マイクロラーニングは今や世界的に導入されている学習方法です。
従来のeラーニングを導入している企業は多いですが、時代の変化・働き方の変化で、従来の学習型では社員の教育に限界がきています。この記事では、マイクロラーニングを導入すればどのような変化が期待できるのかを紹介していきます。
「人材育成はしたいけれど研修を受けさせる時間の捻出が難しい」
「e-ラーニングを活用した研修の効果がイマイチだ」
と考えている経営者や人事担当者の方にお役に立てる内容です。
目次
マイクロラーニングとは
マイクロラーニングを簡単に説明すると、短時間かつ小容量の学習プログラムをオンラインで受講する企業研修です。
下記で補足説明していきます。
5分程度の短時間で学習を行うスタイル
マイクロラーニングとは、1~5分程度の短時間で視聴できるオンラインコンテンツを利用した学習法です。
従来のe-ラーニングよりも短い時間で、スマートフォンやタブレットといったモバイル機器からも視聴できる点が特徴です。視聴可能なデバイスがあれば、自分の好きな場所、タイミングで学習することが可能です。また、1コマ1テーマに設定されているため、必要なテーマだけを短時間で学べます。
1コマが5分以内に設定されている理由は、人間の集中力の持続が5分程度という説に基づいています。
コロナ禍の時代に最適な学習
特にコロナ禍の時代に最適な学習といえます。また、今後の社会で新たに自粛などの制限が出ても学習を続けやすいところが利点です。
マイクロラーニングが注目される理由
マイクロラーニングを導入している企業が増加しており、今後の学習スタイルとして多くの注目を集めています。
そんなマイクロラーニングが注目される理由を紹介していきましょう。
集中力の維持が簡単になる
1回の学習時間は1~5分、最大でも10分程度までといわれています。短い時間であるため、集中力の維持が簡単になることが予想できます。
まとまった時間がなくても良い
従来型であるeラーニングコンテンツの多くは、1回60分程度のプログラムで構成されています。企業研修だとしても、忙しい現代社会で、1時間を捻出するのは簡単なことではありません。
しかし、短時間の教材に要点を集約したマイクロラーニングコンテンツなら、忙しくても取り入れやすいのです。まとまった時間が確保できなくても良いところが企業側・受講者、双方にとって大きなメリットです。
モバイルデバイスが普及した
マイクロラーニングが注目されている背景には、働き方の多様化に加えて、スマートフォンなどのデバイス普及があります。
フレックスタイム制にテレワークの導入、副業を推奨する流れや、フリーランスを含む非正規雇用者の増加などにより、働く時間や場所が一律ではなくなりました。
その結果、一か所に従業員を集める研修を実施しづらくなった上に、企業に依存しない学習スタイルのニーズが高まっています。
マイクロラーニング活用のメリット
マイクロラーニングを導入するメリットは多数、存在します。
そんなメリットを人事と受講者のポジションからそれぞれ見ていきましょう。
スキマ時間で学習ができる
企業側のメリット | 受講側のメリット |
---|---|
・スキマ時間の学習を習慣づけることで成長意欲がある人材育成ができる ・研修を受講させるためのスケジュールをたてなくてよい |
・必要な時に必要なテーマだけを学習できる ・日常の業務への圧迫が少ない |
学習した内容が定着しやすい
企業側のメリット | 受講側のメリット |
---|---|
・リモートワークで上司や先輩が居ない状況でも業務でわからないことを解決できる ・指導側のスキルによる情報の劣化が起こらない |
・学習したことをすぐに実践できる ・ピンポイントに習得したいテーマを選んで学習できる ・すぐに復習ができる |
教材が最適化される
企業側のメリット | 受講側のメリット |
---|---|
・再生回数の分析や従業員からの意見でPDCAを回せる ・新しいコンテンツの追加が容易 ・コンテンツの修正が容易 |
・最新の情報を学べる ・追加して欲しいテーマをリクエストできる |
マイクロラーニングが不向きなケース
マイクロラーニングは、学習者と教材の制作者の双方にとってメリットがある学習方法ではありますが、一方で不向きなケースも存在します。 ここでは主な不向きなケースを2つ解説します。
複雑な知識や対人スキルの獲得
マイクロラーニングは1人で行う基礎・基本的なスキルを習得することには向いています。
しかし、習得に長期間を要する複雑な知識や、実践的な学習が必須である対人スキルの獲得には不向きといえます。
同僚やチームで議論をして考えを深めたり、上司からフィードバックをもらったりなどの実践的な経験からだけ得られるスキルの習得には向かないのです。
システムの準備と運用コストがかかる
従来のeラーニングよりはコスト削減ができますが、新しいシステムを導入するための準備コストは当然かかります。自社で作成する場合には多くのリソースを必要とするので、外注するという選択肢も持ちましょう。作成は外注し、修正などのメンテナンスだけは自社で行うという方法もあります。
マイクロラーニングで成果を出すポイント
マイクロラーニングで成果を出すポイントは主に3つあります。
わかりやすく、かつ興味を持つタイトルにする
マイクロラーニングを導入する上で重要な点は、利用者にとってコンテンツの内容が伝わる、わかりやすいタイトルを作成することです。なぜならコンテンツ内容を反映したタイトルを作成することで利用者は効率的な学習を行うことができるからです。
また、受講側が興味をもって学習するようなタイトルをつけることも、従業員の主体性を引き出す重要な要素です。
実践的な学習と併用する
マイクロラーニングでは知識の獲得に非常に役に立ちますが、学習内容を定着させるためには実践的な学習も欠かせません。そこで企業は知識を活用するための工夫を行う必要があります。例えば、「従業員同士の意見交換」「上司やチーム内のメンバーからのフィードバック」といった機会を積極的に設けることでより学習の定着度を向上することが可能です。
受講側がより学習しやすい環境で配信する
「スキマ時間で学習できる」という特徴を活かすために、どの世代でも一般的になったyoutubeなどのプラットフォームを活用すると良いです。受講者は自分のタイミングで場所、時間を問わずにスマートフォンやタブレットから学習することができるようになります。
マイクロラーニングの導入事例
マイクロラーニングは今や多くの企業が導入しており、海外展開も実現できています。
そんなマイクロラーニングを導入した企業をいくつか参考までにご紹介していきましょう。
株式会社すかいらーくホールディングス
株式会社すかいらーくホールディングス様は、多数のブランドを展開し外食産業を牽引しています。マイクロラーニングは新人教育やマネジャー育成などに利用されており、今後は約10万人以上の従業員を対象に、柔軟な育成体系の確立を目指しています。
導入前の課題は、以下のようなものがありました。
- アルバイトスタッフの働き方の変化によりトレーニングの機会・時間が減少している。
- 最近増加傾向にある外国人スタッフのための教育体制が整っていない。
- 効果的かつ計画的なマネジャー育成ができていない。
マイクロラーニングを導入してからは大きな効果を上げています。
- 店舗でのトレーニング進捗やどのトレーナーが確認・承認したかを可視化する機能をマイクロラーニングに搭載。
- スマホ、タブレット端末から受講可能な、自学自習の教育プログラムを導入。
- 日にちが開いたトレーニングやトレーナーが変わる際もスムーズな引継ぎが可能となり、教わる側も次に習得すべき内容がわかりやすく意欲向上にもつながっている。
- マニュアルを電子化し動画を活用したコンテンツを導入。さらに一部コンテンツの4ヶ国語対応を行うなど、外国人スタッフの働きやすい環境整備を実現。
サイコム・ブレインズ株式会社
サイコム・ブレインズ株式会社様では、グローバル競争が加速するビジネスシーンでは恒久的な人材不足が問題であり、豊富なリソースとノウハウを生かし国内外の企業のグローバル人材育成を強力にするべく、マイクロラーニングを導入しました。
導入前の課題は、以下のようなものがありました。
- 教育研修に関する価値観の違い。
- 教育プログラムが整っておらず教育体制ができていない。
- 教育を受けてスキルを習得したらほかの会社に転職してしまう。
マイクロラーニングを導入してからは大きな効果を上げています。
- 取れるデータが細かく、より詳しい分析ができている。
- 従来と比べ倍以上の厚みの研修報告書を顧客企業にお渡しできている。
- ネットワークが不安定でコンテンツが配信できないという不安も解消された。
株式会社松屋フーズ
牛めしの「松屋」などを展開する株式会社松屋フーズ様では、アルバイトの採用難や人件費の高騰、外国人スタッフの教育といった課題が山積みになっていました。「店舗のアルバイト教育の進捗管理を可視化したい」「教育の徹底力を上げたい」ため、マイクロラーニングを導入しました。
導入前の課題は、以下のようなものがありました。
- 紙の手順書で店舗のアルバイト教育を管理していたが、その使用が徹底されていない。
- 紙の手順書は更新性が悪く、全国配送の手間もあり、コストが高くついた。
- 松屋の全店舗で教育進捗をオンラインデータで記録と可視化し、徹底を促す仕組みをマイクロラーニングのシステムで解決したかった。
そして、マイクロラーニングを導入してからは大きな効果を上げています。
- 本部にいながら全店舗の教育進捗をチェックし、指導できる仕組みを構築。
- 1人の教育進捗をオンラインデータで細かく記録すると共に、全店舗の教育進捗がひと目でわかる「店舗別集計機能」を開発し、導入。教育の徹底の仕組み化を実現。
- 優良店舗の教育ノウハウを他店舗に展開することで、運営力の向上と均一化を目指せるようになった。
マイクロラーニングを外国人スタッフの育成に活かす
マイクロラーニング導入の成功事例3社をみてもわかるように、この学習法はグローバル人材育成、外国人スタッフの教育に大変有効です。
通常の研修と併せてマイクロラーニングでの学習を定着させ、外国人雇用の課題を解決していきましょう。
グローバル人材研修は、海外進出を予定している企業だけではなく、外国企業との取引をしている企業や外国人人材を雇用している企業などに必要とされています。グローバル研修のポイントとおすすめの研修プランを紹介します。