アサーティブ・コミュニケーションとは
アサーティブの語源はAssertivenessで、相手に配慮した自己主張という意味です。この考えは、アメリカの人権擁護運動が土台となっており、1960年代以降に発展していきました。
現在ではビジネスの世界でも、相手を尊重するコミュニケーションスキルとして注目を浴びています。
世界を見ても、日本人は自己主張をしない(できない)とされています。
ゴリ押しのような自己主張は対立の原因になりますが、最低限の自分の権利や主張は伝えるべきです。
アサーティブ・コミュニケーションは、伝え方や話し方を覚えるだけで、誰にでもトレーニングをするとできるようになるコミュニケーション方法です。
研修の対象者
アサーティブコミュニケーションがおすすめなのは、以下のような経験がある方です。●上司から無茶な指示を受けても本音を言えず、我慢してしまう
●部下に気を使いすぎ、指示がきちんと通らない
●普通に会話しているつもりだったのに、相手を怒らせてしまった
●異動や転職で職場が変わったら、人間関係がギクシャクし始めた
研修は、コミュニケーションにおいてこのような課題を感じている方におすすめです。もちろん、今のところ職場におけるコミュニケーションに問題は感じていないけど、より良いコミュニケーション方法を学びたいという方にもおすすめです。
研修で解決できる悩み
研修では、相手を尊重しながら自分の意見をきちんと伝えるコミュニケーション方法を学びます。よって、研修を導入して社員がアサーティブコミュニケーションを身につけられれば、以下のような悩みを解決できます。●チームの報連相がうまくいかず、プロジェクトのスピード感が低下している
●人間関係がギクシャクしており、雰囲気が良くない
●仲の悪い社員どうしが関わろうとしない。周りも気を使いすぎている
研修のカリキュラムの一例
この章では、アサーティブ・コミュニケーション研修の研修カリキュラムの一例をご紹介します。研修カリキュラム | 具体的な内容 | ゴール |
---|---|---|
アサーションの基礎 | (座学)アサーションとは何か?/自分の正直な感情とは? | アサーションの本質・基礎を理解する |
アサーティブ・コミュニケーション実践編 | (ロールプレイング)傾聴やロールプレイングの実践 | アサーティブ・コミュニケーションの取り方を学ぶ |
アサーティブ・コミュニケーションのスキルアップ | (ロールプレイング・座学)メラビアンの法則・ボディランゲージ | アサーションスキルのレベルアップを目指す |
アサーティブ・コミュニケーション実習 | (ロールプレイング)実践的な場面を想定したコミュニケーショントレーニング | 身につけたアサーティブ・コミュニケーションを実践で使用できるようにする |
研修の振り返り | 1日の学習を振り返る | 知識をしっかりと定着させる |
上記の流れを1日で学びます。
アサーティブ・コミュニケーションのスキルは、新人から管理職者まで幅広い層がターゲットになります。研修プログラムによって対象者が設定されている場合もあるため、レベル間のあった研修プログラムを選びましょう。
研修のラインナップ
意見が違う人とも上手く会話ができる【アサーティブコミュニケーション実践研修】「株式会社モチベーション&コミュニケーション」
株式会社モチベーション&コミュニケーションが主催するアサーティブコミュニケーション実践研修は、意見が違う人をはじめ、どんな人とでもうまく会話ができるようになるための研修です。いつも意見が異なる人がいる、価値観が合わない人がいる、話しかけにくい人がいる、人の話を聞こうとしない人がいる、高圧的で話しかけづらい人がいる、といった職場の悩みを抱えている人におすすめです。
研修では、意見が違う人ともうまく会話ができる「会話力」を学び、身につけます。自分の意見を主張するときに配慮するべきことや、相手の話をきちんと聞きながらも自分の意見を伝える方法などです。自分を主語にして意見を伝えるアイメッセージや、相手を怒らせないDESC法など、すぐに使える実践的な会話力を身につけられます。
株式会社モチベーション&コミュニケーションは、組織のコミュニケーション課題の解決に特化した研修会社です。アサーティブコミュニケーションのみならず、話す力や聴く力、論理的思考、営業スキルなど、現代のビジネスパーソンに必要なコミュニケーションスキルを高められる研修を数多く主催しています。

意見が違う人とも上手く会話ができる【アサーティブコミュニケーション実践研修】 - 株式会社モチベーション&コミュニケーション
思ったことをそのままぶつけるのではなく、かといって自分の意見を押し殺すのでもなく、相手の立場を重んじながら正当な意見を主張するコミュニケーションスキルを学ぶ研修です。このスキルで、職場やプライベートでの快適な人間関係を実現できます。
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自分も相手も大切にするアサーティブコミュニケーション研修「株式会社ノビテク」
株式会社ノビテクのアサーティブコミュニケーション研修は、管理職から若手社員・新入社員まで、幅広い階層のビジネスパーソンを対象とした研修です。接客や販売に携わるスタッフや、営業担当者など、社外のお客様と接する方にもおすすめです。当研修では、自分も相手も大切にするコミュニケーションスキルを身につけることができます。まずはチェックシートを用いて客観的に自分のコミュニケーションタイプを自覚します。そのうえで、他者の価値観やコミュニケーションのスタイルを理解し、どのような配慮をすれば良いのかを学びます。自分と他人のコミュニケーションスタイルの違いを理解することで、自分も相手も大切にできるアサーティブコミュニケーションの方法を身に着けていきます。
株式会社ノビテクは、受講者が基本的なやり方を学ぶだけでなく、そこからうまくやり遂げられる方法を自ら考えられるように導く研修を行う研修会社です。ビジネスシミュレーションやワークなど実践的な内容を多く導入し、受講者が眠くならず、記憶に定着しやすい研修プログラムを提供しています。

自分も相手も大切にするアサーティブコミュニケーション研修 - 株式会社ノビテク
他者の価値観や スタイルを理解し、相手のことを配慮すると同時に自分も相手も大切にする「アサーティブ」なコミュニケーションの取り方を学ぶ研修です。
研修プランを表示
職場のコミュニケーションの基礎を学ぶアサーティブ・コミュニケーション基礎研修「日本生産性本部」
日本生産性本部のアサーティブコミュニケーション研修は、若手社員、中堅社員、職場のリーダーを対象とした研修です。他者を尊重しながら自分の主張を伝えるための、アサーティブスキルを身につけることができます。アサーティブ行動の理解や自己分析を行い、受身的行動や攻撃的行動の修正を行います。ロールプレイングを活用した実践的な内容で、受講者はアサーティブコミュニケーションを深く理解することができます。日本生産性本部は、1955年に「生産性向上対策について」の閣議決定に基づき、政府と連携する民間団体として設立されました。現在では人材育成研修や経営コンサルティングなどを通し、産業の生産性を向上させるための取り組みを行っています。

日本生産性本部
ビジネス・パーソンの職種を広く網羅
経営者層から若手まで役割・役職に応じた人材育成、能力開発のための体系的な階層別研修のほか、テーマ別研修・セミナーでは人事労務関連、経営全般、ビジネススキルなど分野別に多彩なセミナーをご紹介します。
相手も自分も大切にし、状況に応じて自分を適切に表現するための方法を修得するアサーティブ・コミュニケーション「日経ビジネススクール」
日経ビジネススクールのアサーティブコミュニケーション研修は、自分も相手も大切にする自己表現(アサーティブコミュニケーション)のスキルを学習できる研修です。顧客の要望に応えられないときや、顧客が顔をしかめるかもしれない自己主張をしなければならないときなど、ビジネスシーンにおける言いにくいことを、上手に伝える方法を身につけられます。
当研修はeラーニングで、録画された研修動画を受講者が視聴して学びます。仕事の合間など好きな時間に受講できるので、忙しい社員でも受講しやすいです。
日経ビジネススクールは、日経グループが主催するビジネススクールで、人材育成研修のみならず、MBAや経営・マネジメントの講座や、ビジネス英語や語学の講座など、多彩なテーマを取り扱っています。
最適な“自己主張”で、Win-Winの人間関係を築くアサーティブコミュニケーション習得セミナー「日本能率協会(JMA)」
日本能率協会が主催するJMAマネジメントスクールのアサーティブコミュニケーション研修は、適切な自己主張の仕方を学べる研修です。自分の言いたいことを相手にきちんと伝え、物事を前に進められるようになることが、研修の目的です。研修では、アサーティブコミュニケーションとは何かを学び、受講者自身が自分のコミュニケーションスタイルを理解するところから始めます。2日間にわたるプログラムで、しっかりとアサーティブコミュニケーションを身につけることができます。日本能率協会は、マネジメントに関する調査や研究、人材育成や指導などを行う協会です。人材育成の領域では、コミュニケーション研修だけでなく、ビジネススキルアップに関する研修や、マーケティング、営業、ITなど、さまざまな研修プログラムを提供しています。

日本能率協会(JMA)
日本の経営革新、世界と社会と共に。
先進的テーマから実務課題に基づくものまで、階層別・課題別でまとめ、分野も幅広く取り揃え、バラエティーに富んだ人材育成・教育支援を行っています。
リーダーのためのアサーティブ・コミュニケーション ~対人関係を良好にする伝え方~「リクルートマネジメントスクール」
リクルートマネジメントスクールのアサーティブコミュニケーション研修は、3時間という比較的短い時間でアサーティブコミュニケーションを学べる研修です。上司や部下に遠慮しすぎて本音を伝えられない方の悩みを解決し、率直に依頼する方法や、関係を壊さずに「ノー」を表明する方法などを学べます。オンラインで受講できるので、遠隔地の社員にもおすすめです。リクルートマネジメントスクールは、1970年から実施されてきた公開型研修サービスを拡充し、2008年に開校されたサービスです。階層別研修や3時間から受講できるビジネススキル研修など、企業のニーズに合った研修を数多く主催しています。チケット制サービスがあるので、企業がチケットを購入し、社員に受講したい研修を選択してもらう、といった活用もできます。

リクルートマネジメントスクール
実効性の高いマネジメントソリューションの提供により個と組織の健全な発展に貢献する
人材育成、人事制度、組織開発から営業力強化まで、「アセスメント」「トレーニング」「コンサルティング」「カウンセリング・コーチング」などの手法を用いて人事課題を解決に導く研修を紹介します。
研修の効果

ひとりひとりがアサーティブ・コミュニケーションスのキルを習得することで、組織全体として大きなメリットがあります。
職場内のコミュニケーションが活発になる
お互いの意見をすり合わせることが前提にありますので、自分の意見を伝え、相手の意見も聞くようになり、相互理解が深まります。相手が何を考えているかわからない、こちらの意図が伝わらないというコミュニケーションギャップを避けることができますので、業務もスムーズに進みます。
自信が持てるようになる
自己表現ができるようになり、要望が取り入れられると、意見を言っても良い、気持ちを理解してもらえていると感じることができ、自分に自信が持てるようになります。自信が出てくると自然と仕事へのモチベーションも上がり、業績アップにもつながります。
ストレスが減る
先にも述べましたが、人間関係やコミュニケーションの悩みは尽きません。人間関係が良くなり、自分に自信が持てるようになると、仕事に関するストレスがひとつ減ります。アサーティブのやり方を学び実践することは、働く人にとって大きなメリットになります。
効果を高める4つの基本柱

アサーティブ・コミュニケーションには、効果を高める4つの基本柱があります。
これらを理解することで、自分の要望も相手の意見も考慮することが可能になります。
誠実
自分に対しても、相手に対しても誠実であることが大切です。自分の感情を隠す必要も、相手に我慢を強いることもあってはなりません。どちらかの意見だけに従うのではなく、お互いの意見や価値観を擦り合わせていきます。
対等
上司と部下、同僚同士、営業マンと顧客、どのような関係でも対等でなければなりません。職場では、年齢や役職などにより上下関係ができており最初は慣れないかもしれませんが、話し合いをする時は『ひとりの人間として接すること』が大事です。
率直
自分の意見を伝えるときに、遠回しな表現ではなく、率直な思いを言葉で具体的に伝えることが必要です。「他の人も言っている」「みんながそう思っている」など、第三者を持ち出さずに、自分の意見として正直に伝えることで、効果的な話し合いができます。相手が上司や先輩だとしても遠慮は無用です。
自己責任
アサーティブ・コミュニケーションを使ったからといって、100%思い通りの結果になるとは限りません。どのような評価を受けることになっても、冷静に受け止める必要があります。伝えたいことが伝わらなくても、相手に責任はありません。誰かを責めることは必要ないのです。
3つのコミュニケーションパターンと会話例

自己主張をする時、3つのコミュニケーションパターンが存在します。
言い方ひとつで、伝えている人や内容の印象が変わりますし、受け取る側の心の状態にも影響が出てきます。
アグレッシブ
攻撃的な自己主張タイプです。特徴
・自分の意見を大切にし、他人の意見を聞こうとしない・相手より優位に立とうとするマウンティングの傾向がある
・自分の要求が通らないと過剰に反応する
会話例
A氏「来月の会議の仕切りを頼みたいんだけど」B氏「えっ?私ですか?無理です」
A氏「やってくれる人がないくて困っているんだよ」
B氏「何度言われても無理です!」
自分の意見を無理にでも通そうとして、時には非理論的とも取れる主張をしてくることがあります。
上司がこのタイプの場合は、パワハラと捉えられてしまいます。
ノンアサーティブ
主張ができず周りに振り回されるタイプです。特徴
・相手の言動を優先して行動する・自分の意見を表現できない
・ストレスを溜めやすい
会話例
A氏「来月の会議の仕切りを頼みたいんだけど」B氏「えっ?私ですか?(心の声:そんなの無理だよ、仕切りは苦手だし)」
A氏「やってくれる人がないくて困っているんだよ」
B氏「そうなんですね。わかりました(心の声:あぁ、言っちゃった・・・)」
頼まれごとをされても嫌と言えず我慢し、ひとりで抱え込んでしまうことが多くあります。
部下がこのタイプの場合、上司にとって都合の良い部下という印象になってしまいます。
アサーティブ
柔らかく自分の意思を表明できるタイプです。特徴
・自分の意見も相手の意見も尊重できる・双方が納得できる答えを出そうとする
・意見が違うのが当たり前と考えることができる
会話例
A氏「来月の会議の仕切りを頼みたいんだけど」B氏「えっ?私ですか?仕切りは苦手なので、どなたかもう一人担当者がいてくれるとできそうなのですが」
A氏「そうか。じゃあもう一人誰かにお願いしてみるよ」
B氏「はい、よろしくお願いします。」
自分の意見を通すか、相手の意見を通すかという観点ではなく、どちらの意見も取り入れた答えを導こうとします。
どのような相手にも理論的で適切な対応ができます。
職場全体で実践し快適な職場を作る
アサーティブ・コミュニケーションは理論を知っただけ、一部の社員だけができても意味がありません。職場全体で実践し、活用し続けることで良い効果を生みます。個々で勉強するのではなく、研修をおこないロールプレイングを通して練習を繰り返すことで、理解しやすくなります。
研修の企画会社では様々な内容を企画していますので、ぜひプロの力を借りてアサーティブを組織に根付かせてください。
研修についてよくある質問
アサーティブコミュニケーション研修の導入を考えている企業から、多く寄せられる質問について回答していきます。詳細は研修会社によって異なるので、問い合わせ時に確認しましょう。オンラインでの受講は可能か
多くの場合、オンラインでの受講が可能です。研修会社によって、会場受講とオンライン受講を選べる場合と、オンライン受講のみの場合がありますので、ニーズに合った研修を選びましょう。オンラインの場合、ライブ配信とeラーニングという2つの形式があります。ライブ配信の場合、講義が生中継されるので、リアルタイムで講師に質問することができます。また受講者同士でワークやディスカッションができる機能を活用して、会場受講と大差ないカリキュラムを受講することが可能です。
eラーニングでは録画された動画を視聴して受講者が学ぶので、受講者が好きなときに受講できるメリットがあります。
対象者はどんな社員なのか
アサーティブコミュニケーション研修は全階層に向けた研修なので、新入社員や若手社員から管理職・経営層まで、あらゆる階層の方におすすめです。また、職種を問わず受講できます。接客や営業に携わるスタッフのみならず、事務スタッフなど内勤の方にもおすすめです。アサーティブコミュニケーションは、相手を尊重しながら自分の意見を伝えるコミュニケーションのことです。社内の立場や職種に関係なく、こうしたコミュニケーション方法を身につけることで、組織がうまく機能したり、顧客と良好な関係を築けたりします。
自社に合わせたカスタマイズは可能か
可能です。受講者の悩みを踏まえた内容にカスタマイズしたり、導入企業や業界でよくあるコミュニケーションの問題を扱った内容に変更したりできます。研修会社への申し込みの際に、カスタマイズの要望について伝えましょう。受講者の悩みに合った研修にするためには、事前に受講者にアンケートを取るなどの工夫をすると良いです。事前準備は研修会社がサポートしてくれますので、お気軽にお問い合わせください。