【前編】スポーツ・ビジネスコーチとして活躍されている二ノ丸友幸さんにインタビュー!

企業研修の総合メディア「キーセッション」では、研修や講演会で講師として活躍する方の魅力をお伝えすべく、インタビューを行っています。

今回は、スポーツとビジネスの両方の分野でデュアルにコーチ業を営む、二ノ丸 友幸さんにお話を伺いました。

スポーツコーチとビジネスコーチ、どちらの領域でも輝かしい実績を残す秘訣に前後編に分けて迫ります。

後編はこちら

時代の変化で評価される人材は変わってきた

どのような業界の方からのご依頼が多いでしょうか?

毎年平均すると120社ぐらいの企業研修を実施していますが、業種業態の偏りはないです。各種メーカー、ゼネコン、ものづくり、IT関連、テレビ局など幅広くご依頼いただいています。

スポーツの指導者として、ラグビー指導者を対象にしているだけでなく、他競技の指導者を対象にしたセミナーをやっているのと同じで、幅広い業界からご依頼いただいています。

どんな方を対象に研修を実施していますか?

新入社員から若手社員、次期リーダー候補といった若手層はもちろん、管理職や経営層など、階層別に実施させていただいています。

若手社員に対しては、必要な個別のスキルを伝えています。コミュニケーションスキルをはじめとした必要なスキルを身に付けて、自分をどのようにプロデュースしていくかが、主なテーマです。

管理職以上には、自身がセルフプロデュースできる人間にならなければといけないし、時代が変わったことや、世の中として必要な人材像が変化したことを理解していただきます。そのうえで、そういう人材をどう作っていくのか、いわゆる育成アプローチ(良かれと思うあなたの言動、実は部下の成長妨げになっている?)の部分がメインテーマですね。

あとは、若手同様、コミュニケーションスキルです。「あなたは部下から話しかけられますか?」と題して、部下とのコミュニケーションについてお話しします。

部下から話しかけられる人、話しかけられない人、それぞれに理由があります。それらを考え、紐解き、改善へ導くような内容にしています。

どの世代でも共通していることは、時代が変わってきたということ、それに伴って評価される人材の特徴が変わってきた点も同じくお伝えするようにしています。

二ノ丸さんが考える時代の変化とは?

さまざまな言い方はあると思うんですが、私は”不測の時代(前例なき時代)”という言い方をしていますね。

これまでは何かをする際に、過去に経験した人に話を聞くとかアドバイスをもらうとか、ネットで調べるなどして失敗しないための準備をしたと思います。しかしコロナ禍などさまざまな要因から、前例がないことが出てきている。

言い方を変えるとやるべきことが見えてないからこそ、自分たちで正解を作っていく時代です。そういったことをまず掲げてますね。

だからこそ、自分たちでオリジナリティを出したものを作っていかなければいけない。そんな時代だからこそ、評価される人材が変わってきているんですね。なので、その評価される人材像として”自考動型人材”という概念をお伝えしています。

自分で考えることに慣れていない若手社員にはどんなお話をされますか?

いつも研修で伝えているのですが、「わかっているようでわかっていないこと、知っているようで知らないこと」があると思うんです。新入社員に限らず、人生経験が豊富な管理職にも同じことが言えると思います。

わかっているとは言い方を変えれば、理解しているということ。理解しているとは皆さん言うんですけれど、大切なのは理解の定義とは何かです。

私は理解を「人に説明できる、教えることができる状態」と定義しています。なので、「学生と社会人の違いってどう思う?」という質問を投げかけても、きちんと自分の言葉で答えられないと、やはり理解してるとは言えないっていう状況が多いと思うんです。

よって、理解を促すために、学生と社会人の違いという基本的なところから触れたりもしています。

社会人としての自覚を持ってもらいながら、「どういったスキルを身につける必要があるか」「思考回路をどう変える必要があるか」といった本題にも踏み込んでいきます。

管理職にはどういったお話をされるのでしょうか?

まずは、「時代の流れや社会情勢を踏まえましょう」という話をすることが多いです。どうしても一つの業界に入ってしまうと、自分の業界の常識に支配されてしまいがちです。

なので、まずは「世の中がどう変わっているか、外の世界を見ましょう」といったメッセージとともに、社会の変化を具体的に伝えています。私は「他競技から学ぼう」という言葉を掲げているんですが、スポーツ界においてもラグビーの常識がサッカー界では通じないということもあるわけです。

ビジネスで言うならばやはり他業界・他業種ですよね。なので研修の一環として、まずは世の中の移り変わりからお伝えします

この辺りは新入社員と共通していますよね。もちろん階層によって言い方やボリュームを調整しますが、大体そこまでは共通のテーマをお伝えする形です。

あとは、自己評価と他者評価にずれがあることも認識することが大切という内容もお伝えしています。

他者評価を受け止めながら、それに対して改善していくプロセスを図らないと、やはり大人の成長は見込めないんじゃないかなと。たとえば、社長になると部下から本音を言ってもらえないので、もう組織内部からは本音の意見が期待できないわけですよ。

だから外部に頼るしかないので、私は現在6人の社長やリーダーの方々と1on1コーチング契約をしています。マネジメント層のコーチをしているというと偉そうに聞こえるかもしれませんが、私も完璧じゃないので5人コーチからサポートを受けています。一番オブラートに包まずに言ってくれるコーチが妻ですよね(笑)。

全階層で同じ絵を描く“SAME PAGE”

ご自身の研修の最大の強みは何でしょうか?

全階層の研修を一貫して実施できる。これは私の一つの強みかもしれません。

管理職だけが学んだとしても、若手社員が把握していないと上手くいかない。逆に若手だけ研修して良いことを聞いても、会社で行動を起こしたときに管理職から「お前、勝手なことをするな」といった評価をされてしまうケースもあるわけですよね。

そこで私はよく”SAME PAGE”という概念を伝えています。組織全員が同じ絵を見る、イメージを持つことが大切。同じような考え方をチームの根底として持って、部下としての立ち居振る舞いと、上司としての指導アプローチの双方が一致する状態を目指す必要があります。

全社員が階層別に研修を受講して、同じベクトルで動き出していくそこを提供できるのは他にはない自分の強みといえると思います。

もう一つの強みは、私が現役のプロコーチとしてさまざまな企業や、競技、チーム、コーチ、選手を実際に現場でコーチングしていることですね。研修時に話す事例等が、現在進行形の実例や実体験を話すことができる、つまりオリジナルの研修内容を作り出すことができる。これは講師としての強みだと自負しています。

他には研修時に伝える重要なメッセージはありますか?

必ず伝えているのは、新しい概念や指導の仕方が全て正しいとは限らないということです。

時代の流れを話したり、コーチングという新しい概念をお話しすると、どうしても新しいものが善で、古い価値観が悪と誤解されがちです。ですが、昔の指導法を否定しているわけではなくて、古き良き指導法はそのまま残して良いと考えています。

とはいえ、中には変えないといけない、時代にそぐわない指導法もあるわけです。そんな場合は、「今はこんな新しい良い手法もありますよ」っていうことを紹介しています。

「プロコーチ」や「コーチのコーチ」という肩書きがあるので、どうしても研修のときに「難しい内容なのかな」と思われがちです。私がする研修は「プロコーチ養成講座」ではなく、会社員として部下を持つ人間として、明日からでもすぐ取り組めるような、身近な簡単なものをお伝えしています。

なので、本当であればコーチングっていう言葉も使いたくないんですよね。どうしても横文字・カタカナ語って、アレルギー反応を起こしてしまう方もいるじゃないですか。なので、できるだけわかりやすい日本語で伝えながら、後で専門用語をお伝えすることを心がけていますね。

日本の教育上”自考動型人材”は育ちづらい

二ノ丸さんが提唱する”自考動型人材”について改めて教えてください

”自考動型人材”の定義をするならば、自ら考えて判断し、行動することができる人材です。

やはり日本の教育は、”自考動型人材”が育つようなプログラムになっていないんですよね。

決まった時間に学校に行って、時間割も決まっていて、家に帰ってやる宿題まで提示されている。「自分で考えて行動することが必要だ」という割には、それを育てる教育のスタイルが日本にはないんですよね。

日本人は教えたがり、言いたがりなんですよ。なぜなら自分も教えてもらって言われての教育を受けてきているからです。

よく研修のサブタイトルにも使っているのですが、「良かれと思ってやっている言動が、実は部下の成長の妨げになっていませんか?」ということはお伝えします。

良かれと思ってやっていても実は部下にとってはありがた迷惑だったり、何か考える時間を奪ってしまっていたり。日本社会はトップダウンなので、下からなかなか物申せないじゃないですか。なので、気づかない人が多いわけですよね。

組織構造以外の理由はありますか?

もう1つの要因は、求めていることと、指導のアプローチが一致しないケースが多いことですよね。

ラグビーの例を挙げると、ラグビーってボールを前に投げられないんです。なので、ボール持ってる選手は一番前にいるわけですよ。つまり15人でやるスポーツですけれど、14人の味方は自分より後ろにいるわけです。

後ろにいる仲間をどう把握するかといったら、やはりコミュニケーションに限ります。「どこにいるのか」「何メーター後ろにいるのか」「誰がいるのか」をコミュニケーションで判断していくスポーツです。

なので、ラグビー指導者はコミュニケーションが大切だと認識しています。にもかかわらず、練習を見に行くと、2時間のうち1時間59分は指導者が喋っている。子供たちが喋る時間はほぼないんですよ。日常の練習環境がこのようであれば、本番で喋れる子供は育ちません。

試合本番になったら、もちろんそんな練習をしてないので、できないことが露呈するわけです。普段(日常)からしていないものは、本番で実践できなくて当たり前。

こういった事例も豊富に伝えながら、”自考動型人材”を作るためにはどんなアプローチが必要なのかということを管理職に対してはお伝えさせていただいています。

ーーーーー後編に続く

二ノ丸友幸さんの基本情報

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