研修の必要性
事故や自然災害、情報漏えい、金利変動、為替変動など、企業を取り巻くリスクは多様化・複雑化しています。リスクに適切に対処した経営を行わないと、顧客や株主に大きな損害を与え、信頼を失うとともに経営状態が悪化してしまいます。
大きな損害が出る前に、経営者や社員は起こり得るリスクを把握し、適切に対処しておかなければなりません。
リスクを発見し、適切な対応を行う方法が「リスクマネジメント」です。
リスクマネジメント研修を導入することで、社員にリスクへの対処方法を学んでもらうことができます。
研修の選び方
リスクマネジメント研修を選ぶとき、研修の内容を自社に合わせた内容にカスタマイズしてもらえるか確認しましょう。以下のような情報を研修会社に伝え、自社に合った研修をしてもらうことで、研修のパフォーマンスを高めることができます。
・業種
・業界
・会社規模
・社員構成
リスクの性質は業種や会社の規模などによって異なり、一般的なリスクだけをパッケージした研修では物足りないからです。
費用が安い研修会社だと、カスタマイズに応じてもらえないことがあるので、自社に合った内容に変更してもらえるか確認してから契約するべきです。
組織にもたらす効果
リスクマネジメント研修には、リスクへの対処方法を学ぶだけでなく、さまざまな効果があります。以下のような効果があり、会社に良い影響をもたらします。
主体的な意識の向上
リスクマネジメント研修はワークショップ形式で行うため、社員の主体性を育てることができます。研修では、社員が自らリスクを発見し対処するまでのプロセスを、実戦形式で学びます。
座学で講義を聞くだけではないので、主体的に行動できる人材を育成できます。
コミュニケーションの活性化
リスクマネジメント研修のワークショップでは、複数人でグループを作り、ディスカッションするプログラムがあります。普段、あまり交流が無い社員どうしでグループを作らせれば、研修をきっかけに交流を深めることができます。
社内のコミュニケーションが活性化すれば、仕事が円滑に進むようになります。
リスクマネジメント研修を通じ、職場環境の向上も狙うことができます。
コンプライアンスの強化
リスクマネジメント研修を行うことで、コンプライアンスを強化することができます。研修を通じ、社員はリスクが発現したときの損害の大きさや大勢に迷惑がかかることを学びます。
したがって、情報漏えいやSNSにおける炎上、ハラスメントといった身近なリスクに対しても、コンプライアンスを守る意識を高めることができます。
研修で学ぶこと
リスクマネジメント研修では、リスクマネジメントとは何かといった概要を解説した後、以下の4つのステップで演習を行うのが一般的です。1. リスクの洗い出し
2. リスクの分析
3. リスクの評価
4. リスクへの対応
実際のリスクマネジメントも、この流れで行います。
それぞれのステップで何を学ぶことができるのか、詳しく解説していきましょう。
リスクの洗い出し
リスクマネジメントの最初のステップは、リスクの洗い出しです。研修では、参加者が所属する会社や部署において、どのようなリスクがあるかを可能な限り多く挙げていきます。
一般的に考えられるリスクには、例えば以下のようなものがあります。
・事故
・ヒューマンエラー
・情報漏えい
・SNSにおける炎上
・リストラ
・ハラスメント
・訴訟
・法改正
・為替変動
・金利変動
・株価下落
・火災・自然災害
以上が一般的なリスクですが、リスクマネジメント研修ではより具体的に挙げていきます。
リスクの大小に関係なく、これ以上は絞り出せない、というところまで考えていきます。
リスクの分析
次に、洗い出したリスクを分析し、リスクの重大さを考えていきます。対処する順番を把握するためにも、リスクの重大さを判定するのは重要なステップです。
リスクの重大さは、「発生頻度」と「損失の大きさ」によって決められます。
したがってこのステップでは、洗い出した各リスクの発生頻度と損失の大きさを考えていきます。
リスクの評価
次に、リスクを評価して対応の優先順位を決めます。前のステップで分析した「発生頻度」と「損失の大きさ」を一覧にし、リスクを評価します。
グラフによる可視化(横軸に発生頻度、縦軸に損失の大きさを取ってマッピング)すると、リスクの重大さが見やすくなります。
可視化することで、発生頻度が高く、損失の程度も大きい、最優先で対処するべきリスクを発見することができます。
また、「損失の程度は小さいものの、発生頻度が高いリスク」や「発生頻度は低いものの、発生したら莫大な損失になるリスク」も見つけることができます。
リスクへの対応
優先順位が決まったら、リスクに対応する方法を考えます。リスクマネジメント研修では、参加者の組織ではどのような方法で各リスクに対応できるかを考えていきます。
リスクへの対応方法は、一般的には以下のような方法が挙げられます。
・ポートフォリオ経営
・保険への加入
・事業売却
・リスクの保有
研修では各リスクへの対応策を考えるとともに、スケジュールやコストも考えていきます。
その結果、発生頻度が低く損失の程度が少ないリスクについては、大きな対処をせずにリスクを保有した方が良い、という結論になることもあります。
このような流れでリスクマネジメント研修を行うことで、社員にリスクへの気づきから対応までの一連の思考方法を学んでもらうことができます。
研修を成功させるポイント
リスクマネジメント研修の効果を最大にするために、研修会社にリクエストしていただきたいのが、「自社に合わせた実践形式のワークを中心に行う」ことです。なぜ自社に合わせたワークで研修をしてもらうべきなのか、詳しく解説していきます。
自社に合わせた内容
リスクマネジメント研修は、自社に合わせた内容にしてもらうと効果が高まります。業種によってリスクの性質や大小が異なるため、一般的なリスクマネジメントの講義ではなく、自社に合わせた内容を用意してもらうようにリクエストしましょう。
例えば、製造業だと製造過程の事故や不良品のリコールなどが大きなリスクになります。
IT企業であれば、情報漏えいや法改正などがリスクとして挙げられますし、業種によってリスクの性質は異なります。
このように、業種によって主なリスクは変わってくるので、自社に合ったリスクマネジメント研修を組んでもらうようにリクエストしましょう。
実践形式のワーク
リスクマネジメント研修は実践形式のワークを中心に行うよう、研修会社にリクエストしましょう。組織のリスクを主体的に発見し、対処方法を提案できる社員を育てるためには、座学形式の研修では物足りないです。
リスクを洗い出す方法や分析・評価する方法、コストとスケジュールを踏まえた対処方法の考え方について、実践形式のワークで導いてくれる研修をリクエストしましょう。