「人事考課に課題を感じている」
「評価者と被評価者の間にギャップがある」
「人事考課を研修で学びたい」
このように考えている担当者は多いです。
人事考課をうまく進められる企業は成長性が高く、収益を伸ばしやすい傾向にあります。
一方でデリケートな人事考課の扱いを誤るケースも少なくありません。
重要な人事考課について考えるうえでは、やはり研修での学習がおすすめです。
本記事では下記の点を解説します。
- 人事考課研修のメリット
- おすすめの研修ラインナップ
- 人事考課研修が注目される背景
研修の目的・特徴
人事考課研修は以下を目的としたカリキュラムです。
- 人事評価の仕組みと重要性を理解する
- 人事考課者に必要な能力を短期間で習得する
- 人事機能をはたらかせる
- 目標管理の基礎を把握する
これは目的であると同時に、受講するメリットでもあります。
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
人事評価の仕組みと重要性を理解する
人事考課研修における最初の目的は、評価者が人事評価における「仕組み」と「重要性」を理解することです。
会社における人事評価の仕組みは、おおむね以下3つの基準で構成されています。
- 成果評価
- 能力評価
- 情意評価
しかし会社によって、評価項目とそのウェイトは異なり、個別で理解を深めなければいけません。
それらを踏まえて総合的に判断し、評価者と被評価者双方が納得できる人事評価を打ち出すのが、研修における最終的な目的です。
人事考課者に必要な能力を短期間で習得する
人事考課者には4つの能力が必要です。
- 目標評価能力
- 部下支援能力
- 評価基準作成能力
- 評価面談能力
いずれも、習得するには時間と経験が必要な能力です。
むしろ明確な答えがなく、企業にとって永遠のテーマであるとも言えます。
しかし研修であれば集中的に能力の獲得へとコミットすることが可能です。
何もかも完璧に理解できるわけではありませんが、すぐに自社の人事考課へ参加できる程度の水準には引き上げられます。
人事機能をはたらかせる
人事考課研修を受ける段階では、自社の人事機能がうまくはたらいていないケースがあります。
そもそも評価基準の作り込みが甘いこともあるし、時代の変遷に追いついていない場合があります。
小規模な企業であれば、そもそも人事機能事態が備わっていないこともあります。
人事考課研修を受講することで、人事機能は正常に機能し始めます。
もし担当者として研修を選定し、人事機能を回復させたなら、それは一つの業績として高く評価されるはずです。
目標管理のポイントを把握する
人事考課において目標管理は重要です。
「目標到達か未達か、どれくらい乖離していたか」が、最終的には被評価者の評価を左右します。
定量的な指標は別として、定性的な部分については、評価者が深く理解しなければ適切に評価できません。
事前にどのような点が目標となるのか、定めていないケースすら見受けられます。
人事考課研修を受けた場合、上記のようなずさんな人事評価は行われません。
研修において目標の設定方法や分析について学び、被評価者も納得できるような人事考課へ落とし込むことが可能です。
人事考課研修を実施する企業は増加傾向
研修を実施する企業は増加傾向にあります。
その理由として以下3つが挙げられます。
- 人材不足が慢性化して、不適切な人事考課による離職が許されない
- 働き方改革によって離職しやすい環境が出来つつある
- 新柄コロナウイルス感染症の影響などで、人事評価基準の見直しなどが求められている
ここ数年、企業にとって人材確保を困難にさせる要素が次々と現れています。
その点について対応するため、人事考課研修が求められるわけです。
⇒人事評価制度とは?組織を成長させる人事評価の作り方とポイントはこちらから
研修のカリキュラム例
続いて、人事考課研修カリキュラムにおける一例について解説します。
<想定する受講者>
人事担当者・人事考課未経験者・管理職・チームリーダー・
<受講後の状態>
- 人事考課の目的や趣旨を理解する
- 適切に被評価者を評価できる
- 評価に基づき、適切なコミュニケーションでフィードバックできる
- 本研修の内容を他者に伝播できる
主要なテーマ | 学習内容 |
---|---|
人事考課の重要性 | 人事考課の役割 人事考課の目的 取るべきコミュニケーション 育成への活用 |
人事考課者・評価者として求められる素養 | 果たすべき役割 評価の重要性 評価の納得性 守るべき評価基準 |
評価者のエラー | 評価者が陥りがちなエラー エラーに対する防止策 エラーがもたらす悪影響 |
目標管理の重要性 | 目標管理とは? 目標管理が必要となる理由 具体的な設定方法 目標実現のアクションプラン |
面接の心構えとフレームワーク | 面接における心構え コミュニケーションの取り方 よりよい面談を執り行うスキル 動機付け 承認のスキル |
ケーススタディ | 評価表に基づく評価演習 面接のロールプレイング |
人事考課研修のカリキュラムは各社少しずつ異なります。
しかし基礎から応用まで網羅する場合上記のようなカリキュラムとなります。
研修ラインナップ
人事考課に関係する研修は、数多く存在します。
人事というのはすべての会社に関わる要素なので、取り扱う研修企業が多いわけです。
選定に悩んでいる場合は、以下の研修をおすすめします。
ベーシックな内容を網羅したカリキュラム|「株式会社クリエイト」
株式会社クリエイトは、「評価者・人事考課研修」を開催しています。
特徴はベーシックな内容を過不足なく網羅していることです。
基本的な知識をおさえ、評価と目標設定をそつなくこなせるレベルへのステップアップを目指します。
株式会社クリエイトは、社員教育を中心とした研修会社。
関東圏のみのサービス展開にもかかわらず、これまで750社、のべ10,000人以上に研修を提供している実績豊富な団体です。(参照:株式会社クリエイト)
動画で学ぶ一次評価者のための人事評価入門|「日経ビジネススクール」
日経ビジネススクールは、動画市長を主体に、一次評価者として向けの研修を提供しています。
テーマは一次評価者として、不自由なく人事考課に参加することです。
動画やストーリーを見ながら学び、後半のセッションではシミュレーション課題に挑戦。
それは講師に提出し、採点されたうえで返却されます。
日経ビジネススクールは、セミナーやe-ラーニング教材を多数取り扱う企業です。
日本経済新聞者の傘下にあり、多くの企業から信頼されています。
自社においても優先して検討すべき研修会社です。(参照:日経ビジネススクール)
人事評価の基本コース職能資格制度編|「株式会社日本能率協会マネジメントセンター」
株式会社日本能率協会マネジメントセンターでは、人事評価の一般的な知識をバランスよく学べる研修を用意しています。
人事評価の仕組みを基礎から解説し、評価者としての素養を身につけます。
さらにサンプル資料やロールプレイにより、より実践を意識した学習を体験することが可能です。
また評価の際に起こりうるエラーを理解し、冷静な判断ができるような状態を目指します。
運営者の株式会社日本能率協会マネジメントセンターは、人材育成支援を幅広く手がける企業です。
これまで「寺岡製作所」や「サントリーホールディングス」など、名だたる大企業に対して研修を実施した経験があります。
自社にとっても安心して選択できる研修会社です。(参照:株式会社日本能率協会マネジメントセンター)
データで配信される人事考査研修|「Work Happiness」
Work Happinessは、人事考査研修用の人事考査研修スライド「UNICO」を配布しています。データで配信されるので、必要に応じて修正したり、カスタマイズすることが可能です。
そしてUNICOに基づき、対面・オンラインどちらでも研修に対応できます。
具体的なカリキュラムは以下のとおりです。
・人事考課のポイント
・目標設定の考え方
・評価面談の考え方
・評価面談の練習
対象は新任、もしくは課題を感じている管理職。それぞれが抱えている問題に対してカスタマイズした研修内容を提供することが可能です。
Work Happinessはマネジメントやチームビルディングに関するサービスを提供する企業。専門性が高く、カリキュラムの品質にも期待が持てます。(参照:Work Happiness)
評価と人材育成を学べる人事考課者研修|「日本人材研究所」
日本人材研究所は、いわゆるMBO(目標による管理)に基づく人事考課者研修を実施。公平な評価とともに、モチベーションを向上させる育成にまでフォーカスしています。
プログラムは人事考課の評価方法を1〜2日、そしてそれに基づく人材育成について半日〜1日かけてレクチャー。
株式会社日本人材研究所は人材育成、公開研修、そしてeラーニングとコンサルティングを実施する企業です。人事考課者研修はもちろん、スキルアップやキャリアに関する研修もさまざま実施しています。(参照:日本人材研究所)
オンラインで本格的に学べる人事考課基礎研修|「株式会社BCL」
株式会社BCLは、内容が充実した人事考課基礎研修を提案。適切な人事考課を実施するために必要なナレッジを余すことなく網羅できます。
またオンライン研修の形でも、受講することが可能です。
具体的なカリキュラムは以下のとおり。
・人事考課・管理者の役割
・人事考課に関する演習
・育成面接のポイント
・評価育成面接に関する育成
セクションでいうと4つですが、それぞれが細かく要素を掘り下げており、充実の研修内容です。
株式会社BCLはビジネスに関する研修をオンライン・実地型両方で提供しています。
実績については市町村をはじめ、影響力のある団体への研修実施が目立ちます。(参照:株式会社BCL)
基本から詳しい技術まで学べる人事考課者研修|「オバールマネジメント」
オバールマネジメントは人事考課者に求められる要素ていねいにレクチャー。適切な評価とともに、人材育成へとつながるナレッジを学ぶことが可能です。
具体的なカリキュラムとして以下が挙げられます。
・正しく評価する要因と対策
・考課傾向診断について
・テキストで学ぶ人事考課
・相互啓発型ロールプレイング
わかりやすく言えば基本から個別具体的な技術まで演習形式で学ぶことが可能です。
同社は人事研修について詳しい藤本邦之氏が研修講師を担当。豊富な経験から裏打ちされたナレッジを吸収できます。(参照:オバールマネジメント)
研修が注目される背景とメリット
人事考課研修が注目される理由とメリットとして、以下3つが挙げられます。
- 人事考課者・評価者としての素養を身につける
- 基準を固定してフェアに評価する
- 評価者と被評価者の軋轢を回避する
これは評価者と被評価者、つまり企業と社員両方にとって重大なポイントです。
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
人事考課者・評価者としての素養を身につけられる
人事考課者・評価者として適切な評価を下すことは非常にむずかしい課題です。
必要な素養として、
- 評価基準の理解
- 目標の把握
- 評価期間の設定
- 被評価者との関係構築
- 指導育成の方針
- フィードバックの出し方
- 面談での振る舞い
など、多くのことがらが挙げられます。
それらを身につけて、周囲が納得する人事考課者・評価者となることが重要です。
その目標において、人事考課研修は集中的な学びをもたらすことで一助となります。
もちろん、受講後にいきなり、上記のことが全てわかるわけではありません。
しかし独力で努力するよりも早く、なおかつ効率的に学習できることは事実です。
基準を固定してフェアに評価する
人事考課においてフェアであることはたいへん重要です。
人事考課においては11の「エラー」が存在すると言われています。
エラーとは、「評価者側の主観や感情によって評価がブレること」です。
たとえば「中心化傾向」という一種の心理バイアスがはたらくと、極端な評価を出しづらくなります。
なぜなら極端な評価を出せば批判や反論にさらされるからで、よって無難な評価に終始するわけです。
こういったエラーを回避して、現実に即した判断ができる人事考課者・評価者としての素養を身につけられるのは、大きなメリットです。
評価者と被評価者の軋轢を回避する
人事考課においてもっとも懸念されるのは評価者と被評価者の軋轢です。
たとえば「これだけやっているのに、なぜ低い評価なのか」という不満が噴出することは、両者にとって大きな問題となります。
たとえばモチベーションの低下や信頼関係の崩壊、あるいは離職へと直結します。
当人だけではなく、他の社員との関係にも影響が出るはずです。
人事考課研修において適切な評価方法が確立されれば、評価者と被評価者が健全な関係を保てるようになります。
もちろん、評価内容を甘くするわけではなく、両者が納得して次のステップへ進めるという状態を構築できます。
研修に関するよくある質問
本記事では、人事考課研修について解説しました。
最後によくある質問をQandAの形式で回答します。
- 費用はどの程度かかるのか?
- e-ラーニングを用いて学習することは可能か?
- 評価者・被評価者双方が参加するべきなのか?
- 自社において必要な研修をオーダーできるか?
人事考課研修に関する疑問を解決したうえで受講を検討しましょう。
費用はどの程度かかるのか?
人事考課研修においては、1人あたり30,000円程度費用がかかると考えておきましょう。
難易度や専門性が高いぶん、やや費用は高くなります。
e-ラーニングを用いて学習することは可能か?
一部の人事考課研修は、e-ラーニングで学ぶことも可能です。
事前に実施していないか主催団体に確認しましょう。
ただしe-ラーニングではやや臨場感に欠けるし、理解度が落ちる懸念もあります。
できれば実地で研修もしくは講師を招へいする形で受講したいところです。
評価者・被評価者双方が参加するべきなのか?
人事考課研修は、評価者が参加するのは当然です。
しかし被評価者が参加することにも、なんら問題ありません。
被評価者が参加するメリットとしては、「自分が適切に評価されているのか」を察知できる点が挙げられます。
また評価原理を知っておくことが、「自分に期待されている役割」が見えてくるといった利点もあります。
自社において必要な研修をオーダーできるか?
事前に連絡すればある程度カスタマイズできます。
ただし多くの場合、研修費用が上乗せされるので注意が必要です。
可能であればパッケージどおりのカリキュラムを受講しましょう。
企業にはより正確な人事評価制度が求められている
昨今、働き方改革や人手不足により、企業にはより正確な人事評価制度が求められています。
優秀な人材を確保し続けるうえでは、双方納得いく人事評価を打ち出すことが大切です。
しかし、この点について課題感を抱えている担当者は多いはずです。特に今まで一度も人事考課に関わっていない人材にはむずかしいミッションです。
自社で解決できない場合は、人事考課研修の受講を検討しましょう。
受講することで、評価者は人事に関する基本的な知識を学習できます。
今まで人事考課の経験がない人材における導入としても最適です。