抜くための素地ができる
研修により他者との差別化が図られ、今後激化する競争勝ち抜くための素地が出来上がります。コロナ禍で打撃があったとはいえ、日本は「3度目のホテルブーム」を迎えている時代です。円安や国際的イベントの影響で外国人観光客が増え、予約システムの先鋭化で旅行へのハードルも下がりました。
チャンスが拡大する中で、高品質のホスピタリティやサービスを提供することは重要です。新しい顧客の心を掴めるかどうか、ひとつのポイントになります。
もちろんそこには他社との競争があり、いかにしてホスピタリティやサービスを高めて差別化するかが重要です。そのうえでホテル向け研修を受ければ、今後の競争を勝ち抜くためのヒントがえられます。
教育にかかるコストをおさえて効率的に学習できる
ホテル向け研修なら、教育にかかるコストをおさえて、効率的に学ぶことが可能です。社員を一斉に参加させられるうえ、洗練されたカリキュラムで学習できます。また社員たちのモチベーションも高くなりやすく、かなり効率的な教育手段だと言えるでしょう。
5ツ星ホテルスタッフ経験者が受講した研修内容

実際に5ツ星ホテルに勤務していた筆者が、在籍中に受講した研修についてレポートします。
正確な言葉遣いを学ぶ
日本語は世界でも特に難しい言語だと言われています。普通会話に加えて、丁寧語、尊敬語、謙譲語があるからです。そのような国は世界でも非常に珍しく、また残念ながら全てを完璧に使いこなせる日本人はごく稀です。
普段から意識して勉強をしているホテルスタッフでさえも、実際にプロの講師から正確な言葉遣いを学ぶと、いかに自分が勘違いした言葉を使用していたのかを自覚させられ、一皮剥ける感覚を味わうことができます。
例えば、「こちらの方~」などのいわゆる方角を指す「方言葉」です。
方言葉は別名、詐欺言葉と言われ、特に一流の接遇が求められるサービス業界に属している人は使用してはならないと教えられます。
また、ついつい語彙の間に何気なく使っていた「えー、」などの不用な音を無自覚に発言する癖など、慣れ親しみ染み付いた口癖の感覚を矯正するまでは、何ともむず痒い思いをしました。
講習では東京と大阪など、地方によっても言葉遣いの微妙な意味合いや、使い方が異なる場合があり、方言1つで相手が不愉快になる言葉なども豆知識として教わります。
VIPなどの社会的地位の高い人々や、高齢者はこうした言葉遣いをきちんと理解している場合が多い実情もあります。
そのため、お客様との信頼関係の構築には正確な言葉遣いが基本中の基本なのです。
この研修は接客業に関わらず、全ての社会人が行う必要性が高いと言えます。
上座、下座について学ぶ
レストランなどの席、車の中、エレベーターの中など、あらゆる場所において上座、下座というポジションが存在します。特に目上の人や、取引先の人には礼を失する事の無いように、それぞれの位置を明確に理解することが大切です。
この上座下座は世界共通ルールではなく、代表的な各国のポジショニングも合わせて覚えておく必要があります。
ホテル研修では、徹底してこれらの上座、下座について学びます。どんなシチュエーションでも自信を持ってお客様をご案内、フォローできるスキルはお客様からの信頼を得ることができます。
顧客対応時はもちろん、社内でもさまざまなシーンで必要なマナーですから、一般企業においてもこの知識は重要です。
テーブルマナーを学ぶ
ホテルでは特に料飲部、宴会部で実際にお客様にテーブルマナーを尋ねられる場面があります。お客様が安心してお食事を楽しめるように、フォローできる知識を持ち合わせておく必要があるのです。また、一般企業でも接待などで、お客様と共に食事をする機会もあるでしょう。食べ方でその人の”人となりが分かる”とさえ言われるのがテーブルマナーです。日本は特に和洋両方のマナーを覚える必要があります。
テーブルマナーも全てが世界共通ではないので、プロの講師の解説で、海外でのマナー違反の知識を深めることができます。
フォークとナイフの洗練された使い方、箸で綺麗に魚を食べる方法など、実際に体験しながら身に着けることは、自分自身のプライベートにおいても非常に大切で意味のある研修となります。
姿勢や立ち振る舞いを学ぶ
ホテルでは、必ず背筋を伸ばしたまま腰から折り曲げていく、美しいお辞儀の挨拶を行います。航空業界やデパートなどでも同様なお辞儀の接遇をしますが、プロの講師からは更にお辞儀の角度の意味やフォームの修正を学びます。お辞儀の他にも美しい飲み物の出し方、ペンの渡し方などを徹底して指導されます。
例えば企業においても美しい姿勢での挨拶は勿論、謝罪の場面では完璧なお辞儀姿勢を行う事で、謝意の気持ちが相手に伝わり易く、先方の気持ちが和らぐ効果があるので、是非カリキュラムに取り入れてほしいメニューの1つです。
伝達の研修
マナー研修の合間に気分転換を兼ねて行ったのが、伝達の研修です。10人程が長い文章をどれだけ正確に連絡し、伝え合う事が出来るかの伝達リレーをしました。意外と伝わらないのだな、という感覚や、何に気を付ければ上手く伝わるのかなどを工夫して行いました。
この研修メニューでは、どのように報告をすれば効率的に人に伝わるのか、気分を害さず伝えられるのかを学びました。伝え方は、お客様への対応はもちろん、上司と部下の信頼関係の構築や職場の人間関係にも影響してくるスキルですね。
5ツ星ホテルスタッフ経験者が海外で受講した研修

筆者が日本のホテル業界を離れて、オーストラリアに留学した学校で受講した研修をご紹介します。
FIRST AID研修
筆者が留学したオーストラリアの学校では、必須授業に「ファーストエイド」の入門取得研修がありました。オーストラリアでは医療関係は勿論、多くの人が集まるホテル、デパートなどの接客業や、マッサージ関係、スポーツ関係の施設の従事者、一般企業の責任者はファーストエイドの講習を受ける必要があります。
各消防署で行われる講習はかなり本格的な内容で実施されていました。AEDの使用方法、人工呼吸法など日本では運転免許取得の際に必要となりますが、更に
- 乳幼児の人工呼吸方法
- 骨折した人の接ぎ木の利用方法
- 肺が片方潰れた人の身体のポジショニングの方法
- 非常事態が発生した際の正しい退避行動
- 自然の中で毒虫に刺された場合の処置の知識
など、初級講座でもハイレベルな方法の内容の授業が行われます。
直接マナー研修とは関係がない様に思われますが、自分の身とお客様や他人の身を最低限救急隊が来るまで守るという、奉仕の心を養う事が出来る研修が、日本社会でも広く行われたら良いなと思います。
ディスカッション研修
海外ではにディスカッション研修が盛んに取り入れられています。筆者が受けたものは、8人程のグループで紙を渡されて、立体タワーを出来るだけ高く作る方法を考える指令が出たり、民間の裁判員制度について各班でメリットデメリットを発表する等の内容でした。
メンバー全員が対等に相談しながら真剣に討論し、制限時間がそれぞれ15分と区切られた中で、より優秀な班にはポイントが加算されて評価されました。
これもマナー研修と直接関係が無いように見えますが、設定を「社員対お客様」や「ご主人様対メイド」にして、正しい敬語や丁寧な立ち振る舞いが行えているかを、実践トレーニングとして応用し他人とのコミュニケーション対応能力が養えたりなど、マナーの総復習に最適でおすすめです。
ジェスチャーの研修
これは実際に研修として行った訳ではなく、多民族国家のオーストラリアで各国の友人から教わり、是非メニューに取り入れるべき内容だと痛感した研修です。ハンドジェスチャーや身振り手振りで、全然意味が違うケースが世界には沢山あります。これは間違いを犯すと、時として命に関わるトラブルに巻き込まれる場合もあります。
代表的なものだけでも良いので、グローバル化が進む日本において、海外出張先や訪日外国人と意図せぬトラブルにならないように研修メニューの1つにカスタマイズで入れ込んでもらうと良いです。
ホテル業界向けの研修はホスピタリティの体得に有効です。ホスピタリティを習得する事は、さまざまな相手の立場を思いやり、おもてなしの心を身に着け、さまざまなハラスメントの解消にも繋がります。
研修についてよくある質問QandA
本記事ではホテル向け研修の内容やカリキュラムについて解説しました。最後によくある質問をQandAの形式で解説します。研修はオンラインで受講できますか
結論から言うとホテル向け研修はオンラインでも受講できるケースがあります。特にコロナ禍の中では、感染リスクを避けるうえで一つの選択肢です。しかしホテル向け研修は知識ではなく、最終的には技術を学ぶものです。そのためにシミュレーションやディスカッションが用意されています。しかしオンラインではこれらの精度が落ちるので、学習効果はやや落ちるかもしれません。
その点を踏まえたうえで、オンラインか実地型か検討しましょう。あるいは技術はもとより知識の習得を目的として割り切る方法もあります。
有名な講師に指導して欲しいときはどうすればよいですか
有名な講師に指導してほしい場合は、同様に有名な研修会社を中心に探すのがよいです。なぜなら、有名な講師であればあるほど、著名な研修カリキュラムを担当しているケースが多いからです。たとえば本記事で紹介したザ・ホスピタリティチーム株式会社は、ホテルや旅館向けの研修やセミナーで大きな影響力を持っています。お繋ぎしますので、ぜひ当サイトへご相談ください。
研修にはどの程度の費用がかかりますか
ホテル向け研修には一人あたり15,000円から25,000円の費用がかかると考えておきましょう。たとえば30人の研修であれば、おおむね60万円が予算として見込まれます。ただしカリキュラムを追加したり、経営層向けにターゲットを限定したりすると、費用が上乗せされることもあります。
もちろん研修内容が充実していて自社にフィットすることは大切ですが、予算との兼ね合いもよく考えておきましょう。