コミュニケーション研修の必要性
年間いくつもの社内研修をおこなっている企業も多いと思いますが、最近増えているのがコミュニケーション研修です。これまであまりスポットライトを浴びてこなかった内容ですが、なぜ注目をされているのか?
それは次のような効果が期待できるとされているためです。
人間関係が良好になる
社内だけではなく、顧客、取引先との関わりは大切です。ちょっとした言葉やしぐさ、行動が相手に好印象を与え、良い関係性を築くことができます。
朝の挨拶が笑顔で交わされる、帰り際のひと声、成果を上げた社員へのねぎらいの言葉など、些細なことと言われるようなことが人間関係を良くするためには必要なのです。
業務がスムーズに進む
仕事はチームワークが必要です。コミュニケーションが良い職場では、日常会話も活発であることが多く、お互いの仕事の進捗状況だけではなく、仕事の仕方や得意不得意を理解しやすくなります。
ひとりだけに負担がかかることも避けられますし、仕事でミスをしたとしても、日ごろのコミュニケーションが取れていると、相談がしやすく早期解決ができます。
ストレスの軽減
厚生労働省のデータによると、働く人がストレスと感じている上位に『対人関係』があります。20代から60代まで年代に関係なく、強い悩みとして感じている傾向にあるのが特徴です。
さらに、正社員だけではなく、パート、契約社員、派遣社員などの雇用形態にも関係なく上位に上がってきています。
個人のコミュニケーション力が上がることで、人間関係が良好になり仕事に関わる人のストレスが軽減されます。
ストレス軽減は離職率の抑制にも効果を発揮する可能性がありますので、人材不足に悩みを抱えている時こそコミュニケーション研修が必要です。
人材育成につながる
人材育成に対して課題を持っている企業も少なくありません。人を育てるには、指導される側と指導する側の信頼関係も大切です。
良い関係性ができていると指導する側には、指導内容が伝わりやすい、成長の度合いがわかりやすいというメリットが、指導を受ける側には、質問がしやすい、相談がしやすいというメリットがあります。
業務だけを教える教育では、社員のモチベーションアップにはつながりにくくなりますので、十分にコミュニケーションを取りながらおこなうことで、良い人材が育ちます。
磨くべきコミュニケーションスキルの種類

コミュニケーションが得意な人には共通のスキルがあります。
持っていると良いコミュニケーションスキルは4つ。
コミュニケーションは才能ではなくスキルですので、誰でもいつからでも身につけることができます。
聴くスキル
コミュニケーションが苦手な人のほとんどが「うまく話せない」という理由を挙げます。コミュニケーションの基本は、話すことではなく『聴く』ことです。
傾聴という言葉を聞いたことがあると思いますが、これがコミュニケーションの基本と言えます。
どんなに良いことを言ったとしても、聴いてくれる人がいないと言葉は意味を持ちません。
相手を理解したいという思いを持って聴く。
そうすると相手の言葉だけではなく、話している表情、しぐさ、声のトーンなどにも注意を向けるようになり、相槌が上手くなり、相手が気持ちよく話せる雰囲気を作ることができます。
訊くスキル
『訊く』スキルもコミュニケーションには必要です。質問力と置き換えても良いかもしれません。
相槌を打つだけではなく、話を広げるために相手から言葉を引き出すためのスキルです。
これが苦手な人も多いですね。
訊くスキルを持っていると、特に悩みを抱えているような同僚や後輩に対してのコミュニケーションに役立ちます。
言いにくいことや、まだ頭の中で整理しきれていないことを話そうとするときに、適切な質問を投げかかることで、相手は話しやすくなります。
話すスキル
コミュニケーションの基本は聞くことだとしても、やはり伝えること、話すことも大切です。言いたいことを端的にわかりやすく伝える能力だけではなく、話すスピードや声の大きさ、姿勢、視線などに気をつけることで、印象が良くなり話を聞いてもらいやすくなります。
このスキルを求めている人は非常に多いです。相手の心を鷲掴みにする話し方を身につけるとコミュニケーションは楽しくなります。
言葉のスキル
コミュニケーション上手な人は、言葉を操るのはとても上手です。難しい言葉を知っているのではなく、適切な言葉使いができるのです。
相手の年齢、職業、立場に合わせた言葉を使うことで、話は伝わりやすくなりますし、自分を理解してくれていると感じてもらいやすくなります。
また、過度に尊敬語や謙譲語などを使うと、人との距離は縮まりにくくなります。
適度な言葉使いができると、聞きやすい文章になりますので、誰にでも伝わりやすい話し方ができるようになります。
年代別コミュニケーション研修の特徴

コミュニケーション研修といっても、社員全員で同じ内容を行うよりは、属性にあったコミュニケーションスキルを身につけるのが良いです。
そのためには、経験年数、立場によって研修内容を変えるのがお勧めします。ここでは新人、中堅、管理職の3つのグループに分け研修の内容を考えていきます。
新人を対象にした研修
新卒で入社した社員は、まだ学生気分が抜けきらないことがあります。同級生やせいぜい1~2つ上の先輩としか関わっていないことも多いですから、ビジネスにおけるコミュニケーションスキルを身につける必要があります。
若い年代は生まれた時からスマホやSNSが身近な存在で、コミュニケーションに対して、効率化を求めている傾向があります。
対面の会話はもちろんですが、メールや電話での話し方、聴き方などの基本をしっかり理解できる内容がお勧めです。
中堅社員を対象にした研修
中堅社員は責任のある商談や重要なプロジェクト、新人教育を任せられることもあり、より高いコミュニケーション能力が求められます。新人時代よりも訊く能力と話す能力を伸ばすような内容で、臨機応変な対応、相手を不快にしない交渉術など、実践的な内容をお勧めします。また、新人社員と上司との間に入ることも多くなりますので、後輩との関わり方、上司との関わり方も改めて学べる内容も効果があります。
管理職を対象にした研修
管理職は部下のやる気を引き出し、業績に反映させるための能力が期待されます。チームをまとめるために、効率よく部下の話を聴きまとめ、会社側の意向を伝え動いてもらうか。
その能力が必要な立場ですね。
部下ひとりひとりの特性を見抜き、その人に合った指導をするための関わり方を重視した内容が必要です。
聴く、訊く、話す、言葉、どのスキルもまんべんなく向上する総合的な内容がお勧めです。
コミュニケーション研修の選び方のポイント
研修で外部講師にお願いをする際、研修企画会社に委託をすることが一般的です。研修会社により特徴に違いがありますので、選ぶ時のポイントを整理しておきましょう。
事前打ち合わせ
メール等で申し込みをすると、研修の内容や要望についての打ち合わせをおこないます。打ち合わせの方法は電話と対面があり、最近ではオンラインでの対応も増えています。
委託したい研修会社が近くになくても打ち合わせには支障がありません。
研修スタイル
集合研修やeラーニングに加え、オンラインへの対応の有無はチェックポイントです。どんなに内容が良くでも開催方法が自社にあっていなければ、効果は半減します。
どのようなスタイルでの研修が得意な研修会社なのかを把握することは大切です。講師によっては対面は得意だけれどオンランは苦手という人もいますので、講師のタイプも一緒に確認すると良いでしょう。
研修内容
すでにパッケージ化された研修プログラムを提案、要望を取り入れたセミオーダータイプ、フルオーダー可能など、希望の内容での開催が可能かはチェックです。コミュニケーションといっても幅が広く、新入社員と管理職では向上すべきコミュニケーションスキルに違いがあります。
対象者にあった内容ができなければ効果は上がりません。
料金
料金を明示している企画会社はほとんどありません。研修内容や時間、人数、開催スタイルにより変わるためです。しかし予算は限られていますので、わからない状態での発注は心配があると思います。
当サービスでは要件に合わせて各社の見積もりを集める事ができるので、安心してご利用頂けます。
コミュニケーション研修の効果を高めるポイント
せっかく時間と費用をかけて研修をしても、効果が薄ければ無駄になってしまいます。やって良かった!と、会社も社員もそう思える研修にするために、ポイントを押さえて企画するようにしましょう。
専門性の高い講師
企業研修をおこなっている講師が誰でもコミュニケーション研修が得意とは限りません。専門性が高く実績のある講師から学ぶことで、わかりやすく効果が高い研修となります。
社内の研修担当者が勉強をして講師を務めるのも良いですが、外部から講師を招くことで外の風を入れるきっかけにもなります。
効果を優先するのであれば、外部講師を検討してみましょう。
求めている結果に沿った内容
研修を企画するとき、目的と結果が必ずあると思います。求めるものを明確にすると、カリキュラムを立てやすくなります。
何度研修をおこなっても効果が薄いと感じているとしたら、求める結果が曖昧な可能性があります。
講師と事前に打ち合わせをして、今抱えている課題と期待する効果を伝えるようにしましょう。
実践的な内容
研修は講師が一方的に話すだけのものではなく、個人ワークやグループワーク、ロールプレイなどがあるとより効果が高まります。聞くだけよりも体を使った体験、ワークを通してシュミレーションすることで、理解が深まります。
また、実践形式の研修は個人のコミュニケーションの癖もわかり、改善点も見つけやすくなります。
良い研修とは情報の詰め込みではなく、すぐに使えることが大切です。
行動に移しやすい内容を意識しましょう。
継続がしやすい
研修は1度おこなえば良いというのものではありません。学んだ内容を実践すると、必ず疑問や課題が出てきます。
フィードバックができるように定期的に開催するのがポイントです。
コミュニケーションに苦手意識を持っている社員が多い場合は、特に何度も研修を受け聴くこと話すことに慣れる機会を作るようにしましょう。
適切な人数と対象にする
コミュニケーションスキルは、年代や立場により違いがあります。研修を受ける対象者を絞ることで、必要な知識を同じ立場の人たちで共有することができます。
また、研修の人数も重要なポイントです。
あまり人数が多いと、一方的な内容になりやすく、実践形式がしにくくなります。
社員の人数によっては、同じ内容を何度かに分けて実施する事が効果的です。
コミュニケーション研修を成功させるために
効果の高い研修をおこなうために、次の3つを意識して企画会社の決定と打ち合わせを行いましょう。研修会社へのリクエスト
研修の効果を最大化するために実践的な内容を研修会社にリクエストして下さい。講義では情報を得るだけです。知識として定着させるためには行動すること実践することが必要なため、行動につながりにくい内容では効果が期待できません。
実際に感じているコミュニケーションの課題を事前にリサーチをして、解決策を見出すような内容も効果的です。
研修目標の明確化と具体化
研修では実際にある課題の解決を目標に現場の声に沿った内容にします。研修担当者と現場の社員との間に課題や目標の差があるケースが多くみられます。担当者の思いだけで進めてしまうと、参加者からは「会社に都合の良い研修」という印象を与えてしまいます。
どのような課題を解決するために、どのようなスキルアップを目指すことが必要なのか。
具体的に掲げることが大切です。
これは参加者だけではなく、研修会社に対しても明確にすることでカリキュラム構築に役立ちます。
変化した社員の姿をイメージする
研修が成功すると職場内に積極性の高いパフォーマンスが生まれます。良いコミュニケーションができるようになると、自分のことも相手のことも思いやることができるようになります。
コミュニケーションが苦手と感じている人でも、意見を聞くこと伝えることができるようになり、自信を持って積極的に行動できるようになります。
社員がどのような悩みを持ち、悩みを解決出来たらどのような変化が個人と組織に与えるかを、具体的にイメージしておくことが大切です。
コミュニケーション研修のカリキュラム例
コミュニケーションには聞き手と話し手が必要です。研修では聞くことと伝えることの両方を学ぶ必要があります。2日間の研修カリキュラム例をご紹介します。
1日目
午前
・コミュニケーションの基本知識・自分のコミュニケーションの特徴を知る
午後
・「聞く」「聴く」「訊く」の違いを知る・傾聴スキルを上げる(グループワーク)
・質問力を上げる(グループワーク)
2日目
午前
・伝わる話し方のポイント・文章の組み立て方
・IメッセージとYOUメッセージについて
午後
・コミュニケーションギャップを生まない会話術(グループワーク)・アサーティブについて(グループワーク)
・対面とオンラインでのコミュニケーションの違いと対策
コミュニケーション研修は効果的におこなう
コミュニケーションは働く人にとって必要不可欠なスキルです。人間関係が良い職場は、社員のモチベーションが上がり、業績にも良い影響がもたらされます。
効率的で効果の高い研修をおこなうために、目的や対象、求める結果を十分に検討することが大切です。
1回で終わるのではなく、継続しやすい方法を取り入れるのも大きなポイントです。
先にも述べましたが、コミュニケーション力は才能ではなくスキルです。
誰でも磨くことができます。
苦手意識を持っている人も、「できるかも」と思えるような研修を企画しましょう。