ブランド戦略について有名企業の事例を用いてわかりやすく解説

企業が安定して成長を続けるために、自社ブランドの拡販や認知度の向上は欠かせません。
ブランド戦略が上手くいけば、予定よりも大きな売上を記録し、会社の目標売上を上回ることができます。
そこで今回は具体的なブランド戦略の立て方やポイント、実際に得られる効果などわかりやすく解説していきます。

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ブランド戦略とは

スターバックスコーヒーの店内
まず最初にブランド戦略とは、自社のブランドの価値を向上させるために行う計画を立て、実行することを指します。

具体的には自社のブランドを広め購入につなげたり、世間から認知されることです。
わかりやすくいうと、スターバックスのコーヒーと無名のコーヒーが同じサイズで700円だとします。その際スターバックスは美味しい、おしゃれ、期待以上の味といったブランド認知が浸透しているため、多少平均より高い金額でも消費者は購入します。
しかしブランドが浸透していない無名のコーヒーの場合、よほど理由がない限り消費者は購入しません。

このように「スターバックスのコーヒーなら買いたい」といった気持ちを起こさせることが、ブランド戦略です。

ブランディングとの違い

ブランド戦略を行う上でブランディングは、自社のブランドを消費者に認識させることを意味します。
先述の例でいうと、消費者はスターバックスというブランドを信用しコーヒーを買います。これはスターバックスが自社のコーヒーを「美味しい」「期待を上回る味」「コーヒーブームの最先端」といったイメージを消費者に認識させているからです。
上記のイメージを消費者に認識させるための一連の流れがブランディング、その後出来上がったイメージをもとに拡販を行うことがブランド戦略です。

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ブランディング研修

ブランディング研修では、企業や製品のブランド価値向上を目指すための研修プログラムを紹介しています。ブランディングの基本要素や手法を学び、事例分析を通して知識とスキルを習得することができます。ターゲットオーディエンスの理解、ブランドの一貫性の確保、変化への適応能力などの学びも提供されます。また、ブランドエッセンスの発掘と定義、デジタル時代のブランディング戦略、ストーリーテリングによるブランド価値向上など、様々なテーマに焦点を当てたカリキュラムが提供されています。


ブランド戦略が必要になった背景

ブランド戦略が必要になった背景として、競合他社の増加とマーケティングの重要性が挙げられます。
まず競合他社の増加ですが、毎年多くの企業が誕生し様々な商品を開発、販売しています。中にはヒット商品を生み出し、先駆者となる企業を圧倒し急成長を続ける企業も出ています。

それらの企業と戦い抜き自社の商品・サービスを売るためには、自社にしかない強みや競合他社の動きを把握しなければなりません。その際自社の商品を、他社では真似できない唯一無二の存在として確立するためにブランド戦略が必要となります。
ただ闇雲に良い商品を制作しても、特徴や特異性、適切なブランディングがされていなければ浸透しません。そのため競合他社の多い現代では、ただ良い商品をつくるだけでは拡販が難しいため、企業それぞれが自社のブランドを確立しマーケティングに活かしています。

ブランド戦略が企業にもたらす効果

インスタにカフェの食事を投稿する女性
企業が適切なブランド戦略を確立すると、単純に売上が上がる以外に多くの効果を得ることができます。

自社商品の差別化

まずはじめに、ブランド戦略を行うことで商品の差別化が行なえます。
同じくスターバックスの例でいうと、「おしゃれ」「流行」を意識している層に対して、スターバックスの商品はそのニーズを叶えてくれます。ここでもしもブランド戦略が行われていなければ、他のおしゃれなコーヒーショップが優位に立てます。
このようにブランド戦略を行うことで自社商品を差別化し、明確な強みを付加価値として与えることができます。

リピート顧客の獲得

ブランド戦略を行うことで、リピート顧客の獲得に繋がることは見逃せません。
よく顧客ロイヤルティという言葉を聞きますが、自社のブランドが顧客に浸透していれば、ブランド力が購入意欲に繋がります。また顧客ロイヤルティを確立することで、定期的に購入してくれるリピーターの獲得にも繋がるため、非常に大きなメリットです。

例えば街なかで、ひとまず休憩したいと思った顧客がいたとします。そして近くを見渡し、いくつかカフェがあったとします。
その際どんな品揃えで、どんな内装か分からないカフェよりも、すでに信用しているスターバックスを利用する人は多いです。このように一度ブランド戦略が成功すれば、長期に渡り顧客からの支持を集めることができます。

価格競争の回避

ブランド戦略が成功していれば、競合他社に価格競争の面で負ける確率を大きく下げられます。
例えばスターバックスのコーヒーが700円、初めて見るコーヒーが600円でなおかつ、同じサイズで販売されていたとします。
すでにスターバックスのブランド戦略が浸透している層の多くは、100円高くてもスターバックスのコーヒーを買います。
そこにはスターバックスというブランドが浸透し、信頼を得ているからです。
そのため単純な価格競争に巻き込まれることなく、自社の指標で価格を決めても、売上が落ちることはありません。
このように商品のブランド自体に付加価値をもたせることで、多少高額な商品でも顧客は購入をしてくれるメリットがあります。

ブランド戦略の立て方

実際にブランド戦略を建てる際、主に以下のようなステップで立案します。

  1. ターゲティング
  2. ブランドのポジショニング
  3. ブランドの差別化
  4. デザイン制作
  5. 訴求

それぞれ特徴が異なるので、解説していきます。

ターゲティング

まずは自分たちのブランドを認知して欲しい人は誰か、具体的にターゲットを決めます。
ターゲットを決める際、欲張って様々な層へ訴求しようとすると、逆にブランドの指針が定まりません。
そのため年齢や性別、趣味嗜好をもとにどの層へ訴求をしたいのか、範囲を絞ってターゲティングを行いましょう。

ブランドのポジショニング

次に現在の市場において、自社商品の位置づけはどのあたりかポジショニングを決めましょう。
例えば商品の質にこだわらず低価格で勝負するのか、それとも富裕層をターゲットにして少し高くて高品質なものを作るのか、企業により様々なポジショニングがあります。
またブランドのポジショニングを設定することで、のちほど行うブランドの差別化にも繋がります。
そのため、やみくもにブランドを展開するのではなく、ターゲットに合わせたポジショニングを意識することで商品の売上も変動します。

ブランドの差別化

ポジションが定まった後は、自社のブランドはどのような個性があるのか定義し、差別化を図りましょう。
多くの企業が様々な商品を開発し続ける現代、特徴や目立つ差別化がないと他の商品に埋もれてしまい消費者に認知されることさえ難しいです。
そのため明確なブランドコンセプトを決めた後、市場の中でどこのポジションを狙うか定め、そのためにはどのようなアイデンティティが必要が決めていくようにして下さい。

デザイン制作

上記のフローが完成したら、次はロゴやキャッチコピーなどのデザインを決めます。
ブランドの概念は可視化ができないため、ひと目見たら消費者の頭に商品が浮かぶようなキャッチーなものが望ましいです。
例えばアップルのロゴはリンゴのマークであり、アップル製品は高額ながらもその期待を上回るだけのデバイスを販売しています。
そのためリンゴのマークを見た人は、アップルの優れた商品を頭に思い浮かべるでしょう。
また「お値段以上、ニトリ」のキャッチコピーで知られるニトリも、ブランド戦略を確立しています。
お値段以上、と聞くだけで多くの消費者はニトリの商品を思い浮かべます。
このように方向性の決まったブランドを、可視化し記憶されるようにするためにもデザインの制作は欠かせません。

訴求

最後に、完成したブランドを認知させる方法を考えましょう。
ターゲットに合わせてネット広告や4マス(※)、紙媒体など手法は様々です。
訴求に関してはターゲットが主に広告するシーンを考慮し、それに合う媒体を選ぶことを推奨します。
※4マスとは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の広告4大メディアのこと

ブランド戦略を成功させるためのポイント

お店を象徴するロゴカップとスイーツの画像
ブランド戦略を行う際、いくつか気をつけるべきポイントが存在します。
それぞれ抑えておくことで、戦略の成功に繋がるため参考にして下さい。

ブランドのコンセプトの一貫性

まず最初に、ブランドコンセプトはブレることなく一貫性をもたせる必要があります。
ターゲティングについての説明でも触れましたが、1つのブランドで多くの層を取り入れようとするとうまくいきません。コンセプトも同じく、どの層にもリーチしようとすると片方に届きづらくなります。

わかり易い例でいうと、携帯電話を販売するとします。
その際にIT系やWeb系に勤めハイエンドなモデルが欲しい人と、使い方が分からないお年寄り世代では明らかにニーズが違います。
そのためブランドのコンセプトとしてはどちらか一方に絞らないと、対極で交わることのない要素を無理やり混ぜてしまうことに繋がりかねません。
つまり、ブランドコンセプトに一貫性をもたせられるような戦略が必要になります。

ブランドのインパクト

一貫性とともに戦略成功の鍵を握るのが、ブランドのインパクトです。
ブランド戦略を実施する上で、消費者の感情を刺激するようなインパクトは必要不可欠といえます。特にこのインパクトは非常に大切で、「ブランド=イメージ」に直結します。

例えばスターバックス=おしゃれ、ニトリ=安い、apple=高性能とそれぞれのブランドにインパクトがあります。
そのためおしゃれな気分になりたい時はスターバックス、安く買い物したいのであればニトリ、性能の良いPCがほしいならappleと、消費者は購入検討の際でイメージをします。
このようにブランドが持つインパクトはイメージに繋がり、消費者の購入意欲にそのまま直結するケースが珍しくありません。
そのためブランドコンセプトを定め、どのようなインパクトを与えたいか、きちんと戦略立てるようにしましょう。

ブランド戦略の成功例

海外の成功例でいうと、富裕層をターゲットにしたルイ・ヴィトンが挙げられます。
本来拡販のためにテレビCMを打つことは主流とされており、一度に多くの層に対してアプローチが可能です。
しかし、ルイ・ヴィトンのターゲットは収入の高い富裕層です。
そのため富裕層に絞ったブランド戦略を取り、あえてメディアの露出を制限しました。
また大量生産を行わず、高品質のアイテムを期間ごとのサイクルで販売しています。
結果的に「限定感のあるハイブランド」としてのブランドコンセプトが完成され、多くの人から愛されるハイブランドの地位を築きました。

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