クレーム対応は誰しも「喜んでやりたい!」という業務ではありませんし、あまり続くと仕事をする気持ちも落ちてしまいます。
また、対応を間違うと大きなトラブルに発展することがあり、大変神経を使います。
クレーム対応は、クレームをする人の心理や対応のポイントを知ることで、スムーズに行えるようになります。
速やかに対応するためにクレーム対応研修で知識を深めていきましょう。
研修の目的
クレーム対応研修の第一の目的は、受講者が適切なクレーム対応ができるようになることです。言葉遣いや謝罪の仕方のみならず、顧客の話を聴く力を鍛えることで、顧客の問題を解決するところまで指導します。次に、悪質なクレームやハードクレームに対応する方法を学ぶことです。土下座や金品を要求するなど、一般常識を超えた要求をしてくる顧客に対し、どのように対応したら良いのかを学びます。この場合、企業側に非が無いのに顧客が怒っているケースがあるので、企業側としては対応に悩むところです。かといって、土下座をしたり金品をわたしたりすることはできません。解決が難しい問題だからこそ、クレーム対応研修で対応事例を学び、自社のクレーム対応に活かしましょう。
また、最初は一般的なクレームだったのに、次第に顧客がいら立ってハードクレーム化する、といったケースも考えられます。電話口での応対にもたついてしまい、「なんだその態度は!」「それがお客様に対する言葉遣いか!」のように、本来の問題とは別のクレームに発展する場合などです。二次クレームに発展させないためには初動が肝心で、対応方法も研修で学ぶことができます。
そもそも、顧客とのトラブルや問題をクレームに発展されないことも大切です。クレームを未然に防ぐ方法を学ぶことも、研修の大切な目的です。
研修のカリキュラム例
● 対象となる業種例・コールセンター
・サービス業
・小売業
・飲食業
・宿泊業
● 対象者
・接客や電話応対を担当するすべての社員
・クレーム対応に悩みを持つ社員
● 目指すゴール
1.クレーム対応の基本的なポイントと流れを理解する
2.お客様と一緒に問題解決できるスキルを習得する
3.落ち着いてクレーム対応ができるようになる
導入 |
・クレームとは何か ・クレームを言う人の心理とは ・クレームと顧客満足度の関係 |
[座学]クレーム対応の基礎 |
・4つの基本的なステップ 1)聴く:共感と傾聴で真摯な対応 2)問題把握:事実を冷静に確認する 3)要望確認:解決策を模索する 4)提案:代替案を示し解決を目指す ・言葉遣い、表情や態度の注意点 |
[演習]クレーム対応の応用 |
・ロールプレイング 1)クレームを受ける演習 2)クレームを伝える演習 ・ケーススタディ 1)自社のミスが原因のクレームの場合 2)自社にミスがないクレームの場合 3)相手が激しく怒っている場合 4)社内規則にない要求をされた場合 5)脅迫や訴訟問題への発展を示唆された場合 |
まとめ |
・クレーム対応に当事者意識を持つ ・大事なのは誠意をもった対応 ・クレーム対応は顧客の声を聞くチャンス |
研修のラインナップ
この章では、現在開催されているクレーム対応研修を紹介していきます。気になる研修を見つけたら、気軽に問い合わせをしてみましょう。クレーム対応の基礎知識や対応時のポイントを学ぶ顧客対応研修「株式会社ノビテク」
株式会社ノビテクが主催するホスピタリティ顧客対応研修では、顧客対応のためのマナーやコミュニケーション全般を身につけることができます。クレームを受け付けたときの初期対応のポイントも理解し、職場で実践できるようになります。研修では、クレーム対応の基礎知識や対応時のポイント、顧客の事前期待を整理し心情を理解するための知識、初期対応の重要性などを学ぶことができます。クレーム対応の事例を使ってワークを行い、実際の対応方法も身につけられます。
この研修はクレーム対応のみならず、ホスピタリティあふれる顧客対応を学べる内容なので、あいさつや表情トレーニング、身だしなみ、立ち居振る舞い、言葉づかいといった、社会人としてのマナーも身につけることができます。そもそもクレームが起きにくい職場を作るのに役に立つ研修です。
株式会社ノビテクは、受講者が基本的なやり方を学ぶだけでなく、そこからうまくやり遂げられる方法を思考するように導く研修プログラムを提供しています。ビジネスシミュレーションなどのワークが中心で、眠くなりにくく、学んだことが記憶に定着しやすいのが特徴です。クレーム対応やホスピタリティ研修だけでなく、コミュニケーションスキルの研修やチームビルディングなどビジネススキルの研修も主催しています。
ビジネスマナーやクレーム対応を学べる社員教育の決定版 ビジネススキル研修「株式会社PDCAの学校」
株式会社PDCAの学校が主催するビジネススキル研修は、新入社員や入社から5年目くらいまでの若手社員を対象とした研修プログラムです。ビジネスマナーやクレーム対応だけでなく、生産性が上がる業務の進め方や、業務効率を向上させる報連相のやり方、顧客ニーズを理解する方法、コミュニケーションやプレゼンテーションの方法など、社会人に必須の基礎的なビジネススキルを身につけることができます。6ヶ月にわたる研修によって徹底的に学ぶため、早期の戦力化や離職率の低下といった効果が期待できます。実際、中小企業の新入社員の1年目離職率平均は19.1%ですが、この研修の受講者の離職率は2%程度です。新入社員や若手社員を素早く成長させることにより、本人もやりがいを感じられ、仕事に対して前向きになるからだと考えられます。
研修では座学だけでなく、ワークやディスカッションなど実践的なプログラムを通じ、学んだことを自ら実践できるようにします。特にクレーム対応の現場は、いらだっている顧客の感情の機微を捉えなければならない修羅場でもあります。そうした場面に向けて、研修で実践的なトレーニングを積むことができます。
株式会社PDCAの学校は、1社1名から参加可能な公開型の研修プログラムを提供しています。受講者が習慣化できる仕組みを提供するため、研修が終了したあとも受講者がPDCAを回して自らを成長させられる内容となっています。

社員教育の決定版 ビジネススキル研修 - 株式会社PDCAの学校
半年間かけて行う全11回(月に2回)のOFF-JT × 社内OJT(PDCA)で、 貴社の新入・若手社員を早期戦力化させる“真の教育プログラム”のご提案です。脱研修!習慣化トレーニング動ける力と考える力を養います。
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クレーム対応・クレームに発展しにくいサービス提供を学ぶ接客・接遇力向上ホスピタリティ研修「ザ・ホスピタリティチーム株式会社」
ザ・ホスピタリティチーム株式会社のホスピタリティ研修は、接客にかかわるすべての階層のスタッフを対象とした研修です。ホテルや旅館、ウエディング、飲食、旅行会社、病院・介護施設など、個人のお客様と直接関わるサービス業の現場におすすめの研修です。研修では、ホスピタリティとは何かを学び、そのなかでクレーム対応のポイントも学ぶことができます。顧客がしてほしいことに気づく力を磨き、顧客に喜んでもらえる接客をするトレーニングを行います。
現在の接客・サービスのトレンドは、提携型サービスから適応型サービスへと移ってきています。また、物質的な満足を求めるよりも、精神的な満足を求める顧客が増えています。顧客のニーズに合ったサービスを提供するためには、適切なクレーム対応はもちろんですが、そもそもクレームに発展しにくいサービスを提供しなければなりません。この研修では、クレーム対応のみならず、そのためのホスピタリティを学ぶことができます。
ザ・ホスピタリティチーム株式会社は、サービス業専門に現場教育を行う研修会社です。実践型カリキュラムを通じてサービス業ならではの専門スキルを身につけられるプログラムが特徴です。現場のスタッフの主体性を養いたい方や、ホスピタリティ経営を本格的に学びたい方におすすめです。

明日から実践できる接客・接遇力向上ホスピタリティ研修 - ザ・ホスピタリティチーム株式会社
本研修ではホスピタリティを深く理解し、ホスピタリティを接客・接遇に生かす具体的な方法を、一方的な講義ではなく、ロールプレイングやワークショップを通じて気づきを得ながら楽しく学びます。
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難クレーム(ハードクレーム)対応研修「マネジメントサポートグループ」
マネジメントサポートグループが主催する「難クレーム(ハードクレーム)対応研修」は、CSやクレームを担当する社員向けの研修です。研修名に「ハードクレーム」とあるように、お客様が怒っていて対応が難しい場合を想定しています。研修では、対人心理学を取り入れたハードクレームへの対応方法を学ぶことができます。ハードクレーマーと直に接するときの対応方法のみならず、現場責任者や現場監督・工事施工者としての対応、心構えやスキルを身につけられます。
マネジメントサポートグループは、人材育成と組織活性をサポートするコンサルティング会社です。クレーム対応研修のような顧客満足度向上のための研修のみならず、若手育成事業やキャリア支援事業などのコンサルティングといったサービスを提供しています。(参照:マネジメントサポートグループ)
クレームからのファンづくり~「ANAビジネスソリューション株式会社」
ANAビジネスソリューション株式会社のクレーム対応研修は、クレームに対応する手法だけでなく、クレーム対応によってファンづくりにつなげる方法を学べる研修です。現場で直に顧客のクレームに対応する方のみならず、責任者としてクレーム対応を身につけたい方にもおすすめです。研修は公開講座とオンライン公開講座の2種類から選べます。公開講座では、現場を想定したロールプレイを通し、心遣いや立ち居振る舞い、言葉遣いなどを磨き、より良いクレーム対応を身につけます。一部ではVTRを使用して受講者の対応を録画し、動画を見て自分の印象を客観的に振り返ることもできます。
ANAビジネスソリューション株式会社は、ANAグループの人材育成ノウハウを活かし、研修や人材派遣・紹介などのサービスを提供する企業です。クレーム対応をはじめとするホスピタリティの研修では、一流の航空会社が実践する顧客対応を学ぶことができます。(参照:ANAビジネスソリューション株式会社)
クレーム応対研修「NPO法人日本サービスマナー協会」
日本サービスマナー協会のクレーム応対研修には、以下の特徴があります。・ロールプレイングなどの実践中心の身につく研修
・接客サービスマナー検定などの検定試験を運営している団体による研修
・各種メディアで多数紹介された実績
顧客をタイプ別に分類して、クレームを信頼に変える力を身につけることを目的としています。クレームを恐れながら仕事をする毎日からの脱却を目指します。
サービスを運営してるNPO法人日本サービスマナー協会は、マナーに関する教育・研修・資格運営などをおこなっている団体です。東京本部のほかに大阪本部・名古屋支部・福岡支部があり、対面とオンラインで研修を全国展開しています。(参照:NPO法人日本サービスマナー協会)
ヘビークレーム対応研修「話し方教育センター」
話し方教育センターのヘビークレーム対応研修では、常軌を逸した要求や苦情への立ち向かい方を学ぶ研修です。2名の講師のうちの1名がリアルなクレーマーを演じて、ヘビークレームを終了させるヒアリングの仕方・断り方などを身につけます。シチュエーションを設定した実践的な研修が特徴的です。株式会社話し方教育センターは、1979年設立の研修会社です。企業や組織がうまく運営されるためには人間関係が重要である都の観点から、コミュニケーションを高めるための研修を軸として展開しています。10回以上に及ぶハードな講師養成講座を突破した人だけが講師として活躍できる仕組みで、質の高い研修を提供しています。(参照:話し方教育センター)
クレーム対応研修徹底トレーニング&しくみづくり「共育塾」
共育塾のクレーム対応研修は、クレーム対応の基本から高度なクレーム対応までを幅広く学びたい方を対象とした研修です。クレーム対応に関するイメージを捉えたうえで、対応のポイントややりがちなNG対応などを学べます。最終的には、クレーム対応を恐れず自社の商品・サービスを高めるところまでの到達が期待できます。共育塾を運営しているのは、1990年に設立された株式会社ガイアシステムです。共に問題に直面している一人の実践者として対話を通じて高め合うことを目的にオーダーメイドの研修や定額性のオンライン研修を提供しています。「体験型・参加型」という点が共育塾の大きな特徴です。(参照:共育塾)
顧客満足を実現!ケースで学ぶクレーム対応講座「日経ビジネススクール」
日経ビジネススクールのクレーム対応講座では、何をすればお客さまの立場に立った対応になるのかを明らかにし、適切な対処を身につけます。精神論ではなく、取るべき行動を明確にすることで、受講者が理解しやすい内容となっています。特にサービスの第一線に立っている方や責任者の方に適した研修です。日経ビジネススクールは、経済新聞の最大手である日本経済新聞のグループ企業です。日経のブランドとビジネスに関する幅広い知見に基づいて、専門性の高い多数の研修プログラムを提供しています。研修の内容・質・ボリュームのどれをとっても非常に充実しています。(参照:日経ビジネススクール)
クレーム対応研修「株式会社アイル・キャリア」
株式会社アイル・キャリアのクレーム対応研修は、顧客が「誠意ある対応」を受けたと感じられる対応を身につけるための研修です。クレーム担当者が、少しでも不安が緩和された状態で適切なクレーム対応をおこない、将来同じようなクレームを発生させないようにすることを目標としています。人の心理をふまえたクレーム対応を学べる点が大きな特徴です。株式会社アイル・キャリアは、2006年8月に設立された研修プログラムです。代表社自ら年間200日セミナー講師として登壇し、そのノウハウやメソッドを「自律型人材育成メソッド」として確立させました。リピート率9割を誇っている人気の研修業者です。(参照:株式会社アイル・キャリア)
研修についてよくある質問
クレーム対応研修の導入を考えている企業から、多く寄せられる質問について回答していきます。詳しくは研修会社によって異なるので、研修を申し込む際に問い合わせしましょう。自社が受け付けたクレームを取り上げてもらえるか
可能です。多くの研修プログラムはカスタマイズが可能なので、カリキュラムへの要望は気軽に伝えましょう。自社で実際に受け付けたクレームや、よくあるクレームの事例があれば、ぜひ研修会社に伝えてください。また、企業としてどのように対応するか方針が定まっている場合、それもお伝えください。ご要望に沿った内容で、企業研修を行います。
対象はクレーム対応の担当者だけですか
クレーム対応にあたる担当者だけでなく、管理者や責任者も対象です。クレーム対応初心者向けの研修や、二次クレームやハードクレームに対応する管理者や責任者向けの研修など、研修会社によっては複数のプログラムを用意しています。受講者の立場やレベルに合った研修を導入しましょう。クレーム対応は現場のスタッフはもちろん、店長やエリアマネージャーなどマネジメント層にとっても重要なスキルです。さまざまな階層の社員の対応力を高め、企業としてクレーム対応力を高めましょう。
オンラインで受講できますか
可能です。多くの研修会社では、会場での研修とオンライン研修の両方を取り扱っています。ただし、クレーム対応研修は実際の顧客対応を想定したロールプレイングが大切な研修です。実際の職場環境に近い方法で受講するのがおすすめです。会場とオンラインのどちらにしようか迷う場合、研修会社に相談してみましょう。
研修が企業にもたらす効果
クレーム対応研修を導入し、企業としてクレーム対応力を高めることには、さまざまなメリットがあります。クレーム対応研修が企業にもたらす効果について解説していきます。顧客満足度が向上する
適切なクレーム対応ができるようになれば、顧客満足度も高まります。真摯に対応してもらうと、顧客はその企業を好きになってくれるからです。研修では、顧客にとって何が問題となっているのかを把握するため、顧客の話をしっかりと聴くことを学びます。問題を解決することはもちろんですが、話を聴いてくれるだけでも、嬉しい気持ちになる顧客もいます。顧客満足度を高められるとともに、その顧客がリピートしてくれればリピート率も高まります。
反対に、クレーマーに対して「とりあえず謝っておけばよい」といった考え方で対応すると、その姿勢は顧客に伝わってしまいます。顧客満足度が下がる原因になるので、研修を受講して適切な対応方法を身につけましょう。
スタッフのストレスが緩和される
クレームを受け付けることは、現場のスタッフにとって大きなストレスとなります。中には、人格否定をしたり罵声を浴びせたりする顧客がいるからです。しかし、クレーム対応研修を受講することで、なぜ顧客が怒るのかという心理を学ぶことができます。顧客の怒りの心理学的な理由を理解していれば、スタッフのストレスは緩和されます。
もちろん、ストレスが皆無になるわけではないので、職場としてメンタルケアが重要です。ケア方法の研修についても希望される場合は、研修会社に問い合わせてみましょう。
クレームを業務改善につなげられる
クレームというと顧客が企業に責任転嫁する八つ当たりであるかのように思えますが、中には企業の業務改善のヒントになるクレームもあります。研修を受講し、悪質なクレームと役に立つクレームを見分けられるようになることも、企業にとって嬉しい効果です。研修のポイント
クレーム対応研修では、顧客からのクレームに対応する方法を学ぶことができますが、具体的にはどのようなことが身につくのでしょうか。研修で学べる以下の3点について、詳しく解説していきます。・実践トレーニングで対応方法を身につけられる
・ハードクレームへの対応方法を学べる
・現場から責任者まで役に立つ内容
実践トレーニングで対応方法を身につけられる
クレーム対応研修では、ロールプレイングを通じてクレーム対応を身につけることができます。よくあるクレームや対応しにくいクレームの事例を基にロールプレイングで練習するので、職場で実際にクレーム対応をしなければならなくなったときに役立ちます。クレームの現場では、マニュアルを見ることもできずに怒っている顧客と対面しなければならないことがあります。スタッフのほうが焦ってしまい間違った対応をしてしまいがちなので、あらかじめ研修で練習しておいて、少しでも冷静に対応できるようにしておくことが大切です。
ハードクレームへの対応方法を学べる
近年、明らかに度を超えた要求をするハードクレームが問題となっています。顧客が受けた損害や迷惑を補填するだけでなく、土下座を要求したり金品を要求したりする、といったクレームです。一般的な常識の範囲を逸脱したクレームのことを、ハードクレームといいます。ハードクレームは解決に時間を要するだけでなく、スタッフはマニュアルにない臨機応変な対応をしなければならなかったり、また顧客からの暴言によってメンタルが悪化してしまったりする可能性があります。スタッフが自力で解決することは難しい問題ですが、研修でハードクレームの対応方法を学んだり、顧客の心理を理解したりして、実際に曹禺したときに慌てないように訓練しておきましょう。
現場から責任者まで役に立つ内容
クレーム対応研修は、クレーム対応を担当するスタッフや顧客と直に接するスタッフのみならず、管理者や責任者にも役に立つ研修です。二次対応やハードクレーム、カスタマーハラスメントを想定したクレーム対応研修を受講し、管理者や責任者としてクレームに対応する方法を学んでおきましょう。また、管理者や責任者はクレーム対応に当たるスタッフのメンタルケアや、良いクレームをすくい上げて業務改善につなげることも仕事のひとつとなります。クレーム対応だけでなく、周囲に目を配るメリットについても、研修で学んでいきましょう。
クレームに隠されている心理
クレームの裏には様々な心理が潜んでおり、心理を理解することは適切な対応につながります。怒りを表すクレームが多いのですが、怒りは二次感情で必ずその奥に一次感情と言われる怒りの前に持った感情があるのです。
お客様の怒りの感情に惑わされることの無いように、クレームの一次感情にはどのようなものがあるのか知っておきましょう。
解決策を求めている
商品を購入したり、サービスを利用したけれど、使い方がわからなかったり、思うような効果が得られず困っている場合がこれに当たります。困っている場合は、言葉が足りなくなったり、上手く説明ができなくなるものです。そのため意図が正確に伝わらず、対応している側にはクレームを言っているという印象を与えてしまいます。
本当にクレームなのか、それとも助けを求めているのかの見極めが大切です。
サービスを求めている
他の人との対応の差を不平等と感じている場合に起こりやすいクレームです。同じところから買ったのに、別な人には特典があったが何かの事情で自分はなかった、対応や説明の時間が短かったなど、自分が損をしたような気分になってしまった可能性があります。
仕方がないとわかっているけれど、時間とお金を使って商品購入やサービスを利用しているのですから、平等にしてほしい!少しでも良い対応をしてほしい!というのが消費者心理です。
度を越えた正義感
自分ルールが強く、それに反したと感じた時に言わずにはいられない衝動に駆られたことで起こるクレームです。自分の考え方が正しいと思い込んでいるケースもありますので、一般論では太刀打ちできないのが特徴です。他の人は言いたくても言えないかもしれないから、自分が顧客代表として伝えなければという、度を越えた正義感や義務感などが心の奥に隠されている可能性もあります。
「常識的に考えて〇〇じゃないのか?」
というように、やや上からの目線で話を進める場合は、このタイプかもしれません。
八つ当たり
実際に商品やサービスに問題がまったくないにも関わらず、お客様の個人的な感情による場合がこれに当たります。面と向かって言いたいことが言えず、常に我慢をしていたり、たまたま嫌なことがあって機嫌が悪かったなど、いわゆる八つ当たりというやつです。中にはクレームを言うことでストレス解消をしているような悪意を持っている人もいます。
企業は顧客に対して強く出にくいということを良く知っているので、そこに付け込んでくるケースです。
クレーム対応5つのステップ

クレームのケースを具体的に上げるとキリがありませんが、どのような場合でもおおよそ5つのステップで対応が可能です。
クレームの種類や相手の様子を伺いながら、重点を置くステップを決めて対応すると良いでしょう。
第1ステップ 共感
まず最初のステップは、話を聴き状況を判断し、共感することです。人は誰でもわかって欲しい、認めて欲しいという欲求を持っています。最初からクレームだと思って対応するのではなく、お客様の話す内容を聴くことに専念しましょう。
このステップが上手くいくと、お客様は自分の言っていることを認めてくれたと感じてくれるため、次のステップに進みやすくなります。
対面の場合は、お客様の顔を見ながらうなずき相槌を打つ、謝罪の言葉を伝える、必要に応じてメモを取るなどをすることで、話がスムーズになります。
電話の場合は、相槌を適度に打ちますが、あまり多いといい加減な印象を与えますので、お気をつけください。
第2ステップ 謝罪
話を聴きながら謝罪をしていると思いますが、クレームの全体像を把握したうえで、改めて謝罪をします。何に対して謝罪をしているのかを明確にするのがポイントです。
ただただ「申し訳ございません」を繰り返しても、お客様には誠意は伝わりません。お客様が憤慨されている部分をくみ取り謝罪をします。
また、事実に対してだけお詫びをするようにしましょう。
不快な思いをさせてしまった、辛い思いをさせてしまったという部分に対しての謝罪で良いので、こちら側やお客様の事情や都合を加味することは混乱を招きます。
第3ステップ 確認
話を聴き、謝罪をし、お客様の様子が少し落ち着いてきたら、事実確認をします。最初はとにかく「言いたい」気持ちが優先し、お客様も思考の整理ができないない場合もあります。ですから、改めてどのような部分が困っているのか、こちらに求めているものは何かを把握します。
場合によっては同じ話の繰り返しになる可能性もありますので、端的に効果的な質問をしながら確認します。
第4ステップ 提案
そして最後に提案を行います。これは、クレームに対してこちら側ができることや、お客様が求めている解決策を提示することです。すぐに対応できるものもあると思いますし、中には時間が必要なもの、自分の判断では対処できないものもあるかもしれません。
自分で判断できないものに対しては、責任者や担当者につなぐことも必要です。
対応案を提示し、お客様の同意を得ることができると、具体的な対処に進めるので、この第4ステップはとても大切です。
第5ステップ 謝罪とお礼
クレームによる問題が解決したら、改めてお客様に謝罪と、提案を受け入れてくださったお礼を伝えます。即対応可能な場合は、その場で伝えますし、時間が必要な場合は後日改めて伺ったり、メールや書面で行います。
問題が解決したから終わりではなく、最後まで気を抜かないようにしましょう。
クレーム対応で絶対にしてはいけないこと
クレーム対応で気をつけなければならない言動があります。対応を間違えると、小さなクレームと思っていたものが大きな問題に発展しかねませんので、気をつけましょう。
否定する
クレームを言っているときは、自分が正しいと思っていたり、大変な思いをしていると感じています。そのような時に、否定されたと思った瞬間、怒りが何倍にも膨れがります。
「ですが・・・」「そうは言っても・・・」というような、相手を否定する言葉は絶対に使ってはいけません。
企業側が意図していることが、お客様に正しく伝わっているとは限りません。お客様の不注意や勘違いもあるかもしれませんが、そこを指摘するのはNGです。
ごまかす
お客様の怒りを鎮めようとして、すぐに代替え案を提案したり、話を途中で遮ってしまう行為は、ごまかされているという印象を与え、火に油を注ぐ結果になってしまいます。クレームがあったことが上司や会社に知られたら、自分の立場が悪くなる、叱られる、評価が下がるなどの、保身を考えてしまうかもしれません。
一時ごかませたとしても、いつか自分に返ってきますので、真摯に向き合うことがお勧めです。
途中で遮る
話を聞いていても要領を得なかったり、話が長い時でも話を遮ってはいけません。否定された、大切に思われていない、いい加減な対応をされたという怒りにつながってしまます。クレーム対応は、話を聞き続ける忍耐力も必要です。
待たせる
自分で対応できない場合や、確認が必要な場合などは、お客様をお待たせすることになります。これは仕方のないことなのですが、待たせすぎはダメです。どこにつないだら良いのかわからず、結果たらい回しになってしまうケースもあり、お待たせする時には、「少々お待ちください」「5分少々お時間を頂戴します」というような声掛けが必要です。
丁寧すぎる言葉使い
クレーム対応は丁寧におこなうのが鉄則ですが、言葉使いを丁寧にしすぎるのは逆効果になる場合があります。過度な言葉使いは相手に不快感を与えたり、馬鹿にしているのか?と余計に怒らせてしまうことがあります。
間違った敬語の使い方も気をつけなければなりません。お客様を下に見るような言葉使いをしてしまったとなれば大変です。
クレーム対応の時だけ繕うのは難しいですから、日ごろから言葉使いには気をつけたほうが良いです。
クレーム対応をする時の心構え
クレームを言ってくるのも人間ですが、対応するのも人間です。クレーム対応をして楽しい人はいませんよね。ですが誰かがしなければならない仕事。クレーム対応をする時の心構えをしっかり持って臨むようにしましょう。
自分が責められているのではない
あまりにも怒られ続けると、まるで自分個人が責められているような気持ちになるものです。対応の間違いがない限り、お客様が怒っているのはあなたにではなく、企業としての姿勢や対応、サービスそのものに対してです。
これを間違ってしまうと、どんどん心が疲弊してしまいますので『自分が叱られているのではない』という自覚を持つようにしてください。
上手く対応できなくても自分を責めない
クレーム対応は最初は上手くいかないこともあるかもしれません。ひとりで対処できなかったとしても、自分を責めないようにしてください。ひょっとしたらその案件は、誰が対応しても苦慮したケースかもしれませんし、最初から担当する人が間違っていた可能性もあります。
気持ちをリセットする
クレーム対応は心の疲れを引き起こします。対応をした日は気持ちをリセットするようにしましょう。
どんなことでも良いです。仕事を忘れて集中できることや、心から楽しめることを積極的にして気持ちの切り替えをしてください。
クレーム対応は研修で適切な対処方法を学ぶ
クレーム対応研修を受けて、適切な対応方法を学ぶことは有効です。職種によりクレームの種類や対応に違いがありますので、個人で参加するのではなく、企業単位でおこなうのが理想です。
ケース別の対応をロールプレイング形式で学べると、理解を深めることができ、実践しやすく安心できます。
クレームはファン作りのきっかけになる

クレームはないほうが良いと考えるかもしれませんが、クレーム対応が上手くいくと新たなファンになってくれる可能性があります。
ネガティブな出来事と思わず、チャンスとして考えましょう。しかし、クレームに対して知識がないとネガティブに捉えがちですので、研修を活用して組織に正しクレーム応対の技術を根付けましょう。