指導対象を「放置」していませんか
OJTの失敗として非常に多いのが、新入社員など指導対象のトレーニーを放置してしまうことです。OJTトレーナーが自分の業務だけで手いっぱいの状態で、新入社員の育成にまで手を回せず、放置してしまう場合などに起こります。また、テレワークが普及してトレーナーも育成対象者も在宅勤務というケースが増え、新入社員はますます放置されやすくなっています。また、育成対象が放置されてしまうのはOJTトレーナーだけの責任ではありません。トレーナーにはOJTという新たな業務が与えられたのに、日常業務の量が変わらないので、OJTが後回しになってしまう…ということが多いからです。トレーナーの業務を調整して、トレーナーがOJTに時間を割けるように工夫をしましょう。OJTトレーナーは1人かもしませんが、新入社員の育成は職場全体の課題です。
OJTは担当者育成から始める
OJTは、新入社員の代表的な教育方法です。社内の人材を使って教育ができるため、コストもかからず、実践的な指導により即戦力となることが期待できます。しかし、教育担当者に負担がかかる、指導内容が担当者の能力に左右されるというデメリットがあります。
それを解消するためには、教育担当者を選出後、OJTトレーナーとして育成する必要があります。
OJT研修とは

OJTとはOn the Job Trainingの略で、上司や先輩社員の下で実務をおこないながら学ぶ教育訓練です。
OJT研修の特徴
OJTは現場で学べるため、わからないこと、不安なこと、疑問点などをすぐに質問できますし、先輩からその場でアドバイスをもらえるので、個別的な教育が可能になります。教育期間は数か月から1年程度と、やや幅がありますが、職業や業務内容で変わります。
1対1の教育により育成担当者とのコミュニケーションが取りやすく、信頼関係も築きやすい良さがあります。他にも個人のレベルにあった指導ができるのも特徴です。
一般的にはOJTだけではなく、OFF-JTや他のさまざまな研修方法と組み合わせておこなわれるケースがほとんどです。
OJT研修の目的
OJT研修の目的は、OJTのノウハウを先輩社員が理解することです。後輩の育成方法を学ぶので、将来のリーダー社員を育てることもできます。従来の日本企業では、OJTによる新入社員育成を、担当者の裁量に頼ってきました。担当者はどのように指導をしたら良いのかも分からず、手探りで後輩を指導してきました。
経験と勘に依存するのではなく、OJT研修では正しい後輩の育成方法を学びます。正しい指導方法を学ぶことで、組織を引っ張っていくリーダーを育成できるのです。
OJTのメリット・デメリット
OJTは先輩の経験から教えてもらえることが多く、不安や疑問があればその場で聞いて解決できることがメリットです。行動を共にしているため距離も縮まりやすく、仕事はもちろん仕事以外の相談もしやすくなります。個別の指導で、課題が明確になり指導がしやすい、状況に合わせた教育が可能というのも良さです。
OJTのデメリットを挙げるならば、目の前にある業務を教えるのには向いていますが、体系的な教育には向いていません。
機会がなければ経験できないこともあります。さらに、教育担当の先輩社員や上司の能力と経験に指導内容が左右されるため、指導にバラつきが出ることもデメリットです。
OJT研修のラインナップ
OJT研修は、研修会社によって内容や特色が異なります。研修会社ごとのOJT研修の特徴を紹介していくので、自社にぴったりの研修を選びましょう。後輩育成・チームのあり方を考えられるようになるOJT研修「ザ・ホスピタリティチーム株式会社」
ザ・ホスピタリティチーム株式会社では、サービス業に特化したOJT研修を受けられます。例えば、ホテル・旅館、ウェディング、飲食、病院・介護施設、旅行会社といったサービス業の会社におすすめです。ザ・ホスピタリティチーム株式会社のOJT研修では、サービス業の現場のリアルを理解している専門講師が、分かりやすく指導してくれます。研修で取り扱う内容は徹底してサービス業の課題に寄り添ったものであり、例えば以下のような内容を学べます。
・サービス業の現場が抱える問題
・部下を育成すると先輩社員や会社にどのようなメリットがあるのか
・OJTの意味とサービス業の現場で使える育成方法
・OJTに使える教育ツール
以上のような内容を学び、OJT担当者は自分の仕事だけでなく、後輩の育成やチームのあり方についても考えられるようになります。
サービス業の現場には、お客さまへの対応だけでなく、離職率やチームワークなどさまざまな問題があります。これらの問題を解決するには、現場の結束がとても重要です。自分の仕事だけでなく、周りをよく見て課題を解決していける将来のリーダー社員を育てるためにも、ザ・ホスピタリティチーム株式会社の研修を通じてOJTを学びましょう。

【OJTを体系化する部下育成研修】サービス業の現場で生かせる部下指導5つのステップ - ザ・ホスピタリティチーム株式会社
一般的な理論を学ぶのではなく、部下育成の重要性を理解し、実際のサービス業の現場で生かせる部下指導5つのステップを体系的に学び、自組織の部下育成方法を構築します。
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OJT担当者の不安を払拭する1on1OJTトレーナー研修「株式会社ノビテク」
株式会社ノビテクのOJT研修では、ロールプレイングやケーススタディなどの実践型トレーニングを実施しています。OJTでは何をやれば良いのか、どのようなことに気を付ければ良いかが分かるので、OJT担当者は不安を払拭して実際のOJTに臨むことができます。OJTを担当するのが初めての社員や、OJTの経験はあるけれど自分のやり方を見直したいという社員の受講を特におすすめします。
OJTは新入社員と先輩社員が1対1で行うため、上手にコミュニケーションできるかどうかが、OJTの成功に大きく関わります。株式会社ノビテクのOT研修ではこの点に注目し、1対1でOJTを行う意義やプロセスについて研修で解説します。
1対1のコミュニケーションで非常に重要なのが、傾聴・質問・フィードバックです。先輩社員から一方的に教えるだけでなく、傾聴や質問によって新入社員の考えを理解し、どのようにすれば仕事ができるようになるのかフィードバックする必要があります。
傾聴・質問・フィードバックのスキルは、株式会社ノビテクのOJTで学ぶことができます。実践形式で実際にどのように新入社員に接すれば良いのかを理解できるので、OJTへの不安を払拭して実践に臨むことができます。

OJT担当としての不安を解消する1on1を活用したOJTトレーナー研修 - 株式会社ノビテク
1on1を活用したOJTトレーナー研修です。ロールプレイング/ケーススタディなどの実践型トレーニングにより、OJT担当としての不安を解消します。研修は、対面でもオンラインでもどちらも可能です。
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1回の面談で部下のやる気をMAXに引き出す「1on1ミーティング」実践研修「株式会社モチベーション&コミュニケーション」
この研修は、部下を抱えるリーダーや、あまり成長を感じない部下に悩んでいる方などが対象です。OJTを担当しているものの、部下のミスが多く指摘しても直らなかったり、指示通りに動いてくれなかったりと、悩みを抱えている方におすすめです。こうした悩みの背景には、なにか上手くいかない原因があります。それを探るのが、上司と部下が1対1で行う「1on1ミーティング」です。この研修では1on1ミーティングの手法を学ぶことで、部下のやる気を引き出し、自発的に動くようにする具体的な方法を身につけられます。90分でひととおりのスキルを身につけられるので、忙しいリーダー層の方にもおすすめです。
株式会社モチベーション&コミュニケーションは、組織のコミュニケーション課題の解決に特化した研修プログラムを提供する会社です。OJTだけでなく、伝わる話し方や聴く力、論理的思考や営業スキルなど、ビジネスパーソンに必須のスキルを身につけられる研修を提供しています。

1回の面談で部下のやる気をMAXに引き出す「1on1ミーティング」実践研修 - 株式会社モチベーション&コミュニケーション
ほんの少し部下とのコミュニケーションを増やすだけで、驚くほど部下のやる気は変わります。この研修では1回の面談で部下のやる気をMAXに引き出す1on1ミーティングの具体的なやり方を解説いたします。
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受講者のレベルに応じたOJT研修パッケージ「Schoo(スクー)」
Schoo(スクー)のOJT研修は、受講者のレベルに応じた柔軟なパッケージに特徴があります。OJT担当者が若手社員の場合と中堅社員の場合とでは、受講者のニーズが異なるので、研修の内容も受講者に合わせて変えているのです。基礎的なOJTの内容や、ベテラン社員でも難しい叱る・褒めるのタイミングなどを学べる他、オンラインでOJTを行うことを想定した講習もOJT研修に盛り込まれています。入社後、いきなりリモートワークになって戸惑っている新入社員も多いのですが、先輩社員もリモートでの指導に難しさを感じています。SchooのOJT研修を受講し、リモートを想定したOJTの方法も身につけておくと良いでしょう。

株式会社Schoo
「学び続ける」にこだわるオンライン学習サービス
導入企業数1,600社の実績。5,800本以上の学習動画と学習分析機能を搭載した次世代型eラーニング。ビジネススキルからITスキルまで、幅広い人材育成・社員研修向けコンテンツをご紹介します。
成功するOJTのやり方を学ぶOJT指導者研修「株式会社インソース」
株式会社インソースは、年間の研修受講者数が45万人を突破した大手の研修会社です。OJT研修の実績も豊富なので、安心して受講できます。株式会社インソースのOJT研修では、従来の日本企業が陥ってきたOJTが上手く行かない理由を学び、成功するOJTのやり方を学ぶことができます。例えば、従来はOJTは担当者に任せっぱなしで、周りの社員は非協力的ということがありました。しかし、これでは新入社員を効率よく育てることはできません。職場全体でOJTを進めなければ、即戦力を育てることはできないのです。
株式会社インソースのOJT研修では、このような間違いを理解し、OJTの正しいやり方を学べます。職場全体の意識改革もできるので、OJTに留まらない効果を期待する方におすすめです。

株式会社インソース
企業における課題を「研修」と「IT」の力でサポートし、生産性向上に貢献いたします。
全国3万2千組織以上との取引がある、東証一部上場の社会人教育企業です。お客さまの「組織」と「個」の人事課題を解決するためにおこなっている、新入社員から中堅・管理職までの社員研修、教育管理システム・LMS、DX人材育成、オンライン研修を紹介します。
すぐに使えるOJTの知識を身につけるOJTトレーナー研修「株式会社マイナビ」
株式会社マイナビでは、「ムビケーション」というスタイルの新たな研修を行っています。リアルな職場のビデオを見ながら受講者に課題が与えられ、従来のシミュレーションやケーススタディをよりリアルに実践することができます。株式会社マイナビのOJT研修では、OJTの進め方や指導の方法などを学ぶことができます。ビデオを通じてリアルなシミュレーションができるので、どのようなOJTが理想的なのかをすんなり理解できます。このような知識は経験や感覚で理解するもので、座学では学びにくかったのですが、ムビケーションによって受講者が深く理解できるようになりました。
ビデオを見るだけでなく、受講者がワークを行い、講師が解説するパートもあります。実践形式でOJTを学べるので、すぐに使えるOJTの知識を身につけたい方におすすめです。

マイナビ研修
映像で実感、講義で納得『限りなくリアルに近い職場空間』を再現
マイナビが提唱する新しい研修コンセプト【ムビケーションスタイル】は、『Movie(ムービー)』 『Education(エデュケーション)』 『Simulation(シミュレーション)』の3つの言葉を融合したコンセプト名で、『限りなくリアルに近い職場空間を再現した、究極のビジネスシミュレーション研修』です。
変化に対応し今やるべき指導方法を身につけるOJTリーダー研修「リクルートマネジメントスクール」
「今まではOJTが上手く行っていたのに、最近は効果が薄くなっているような気がする…」といった悩みをお持ちの経営者の方は、リクルートマネジメントスクールのOJT研修がおすすめです。同社のOJT研修では、若手や新入社員を取り巻く環境が変わったことを踏まえ、どのようなOJTをやっていくべきなのかを学ぶことができます。現代では社員1人1人の業務負荷が高いことから、OJT担当者に余裕がないこともしばしばです。自分から動くのが苦手な若手・新入社員は、指示を待つだけの無駄な時間ができてしまうこともあります。
このような環境の変化を理解することが、OJTを始める第一歩となります。今までのOJTを変えたいと感じる方には、リクルートマネジメントスクールのOJT研修がおすすめです。

リクルートマネジメントスクール
実効性の高いマネジメントソリューションの提供により個と組織の健全な発展に貢献する
人材育成、人事制度、組織開発から営業力強化まで、「アセスメント」「トレーニング」「コンサルティング」「カウンセリング・コーチング」などの手法を用いて人事課題を解決に導く研修を紹介します。
新入社員の中だるみを引き締めるOJTリーダーフォロー研修「ナビゲート有限会社」
ナビゲート有限会社のOJT研修では、OJTでありがちな中だるみを防止して効果的なOJTを行う方法を学ぶことができます。新入社員は、入社直後は白紙の状態なので、先輩に教えられたことを吸収していきます。しかし少し慣れてきた頃が問題で、新入社員の個性が悪い意味で出てきてしまうことがあります。例えば、自分から先輩社員に報告をしない、何度も同じミスをしているのに再発防止をしないなどです。
このような中だるみは早い段階で引き締めないと、新入社員は活躍できるようになりません。OJT担当者の指導方法や接し方を変えることで改善できる場合が多いので、ナビゲート有限会社のOJT研修を受講し、どうすれば中だるみを防いでOJTを効果的に進められるのか学びましょう。

ナビゲート有限会社
「わかりたい」を育てたい。「伝えたい」を究めたい。
当たり前のことができていない段階で先進的な経営手法を取り入れても、ほとんど定着しませんし、活用されません。 そのような実感から、基礎的な領域に注力した研修プランを紹介します。
他社との交流も学びになるOJTリーダー研修プログラム「株式会社日本能率協会マネジメントセンター」
株式会社日本能率協会マネジメントセンターのOJT研修は、公開研修なのでさまざまな会社から受講者が出席します。講師からOJTのノウハウを学べるだけでなく、他社のOJT担当者と交流できるのが大きな特徴です。他社のOJT担当者と意見を交わすと、自社での悩みを解決する糸口が見えてくることがあります。他社の良い部分を自社にも取り入れることで、OJTをより良いものにアップデートできます。
他社とのコネクションもできるので、ビジネスに発展するケースもあるでしょう。自社のOJTの悩みを解決するだけでなく、ビジネスチャンスにつなげたいなら、株式会社日本能率協会マネジメントセンターのOJT研修がおすすめです。

株式会社日本能率協会マネジメントセンター
一人ひとりが立場や役割に応じた「基本」を身につけることで組織としての力は最大化します
学びに終わりはありません。学習の大切さに気づくことで、人はいつからでも変わることができ、限りなく成長することができます。新入社員から管理職・経営層にいたるまで、それぞれの階層で求められる基本を重点的に習得する研修を紹介します。
OJTの進め方:4つの手順

OJTは4つの手順で進めます。
1.Show(見せる)
実際にやっているところを見せます。そうすることで、業務の全体像や流れ、手順を把握することができます。言葉で教えるだけでは理解しにくいものも、見せることでわかりやすくなります。
2.Tell(説明する)
なぜこの業務が必要なのか、ポイントや注意点などを具体的に説明します。ここで質問があれば受け付け、対応することで新人社員の不安解消につながります。
3.Do(やらせてみる)
次に本人に実際にやってみてもらいます。経験してもらうことで、理解度の確認ができます。指導者は必ず近くにいて、やっている様子を見守ります。
4.Check(評価・追加指導)
実施した内容を評価します。できなかった部分や改善の必要性がある場合は再度解説をし、できたところは認めます。この部分は指導内容のフィードバックにもなりますので、必ずおこなうようにしてください。
OJTの効果を上げる3原則
OJTを始める際は、3つの原則を守らないと失敗しかねませんので注意が必要です。3つの原則はどれも当たり前と思われることばかりですが、その中でも、計画的であることはもっとも重要性が高いです。
1.意図的
OJT活用する意味と目的を明確にすることが大切です。なぜこの教育方法が有効なのか、どのような効果があるのかを、指導者だけではなく組織全体で共有することで、教育が活性化します。2.計画的
具体的な目標を掲げ、そこに至るまでの経過も段階的に設定します。詳細な計画があると、担当者だけではなく、管理職や他の社員もどのような教育がなされているのかがわかりやすくなります。計画と目標がなければ、評価ができませんし、どこまで成長しているのかもわかりにくくなります。
ゴールから逆算して立案することで、実践的で効果の高い育成計画が作成できます。
3.継続的
1度で終わる教育ではなく、何度も繰り返しおこなえるような内容でなければなりません。もし何かのトラブルで計画通りに遂行できないことがあったとしても、やり直しができる訓練内容にします。
OJTにおける課題と解決法

OJT教育は即戦力を育成するにはとても効果的な方法ですが、導入には課題もあります。これらをいかに解決をするかが、成功へのカギとなります。
指導内容に差が出る
外部講師を迎えての研修と違い、先輩社員が指導者になることが多く、指導力に差が出てしまいます。定期的に指導担当者を集めて、指導内容や育成方法の確認をする機会を作ります。研修を導入して、担当者のスキルアップやマネジメント力の強化、アップデートに積極的に取り組むと良いです。指導プログラムをマニュアル化するなどして、指導法と指導内容に差がなくなる工夫が大切です。
教える側の負担が大きい
新人社員に見せながら、説明しながら、確認しながらの仕事は、一人でおこなうよりも倍近い時間がかかることもあり、通常業務が滞る可能性があります。実務の指導だけではなく、教育担当者は育成対象者のメンターとしての役割を担うことにもなり、ひとりで何役もこなさなければならないのです。
そのため、教育担当者のモチベーション向上が大きな問題となります。
体系的な指導がしにくい
OJTでは目の前の業務を正確にできるようにはなりますが、長期的な視点での考え方や仕事のやり方を覚えにくい傾向にあります。研修等では新人指導や社員教育に慣れている専門の講師が担当しますので、ポイントを絞って必要な情報を提供できます。OJTの場合は職場の社員が担当しますので、教育に慣れていない人が担当になる可能性もあります。ひとつの業務に集中してしまうあまり、関連した内容まで十分に教える余裕がなかったり、忘れてしまうことも考えられます。
効果的なOJTを始めるためのステップ
OJTを活用しているのに効果を出せていない場合、導入ステップが間違っている可能性があります。OJTは先輩社員が新人の世話をすることではなく、ひとつの職業訓練です。計画を立て、PDCAを回しながら進めなければ効果はありません。そこで、効果的なOJTを始めるためのステップを紹介します。
OJTの目標設定
OJTを始める前に、目標を設定しましょう。OJTの中間地点や終了時に、新入社員にどのようなスキルを身につけていてほしいのか、目標に落とし込むのです。求める人材像は部門や職種によって異なるので、すべての新入社員に同じ育成目標を設定するのではなく、部門ごとに目標を検討します。
OJTトレーナーの選出と教育
目標を設定できたら、新入社員のOJTを担当するOJTトレーナーを選出します。一般的には、入社3年目~6年目くらいの若手社員が担当することが多いです。新入社員の気持ちを理解しつつ、少し上の先輩として引っ張っていけると期待できるからです。また、将来的に大きなプロジェクトを率いるリーダーに成長できるよう、OJTトレーナーとして経験を積ませることもできます。OJTトレーナーを選出したら、OJTトレーナー研修を受講するなど、OJTトレーナーとしての基礎知識を身につけてもらいます。OJTで期待される効果やOJTトレーナーに求められる役割などを理解せずにOJTトレーナーになってしまうと、OJTの効果を引き出せない場合があるからです。
OJTの計画書を作成
OJTトレーナーの育成ができたら、部門で考えたOJTの目標を連携し、トレーナーと一緒に新人の育成計画を作成します。目標を達成するためにはどれくらいの期間が必要なのか、どのようなペースで進めていくのかを考えていきましょう。新人と年次が近く、また研修でOJTについて学んだOJTトレーナーの意見も取り入れることで、現実的な計画書が作成できます。
OJTの開始
目標や計画ができたら、いよいよOJTを始めることができます。つまり、ここまでの工程は新入社員が職場に配属される前に完了させておかなければなりません。OJTの目標や計画書の作成、OJTトレーナーの研修などの事前準備は、新入社員の配属から逆算してスケジューリングしましょう。
中間面談とフィードバック
OJTが始まったらトレーナーに任せて放置するのではなく、1~3ヶ月程度の頻度で面談を行いましょう。部門長やマネージャーなどの管理職、トレーナー、新入社員の3者で面談を行います。面談で振り返る内容は、OJTの目標に対する達成度や進捗状況、計画どおり進んでいるかどうかです。計画を修正する必要はないか、何か困っていることはないかも確認します。
場合によっては、3者面談ではなく2者面談のほうが良い場合もあります。トレーナーがいる前で新入社員が自分の意見を言いにくそうにしているケースなどです。トレーナーが新入社員の前で言いにくいことを相談したがっているケースもあります。3者ではなく2者で面談を行うなど臨機応変に対応しましょう。
OJTの終了と振り返り・フィードバック
OJTを終了する際も、基本的には中間面談と同じ流れです。目標に対する達成度を把握していきます。目標を達成できた人、達成できなかった人など、達成度は人によって異なります。しかし、新入社員のOJTが終わった段階では、ビジネスマンとして一人前とはまだまだ言えません。OJTの目標達成度合いに関わらず、新入社員は今後も育成が必要です。本人にも意欲を持って成長してもらう必要があるので、今後の成長に役立つフィードバックをしましょう。
OJTトレーナーへのフィードバック
OJTトレーナーとして頑張った先輩社員にも、フィードバックを行いましょう。自分よりも年次の低い社員を育成するうえで困ったことは無かったかなど、ヒアリングを行います。大きなプロジェクトを率いるリーダーに成長してもらうため、有意義なアドバイスをしましょう。OJTを成功させるために教育担当者に必要なスキル

教育の担当者は仕事を理解しているだけではいけません。人材育成に必要なスキルを習得している必要があります。
特にここで挙げる3つのスキルは、OJTを始める前に研修等を受講し、学んでおくようにしてください。
伝え方のスキル
仕事ができる人や高い技術を持っている人が教え上手とは限りません。指導対象者の性格や行動の特徴などを考慮しながら、わかりやすい言葉と話し方で教えなければなりません。知っているから、できるから教えられるはずと短絡的に考えず、伝え方と伝える力をつけることが大切です。
質問のスキル
教えたことを理解しているか、わからないことはないかなどは、指導者が適切な質問をすることで明確になります。質問がないから大丈夫だろうと思って次々と教えても、実は理解していないことが多かったということもあります。
新入社員の理解度と不安を確認するためにも、質問力、訊く力が必要です。
コーチングスキル
指導者がすべて答えを出すのではなく、自分で課題を見つけ答えを導き出すことをサポートする必要があります。ここを間違ってしまうと、指示待ちしかできず、自ら行動できない社員になってしまいます。
コーチングスキルを身につけると、相手の言葉を引き出すことも、考えるきっかけを作ることも容易にできるようになります。
後輩が能力を十分に発揮し、自発的に行動できるように導くのが指導者の役目です。