「デザイン思考研修とはどんな内容の研修なのか」「デザイン思考研修の費用相場はいくらなのか」といった悩みがある人事担当者や経営者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、デザイン思考研修で学べることや効果、費用相場などを詳しく紹介します。デザイン思考研修の実施で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- デザイン思考研修によって学べる内容
- デザイン思考研修によって得られる効果
- デザイン思考研修を実施するための費用相場
キーセッションでは、貴社に合わせたデザイン思考研修を、さまざまな提携研修会社から提案できます。無料相談や問い合わせだけも可能なため、ぜひご検討ください。
デザイン思考研修とは
デザイン思考研修とは、顧客視点で課題を解決するデザイン思考を身につけるための研修です。
デザイン思考には以下の特徴があります。
- ユーザーの視点で課題や問題を解決する
- 前例や固定概念、バイアスにとらわれない
- 問題の定義と解決の意図を明確にして、アイデアの創出や組み合わせを繰り返す
デザイン思考とは、問題や課題がすぐに解決できるものではありません。ユーザーが最も満足できるかたちで問題解決するのが、デザイン思考の目的です。
デザイン思考研修で学べること
デザイン思考研修で学べることは、以下の3点です。
- ユーザーの視点に立った問題の発見方法
- デザイン思考のフレームワーク
- 実務でデザイン思考を活かす方法
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
ユーザーの視点に立った問題の発見方法
デザイン思考研修では、ユーザーの視点に立った問題の発見方法が学べます。デザイン思考は、ユーザー視点で問題を解決する思考法です。
商品・サービスの開発や改善は、ユーザー視点で実施される必要があります。
しかし、自ら商品を開発した企業のスタッフは自社のプロダクトを気に入っているので、商品やサービスへの評価が甘くなりがちです。また、ユーザーが本当はどんなところに悩みや不満を抱えているか視点がずれることもありえます。
まずはこのような考え方を捨て、その商品・サービスに愛着のない一般ユーザーの視点を獲得する必要があります。
デザイン思考研修では、その商品やサービスをはじめて使う人の立場で、使いにくい点や違和感はないかを考える力を身につけられます。
ユーザー視点に立って問題を見つけられるので、商品やサービスの改善にもつながるのです。
デザイン思考のフレームワーク
デザイン思考研修では、デザイン思考のフレームワークを習得できます。このフレームワークは、共感・定義・概念化・試作・テストという5つのステップで成り立っています。デザイン思考のフレームワークを使ってアイディアをブラッシュアップすることで、ユーザーを満足させられる解決策を導けるのです。
研修では、このフレームワークを勉強するだけでなく、ケーススタディやグループワークを通して実際に活用します。
インプットだけでなくアウトプットの訓練もするので、デザイン思考を実務に活かせるようになります。
実務でデザイン思考を活かす方法
研修では、実務でデザイン思考を活かす方法も学べます。書籍を読んでデザイン思考を学んだ人にありがちなのが、理論はわかっているのに実務で役立てられないという課題です。なぜかというと、書籍だけではデザイン思考を実践する方法が身につかないからです。
研修によって実践トレーニングさえ積めば、斬新なアイディアを出して組織を率いる優秀なビジネスパーソンに変貌するかもしれません。デザイン思考研修では、知識はもちろんですが、実践トレーニングに時間を使い、実務でのデザイン思考の活かし方を身につけます。
「知識はあるけど活かし方がわからない」という人にこそ、受講してほしい研修です。
デザイン思考研修が企業にもたらす効果
デザイン思考研修が企業にもたらす効果は、以下の3点です。
- ユーザーのニーズに合った商品・サービスを提供できる
- チームの一体感が向上する
- 社員が能動的に動くようになる
それぞれ、見ていきましょう。
ユーザーのニーズに合った商品・サービスを提供できる
デザイン思考研修後、デザイン思考を活かして商品やサービスを開発すると、ユーザーのニーズにあったものを提供できるようになります。
それにより、自社の商品・サービスを気に入ってくれるユーザーが増え、会社の業績の向上や企業イメージの向上といった効果が期待できます。
言い換えると、「売れる商品を作れるようになる」ということです。企業側が独りよがりな商品やサービスを作るのではなく、ユーザーに支持される商品・サービスを作るためにも、企業のスタッフにはデザイン思考が必要です。
チームの一体感が向上する
デザイン思考を身につけた社員で構成されるチームは、チームワークがあって一体感が良好な傾向があります。
デザイン思考を用いてアイディアをブラッシュアップする際に、多様な観点から意見を出し合うことが必須だからです。チームのメンバー全員が活発にコミュニケーションを取り合うので、チームワークが高まり、社内の雰囲気や働きやすさが向上します。
従来型の企業だと、現場の社員はトップダウンで出された指示どおりに動くだけでした。こうした企業に比べ、デザイン思考を身につけたスタッフで構成されたチームは、自己肯定感が高く、また他人への信頼感も高いです。
職場の雰囲気の良さは仕事の成果にも表れるので、生産性の向上や能動的な貢献といった効果が期待できます。
社員が能動的に動くようになる
デザイン思考が浸透している会社では、社員が能動的に行動する傾向があります。
デザイン思考自体、多様な観点からの意見が必要であり、(他人を貶めるもの以外)どんな発言も許されるからです。自分の意見が会社や社会の役に立つ経験をした社員は、仕事に対してポジティブな気持ちになり、能動的に会社に貢献するようになります。
デザイン思考研修はこんな人におすすめ
デザイン思考研修をおすすめしたいのは、以下2点に当てはまる人です。
- デザイン思考を学ぶ必要性や活かし方を知りたい人
- 企画力やアイデア力を鍛えたい人
それぞれ、見ていきましょう。
デザイン思考を学ぶ必要性や活かし方を知りたい人
デザイン思考研修は、デザイン思考の必要性や活かし方を知りたい人におすすめです。
デザイン思考の必要性や活かし方を知るためには、論理を学ぶだけでなく、実務で使うためのトレーニングも必要です。
また、フレームワークだけでなくグループワークを通じて実践的なトレーニングが可能です。必要性や活かし方が学べ、実務での活用やユーザーの課題解決につながります。
企画力やアイデア力を鍛えたい人
企画力やアイデア力を鍛えたい人にも、デザイン思考研修がおすすめです。デザイン思考研修のフレームワークやグループワークによって、発想力の鍛え方から考え方のヒントまで学べます。
デザイン思考は、イノベーションを生み出すのに大切な思考です。そのため、若手社員から中間管理職、経営層などさまざまな人に役立ちます。デザイン思考研修は、立場に関係なく全社員の受講がおすすめです。
立場に関係なくデザイン思考研修を受けることで、受講者が刺激し合い、社内でのコミュニケーション向上にもつながります。
デザイン思考研修のカリキュラム例
多くの研修は、デザイン思考を学んだことのないビジネスパーソンを対象としています。そのため、デザイン思考の知識がなくても、安心して受講できます。
階層はあまり関係なく、新入社員や若手社員、中堅社員、管理職、経営層とさまざまな立場の人が対象です。また、デザイン思考は一般的なビジネススキルなので、デザイナー以外の人やデザイン領域以外の職種の人を対象に、カリキュラムが作成されています。
■対象者
- 新入社員や若手社員、中堅社員、管理職、経営層などさまざまな立場の人
- デザイン領域以外の職種の社員
- 企画職や新規事業を担当する社員
■目指すゴール
- デザイン思考の基礎を理解し、イノベーションを起こすことの重要性を知る
- ユーザー視点で物事を考えるトレーニングをする
- デザイン思考を実務で活かすきっかけを得る
導入 | ◆デザイン思考の基礎知識
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デザイン思考のフレームワーク | ◆現場でデザイン思考に取り組む際の流れ
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デザイン思考の実践 | ◆ケーススタディ:新しいサービスを考えよう
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まとめ | ◆振り返り
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研修はこのようなカリキュラムで進められます。一般的には、前半に基礎知識を押さえて十分なインプットを積み、後半でグループワークやプレゼンテーションを通してアウトプットの練習を行います。
デザイン思考研修のラインナップ
キーセッションおすすめのデザイン思考研修のラインナップをご紹介します。
研修ごとの特徴も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
問題解決のレシピ【デザイン思考研修】「株式会社ノビテク」
株式会社ノビテクが主催するデザイン思考研修は、新入社員、若手社員、中堅社員、管理職、プロジェクトリーダーなど、幅広い階層の方を対象としています。チームの多様性を活かして「真の問題」を発見し、チームの力で解決策を速く多く模索し、従来の枠を超えた答えや解決策を導き出すデザイン思考を学べます。
- 研修の流れは、以下の通りです。
- オープニング
- デザイン思考のプロセス(1)問題を発見するために必要な「共感」「問題定義」
- デザイン思考のプロセス(2)解決策を考えるために必要な「アイデア出し」「プロトタイピング」
- プロトタイピング(アイデア)発表
- 振り返り
各ステップで、方法論を学べる講義と受講者のグループワークを反復し、座学と実践を繰り返していきます。デザイン思考の方法論を理論的に理解できるとともに、実践して受講者自らできるようになれる研修です。
株式会社ノビテクは、基本的なやり方を学び、そこからうまくやり遂げられる方法を受講者自ら思考できるよう、導いていく研修を主催しています。ビジネスシミュレーションなどの実践トレーニングに重きを置いているので、受講者は眠くならず記憶に残るプログラムに設定されています。
デザイン思考研修の費用相場
デザイン思考研修の費用相場は、1日あたり8〜30万円程度です。金額に大きな差があるのは、実施する研修会社やプラン、内容、日数に応じて異なるからです。
また、中には相場より安い費用で実施できる研修もあります。費用が安い研修は、概念が学べるだけで参加者の高い習熟度が期待できません。デザイン思考研修の質は、講師の経験やレベルに影響されるからです。
デザイン思考研修を実施するポイント
デザイン思考研修を実施する際のポイントは、以下の3点です。
- 研修の効果や感想について面談を設ける
- 社内全体に醸成させる努力をする
- 研修内容をカスタマイズできる会社を選ぶ
それぞれ、見ていきましょう。
研修の効果や感想について面談を設ける
デザイン思考研修実施後、効果や感想についての面談を設けるのが大切です。面談では、学んだ知識やスキルを実務で活かせるよう、アドバイスを送ります。
研修を受けただけでは、実務に活かすのが難しいと感じる社員も少なくありません。研修で身につけた知識やスキルを実務で活かすためには、上司のアドバイスが大切です。
社内全体に醸成させる努力をする
社内全体に、デザイン思考の慣習を広げることが大切です。研修を実施しても社内で醸成されていなければ、デザイン思考による問題解決や業務内での活用は思い通りにいきません。
そのため、デザイン思考にもとづくディスカッションやブレインストーミングの実施が大切です。ディスカッションやブレインストーミングを通じて、社内全体にデザイン思考を習慣づけましょう。
研修内容をカスタマイズできる会社を選ぶ
デザイン思考研修では、内容のカスタマイズが可能な会社を選ぶのが大切です。デザイン思考を身につける目的は、企業や業務内容によって異なります。自社に合っていない内容であれば、せっかくの研修も意味がありません。
自社の掲げる目標を達成するためにも、研修内容をカスタマイズできる会社を選びましょう。
デザイン思考を取り入れている企業
実際にデザイン思考研修を取り入れている企業は、以下の3つです。
- Yahoo!
- Apple
- 任天堂
各企業がデザイン思考を取り入れた事例も、詳しく紹介します。それぞれ見ていきましょう。
Yahoo!
Yahoo!では、2013年から社内にデザイン思考を導入しました。半年に1回、デザイン思考を学んだり実践したりするワークショップを実施しています。
企画担当やデザイナーだけでなく、バックオフィスの業務担当やエンジニアまで、さまざまな社員が参加しているのが特徴です。ワークショップを実施した結果、参加した社員から「業務で活用できた」との声が挙がっています。
Apple
Appleでも、実際の業務にデザイン思考を取り入れています。日本メーカーがユーザーの顕在的ニーズを重要視していた一方で、Appleは潜在的ニーズに注視しました。
そして、デザイン思考を活用し開発したのがiPhoneです。デザイン思考を取り入れ、ユーザーが潜在的にどんな機能を求めているのかを追求した結果、iPhoneの開発に成功しました。
任天堂
任天堂も、業務にデザイン思考を取り入れている企業です。任天堂は、ゲームによって親子関係が悪くなったり、子どものリビング滞在時間が短くなったりする課題に着目しました。
家族の関係がよくなるのをコンセプトとし、開発したのが置き型ゲーム機のWiiです。Wiiの開発では、本体がリビングにあっても邪魔にならない大きさにしたり、低消費電力CPUを導入したりしました。
現場の実状からアイデアを生み出し、今までの常識を超えて開発した、デザイン思考のよい事例です。
デザイン思考研修についてよくある質問
デザイン思考研修について、よくある質問は以下の3点です。
- Q. 研修を受講すれば誰でもイノベーションを起こせますか?
ケースバイケースです。研修を受講してデザイン思考を身につけることは誰でもできます。しかし、知識や技能を発揮できるかどうかは、本人のモチベーションや職場の環境によって異なります。
デザイン思考研修の成果を発揮するためには、組織全体が斬新なアイディアに寛容である必要があります。保守的な企業体質の場合、社員のデザイン思考を育てるのと同時に、マネジメント層を中心にイノベーションの重要性を理解してもらい、企業の風土を、変えていく必要があります。
- Q. デザイン思考はどれくらいの期間で身につきますか?
デザイン思考は一朝一夕では身につきません。
研修の期間自体は1~2日程度のものが多いです。しかし、1~2日でデザイン思考のすべてが完璧に身につくわけではありません。研修で身につけられるのはデザイン思考の基礎部分で、実践を繰り返しながら磨いていくものだと考えてください。
研修で身につけたことを職場で実践し、より成長していくのは、他のスキルと同様です。研修を受講した社員に挑戦できるフィールドを与え、思う存分、発想力を発揮できるようにしましょう。
- Q. BtoBの企業でもデザイン思考は必要ですか?
BtoC、BtoBいずれの企業でも、デザイン思考は役に立ちます。「ユーザーの視点から商品やサービスを見直す」という説明や、「デザイン」という言葉のイメージから、デザイン思考はBtoCの企業のためのものだと考えている方も多いです。しかし、デザイン思考は企業の形態を問わずどこでも役に立つ考え方です。
ただし、BtoCよりもBtoBのほうがユーザーの設定が複雑になることがあり、より高度なデザイン思考が求められます。BtoCの場合、ユーザーはその商品・サービスを受ける消費者です。
BtoBの場合、直接の顧客だけでなくその先にいるエンドユーザー、顧客社内で決裁権をもつキーパーソン、株主など、すべての利害関係者がユーザーとなり得ます。より複雑になるからこそ、デザイン思考を発揮する難易度が上がるので、研修で体系的な知識を身につけることをおすすめします。