便箋と万年筆

外部に社員研修の講師依頼をした時、終了後のお礼は研修当日に講師に直接お伝えします。お礼はそれだけではなく、後日お礼状をお送りするとより丁寧で気持ちが伝わります。

お礼状は感謝の意を伝えるだけでなく、フィードバックの共有にもなり次回研修を依頼する際にフィードバックが反映され研修の質を高める狙いもあります。

いざお礼状を書こうとして、何をどう書いたら良いのかわからず困ってしまい、出すタイミングを失ってしまったということがあります。出すのが億劫にならない、気持ちが伝わるお礼状の書き方を覚えておきましょう。

今回は研修後に講師へ送るお礼状の書き方と、そのまま使えて応用もできる例文をご紹介します。

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講師へお礼状を出す良さ

メールでのやり取りが多くなり、電話や手紙の存在がやや薄れている昨今だからこそ、お礼状はビジネスにおいてとても大切なものと言えます。

感謝の気持ちが伝わる

お礼状は何百人に一斉に出すのでなければ、手書きをするのが効果的です。書いた人の気持ちが文字に乗り、相手の心に響きます。

改めてお礼状が届くと、講師もやって良かったとうれしくなります。

今後の関係性が良くなる

研修後まで丁寧な対応をしてくれた企業とは、長くお付き合いをしたいと思いますし、心の距離が縮まります。

研修は一度きりではなく、何度も何年も必要なものです。良い関係を作り今後に生かすためにも、お礼状はとても大切なコミュニケーションになります。

お礼状のマナー

お礼状を書く時に、気をつけなければならないポイントがいくつかあります。講師や研修を請け負ってくださった企業様に失礼のないように基本マナーをおさえておきましょう。

出すタイミング

お礼状はできればその日のうちに書き、投函します。研修時間が夜や会場が社外の場合など、すぐに書けない時には、3日以内に先方に届くようにしてください。

あまり時間が経ってしまうと、お互いに研修の記憶が薄れてしまいますので、感謝の気持ちや研修を受けて気持ちが高まっている時の文章や言葉のほうが思いが伝わりやすくなります。

下の立場から書く

初めてお願いする講師でも、お付き合いの長い講師でも、教えを乞う立場の自分たちの立場を下にして、文章を書くようにします。

敬語を正しく使い、過度にならない程度に尊敬語と謙譲語を使い分けて書くことがポイントです。

便箋手書きが基本だがメールでも良い

正式なお礼状の場合は便箋に手書きが基本ですが、はがきでも問題ありません。フォーマルさを重視するのでしたら便箋がお勧めです。

また、最近ではメールでお礼を伝えるケースも増えています。

お礼状を出す相手との関係性により、ツールを使い分けましょう。

お礼状書きのアイテム

お礼状を直筆で書くのであれば、便箋や封筒、筆記用具にもこだわり、印象アップを心がけたいものです。

便箋

白の無地のものを選ぶのが基本ですが、華美なものでなければ透かしが入ったもの、和紙などもおすすめです。

縦書きでも横書きでも特にルールはありませんが、縦書きはかしこまった印象になり、横書きはややカジュアルな印象になります。

封筒に入れる時は三つ折りにし、封筒の裏から見て書き出しが右上にくるように入れます。

封筒

便箋とお揃いのものがあれば一番良いですが、ない場合は白の封筒を用意します。茶色の封筒はビジネス色が強くなり、正式な文章用としては不適切です。

便箋が縦書きの場合は封筒の宛名も縦書き、便箋が横書きの場合は宛名も横書きにし、書き方を統一させることも忘れないようにしてください。

敬称は個人名では『様』を、企業宛では『御中』を使います。

筆記用具

黒か青のポールペンや万年筆で書くようにします。

間違えた時に修正ペンを使ったり、文字をごまかしたりしてはいけません。自信がない時は下書きをしてから書くようにしましょう。

お礼状の文章構成

お礼状は普通の手紙と違い、文章の構成をしっかり立てることが大切です。5つの要素で構成し、あまり長くならないように簡潔に書くようにします。

参考:手紙の書き方大事典「手紙の書き方用語集

前文

『拝啓』『謹啓』などの頭語、時候の挨拶、相手を気遣う言葉の3つを書きます。

時候の挨拶は月や季節によりさまざまな表現があります。古くから使われている『~の候』という表現は、やや事務的な言葉に感じてしまうため、自分の言葉を加えると良いでしょう。

主文

本文の部分になりますので、研修のお礼を書きます。

研修を受けて感じたこと、社員のその後の様子などを交えながら感謝の気持ちを伝えます。

主文に入る前には、起語と呼ばれる『さて』『早速ですが』『このたびは』というような言葉から始めるのが一般的です。

末文

内容のまとめ、講師の健康や今後の活躍を祈る言葉を書き、結語で終わります。

結語は『拝啓』の場合は『敬具』、『謹啓』の場合は『謹言』となります。頭語に呼応する言葉を間違えないように使うようにしてください。

後付

最後に、書いた日付、差出人(自分の氏名)、講師の名前や企業名を書き、いつ、だれが、誰に書いた文章なのかがわかるようにします。

日付は年月日で書くのが一般的ですが、年は省略しても問題ありません。

副文

主文で書き忘れた追加項目や、念を押しておきたいことなどを追伸として書くことが多い部分です。

これは目上の人には失礼にあたるため、研修のお礼状には不要とされています。書き忘れがあった時は、最初から書き直しが良いでしょう。

お礼状の例文

具体的なお礼状の文章をご紹介します。頭語や結語、時候は季節や相手により変更します。

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拝啓

朝晩はめっきり寒くなって参りました。

○○様におかれましてはますますご活躍のこととお喜び申し上げます。

このたびはご多忙の中、弊社までお越しいただき、○○研修にてご指導賜りまして誠にありがとうございます。改めてお礼を申し上げます。

長時間の研修でしたが、社員からは大変好評でございました。

早速研修の翌日より、お教えいただいたコミュニケーションの4つのポイントを実践しております。

来年度は新しい社員を迎える予定をしており、職場の雰囲気づくりにより一層力を入れて、働きやすい環境を整えていきたいと考えております。

引き続きご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

社員一同、○○先生のご多幸とご健勝を申し上げ、お礼とさせていただきます。 敬具

令和〇年〇月〇日

株式会社○○○○ ○○○○(氏名)

○○○○様
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お礼状は迅速に丁寧に

お礼状は感謝の気持ちを表すものです。研修後時間を空けずに送るようにしましょう

マナーは大切ですが縛られ過ぎると事務的な印象を与えてしまい、気持ちが伝わらなくなります。感謝の気持ちを素直に伝えることを念頭に書くようにしてください。

手書きのハードルが高ければ、メールでも良いです。お礼状を送ることで研修企業と良好な関係を築き、今後にいかしていきましょう

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