仕事の効率を上げるマネジメントメソッドとして、PDCAサイクルを取り入れている企業は多いと思いますが、最近注目されている新しい手法のOODA(ウーダ)をご存じでしょうか。
この記事では、
・注目を浴びている理由
・PDCAサイクルとは何が違うのか
・取り入れることのメリットは何か
など、OODAの概要を解説します。
新しい方法を使って、今を生き抜くために優秀な人材育成と柔軟な組織を目指していきましょう。
目次
OODAとは
OODAはアメリカ空軍のジョン・ボイドによって考案されたものです。
戦闘時にはその場の状況判断を瞬時におこない行動しなければなりません。このOODAを使うとどのような不利な状態でも逆転することができたと言われています。
OODAの考え方は様々な人により研究がなされ、ビジネスでも応用されるツールになりました。
PDCAサイクルとの違い
PDCAサイクルは、P:Plan(計画)、D:Do(実行)、C:Check(評価)、A:Action(改善)を繰り返し、商品や品質の管理を計画的かつ継続的におこなうものです。
計画通りに進めるため、長期的な戦略で共有しやすいというのが特徴です。
それに対してOODAは、O:Observe(観察)、O:Orient(仮説を立てる)、D:Decide(意思決定)、A:Action(行動)を短期間で繰り返していくため、OODAループとも呼ばれます。
観察から始まるため、計画的ではなく状況に合わせた判断と行動を促すのが特徴です。
PDCAサイクルは変化の少ない組織や業務に向いた方法で、OODAは変化の多い場面で迅速な判断と行動が必要な場面で効力を発揮します。
OODAが注目される理由
生活や価値観の多様化により、消費者のニーズは常に変化しています。
PDCAサイクルで計画を立てている間に、次のニーズが生まれてくる可能性があるため、計画ができた時にはすでに古い計画になってしまうのです。
変化に早急に対応するためには、社会情勢や市場の状況を把握しスピード感を持って商品やサービスを展開しなければなりません。
OODAは観察から始まるため、状況が変化しても柔軟に対応することが出来ます。
OODAの4つのステップ
OODAは4つのステップを繰り返すことで、柔軟な意思決定ができるようになり目標達成につながります。
1.観察
客観的な事実を把握する段階です。
自分の状況や感情、相手の状況、市場のニーズ、環境の変化などの情報を集めます。
例えば
- 私は怒っている
- 彼は喜んでいる
- 新商品は1ヶ月で5万個売れた
- 先月は女性客が男性客の1.3倍来店した
というように、事実やデータから見える情報が必要で、憶測や予想は必要ありません。
2.仮説を立てる
十分な情報が集まったら分析し、データや今までの経験から行動の方向性を決めていきます。
目の前にある情報から考えられる方向性はひとつではないかもしれませんが、その場合は考えられるだけの方向性を挙げて仮説を立てます。
ここで判断を誤ってしまうと、これから先のステップも方向性を誤り成功に進むことができなくなってしまいます。
そのため、一番重要なステップと位置付けられています。
3.意思決定
このステップでは、前のステップで決めた方向性に向かうためにどのような行動をするかを決定します。
行動は仮設に沿ったものである必要があります。ここまでのステップを無駄にしないために、次のようなことをポイントにして考えると良いでしょう。
- どうなりたいか、求めている結果は何かを明確にする
- 行動の選択肢を出す
- 行動の選択肢の中から、一番効果が高いと思われるものを決める
もしここで、仮説に無理がある、具体的な行動に移す段階にないと判断した時は、最初のステップに戻り観察からやり直すことが必要です。
4.行動
決定した行動を実践する段階です。
行動を始めるとOODAサイクルが終了します。そしてまたすぐに2回目のループに取り掛かります。
行動したことで状況が変わったこと、変わらなかったことなどの観察をし、次の行動につなげる方向性を見つけていきます。
もしここで望んだ結果が得られなかったとしても、2回目以降のループで仮説を立て直しまた行動をするだけで良いので、失敗したと思わずに前に進むのが大切です。
OODAのメリット
OODAを現場に取り入れることでPDCAサイクルだけでは得られなかったメリットがあります。
変化に対応しやすい
観察から始めるOODAは、急な変化や変更に対応しやすいのが特徴です。
計画ありきの行動ではありませんので、状況判断をしながら「まずやってみよう」と行動を促すことができます。
何度も仮説を立て直し、調整しながら進められるのが最大のメリットです。
スピード感があり、やりがいを感じられる
トップダウンの指示により行動をするのではなく、現場で判断し意思と行動を決められるため、やりがいを感じやすく達成感も得られやすいと言えます。
もし方向性が間違っていたと気づいたら、すぐに軌道修正ができるスピード感も良さのひとつです。
OODA導入のポイント
現場での判断で進めるOODAは、とても良い方法ですが導入には3つのポイントがあります。
個人のスキルアップを目指す
OODAは個人の能力に左右されることも多く、ひとりで判断し行動をしなければならないケースも出てきます。
社員が孤立したり、能力以上のことをしようと無理をしてしまわないように、サポートが必要です。
意思決定のスキルやチームワークの構築を目的とした研修をする、最初からひとりに任せすぎないようにするといった準備から始めると良いでしょう。
目標を明確にする
OODAでは必ず目標を明確にすることが大切です。
仕事において目標を立てるのは当たり前では?と思われるかもしれませんが、計画から始まらないOODAでは到達地点が曖昧になりがちです。
意識して目標を共有する、自分の中に落とし込む作業が必要になります。
必要に応じた使い分けが大切
OODAは現場向きのマネジメントメソッドです。
変化に対応することができ、何度もやり直しがききます。
その一方で、長期的で普遍的な業務には対応しにくい、個人の成長がわかりにくい、共通の目標を持ちにくいというデメリットもあります。
変化が起こりにくい部分はPDCAサイクルを使い、スピード感を持って対応しなければならない部分はOODAを活用するというように、使い分けが効果的です。
柔軟な対応がこれからのカギ
OODAはPDCAサイクルにはない柔軟な対応とスピードが特徴です。
変化が速い今だからこそ、OODAを導入して状況や環境にあった商品やサービスの提供を可能にできるかが、今後の企業のカギとなります。
上司やトップの指示がなければ動けないのではなく、現場に任せられる部分は積極的に任せることで、高い成果が見込めます。
マネジメントは、必要な人材を育て、パフォーマンスを最大限に発揮できるように体制を整え実践するスキルです。社員の特性を生かした配置、能力と仕事に見合った報酬体制、必要な知識やスキル取得のサポートが行えるリーダーを育成する研修です。