優秀な人材の確保は、どの企業でも大きな課題です。人材獲得の競争は激しくなる一方で、欲しい人材が入社してくれるのを待つ時間を考えると、今いる社員を育成していく方が早くて効率的です。
企業と個人がお互いに成長し続けるために、環境や状況に合わせて継続的に育成計画を立てることが大切です。社会を牽引する優秀な人材を育成する研修を紹介します。
少子高齢化の影響もあり、働き手の数は減る一方です。企業としては良い人材を確保したいと思うのは当たり前ですが、欲しい人材が入社してくれるとは限らず、人材獲得の競争は激しくなる一方です。
待っている時間を考えると、今いる社員を育成していく方が早くて効率的です。
研修を行う目的

人材育成とは、社員が自社のビジネスに貢献できる人材になるよう、育てることです。社員が主体的に事業に取り組み、成果を出してくれるようになれば、企業の業績が向上するので、人材育成は企業にとって非常に重要なミッションです。
効果的な人材育成を行うためには、社員のレベルや立場に合った指導が重要です。例えば新入社員なら、ビジネスマナーや報連相など社会人としての基礎から学ぶ必要があります。若手社員や中堅社員の場合、マネジメントやリーダーシップ、さらには担当業務の発展的な内容などを学び、本人の活躍の領域を広げていきます。
しかし、社内で講師役になれる人がいるとは限りません。専門的・発展的な内容になればなるほど、社内だけで人材育成を完結させることは困難です。そこで、企業に研修プログラムを提供する研修会社の出番です。研修会社が提供する専門性が高い研修を導入し、効果的な人材育成を行いましょう。
研修を企画する前に把握すべきこと
人材育成研修と一口にいっても、新入社員からベテラン社員までレベルと立場はさまざまですし、研修のテーマも異なります。そこで、研修を導入する前に、どのような研修が自社にぴったりなのかを考えておく必要があります。この章では、人材育成研修を企画する前に把握すべきことについて解説していきます。
育成対象者の課題
人材育成研修を導入する前に、まず育成対象者がどのような課題を抱えているかを明確にします。本人と直属の上司にアンケートを取るなどヒアリングし、主観・客観の両方から、育成対象者の足りないスキルを把握しましょう。
営業の成果がいまいち、プレゼンが弱い、論理的な資料づくりが苦手、リーダーシップに欠ける、など人によって異なる課題が見つかるはずです。課題が明確になれば、育成対象者の伸ばすべき能力も明らかになってくるので、どのような研修を選べば良いのかわかります。
企業の将来像
人材育成研修を導入する前に、組織としてどのように成長したいのか、企業の将来像を把握することも重要です。経営目標に対し、人材育成という観点でどのように貢献すれば良いのかを考え、それに合った研修を導入するのです。
例えば、お客様満足度を高めたいという経営目標があるなら、営業力やマーケティング、マナー、接遇を学べる研修を導入するのが適当です。海外展開をしたいなら、語学や海外でも通じるビジネスマナーを学べる研修を導入します。組織が目指す姿と社員のスキルの方向性が一致するよう、企業の将来像を踏まえて研修を導入しましょう。

2023年注目の研修
記事を読む現場で実践する仕組み
研修の効果があまり出ない、と悩んでいる企業は、学んだことを現場で活かせる仕組みがない、という課題を抱えていることが多いです。現場主義の上司が研修に対して理解を示さない、そもそも研修の内容と現場の実情がずれている、など原因はさまざまです。
研修を受講しても、実践できる環境がなければ意味がありません。育成対象者だけでなく、その上司を巻き込んだ啓発を行ったり、人事考課の評価項目に研修内容の振り返りと実践を盛り込んだり、研修を活かせる工夫をしましょう。
『スキルマップ』を活用
人材育成研修を導入する前に、育成対象の社員の課題を把握することが重要だと解説しました。そのために使えるツールとして、「スキルマップ」を紹介します。
スキルマップとは
スキルマップとは、社員のスキルを一覧表にまとめたシートのことです。例えば、縦にスキルを列挙し、横に社員の氏名を書き、交わる欄にスキルのレベルを記入していきます。このようにまとめると、社員のスキルとその習熟度を把握できます。
スキルマップを使えば、誰にどんなスキルがあるかが一目でわかります。社員が持つスキルのばらつきを改善したいなら、スキルの足りない社員を対象に研修を受講することが、有効な方法だと言えます。また、特別なスキルを持っている社員を探して研修を受講してもらい、スキルに磨きをかけてもらうこともできます。
スキルマップを活用するメリット
スキルマップは人材育成のみならず、いろいろな局面で役立つので、作成しておくと良いです。
例えば、スキルマップは人事異動の際の配置に役立ちます。社員の得意なスキルを活かせる部署に配置すれば、適材適所の組織を作ることができるからです。
また、採用活動の際もスキルマップが役立ちます。スキルマップを見て組織にとって足りないスキルを発見できれば、中途採用などでそのスキルを持つ人材を狙って採用できるからです。
スキルマップの作り方とテンプレート
スキルマップを作るには、業務に必要なスキルの一覧を棚卸しする必要があります。業務の流れを確認しながら、必要なスキルを洗い出しましょう。業務が多岐にわたり、人事担当者が詳細を把握できていない場合は、現場の社員にヒアリングします。
スキルの一覧が上がったら、それを表の左端に縦に記入します。表の上部に横並びで社員の氏名を記入したら、スキルマップ自体のテンプレートは完成です。
表ができたら、次はレベルの評価を考えましょう。例えば5段階評価にして、1はマニュアルを見ながらできるレベル、5は後輩に指導できるレベル、などのように評価を定義します。
研修のラインナップ
現在開催されている人材育成研修を紹介していきます。気になる研修を見つけたら、研修会社に問い合わせてみましょう。
【しごとっち】シゴト体験ビジネスゲーム型研修「株式会社ノビテク」
株式会社ノビテクでは、「【しごとっち】シゴト体験ビジネスゲーム型研修」という研修プログラムを提供しています。内定者や新入社員、若手社員、リーダー候補者を対象としたプログラムです。
架空の会社に入社してプロジェクトを進めていくビジネスシミュレーションを行うので、基礎的なビジネススキルを身につけることができます。ゲーム形式で能動的に取り組めるので、学んだことが定着しやすく、すぐに実践で活かすことができます。
株式会社ノビテクは、基本的なやり方を学ぶだけでなく、うまくやり遂げられるよう、受講者自身が思考できるように導く研修を提供しています。受講者が夢中になれる工夫を凝らしたプログラムを提供しており、眠くならず学べるとの評判があります。

【しごとっち】シゴト体験ビジネスゲーム型研修 - 株式会社ノビテク
架空の会社に入社し、社員になりきって仕事を体感することで、さまざまな気づきが得られるビジネスゲームです。ゲームメソッドの「思わず夢中になる仕組み」を活用し、演習を繰り返し行うことで、現場で実践できるビジネススキル・マインドの定着を図ります。
ホスピタリティチーム力アップ研修「ザ・ホスピタリティチーム株式会社」
ザ・ホスピタリティチーム株式会社が提供する研修「ホスピタリティチーム力アップ研修」では、チーム一丸となって目標に向かうチーム力を学ぶことができます。若手社員や中堅社員、管理職など、チームには立場が異なるさまざまな人がいます。コミュニケーションを取って円滑に業務を進めるためにも、研修でホスピタリティの考え方と実践を身につけましょう。
チームがひとつにまとまるためには、チームのメンバーどうしがお互いの想いを共有していなければなりません。お互いが気持ちよく仕事をするためには、社内でホスピタリティの考えを持つ必要があります。顧客にだけ親切に接するのではなく、社内でもおもてなしやサービスの心が必要です。
ザ・ホスピタリティチーム株式会社では、サービス業に強い研修会社です。ホスピタリティのプロが行う研修なので、高い効果が期待できます。

ホスピタリティチーム力アップ研修 - ザ・ホスピタリティチーム株式会社
目標を達成する為には、チーム一丸となって目標に向かう一体感が必要不可欠であり、その上で社内ホスピタリティは大きな役割を果たします。それぞれの想いを共有し、チームの『ありたい姿』を自分達で目標設定をし、それに向かってひとつになる。そんな強いホスピタリティチームを創る研修カリキュラムです。貴社組織における目標設定から達成までを学びながら目指します。
自己改革・能力開発を促進するモチベーションアップ研修「株式会社モチベーション&コミュニケーション」
株式会社モチベーション&コミュニケーションが提供する「自己改革・能力開発を促進するモチベーションアップ研修」は、社員ひとりひとりのモチベーションを高める効果がある研修です。受講者の思い込みや固定観念を把握し、それを塗り替えることで、新たな自分を想像するモチベーションアップ研修です。
些細な失敗でも、積み重なれば自身喪失につながり、チャレンジしにくい消極的な気持ちになってしまうものです。失敗を恐れず常に新しいことにチャレンジできるマインドを育てるために、研修をご活用ください。
株式会社モチベーション&コミュニケーションは、組織におけるコミュニケーション課題の解決に特化した研修会社です。実践型トレーニングが豊富なので、学んだことが定着しやすく、実践でも活かしやすいです。

自己改革・能力開発を促進するモチベーションアップ研修 - 株式会社モチベーション&コミュニケーション
行動を阻害している自分の思い込み・固定観念をしっかり観察し、それを塗り替えることで新たな自分を創造するモチベーションアップ研修です。組織を活性化し業績を最大にするための企業研修です。
ビジネススキル研修~新人営業職編~「株式会社セールスの学校」
株式会社セールスの学校が提供する「ビジネススキル研修~新人営業職編~」は、新人営業スタッフを対象とした研修です。コミュニケーション、プレゼン、PDCFAサイクルなど、営業スタッフに必要な基礎スキルを身につけることができます。
研修期間は月に2回、2週間に一度通学し、他社からの参加者とともに学びます。講師からのアドバイスだけでなく、受講者どうしでもフィードバックを行うので、人脈形成にも役立つ研修です。
株式会社セールスの学校は、実践トレーニングを重視する研修会社です。ワーク中心の研修なので、受講者の記憶に定着しやすいのが特徴です。習慣化できる仕組みを提供してくれるので、研修を受講した後も効果が持続します。

2023年 ビジネススキル研修~新人営業職編~ - 株式会社PDCAの学校
一般的な「詰め込み型研修」ではなく「すり込み型」の学び取るプログラムで、 ビジネスに不可欠なスキルをしっかりと体得できます。本研修は1社1名様 からご参加できるオー プン合同型です。
これからの時代に活躍するために必要なオンラインマナー研修「株式会社かんき出版」
株式会社かんき出版が提供するオンラインマナー研修は、新入社員から中堅社員、リーダー層、マネージャーなど、幅広い社員が受けておきたい研修です。オンラインで会議や商談を行うとき、どのようなマナーがあるのか、印象を良くするためにはどうしたら良いのかを学ぶことができます。
オンラインツールは便利ですが、対面とは違う難しさがあります。例えば、音声が少しくぐもって聞こえるため、あまり早口だと話を聞きとってもらえません。ちょっとしたことで損をして商機を逃さないためにも、オンラインマナーを学んでおきましょう。
株式会社かんき出版は、出版社のネットワークを活かし、専門知識を持つ人に講師を依頼しています。著書を出版できるくらい知識が豊富な人が講師を務めるので、安心して受講することができます。

これからの時代に活躍するために必要なオンラインマナー研修 - 株式会社かんき出版
リモートワークの普及により、画面越しのコミュニケーションが増加しています。対面でのコミュニケーションと同様、画面越しの場面においても「ビジネスマナー=ルール」が存在します。オンライン環境で相手とのスムーズなコミュニケーションを取るための入り口である”オンラインマナー”を学びます。
人材育成研修の3大手法を駆使して優秀な人材を育てる
人材育成の基本的な方法として、以下3つの手法が有名です。
- OJT (On-the-Job Training)
- OFF-JT (The Job Training)
- SD (Self Development)
OJTとは
OJT(On-the-Job Training)は、多くの企業で採用されている人材育成方法で、現任訓練と訳すことができます。
新入社員や部署異動者、中途採用者に有効です。
現場で実践しながら学ぶ方法で、先輩社員や教育担当者と行動を共にします。
日常業務を行いながらの教育になりますので、早期戦力化を図りたい時に効果を発揮する方法です。
OJTのメリット
- 実践力が身に付く
- 指導がタイムリーに行える
- 個人の課題が明確になる
- コストがかからない
- 指導される側のモチベーションを保ちやすい
個別に対応できるため、個々の能力や理解力に合わせた指導ができるのが最大のメリットです。
繊細な技術なども指導しやすく、臨機応変な教育が可能になります。
その場にあった具体的な指示を出せる、問題があった時のフォローがすぐできるのもOJTならではです。
また、同じ仕事を一緒にするため、先輩と後輩の距離が縮まるというメリットもあり、入社後間もない社員の不安解消にもつながります。
OJTのデメリット
- 体系的に行いにくい
- 教育担当者の確保が難しい
- 指導する側とされる側のコミュニケーションが必要
- 仕事量に教育内容が左右される
- 教育担当者に指導力が必要
指導者はメンターの役割も担うことがあり、社員にかかる責任と負担が大きくなります。
業務や職種によっては十分な指導時間を作ることができないのもデメリットです。
また、担当するメンバーが少ない場合は、担当者育成から始めるケースも想定しなければなりません。
OFF-JTとは
OFF-JT(Off The Job Training)は、職場外での研修や教育を表わします。会議室等で行われる集合研修で、グループワークや座学でビジネスマナーや業界の基礎などを学びます。
新入社員や中途採用者だけではなく、中堅社員のスキルアップにも対応可能です。
人事担当者や管理職が講師を務める場合と、研修会社から外部の研修講師を紹介してもらう場合があります。
社内だけではなく、外部研修もこれに含まれます。
また、最近ではeラーニングを活用して研修を行う企業も増えています。
OFF-JTのメリット
- 大人数を対象にした集団教育が可能
- 受講者全員で知識の共有ができる
- 研修内容をマニュアル化できる
- 現場では伝えきれないことも学べる
- 学ぶことに集中できる
自社の担当者だけではなく外部講師を活用することで、より専門的な狭義の知識や技術の習得が期待できます。
外部からの風を入れることで、これまでと違った視点で育成計画に取り組む機会にもなります。
研修を受ける対象者のレベルに合わせた講師を選ぶことができ、参加する側も適度な緊張感が得られます。
OFF-JTのデメリット
- 時間の確保が必要
- 実施の定着が難しい
- コストがかかる
- 実践に結びつきにくい
- 参加者の意識により効果が左右される
対象者が集まれる時間、講師との都合、研修内容など調整すべきことが多く、担当者に負担がかかります。
インプット型の育成方法のため、実践につなげるには応用が必要な場合も多く、個々の能力により研修の効果に差が出るのがデメリットです。
SDとは
SD(Self Development)は、自己啓発のことで、個人的に取り組む方法です。
自ら能力開発を行い、社会人としてだけではなく人としての成長を促す内容がほとんどです。
社内外のセミナーに参加する、個人的に本を読む、通信教育で学ぶなど、方法は多岐に渡ります。
個人のスキルアップがメインになっており、資格取得もSDに含まれます。
SDのメリット
- 学ぶ内容の幅が広い
- 学び方の選択が多い
- 企業側の手間が少ない
- 時間を有効活用できる
- 学ぶモチベーションを保ちやすい
自発的に興味のある内容を学ぶことができますので、『やらされている感』がなく、向上心を刺激することができます。
会社で学びにかかる費用の一部を支援しているところも多く、職種や役職などに関わらず誰でも学ぶ機会を作ることができます。
SDのデメリット
- 個人の意識により結果が変わる
- 仲間がいなく孤独感を感じやすい
- 強制力がない
- 学習内容を他の人が把握しにくい
- 目標が立てにくい
この方法は社員自身に内容や時間、費用が一任される部分が多く、本人のやる気が薄い場合は途中で挫折する可能性があります。
まだ仕事に慣れていない若手にはハードルが高い手法です。
また、学んでいる内容を上司が認識しにくく、結果や変化が見えないことも考えられます。
定期的に面談などを行い、取り組みの状況などを確認するとともに、モチベーションの維持を図ることが非常に大切になります。
【人材育成研修の3大手法】
OJT (On-the-Job Training)現任訓練 | Show:やってみせる | 先輩社員がお手本となって業務をやってみせ、内容をイメージさせる |
---|---|---|
Tell:説明する | 業務でポイントとなる部分を口頭で説明し、わからない部分について質問を受ける | |
Do:実践する | お手本と説明に沿って実際に仕事をやらせてみる | |
Check:評価する | 仕事内容をチェックし、上手くいったところは褒め、そうでなかったところは再度指導して次につなげる | |
OFF-JT (Off-the-Job Training)職場外での研修や教育 | 新入社員向け |
・マナー研修:ビジネス敬語、電話応対、名刺交換などの基礎知識 ・キャリア構築研修:将来目指すべき社会人像を明らかにする ・コミュニケーション研修:報連相の重要性を学ぶ |
若手社員向け |
・タイムマネジメント研修:仕事を効率よく進める手段を学ぶ ・接遇研修:顧客満足度向上につながるおもてなしの技術 ・ロジカルシンキング研修:相手の意図を正確に汲み取り、最短時間で解決に導くスキル |
|
中堅社員向け |
・チームビルディング研修:メンバー一人ひとりの力を最大限引き出す ・コーチング研修:自ら考えて行動できる後輩の育成 ・プレゼンテーション研修:資料作りのコツと、訴求力・提案力の向上 |
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管理職向け |
・マネジメント研修:部下を導き、経営者の視点を持ってチームを率いる ・コンプライアンス研修:法令を守り企業の信頼を維持する ・部下育成研修:正しく部下を評価しモチベーションを引き出す |
|
SD (Self Development)自己啓発 | 本を読む | 興味のある内容や、業務に関連する分野について知識を得る |
社内外のセミナー | 仕事の進め方、キャリアパス、コミュニケーションスキルなどを学ぶ | |
通信教育 | 語学や教養を身につける | |
資格取得 | 専門スキルや語学などの技術取得を資格で証明する |
公開講座とは
公開講座とは、研修会社が主催する一般人向けの研修のことです。オープンな研修なので、いろいろな会社の社員が参加しています。
公開講座は研修会社が日時と会場を決めます。自社の業務に関係する公開講座の情報を入手したら、メールや掲示物などを使って社員に周知しましょう。日時の都合が合う社員には、受講を促してみてはいかがでしょうか。
公開講座のメリット
- 1名から参加できる
- 異業種の社員と交流の機会が持てる
- 社員が自主的に参加することができる
- 無料のセミナーもある
- 企業側の手間が少ない
公開講座は、研修会社が研修を行う会場に、社員が参加しに行く研修なので、企業側にとって負担が少ないのがメリットです。費用が安いことや、人事担当者が事前準備をする必要がないこと、1名から参加できることなど、人材育成に人件費を割けない中小企業に向いています。
公開講座のデメリット
- 会場が限られている
- 日時の融通が利かない
- 研修プログラムのカスタマイズができない
- 評価に活かしにくい
- 成果に結びつくかどうかが本人の意識に依存する
公開講座のデメリットは、研修会社が日時と会場、テーマを決定するため、カスタマイズできないことが挙げられます。日時と場所の都合が合わなければ、参加することもできません。また、テーマやレベル感を自社の社員に応じて変えてもらうこともできないです。
eラーニングとは
eラーニング(e-Learning)とは、オンラインを利用した研修です。一般的には、社員が都合の良いときに録画された研修動画を見たり、確認テストを受けたりする形式のオンライン研修です。
eラーニングのメリット
- 職場や自宅で受講できる
- 社員が自分のペースで取り組める
- 繰り返し動画を見て復習できる
- 教材をオンラインで配布できる
- 人事担当者が進捗状況を管理できる
eラーニングの最大のメリットは、手軽に受講できることです。職場や自宅でいつでも受講できるので、忙しい社員でも、時間を見つけて研修を受けることができます。
また、各社員がeラーニングのプログラムをどこまで進められているかは、人事担当者から見えるようになっていることが多いです。人事側でも進捗を管理できるので、受講ペースが遅れている人をフォローするなどの対応ができます。
eラーニングのデメリット
- リアルタイムの受講はできない
- 実践形式で学びたい内容には向かない
- 講師に直接質問することができない
- 受講態度が社員本人任せになる
- システムの導入が必要な場合がある
eラーニングは録画した動画を見るため、リアルタイムでの受講はできません。また、画面越しの指導になるため、実践が必要なスキルを身につけるのには向かないでしょう。
講師と対面で行う研修と異なり、直接質問することもできません。社員が不真面目な態度で研修を聞き流しても、注意を受けないため、知識が定着しにくい場合もあります。
オンラインとオフラインの研修の違いとは?
テレワークの急速な広がりをきっかけに、多くの企業で研修のオンライン化が求められています。今まで対面で実施してきた研修がオンラインになると、不安を感じる担当者の方も多いでしょう。そこで、オンラインとオフラインの人材育成研修の違いをまとめました。
情報伝達の面
オンラインとオフラインの研修を比べたとき、情報伝達に適しているのはオンライン研修です。会場に集まるオフライン研修では、席が遠い場合はパワーポイントなどの資料が見づらい問題がありますが、オンラインであれば全員のパソコンに確実に資料が映し出されます。
またアーカイブ動画が後日共有される場合も多く、一度の説明では理解しづらかった点を繰り返し見直して、知識の定着ができるのもオンラインならではの利点です。
リスク対策の面
オンライン研修では、移動が必要なく自宅や勤務先のPCから気軽に研修に参加できます。移動にかかる時間とコストを削減できるだけでなく、移動中に社員が事故に遭うリスクや、集合型研修で感染症にかかるリスクは回避できると言えます。
また、時短勤務の社員は通常業務で手一杯で、なかなか社外での研修機会が得られない場合が多いものです。そんな社員にとっても、オンライン研修なら他の社員と同じように学ぶ機会が得られるメリットもあります。
研修効果の面
オンライン研修で最も不安を感じやすいのは、十分な研修効果が得られるかという点です。オンライン研修は、目の前に講師や他の受講者がいないため、臨場感ではオフラインに劣ります。しかしブレイクアウトルーム機能を使えば、受講者同士で気軽に意見交換ができ、オフラインと変わらない対話が可能です。また、オフラインの研修会場で手を挙げて講師に質問するのはハードルが高いですが、チャット機能を使えば気軽に講師ともコミュニケーションがとれます。
ただ、オンラインは気軽に参加できる一方で、受講者が受け身になりがちです。受講者の主体性を引き出し、知識やスキルを最大限に吸収できる研修を実施するには、講師との綿密な打ち合わせが欠かせません。それさえクリアできれば、オフラインに限りなく近い状態で学びの機会が実現できます。
人材育成研修を効率的に行う3つのポイント

人材育成を行うためには、教育方法を決めるだけでは効果的とは言えません。
スムーズに進めるためにも、次の3つのポイントを押さえ準備をしていきましょう。
ポイント1:人材育成に関する自社の管理体制を整える
人事評価制度
人事評価制度とは、社員のやる気を高め、業績アップ、社内の活性化を図るものです。
この結果がより昇給や昇進、配置転換、などの参考になります。
業務内容や能力、会社への貢献度などを、正当に評価されるとモチベーションが上がります。
どんなに良い人材を作ろうと教育に力を入れても、あいまいな評価だったり、客観性のない評価の場合は、社員からの反感を受けるだけです。
すでにこの制度を取り入れている企業も多いと思いますが、改めて何をどうやって評価し、結果をどう反映させていくのかが明確になっているか再確認してみましょう。
目標管理制度
人事評価制度にも必要な目標管理制度ですが、個人が設定した目標をクリアすることが、組織や会社の目標達成に貢献できる仕組みになっています。
このシステムが上手く働くと、従業員の達成感や満足感につながります。
この時、最初から個人に目標設定を促しても、企業の経営戦略が確立されていないと個人に落とし込むことができませんし、目標を達成するサポートをすることができません。
そのため、組織をピラミッドとして捉え、頂点(経営者)やその下(管理職)から行い、徐々に下の階層に浸潤させていくよう計画を立てて進めることが大切です。
上司が制度の効果やノウハウを熟知していないと、導入しても部下の目標管理が十分ではなくなってしまいます。
タレントマネジメントシステム
タレントマネジメントとは、個人の持つ能力や才能、資質を把握し、従業員ひとりひとりが最高のパフォーマンスができるようにすることです。
もともとアメリカで人材を育成し、定着させる効果的な方法として作られたものですが、近年日本でも注目を浴びています。
個々の特性にあった育成を行い、適材適所で自分に最適な役割を行ってもらうことにより、少ない人数でも最大限の効果を生み出すことが可能になります。
ポイント2:必要な人材と能力の洗い出し
人材育成では、必要な人数や能力、経験などを洗い出し整理する必要があります。
採用したけれど、もうすでに飽和状態の資格や技術者だった、ということになっては意味のない人員補充になってしまいます。
いつまでにどのような人材を必要としているのか、現状の把握は欠かせません。戦力となる社員を育てるだけではなく、次世代リーダーを見据えた採用が大切です。長期的な枠組みで採用と育成を捉えていきましょう。
管理者が考えている人材と現場で求めている人材にギャップがある可能性がありますので、ヒアリングを十分に行い、現場の声を反映させることも重要です。
ポイント3:3つの研修手法を複合的に活用する
OJT、OFF-JT、SDは、単独で行うよりも組み合わせて活用することで効果が最大化します。
OFF-JTで企業での統一した意識や知識を共有し、基礎を学びます。そしてOJTを使って、実際の仕事に活用できるよう現場指導を行います。
さらにSDで個々が必要な知識や技術を深め、スキルアップを行います。
ひとつでも欠けると知識が伴わなかったり、実践力や応用力が磨かれなかったり、向上心が薄れてしまいます。
育成の目的にあった育成手法を組み合わせ、内容を検討していくと適切な指導を行えるようになります。
行動変容を起こす研修のポイント

研修を導入するだけで、人材育成が軌道に乗るわけではありません。人材育成研修を導入して良かった、という成果を得るためには、研修前後の支援や環境整備が重要です。
この章では、効果的に人材育成を行うために押さえておくべきポイントを解説します。
動機づけ(目的意識)をしっかり行う
「何のためにこの研修を受けるのか」という動機づけを行った上で、社員に研修を受講してもらいましょう。研修を受講するとどのようなスキルが伸びて、活躍の場がどのように広がるのか、上司や社長から個別にメッセージを出します。
ここでポイントとなるのが、受講者全員に一斉にメッセージを送るのではなく、個別に送ることです。一斉メッセージを受け取った社員は、上司や社長から期待されているとは感じられません。「あなたのこういうスキルを伸ばしてほしい」「将来、このような仕事であなたにぜひ活躍してほしい」と受講者を名指しで動機づけしましょう。
行動計画を作成して上司と共有する
研修を受講したら、受講者には行動計画を作成してもらい、上司と共有させましょう。研修でどんなことを学んだのか、学んだことを活かすためには何をしたら良いのかを、受講者自身が明確に意識できるようにするためです。
上司と共有するのは、現場の理解を得るためです。現場主義の上司などは、「研修で学ぶことなんて机上の空論」と思っていることがあります。最近の研修はすぐに実践できる内容なので、上司の理解を得るためにも、行動計画を作成しましょう。
振り返りの場を用意する
研修を受講した後は現場の仕事に戻りますが、定期的に振り返りの機会を設けましょう。研修で学んだことを活かせているか、活かせていない場合は何が原因なのかを考えます。
振り返りの場を設けないと、受講者は研修で学んだことを忘れていってしまいます。忘れてしまっては研修の意味がないので、思い出すためにも、振り返りの機会を用意しましょう。
測定可能なゴールを設定する
研修の効果を客観的に把握するため、測定可能なゴールを設定しておきます。例えば、売上上昇やコスト削減、残業時間削減など、数字で表せる目標です。また、社員のモチベーションなどアンケートを取って把握できることでも構いません。
研修を導入し、成果が上がったかどうかを把握することも、人材育成における大切なポイントです。成果が上がった場合は今後も継続していけば良いですし、成果につながらなければ原因を探りましょう。
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階層別に見る研修のポイント
人材育成研修は、階層別に内容が異なります。各階層ごとに、人材育成研修のポイントを解説していきます。
新入社員研修
新入社員が対象の人材育成研修は、基本的なビジネススキルを獲得することが目的です。社会人に求められるビジネスマナーやビジネス文書の作成方法、メールの書き方を身につけます。
また、仕事に臨む姿勢を教育することも、新入社員研修で重要なポイントです。学生と社会人は何が違うのか、学生の頃は許されていても社会人になると通用しないことは何か、社会人になるとなぜ行動を変えなければならないのか、といった重要なことを学びます。
学生気分で入社してしまう人も多いので、研修を受講してもらい、学生と社会人とでは役割が異なることを理解してもらいましょう。
中堅社員研修
中堅社員になると、自分の仕事は一通りできるようになり、仕事がマンネリ化し始めることがあります。また、上司からの指示で仕事がどんどん降って来るのに、若手社員の詰めの甘い仕事を修正して…と仕事が集中しがちです。ストレスが溜まり、退職を考え始める人もいるでしょう。
このようなタイミングで導入したいのが、中堅社員向けの研修です。リーダー候補として後輩を率いていく立場にあるため、リーダーシップやプロジェクトマネジメント、年次が下の社員とのコミュニケーション方法などを学びます。
管理職
管理職は一人前のビジネスパーソンというイメージですが、研修が不要なわけではありません。研修で一流のビジネススキルを身につけることで、組織にさらなる成果をもたらします。
管理職向けの人材育成研修では、経営理念や経営課題に基づいたマネジメントや、管理職ならではの責任を学びます。管理職は、経営方針をわかりやすく噛み砕き、現場の指示に落とし込む立場です。プレイヤーとは異なるスキルが必要なので、研修を通して身につけてもらいましょう。
会社と社員が共に成長し続けるために

人材育成は企業が主体となって行います。
しかし、従業員ひとりひとりの意識も必要です。
会社と個人、お互いに同じ目標を持って成長し続けるために、環境や状況に合わせて継続的に育成計画を立てることが重要です。
これからの社会を牽引する、リーダーシップを持った優秀な人材を大切に育てていきましょう。