経験を積めば優秀なプロジェクトマネージャーになれるとは限りません。プロジェクトマネジメント研修を受講してやり方を学び、効率良くスキルを身につけましょう。
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとは、期限とゴールが決まっているプロジェクトを成功させるため、コントロールすることを指します。
期限があるためスケジュール管理が重要で、期限内にゴールを達成するためのリスク管理も必要です。メンバーとコミュニケーションを取って進捗を管理したり、遅れの発生を早い段階で発見し、速やかに対処しなければなりません。
複数のメンバーが関わるプロジェクトでは、プロジェクトマネジャーが全体を見て、上記のような管理を行います。このような仕事がプロジェクトマネジメントです。
プロジェクト・マネジャーに求められるもの
プロジェクト全体を見渡す立場であるプロジェクトマネジャーには、ひとつの特化したスキルではなく、総合的なビジネススキルが必要になります。ジェネラリストとして特に必要であり、求められるスキルについて解説していきます。管理能力
プロジェクトマネジャーには、スケジュール管理、メンバーの進捗管理、リスク管理など、さまざまな管理能力が求められます。
ここで言う管理能力とは、プロジェクト立ち上げ時に計画を立て、計画から逸脱しそうな部分をいち早く発見し、軌道修正することです。最初に適切なスケジュールを立て、逸脱しないようメンバーとコミュニケーションを取るスキルとも言い換えられます。
問題を分析し打開策を導く力
プロジェクトの立ち上げ時に適切なスケジュールを立てていても、想定外の事態はよく発生します。よって、プロジェクトマネジャーには問題を分析し、打開策を導く力が求められます。問題が発生したとき、原因はどこにあるのか、どうすれば解決できるのかを考えるのは、プロジェクトを成功させるために非常に重要なスキルです。
例えば、原材料が想定の価格より高騰している、という問題が発生したとします。予算に余裕があれば計画を変えずその材料を使用する判断も可能ですが、代替できる材料があれば変更する判断もできます。材料を変更する場合、入手経路はどう変わるのか、入手できるまでにどれくらいの時間がかかるのか、など総合的な判断が求められます。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力も、プロジェクトマネジャーにとって重要なスキルです。各担当者から報告がなければプロジェクトを管理できないからです。現場で困っていることはないか、解決するためにプロジェクトマネジャーとして何かできないか、積極的にコミュニケーションを取る姿勢が求められます。
プロジェクトマネジャーは全体を見ますが、各担当者は自分の業務領域の詳細を見ます。マネジャーと担当者がそれぞれの業務領域で最大のパフォーマンスを発揮することで、プロジェクトを成功させられるのです。
プロジェクトマネージャーは通常、何をすべきかを知っていますが、利害関係者の利益が相反する場合は、その方法がパズルの様にになる可能性があります。
《出典》 決定とジレンマ - Project Management Institute
企業が抱える課題
プロジェクトマネジメントの必要性については以前から指摘されていることですが、まだ日本に定着しているとは言えません。その背景には、日本企業らしい伝統が良い方向ではなく、悪い方向に作用してしまっていることが挙げられます。なぜ日本企業にはプロジェクトマネジメントが根付かないのかを理解できれば、どうすれば良いのかが見えてきます。企業が抱える課題を通じ、これからの企業のあるべき姿を理解していきましょう。
品質にこだわる完璧主義になってしまう
日本の企業は品質へのこだわりが強い傾向があります。良い影響もありますが、完璧主義すぎて納期に間に合わないなど、悪い影響になることも多いです。
プロジェクトを成功させるために意識するべき主な要素として、品質、コスト、納期の3つが挙げられます。日本企業は品質を重視しすぎて、コストが膨らんだり、納期が遅れたりしやすいです。
もちろん、品質が重要なプロジェクトでは、ほかを犠牲にする判断もあり得ます。しかし、コストが重要な場合、緊急性が問われ納期が重要な場合もあるはずです。いつでも品質が最優先ではないのですが、それを理解できない企業が多いのです。
コストを下げるため負担が大きくなる
コストの圧縮を重視しすぎて、現場の負担が大きくなりやすいのも、現代の企業にとって重要な課題です。「品質を保ち、コストを下げる」を徹底した結果、法外な残業を強いてしまい、優秀な人材が退職したり、労務問題に発展したりしがちです。
品質とコストの両方を追求するのは無理があります。企業もこのことを理解した上で、プロジェクトを進めていく必要があります。
プロジェクトを成功させるためのノウハウがない
完璧主義になったり、コスト削減に一生懸命になりすぎたりしてしまうのは、企業にプロジェクトを成功させるためのノウハウがないからです。
品質が高いものを作れば売れる時代は既に終わっているのに、企業はどうしても品質を追い求めてしまいがちです。利益が出ないと経費を削るしかなく、「品質とコストの両立」という無理な課題を設定するしかなくなってしまいます。
このようなジレンマに陥っている企業が、日本には非常に多いです。無理な目標を設定するのではなく、品質・コスト以外の実現可能な目標を設定してプロジェクトを立ち上げる、という新しい価値観が根付かないことも、企業が抱える大きな課題です。
研修の対象者
プロジェクトマネジメント研修の対象者には、主に以下のような社員が挙げられます。
・プロジェクトマネジャー未経験者
・中堅、ベテラン社員
・若手社員、幹部候補
今からプロジェクトを率いる立場の社員も、将来的にリーダーの立場になる社員にも役立ちます。プロジェクトマネジメント自体は、チームでの仕事にも自分の業務にも役立つので、若手社員にも受講させて損はありません。
研修のラインナップ
プロジェクトマネジメントを身につけられる研修を紹介していきます。「創造力を身につけるプロジェクトマネジメント研修」株式会社ノビテク
株式会社ノビテクのプロジェクトマネジメント研修は、想像力、計画力、実行力を高め、新たな価値を生む創造力を身につける効果があります。
研修の対象者は管理職や中堅社員で、プロジェクトを率いるマネジメント層のための研修となっています。研修では、プロジェクトマネジメントの本質の理解、基本と応用、具体的な技術を学ぶことができます。
座学を通じて、プロジェクトとは何か、プロジェクトマネジメントとは何かを学び、成功に導くための本質的な技術と知識を学びます。プロジェクトの成功確率を高めるため、リーダー・マネジメント層の社員は何に気を付ければよいのかがわかります。
ゲームを通じてプロジェクトマネジメントを体験したり、ガント+RACIチャート作成手法、コスト管理表作成手法、リスク管理表作成手法といったプロジェクトマネジメントに使える専門的な手法も身につけることができます。実際のビジネスに即したケーススタディを通じ、臨機応変に対応する力も身につきます。
研修を主催するノビテクは、企業研修や講演、セミナーなどを展開する企業です。「仕事が楽しめる人を一人でも多く増やす」をモットーにしており、仕事のやりがいを感じたり、社員自身が成長を感じられたりするための研修を行っています。

プロジェクトの成功率を飛躍的に高めるプロジェクトマネジメント研修 - 株式会社ノビテク
ビジネスの現場で必要とされる目標設定術/計画術/実行・修正術の知識と技術について集中的に学び、モチベーションを高め、プロジェクトの成功率を飛躍的に高めるスキルを習得する研修です。
「プロジェクト・マネジメント研修」株式会社ビルジネスコンサルタント
株式会社ビジネスコンサルタントでは、ベーシックな内容のプロジェクト・マネジメント研修を提供しています。対象者:リーダー格・中堅社員
期間:3日
期待されている効果として以下が挙げられています。
・プロジェクト運営の基本を理解する
・チーム運営のリーダーシップのポイントを習得する
・リーダーとしての自己啓発ポイントを明確する
つまり基本的な知識をおさえつつ、より具体的なリーダーシップに掘り下げ、さらには本人が積極的にスキルアップする動機付けを行います。
株式会社ビジネスコンサルタントは50年以上の歴史を持つコンサル企業です。海外6都市で研修やコンサルを実施しており、研修業者としてはたいへん信用できる組織。
過去には西日本旅客鉄道株式会社のコンプライアンス向上などにも参画しています。(参照:株式会社ビルジネスコンサルタント)
プロジェクトマネジメント・着実にプロジェクトを進める「進捗管理実践」|エディフィストラーニング株式会社
対象者:PM、チームリーダー期間:1日間
CTC教育サービスは、PMとチームリーダーを対象にややレベルの高いマネジメント教育を実施しています。基本知識のおさらいから実践的なノウハウ・テクニックまで提供。
また演習を実施しながら、具体的な進捗管理について学ぶことが可能です。
ベースとなるカリキュラムは以下のとおりです。
・進捗管理の定義
・実際にすべきこと、やってはいけないこと
・進捗管理における9つのポイント
・進捗管理のやり方と方針
・把握方法やステータスの定義づけ
・進捗管理の実行
エディフィストラーニング株式会社は、企業から個人まで幅広い層に研修を提供している企業です。特にビジネスマン向けの研修を得意としています。(参照:エディフィストラーニング株式会社)
プロダクトマネージャーに必要な「PM入門」|株式会社チェンジ
株式会社チェンジのPM入門は、プロジェクト単位で業務を進められるためのポイントと、PM向けのナレッジを提供しています。また演習を実践し、より多くの知識を学ぶことが可能です。
対象者:PMとして活動している社員
期間:1日間
ベースとなるカリキュラムは以下のとおりです。
・インストロダクション
・プロジェクトマネジメントの概要
・簡易的なプロジェクトの実践
・プロジェクト管理の手法
・管理ツールの運用方法
・作業プランニングの実施
株式会社チェンジは、最新IT技術サービスおよびIT人材育成を実施する企業。人材育成ではPM関係を中心に、システム構築やデザインシンキングなど、より専門性の高いナレッジを提供しています。(参照:株式会社チェンジ)
「プロジェクトマネジメント:成功のための技能」|ラーニング・ツリー・インターナショナル株式会社
プロジェクトマネジメント:成功のための技能では、よりハイレベルなPMとして活躍するためのナレッジやマインドを学ぶことが可能です。講義だけではなくディスカッションや演習問題に取り組むことで、より実践的な知識を身につけられるように設計されています。
対象者:PM、プロジェクトマネジメント初心者
期間:2日間
・プロジェクトマネジメントの基礎、価値、プロセス
・プロジェクトの目標と成果物
・プロジェクト計画の策定
・リスクマネジメント
・プロジェクトコントロール
・プロジェクトの集結
ラーニング・ツリー・インターナショナル株式会社は117カ国69,000以上の企業に対して研修を提供している巨大企業です。経験豊富であり、非常に信頼できます。(参照:ラーニング・ツリー・インターナショナル株式会社)
「プロジェクトマネジメント基礎講座」|株式会社宣伝会議
宣伝会議のプロジェクトマネジメント基礎講座は、基本から応用まで幅広くカバーする研修マネジメントのあり方を振り返りつつ、進捗管理や目標の立て方、そして各場面で活用できるナレッジについて学ぶことが可能です。
ベースとなるカリキュラムは以下のとおりです。
・各ポジションからのマネジメント
・自走するチームを育むマネジメント
・プロジェクトの定義の見直し
・プロジェクト計画の書き方と事例紹介
・関係性・合意形成の進め方
・プロジェクト進行の紹介
株式会社宣伝会議は、マネージャー格に対する研修を提供する企業。講師が充実しており、「プロジェクト工学」提唱者の後藤洋平氏などが、研修を担当します。(参照:株式会社宣伝会議)
「世界で通用するプロジェクトマネジメント研修」トレノケート株式会社
トレノケート株式会社のプロジェクトマネジメント研修は、リーダー層だけでなく、誰もが自分の仕事(=プロジェクト)を管理するプロジェクトマネジャーだとする考えに基づいています。プロジェクトマネジメントの手法を学ぶことで、日々の業務に活用でき、仕事力を高めるのに役立つからです。研修では、入門、基礎、応用、実践の4つのステップでプロジェクトマネジメントについて学びます。PMBOK(R)に準拠し、体系的に学習できます。
トレノケートは世界14の国と地域に25個の拠点を持っています。グローバルなネットワークを活かし、世界で通用するグローバル人材を育成してきました。レベルの高い研修を探している方におすすめの会社です。(参照:トレノケート株式会社)
「初心者から経営層まで学べるプロジェクトマネジメント研修」株式会社アイ・ラーニング
株式会社アイ・ラーニングのプロジェクトマネジメント研修は、プロジェクトの遂行だけでなく、自分の業務の効率化や、プロジェクトを支援する部門のサポート担当者まで視野に入れた研修を行っています。研修で学べる内容は、プロジェクトマネジャーの仕事だけでなく、どのような立場の社員の仕事にも役立つからです。コースはエントリー、ベーシック、アドバンスド、実践講座、特化講座、アジャイルPMなど細分化されています。受講者のレベルを細かく設定して研修を行っているので、初心者からベテラン社員、経営層まで、幅広いレベルに対応しています。
アイ・ラーニングでは、新入社員から経営幹部まで、職種別にロードマップを作成します。一貫した育成ができるので、効率よく社員を成長させることができます。(参照:株式会社アイ・ラーニング)
「非IT社員向けプロジェクトマネジメント研修」株式会社ラーニングエージェンシー
株式会社ラーニングエージェンシーのプロジェクトマネジメント研修では、プロジェクトの定義やマネジメントの全体像を学ぶことができます。対象者は非IT企業の中堅社員です。プロジェクトとは、「決められた期日内に、何らかの目標を達成するために実施される有期的な業務」と定義されます。期日が決まっているからこそ、スケジュール管理やリスク管理が重要になります。研修では、立ち上げから終結までの手順、WBSやガントチャートなど役立つツールの使い方、リスク管理の手順やポイントを学ぶことができ、プロジェクトを成功に導く手法を身につけられます。
ラーニングエージェンシーは、人材育成に関する支援サービス、研修サービス、経営支援サービスを行う会社です。人と組織の力を高め、可能性を広げる人材育成サービスを展開しています。(参照:株式会社ラーニングエージェンシー)
研修で得られるスキル
プロジェクトマネジメントに苦手意識を感じている方も、研修を受講してやり方を身につければ、自然にできるようになっていきます。プロジェクトマネジメント研修を受講するとどのようなスキルが身につくのかを解説していきます。
スケジューリング能力
プロジェクトマネジメント研修では、プロジェクトの立ち上げから終結までの流れを学ぶことができます。一連の流れをスケジュールに沿って進めていくので、スケジュールの立て方を最初に学びます。
具体的には、ガントチャートやPERT、タイムラインなどの図を用いて、スケジュールを可視化する方法を身につけます。可視化するとスケジュールをメンバーと共有しやすくなり、また遅れが一目で分かるので、プロジェクトの成功に近づきます。
コミュニケーション能力
プロジェクトに限らず、ビジネスにおける全般的なコミュニケーション能力も、プロジェクトマネジメント研修で身につけることができます。「~だろう」に代表されるように、都合よく自己解釈されがちな言葉を使わないことなど、基本的なコミュニケーションスキルです。
プロジェクトマネジャーに必要なコミュニケーションは、各業務の担当者から正しく情報を吸い上げ、全体の進捗管理に活かすことです。担当者とマネジャーとで食い違いが発生すると、担当者はすぐに対応してほしい問題を上げたのに、マネジャーにはそれが伝わらず、「大きな問題ではないから対処不要」といった誤った判断を下すことにつながります。
このような事態を防ぐためのコミュニケーション方法も、プロジェクトマネジメント研修で学ぶことができます。
リスク管理能力
リスク管理の方法も、プロジェクトマネジメント研修で学べます。スケジュールを立てた段階で、どのような問題が発生し得るのか、あらかじめ考えておく力です。
問題が発生してから対処するのでは遅いので、あらかじめ保険をかけておくのです。基本的にはプランAで行きたいけど、ここで問題が起きときのためにプランBを考えておき、別の問題が起きたらプランCに切り替えて…と選択肢を用意しておきます。
想定外の事態はどうしても発生するので、あらかじめ予想した範囲を超えるトラブルが起きることもあります。そうした突発的なトラブル対応に専念するためにも、予想できるトラブルへの対処法はあらかじめ考えておきます。
プロジェクトの目標設定方法
大きく2つの目標設定方法があります。それぞれの手法で道筋は異なりますが、期待されるパフォーマンスは同じです。
自身と組織メンバーに適した目標設定方法選びましょう。
SMART メソッド
SMARTは以下の原則をまとめたものです。
- specific:具体的
- measurable:測定可能
- attainable:達成可能
- realistic:現実的
- timely:タイムリー
CLEAR メソッド
CLEAR とは以下の単語の頭文字をとったものでSMARTメソッドに並ぶ代表的な目標設定の手法の一つです。
- collaborative:協力的
- limited:限定的
- emotional:感情的
- appreciable:評価可能
- refinable:改善可能
この段階で、リスク管理計画だけでなく、コミュニケーション計画 (特に外部の利害関係者がいる場合) を作成することもできます。
《出典》 プロジェクトの定義と計画 - NI Business Info
研修についてよくある質問
プロジェクトマネジメント研修を受講する前に、よくある質問を解説していきます。研修によって対応範囲が異なるので、申し込みをする前に確認するのがおすすめです。
講師はどんな人なのか?
プロジェクトマネジメント研修は、講師の質によって成果が大きく変わります。プロジェクトを率いた経験がある講師や、プロジェクトマネジメント研修の評価が高い講師に依頼しましょう。
研修にかかる時間は?
研修に要する時間は研修会社によって異なり、1日で終わる研修もあれば、2日以上にわたる場合もあります。また、初級・中級・上級のようにコースがわかれており、社員の育成段階に応じて受講する研修もあります。
短期間で集中して終わらせたいのか、時間をかけてじっくり育成したいのかなど、自社の人材育成方針を踏まえて考え、研修会社に相談しましょう。自社のニーズを伝えれば、予算や可能な受講時間なども踏まえ、最適なプランを提案してくれます。
オンラインで受講できる?
コロナ禍に突入してから、オンラインで受講できる研修は増えてきています。
対面で仮想のチームを作って実践形式のケーススタディに取り組んだほうが、実際のビジネスに近く理想的ですが、オンラインでも研修は受講できます。研修会社によって内容や料金はさまざまなので、問い合わせして比較してみましょう。