プロボノは社会貢献のひとつです。個人でおこなうもの、チームでおこなうものなど、さまざまな参加方法があり、年齢に関係なく関心が高くなってきています。
プロボノをおこなうことは、個人としても企業としてもメリットがたくさんあります。
実際に経験した人たちからは、「未来の仕事のかたちだと感じた」という声が。
この記事では、プロボノの概要やメリットを解説します。あなた自身のキャリアアップに活かせることがわかり、この仕組みにとても興味が湧くはずです。
目次
プロボノとは
プロボノはラテン語である【pro bono publico】の略で、『公共善のために』という意味があります。
プロボノをおこなう人をプロボノワーカーと言い、年々その数は増えています。
プロボノとボランティアの違い
プロボノは無償でおこなう社会貢献活動で、似たような言葉にボランティアがあります。違いは専門分野か否かです。
ボランティアは資格や職業、スキルに関係なくおこなうもので、専門知識を必要としないため、活動に共感した人であれば誰でも参加できます。
それに対してプロボノは、特定の知識やスキルを活用しておこなうため、誰でもというわけにはいきません。必要とされている資格等を持った人が参加します。
活動対象は、NPOや市民団体をはじめ、一般企業や市町村など幅広く需要があります。
プロボノの始まり
1900年代初頭アメリカでは国民全員に裁判をする権利があるにも関わらず、低所得者は裁判費用を工面することができず、権利を使えないということがありました。
この対策として、弁護士が無償で法的サービスを始めたのがプロボノの根底にあります。現在は、弁護士には年間50時間以上のプロボノ活動を推奨しています。
日本では2010年頃からプロボノワーカーが増えており、第二東京弁護士会がプロボノ活動を義務付けていますが、社会的な認知度はまだ十分ではありません。
公認会計士や中小企業診断士もプロボノ活動をしていますが、最近では一般企業でも活動を推奨しているところが増えてきています。
プロボノのメリット
ただでさえ忙しい現代人が、時間を割いて無償のプロボノ活動をするメリットは次のような点にあります。
視野が広がる
仕事以外の人とのつながりができるため、人脈や視野が広がります。仕事だけでは関りが薄い分野の人たちとの出会いは、刺激となり仕事にはない学びやつながりを感じることができます。
自分のスキルを客観的に見られる
職場や業界では当たり前の知識やスキルが、会社の看板がない状態でどのくらい通用するのか、需要の有無、自分のレベルなどを客観的に知ることができます。
自分の腕を試すこともできますので、今後のスキルアップを考えるきっかけになります。
キャリアアップにつながる
仕事とは違い、報酬がないこと、縛りが少ないことなどから、仕事では経験できないチャレンジができます。
仕事以外での実績が積めるのもメリットで、転職や独立を考えている人には良い経験となります。
リベラルアーツとは?多方向から問題解決ができる能力を身につける
プロボノ参加の注意点
プロボノに参加するのは業務以外の時間のため、職場に伝える必要はないのですが、副業と誤解されないようにしましょう。
企業としては、仕事同じスキルを使うため、情報漏洩の心配をする可能性もありますし、辞めてしまうのではないかという懸念を抱きかねません。
せっかくの活動ですから、気持ち良くできるように根回しをしておくと安心です。
プロボノの求人の探し方
プロボノ活動をしてみたいと思っても、どこで活動場所や求人を探せばよいのかわからないと行動に移せません。活動のきっかけを見つけるには主に2つの方法があります。
プロボノマッチングサイト
プロボノワーカーと必要としている団体や企業をつなぐマッチングサイトから探すことができます。
プロボノは個人での活動もできますし、チームを組んで活動するケースもあります。マッチングサイトにはどちらも求人が出ていますので、自分のスキルと希望の活動方法にあった活動場所を見つけることができます。
NPO法人のサイト
活用したいスキルが明確になっている場合、活動したい分野が決まっている場合は、PNO法人や企業の公式サイトをチェックしてみましょう。
プロボノ募集をしている場合は、活動内容や条件等が記載されていますので、直接問い合わせができます。
参考:サービスグラント
企業とプロボノ
最近では一般企業が従業員にプロボノを勧めているケースが増えています。プロボノは個人だけではなく、企業にとってもメリットが大きいのです。
企業がプロボノを推奨するメリット
社員の成長が望める
人材育成で悩んでいる人事担当者は多いですが、プロボノを通して社内研修だけでは得られない経験ができ、社会人としての成長を促すことができます。
仕事への還元が期待できる
プロボノでは企業の枠組みを超え、その分野のプロたちが集結します。社内のチームとは違う形でのチームワーク作りや活動は、本業でも活用できることが多々あり、プロボノを通して新しい風を入れることが可能になります。
企業の信頼性向上
企業の名前が出ることで、個人の信頼につながるとともに、企業の印象アップも期待できます。
そして、関わった団体や企業との縁もでき、利益を介した関係では作ることができない新しい関係性を築くことも可能になります。
プロボノを導入している企業
NEC
参考:NEC”NECプロボノイニシアティブ”より
2010年よりプロボノをスタートしました。社内で参加希望者を募集し、これまでに多くの企業家のサポートをしています。
参加した社員は、プロボノを通して今までとは違う環境の中で、通常業務では出てこなかった考え方を知ることができ、今後の仕事のヒントになったとの感想を持っています。
パナソニック
参考:Panasonic”Panasonic NPO プロボノプログラムより”
2011年からPanasonic NPOサポートプロボノプログラムを始めました。延べ265名の社員が関り、37団体のサポートをおこなっています。
参加した社員からは、サポート先とのミーティングを重ねるうちに、自分に求められていることを理解し、社会をより身近に感じることができたとの感想を持っています。
トヨタ
参考:鬼福製鬼瓦所ブログ”鬼福も参加する、トヨタ自動車様の【先進☆プロボノ】事業がキックオフしました!”より
2020年10月から期間限定で、地域の中小企業に社員を無償で派遣することを決めました。地域貢献の理由の他、外部活動により視野を広げ、次世代の人材を育てる目的もあります。
すでに数社への派遣をしており、企業の新しいプロジェクトを成功させるべく取り組んでいます。
これからの社会を変えるプロボノ
プロボノは一般的なボランティアとは違う社会貢献の方法です。
参加することは個人レベルでの成長だけではなく、技術を継承する、いち企業だけではできない新しい試みをおこなうことができるようになります。個人としても企業としてもメリットが大きいプロボノは、今後さらに需要が高まる傾向です。