- 仕事へのモチベーションが低い社員に頭を悩ませている
- 社員のモチベーションは一度下がるともう上げられないの?
- モチベーション高く仕事に取り組む社員を育てるには?
こういった悩みを抱える経営者や人事担当者は多くいます。社員のモチベーションは、仕事の質や業績に直結する重要な要素です。そのため、モチベーションをマネジメントすることは、企業の成長に欠かせません。
この記事では、モチベーションが低下する原因やリスクについて簡潔に説明しながら、モチベーションを高める方法を解説します。
目次
モチベーションを上げるメリット
モチベーションを維持・向上させることは、単に「気分が良い」だけでなく、実際の業績や組織の健全性にも直結します。ここでは、モチベーションを高めることの具体的なメリットをいくつか挙げてみましょう。
- 生産性の向上
- クリエイティビティの促進
- 職場の雰囲気向上
- 従業員の定着率向上
- 顧客満足度の向上
これらのメリットを理解し、モチベーションを維持・向上させる取り組みを積極的に行うことで、組織としての競争力を高めることができます。
モチベーションが高いと、業務に対する取り組み方が変わります。自主的に業務を進め、効率的にタスクを完了させることができるため、生産性が向上します。新しいアイディアや提案が生まれやすくなり、新しいプロジェクトや改善活動の際に非常に役立ちます。
高いモチベーションで、そのポジティブなエネルギーは他のメンバーにも伝わり、職場全体の雰囲気やチームワークが向上します。
モチベーションが高い状態で働くことは、職場の満足度を高める要因となります。従業員の離職率が低下し、長期的に組織に貢献するメンバーを増やす事ができます。さらにモチベーションが高い従業員は、顧客との関わり方も変わります。顧客への対応が向上し、結果として顧客満足度も上がることが期待できます。
モチベーションは、仕事の「原動力」
モチベーションは、英語の「motivation」からくる語で、「やる気・意欲」という意味です。「何かの行動を起こすときの動機」というニュアンスもあわせ持ち、ビジネスの場で用いられる際は、仕事に前向きな気持ちで取り組むための原動力という意味があります。
「モチベーションが低い」とは、仕事への活力が失われ、社員の自主性や創造性・周囲の人と協調する力などが低くなっている状態です。一方で「モチベーションが高い」と、自ら創意工夫をしながら業務に取り組み、一緒に働く人やチームに良い影響を与えます。
このように、社員のモチベーションを維持・向上させていくことは、個人の成長にとって良いだけでなく、組織全体のレベルアップにも寄与する重要なポイントです。
仕事へのモチベーションが低くなる3つの要因
仕事に対するモチベーションについて考えるとき、まずはそれが低くなってしまう原因を知る必要があります。ここでは、社員のモチベーションが低くなる主な要因3つについて解説します。
肉体的な問題
健康な肉体がなければ、いきいきと前向きに仕事に取り組む姿勢は生まれません。健康・睡眠・食事といった、社員それぞれが管理すべき事柄もありますが、会社が労働環境を整えることも非常に重要な要素です。社員食堂や休憩スペースの整備は、確かに経費はかかりますが、長い目で見れば社員の肉体面での健康増進に効果があります。
さらに、労働時間の見直しも大事です。残業や休日出勤が多いと、社員は休む暇がなくどんどん疲弊していってしまいます。肉体の疲れが溜まれば、精神面にも悪影響を及ぼします。業務効率の見直しやIT技術の導入などを検討し、人手不足を解消する施策をとりましょう。
精神的な問題
「エン転職」を展開するエン・ジャパン株式会社が2018年に実施した調査によると、「人間関係が転職のきっかけになったことがある」と答えた人は、全体の半数の53%でした。
【図1】転職の経験がある方に伺います。人間関係が転職のきっかけになったことはありますか。
業界や業種を問わず聞かれる人間関係の悩みは、多くの場合に当事者間での解決は難しく、中には精神的に追い詰められるほど悩んでしまう人もいます。
高圧的な上司や先輩がいる、ハラスメントを受けているといった場合、社内ではなかなか相談しづらいものです。社員が気軽に相談できる窓口を作る、日頃のコミュニケーションを見直すための研修を実施するなど、誰もが心地よい人間関係を作るためのベースを会社として整えていくことが大事です。
出典:エン・ジャパン株式会社1万人に聞く「職場の人間関係」意識調査
金銭的な問題
給与や賞与が低いといった金銭的な問題も、仕事へのモチベーションを左右する要因です。給与への不満を口にする社員の多くは、同時に会社からの評価に不満を抱えている場合がほとんどです。頑張っても報われない、誰も努力を認めてくれないと感じると、前向きに業務に取り組むことをやめてしまったり、他の会社に目を向けて転職してしまったりするのも仕方のないことです。
収入ばかりが仕事の対価ではないとはいえ、社員にも暮らしがあり、収入が上がれば達成感や自己肯定感が上がるのも事実です。不満を抱える社員にはしっかりと向き合い、まずは会社と個人の認識の間にあるズレを対話で解決する姿勢を示すことが重要です。
年代別に見るモチベーション低下の事例
一言で「モチベーション低下」と言っても、社員の年齢や役職によってその内情は様々です。それぞれの年代で抱えがちな悩みをあらかじめ知っておけば、ストレスが蓄積する前に適切な対処をし、モチベーション低下が防げます。
新入社員~若手社員の場合
・入社前に抱いていたイメージとのギャップに戸惑う
・業務でうまくいかないことが続いて落ち込む
・将来のキャリアが見通せず不安を抱く
社会に出て間もない新入社員・若手社員は、環境の変化や覚えるべき業務の多さに戸惑い、自分にこの仕事が続けられるのかと不安を感じがちです。もしも入社前と仕事のイメージが違っていた場合は、早期離職のリスクもあるため、早めに上司や先輩社員がフォローに入るべきです。
また、採用現場でのミスマッチを防ぐ根本的な施策も必要でしょう。身近な社員がお手本となって真剣に仕事に向き合う姿を見せれば、「将来はこんな働き方ができる社会人になりたい」という目標ができ、キャリアパスへの不安も解消できます。
中堅社員の場合
・忙しさに追われて肉体的な負担が増える
・責任ある役職に就くことへの精神的な負荷
・会社から適切な評価が得られないことへの不満
ある程度キャリアを重ね、後輩の育成や新たな役職を任される中堅社員。毎日が忙しく、目の前の業務をこなすだけで精一杯という場合も少なくありません。そんな中で会社から自分の仕事ぶりを正しく評価してもらえないと、モチベーションが下がってしまうのも当然です。
会社の将来性や、自身の経験・スキルを今後も伸ばしていけるかどうかで悩み、転職を視野に入れ始める社員も多い時期です。優秀な人材を自社に留めておきたいなら、社員が適切に評価され、やりがいのある仕事に従事し、能力に見合った給与・賞与が受け取れる環境を整えましょう。
ベテラン社員の場合
・自分のキャリアや仕事に効力感を感じにくくなる
・年下の上司の出現でやる気を失ってしまう
・社内で自分の担うべき役割や仕事がないように感じて焦る
ベテラン社員は体力や気力が低下する年齢に入ると、社内での自分の役目がわからなくなり、自己肯定感が下がる場合があります。特に年下の上司ができると、一気に仕事のモチベーションが低下してしまう人もいます。
誰でも立場が変わったときは戸惑いを感じるものです。それを周囲がしっかりと理解・フォローし、ベテラン社員が会社を支え、後輩や部下を導く重要な役割を担うことを思い出してもらうのが大事です。
社員のモチベーション低下によるリスク
社員のモチベーションが下がってしまうと、企業の経営や現場の仕事にどのような影響が出るのでしょうか。ここではモチベーション低下が招くリスクについて解説します。
社員が能力発揮できず、業務効率が下がる
仕事へのモチベーションが低くなると、仕事に対して「やらされている」気持ちが大きくなっていきます。
- 自ら考えて工夫することをやめてしまう
- 先のことを見通し、計画を立てることをしない
- 指示待ちになったり仕事の質が落ちたりする
これらの状態が長く続くと、最終的には仕事のやりがいを失います。そんな受け身の社員が複数人いると、チームの士気が下がり、業務効率が低く結果の出ない組織になる可能性があります。
退職者が増加する
モチベーションが低い社員は、周囲に良くない影響を及ぼします。具体的には、業務のフォローが必要となって周りの社員の負担が増えたり、後輩社員にとって悪い意味での見本になったりします。優秀な人ほどそんな雰囲気の変化を敏感に感じ取り、「この会社に将来性はない」と判断して早期に離れていってしまうものです。
社員が以前に比べて元気がない、仕事に向かう姿勢が後ろ向きになったと感じられる場合は、周囲に影響が出る前に面談などで本人に話を聞き、適切な対応をしましょう。
会社の業績が下がる
社員のモチベーションが低いままで放置しておくと、業務の円滑な推進を妨げ、結果として業績も伸びなくなってしまいます。会社の成長には、社員一人ひとりの前向きな姿勢と、事業計画に沿った目標達成が欠かせません。モチベーションは仕事の成果に直結するものです。
給与体系・評価制度・労働環境・目標管理など、社員の能動的な姿勢を引き出し、高いパフォーマンスが発揮できる環境をあらゆる面から整えていくことが重要です。
モチベーションが高い組織の特徴
仕事に対してモチベーションが高い人材が集まる組織は、社員一人ひとりのパフォーマンスが高く、さらに人材の定着や業績の面でもプラスに働きます。以下では、モチベーションを高く持って仕事に取り組む組織の特徴を3つをお伝えします。
コミュニケーションが円滑になる
仕事に対するモチベーションアップは、人間関係づくりにも良い変化をもたらします。
- 互いを思いやり認め合う雰囲気が生まれる
- 困ったときにメンバー同士が助け合えるチームになる
- 社員同士の対話から新しいアイディアが生み出される
前向きに仕事に取り組むためには、社員同士のコミュニケーションが欠かせません。業務でつまずいても、相談しやすい雰囲気があれば悩みの早期解決が図れます。チームの結束が高まれば、先輩が後輩に教える風土が自然に定着し、結果として社員教育にかけるコストの削減も期待できます。
社員の成長スピードがアップする
モチベーションが高い社員は、指示を待つことなく積極的に仕事に取り組み、さらに業務効率を上げるために創意工夫します。会社の業務に達成感や自己効力感を見出しているため、パフォーマンスが最大限に発揮でき、良い結果を生み出します。
そのことが周囲からの評価や尊敬につながり、昇給や昇進という形となってますます好循環へとつながるでしょう。業務に関連する資格取得や研修の受講にも意欲的に取り組むため、スキル面での成長スピードも高い水準で推移することが期待できます。
お客様から選ばれる企業になる
社員自らが高い熱意を持って仕事に取り組むことは、お客様へのおもてなしや、商品・サービスの開発も高い水準を維持できることにつながります。変化の激しい現代社会では、社員一人ひとりのパフォーマンスを高く保つことは他社との差別化において欠かせない要素です。よりお客様に喜んで欲しい、便利さや快適さを提供したいと考えて仕事に向かう社員が多ければ多いほど、商品やサービスの品質はますます高まり、お客様から選ばれる会社になれます。
社員のモチベーションを高める方法
モチベーションは「個人がそれぞれ意識して高めるもの」と思われがちです。しかし、企業が社員を取り巻く環境を改善することで、モチベーションアップが実現する場合もあります。ここでは、社内の環境や定期的な取り組みを整備して、社員のモチベーションを高める方法を紹介します。
職場環境を見直す
経営者や人事担当者がまず取り組むべきことは、社員が精神的・肉体的に安心して業務へあたれる環境づくりです。近年増加傾向にあるメンタルヘルス問題への施策や、職場でのハラスメントを防止するための研修の実施など、業務以外で社員が抱える悩みを一つでも減らす努力をしましょう。そうすれば、社員は業務にしっかりと集中でき、作業効率の改善や業績を上げることにもつながります。
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人材アセスメントを活用する
人材アセスメントとは、客観的なデータをもとに社員の能力や適性に合った人員配置を行うことです。人材育成を手掛ける会社などがサービスの一環として、人材アセスメントのツールを提供しています。外部のツールを用いるため、客観的なデータに基づいて社員を評価・査定できます。
人事評価と最も異なる点は、上司の主観が入らないことです。それぞれの社員の適性を見極め、最大限に能力発揮が可能な部署へと配置できれば、個人のモチベーションが上がりますます組織に貢献する人材になるでしょう。
社員が目標設定をする機会を設ける
モチベーションを維持・向上するには、やはり目標設定が不可欠です。1年に数回、目標を設定・見直しする機会を設けて、社員それぞれが目指す地点に到達できているかをチェックしましょう。
目標設定は、自社内でのキャリアパスを見通すことにもつながります。もし目標に向けて伸び悩んでいる社員がいれば、本人が望む将来の姿と照らし合わせて、必要な資格の取得や研修の受講といった具体的なキャリア支援を行うことも重要です。キャリア支援のノウハウ不足に悩む方は、コーチング研修や人材育成研修などを積極的に活用し、プロのサポートを受けることをおすすめします。
フォローアップ研修や面談を実施する
モチベーションの低下は、個人の問題だけが原因ではありません。多くの場合、職場の人間関係や働く環境にも要因が隠れています。上司や人事担当者が社員のモチベーションに気を配り、個別のフォローが必要となる場合もあります。
そんなときに役立つのが、フォローアップ研修です。業務に必要なスキルを身につけたり、社内外でのコミュニケーションを見直したりする機会を定期的に設け、社員の成長を促しましょう。基本に立ち戻り、新たな気持ちで業務に取り組むきっかけとなります。
また、1on1ミーティングなどの面談を行うのも効果的です。その際に注意すべきは、上司が自分の意見を押し付けすぎないこと。あくまでも社員が自らの力で課題を見出し、その克服に向けて行動を始めるのが大事です。困ったことがあればいつでもバックアップする体制があることを伝え、社員が安心して働ける環境づくりに努めましょう。
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社員同士の交流の場を設ける
普段は接点のない社員と話す機会を設けるのも、モチベーションアップに役立ちます。社内行事や、違う部署の社員と一緒に研修で学ぶ機会は、社員にとって新たな刺激となるからです。
部署を横断したプロジェクトや、定期的な社内勉強会などで幅広い人間関係づくりを推進すると、同じ目標に向かって頑張る仲間としての意識が芽生えます。仕事の面でも、部署間のコミュニケーションがスムーズになるメリットが得られます。
感情にアプローチすることで“やる気”を無理やり出すのではなく、自動継続・創造していくモチベーションアップ研修です。 社員一人ひとりが心の底からワクワクして、イキイキと楽しく働ける環境を自らつくるスキルを解説していきます。
参照記事:メンタルが強い人の特徴については以下の記事もご参照ください。
メンタルが強い人の特徴 - メンタルの強め方を紹介
ストレングスファインダー研修で個人のモチベーションを高める
ストレングスファインダーは、個人の持つ強みを明らかにし、それを最大限に活用するためのアプローチです。
- 自己認識の向上
- 強みを活かした業務遂行
- モチベーションの向上
ストレングスファインダーを通じて、社員は自分の持つ強みや才能を具体的に理解することができます。自分の強みを知ることで、自信を持って仕事に取り組むことができるようになります。
知識として自分の強みを理解するだけでなく、それを日常の業務にどのように活かすかの具体的な方法を学ぶことができます。これにより、より効果的かつ効率的に業務を遂行することが可能となります。
自分の強みを活かして仕事をすることで、達成感や満足感を得やすくなります。これがモチベーションの向上に繋がります。
ストレングスファインダー研修は、自分自身の強みを知り、それを活かすことで、個人のモチベーションを高めるだけでなく、チーム全体の生産性や協力の精神も向上させることが期待できる研修です。