「研修を内製化したいけど、進め方がわからない」「研修を内製化する具体的なメリットは?」
このような悩みを抱えている経営者や人事担当者もいるのではないでしょうか。定期的な研修の実施は社員のスキルアップには欠かせません。しかし、いざ内製化するとなると、何から始めるべきかわからないこともあるものです。
この記事では、研修内製化のメリットや、内製化を進める手順、内製化を成功させるコツを紹介します。ぜひ社内の効率的な人材育成にお役立てください。
この記事でわかること
- 研修を内製化するメリット・デメリット
- 研修を内製化する手順
- 研修の内製化を成功へと導くポイント
研修の内製化には、講師の育成や人的コストの確保など、いくつかクリアすべき課題があります。いきなり自社だけで実現するのが難しい場合には、支援会社のノウハウを活用するのがおすすめです。
キーセッションでは、研修の内製化を支援する研修サービスを紹介可能です。社内にノウハウがなく、何から手を付ければよいかわからない場合には、ぜひご利用をご検討ください。
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目次
研修を内製化している企業の割合は67.4%
産労総合研究所は、「2015年度(第39回) 教育研修費用の実態調査」の報告データにおいて、研修の内製化に取り組んでいる企業の割合を67.4%と公表しています。
この割合を企業規模ごとに見ると、以下のとおりです。
企業規模 | 内製化に取り組んでいる割合 |
---|---|
1,000人以上 | 74.1% |
300~999人 | 68.0% |
299人以下 | 55.9% |
この表からわかるとおり、研修の内製化率は企業の規模が大きくなるのに比例して高くなる傾向が見られます。
参考:産労総合研究所「2015年度(第39回) 教育研修費用の実態調査」
研修を内製化するメリット
研修を内製化するメリットは以下のとおりです。
- 講師や受講者になった社員のスキルアップができる
- 業務内容に直結したスキルを身につけられる
- 研修コストを抑えられる
- 研修内容の修正やアップデートがしやすい
- 自社独自の研修ができる
それぞれ具体的に解説していきます。
講師や受講者になった社員のスキルアップができる
研修を内製化する大きなメリットは、受講者のみならず、講師になった社員のスキルアップが図れることです。
研修の内製化をする場合、一般的に社員のなかから講師を選任します。選任された講師は、受講者が理解しやすいコンテンツや伝え方を精査し、最新の情報を調査するものです。
このように、講師になった社員は講義内容を検討する過程で、自分のもっている知識やスキルの見直しを行います。ときに、理解があいまいなままやり過ごしていたポイントを発見するかもしれません。
この過程を経ることで、講師のスキルは自ずとアップデートされていきます。受講者としても、現場に精通した社員からレクチャーを受ければ業務への理解が進み、自然とスキルアップが図れるでしょう。
業務内容に直結したスキルを身につけられる
業務内容に直結したスキルを身につけられるのも、研修内製化でもたらされるメリットです。
社外の研修では、さまざまな企業や従業員に役立つよう、汎用性の高いカリキュラムを用意するのが一般的です。そのため、基本的なスキルは身につきますが、現場で本当に必要とされるスキルを網羅できない可能性があります。
一方で、研修の内製化時には、社内業務に精通した人材がカリキュラムの作成にあたります。自社独自のケースに則した研修が行いやすいため、現場ですぐに役立ち、経営戦略を反映させたスキルが身につきやすいでしょう。
研修コストを抑えられる
研修の内製化には、長い目で見ると研修にかかるコストを抑えられるメリットもあります。
社内研修の立ち上げ時には、資材の調達や講師の準備にかかる費用などの初期投資が必要です。しかし、基本のカリキュラムや資材は使いまわせるものも多く、研修を重ねるうちに必要な金銭的コストは減少していきます。つまり、ノウハウを蓄積することで、ランニングコストが抑えられるというわけです。
一方、社外で研修をする際には、逐一講義費用や移動費などが発生します。研修を内製化すればこれらの経費を大幅に抑えられるため、金銭的コストカットに役立つでしょう。
研修内容の修正やアップデートがしやすい
研修内容の修正やアップデートがしやすいのも、研修内製化のメリットです。
一般的な社外研修ではカリキュラムが決まっており、変更できないこともあります。研修内容を変えられる場合にも、研修会社とコミュニケーションを密に取りつつ、別途発生する金銭的コストに応じなければなりません。
一方で研修を内製化しているケースでは、修正作業は自社内で完結するため、柔軟にブラッシュアップが可能です。法令や社会情勢、経営戦略、求めるテーマの変更があっても、迅速にカリキュラムのアップデートが図れるでしょう。
自社独自の研修ができる
研修の内製化により、自社独自の研修を実施できるメリットもあります。
企業のミッションや理念は外部からは推し量りにくく、実際に現場で働いている社員だからこそ肌感覚で理解できるものです。社員自身が研修をすれば、自社独自のビジョンを的確に受講者に伝えられます。
マインドセットのレクチャーを含めた自社独自の研修を実施できるのが、研修の内製化で得られる大きなメリットです。
研修を内製化するデメリット
研修を内製化するデメリットは以下のとおりです。
- 時間や人的コストが増える可能性がある
- 講師の育成が必要になる
- 最新情報を取り入れにくい
- 研修のカリキュラムを組むのが難しい
- 実務との両立が難しい
それぞれ詳しく解説していきます。
時間や人的コストが増える可能性がある
研修を内製化する大きなデメリットは、外部委託時と比較して時間的コストや人的コストが増大することです。
前述のとおり、研修を内製化すれば長期的には経費を抑えられる傾向があります。しかし、研修の企画からカリキュラムの作成、会場の設営、研修の実施まですべて社内でまかなうことで、社内リソースがひっ迫する可能性があります。
結果、社内の不満につながったり、残業により金銭的コストが発生したりする場合もあるでしょう。
講師の育成が必要になる
講師の育成が必要な点も研修を内製化する際のデメリットです。
社内から講師を選ぶ場合、その社員は実務には精通していたとしても、教えることに関しては素人同然の可能性があります。研修の実施までに講師に必要なスキルを身につけてもらわないと、研修の質が下がり、受講者を適切に指導できなくなる恐れがあります。
研修の内製化を検討する際には、講師に適した人材を選抜し、育成コストがかかる点を理解しておきましょう。
最新情報を取り入れにくい
研修を内製化する場合、最新情報を取り入れにくいデメリットもあります。
社内で研修が完結してしまうため、カリキュラムの情報ソースが自社に限られ、我流のノウハウに偏ってしまう傾向が見られます。その場合、市場の新しいトレンドを押さえられず、多角的な視点からの講義がしにくくなるでしょう。
自社に無いノウハウや新たな視点からの気づきを得たいときは、外部の研修会社を頼る方が効率的なケースもあります。
研修のカリキュラムを組むのが難しい
研修のカリキュラムを組むのが難しいのも、研修を内製化する際に生じうるデメリットです。
研修の成果をあげるためには、効果的なカリキュラムを組む必要があります。しかし、社内研修の立ち上げ当初は、このようなノウハウが無いのが一般的です。
研修の質を保つためには、経営課題を分析したうえで研修のゴールを設定し、それを実現するメニューを組まなければなりません。我流のカリキュラムにならないようなコントロールが必要です。
実務との両立が難しい
実務との両立が難しくなる点も、研修を内製化した際のデメリットです。
研修を内製化すると、研修の企画立案からスケジューリング、カリキュラムの作成など、すべてを社内でまかなう必要があります。研修の実施中はもちろん、準備の段階でも通常業務にあたれず、さらに講師は人に物を教えるスキルを身につける時間も必要です。
状況次第では業務に支障が出てしまい、社員の負担が増加する可能性も否定できません。
人員を十分に確保したうえで、事前に通常業務のスケジュールを調整するなどの工夫が必要です。
研修の内製化に大きなハードルを感じている方は、研修内製化支援サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。このサービスでは、専門家の指導のもと、企業の担当者がゼロから研修カリキュラムを組む体験ができます。
研修コンテンツ開発のノウハウが獲得できるため、自社ならではの独自性のある研修が実現可能です。相談は無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
研修内製化支援サービス ((1時間x1,2回/月) x 3~6回)
株式会社ビジネスプラスサポートの研修内製化支援サービスは、自社オリジナルの研修コンテンツ開発や社内講師の育成をサポートします。課題に応じた独自研修の企画・運用が可能になり、継続的な社内研修の体制を構築できます。
研修の内製化に適したテーマ
社員研修のなかには、内製化に適したものとそうでないものがあります。内製化に適したテーマは以下のとおりです。
- 経営理念やビジョンについて学ぶ研修
- 社内独自のルールに関する研修
- 業務内容に関連した特定の知識を学ぶ研修
それぞれ詳しく解説していきます。
経営理念やビジョンについて学ぶ研修
自社の経営理念やビジョンは、内製で行う研修に向いているテーマの一つです。
これらは外部の人間が完全に理解し、説得力のある講義を展開するのは難しい研修テーマです。企業独自のマインドを把握している社員が講師を務めれば、効果的に研修を進められます。
社長や経営陣など、企業のトップが登壇するコーナーを設ければ、説得力がさらに増し、受講者の共感を得られるでしょう。
社内独自のルールに関する研修
社内独自のルールに関する研修も、内製で行うのに向いています。
独自性が高いコンテンツは、第三者から正確に教わるのは困難です。もし外注化するのであれば、事前に手間をかけて講師へ共有化を図る必要があります。
社内で講師を立て、テーマにそって研修をしていくのが効率的です。
業務内容に関連した特定の知識を学ぶ研修
業務内容に関連した特定の知識を学ぶ研修も、内製で行うべきです。
自社のノウハウを把握した内部の社員が講義をすれば、業務やそれに付随した独自ツールに関して、受講者の理解を深められます。
講師側にとっても知識の再確認の場となり、スキルのアップデートにつながるメリットがあります。
内製化より外部研修に適したテーマ
内部研修より外部研修の方が適しているテーマは以下のとおりです。
- 一般的なビジネス知識が求められる研修
- 業界特有の知識に関する研修
詳しく説明していきます。
一般的なビジネス知識が求められる研修
一般的なビジネス知識が求められる研修は、外注化がおすすめです。
一般化したテーマは、プロの方が長年にわたるノウハウを蓄積しており、研修中の指導にも長けています。研修でつまずきがちなポイントも把握しているため、研修の効果を引き上げられるでしょう。
たとえば、ビジネスマナー研修やマネジメント研修、新入社員研修などは、外部の研修会社への委託を検討してみましょう。
業界特有の知識に関する研修
社内にはノウハウが蓄積されていない業界特有の専門知識についても、外部研修の実施が向いています。
専門性の高い知識は、業務の片手間に身につけるのは困難です。業界内での生き残りに不可欠な最新トレンドも、取得するには常にアンテナを張っておく必要があるため、通常業務との両立が難しい場合があります。
法律やガイドラインなど専門性の高い知識は、外部研修の利用を検討しましょう。
外部研修のメリットやデメリットについては、以下の記事でも解説しています。
研修を内製化するための流れや手順
研修の内製化は、以下の手順にそって行います。
- 研修計画の立案と目標を設定する
- 講師の選出と育成をする
- 研修プログラムやカリキュラムを作成する
- 研修の実施・定期的な評価や改善をする
具体的には、次のステップにそって準備を進めていきましょう。
1.研修計画の立案と目標を設定する
研修の内製化を進める際には、初めに目標を設定し、それを実現するための研修計画を立案しましょう。
目指すべきゴールを明確化することで、研修メニューを組みやすくなるメリットがあります。経営陣や現場へのヒアリングをし、課題が浮き彫りになれば、目標を設定しやすくなるでしょう。
目標が決まったら、それにそった研修テーマを決定します。研修の時期や期間、研修の概要もあわせて設定しましょう。
2.講師の選出と育成をする
研修のゴールと概要が決まったら、今度は講師を選任し、必要に応じて育成を行います。
講師の候補には、以下の人材が適任です。
- 自社の業務に精通している
- コミュニケーションスキルが高い
- 受講者が相談しやすいポジションにいる
講師を選任したら、研修の目的を十分理解してもらったうえで、研修の実施に必要なスキルを習得させます。研修の時期を勘案し、余裕をもって育成を行いましょう。
3.研修プログラムやカリキュラムを作成する
講師を選任したら、次に研修のプログラムを練ります。
研修の目的を実現することを念頭に置き、盛り込むべきコンテンツを吟味します。ゴールから逆算して伝えるべき内容を洗い出せば、プログラムが組みやすいでしょう。
カリキュラムは座学に偏らず、実践形式のワークショップやロールプレイングを適宜取り入れるのがおすすめです。理論と実践を組み合わせることで、学習内容の定着が進みます。
研修の具体的なスケジュールや、必要な教材の準備も進めましょう。
4.研修の実施・定期的な評価や改善をする
準備が完了したら研修を実施し、定期的に研修内容の評価と改善を行います。
研修中は講義を進めることに意識が行きがちですが、受講者の様子にも目を向け、内容が理解できているかを確認しておくことも大切です。
受講者の様子や後日のフォローアップの結果をふまえ、カリキュラムを見直します。ブラッシュアップを重ねることで、社内に強固なノウハウが構築されていきます。社員が効率的に学べるよう注力しましょう。
研修の内製化を成功させる3つのコツ
研修の内製化を成功させるには、以下の3つのコツを意識するのが大切です。
- 理想とするコンピテンシーを作成する
- 内製化と外部委託を組み合わせる
- 研修内容は定期的に更新する
具体的に解説していきます。
理想とするコンピテンシーを作成する
研修の内製化を成功させるには、自社で理想とするコンピテンシーを設定しておくことが大切です。
コンピテンシーとは、パフォーマンスのよい人材に共通する行動特性を指し、能力や技能発揮の力量を図るものさしに活用できます。
目指すべき社員の姿を明示することで、研修のゴールがわかり、カリキュラムを組みやすくなるでしょう。たとえば管理職研修の場合、理想の管理職像を設定すればゴールが明確化され、ぶれない研修が実施できます。
内製化と外部委託を組み合わせる
研修の内製化と外部委託を組み合わせるのも、研修の内製化を成功へと導くポイントです。
研修の内製化に乗り出すとはいえ、すべてを内製化する必要はありません。前述のとおり、研修には、内製化に向いているテーマと、外部への委託が向いているテーマがあるため、それにそって研修を計画した方が効果的です。
企業の独自性が関わるコンテンツは研修を内製化し、一般化が図れる研修は外部へ委託すれば、社内リソースを節約しつつ効果をあげられます。
研修内容は定期的に更新する
研修内容は定期的に更新しましょう。
どんなに練り上げたカリキュラムでも、普遍的に通用するわけではありません。時代の変遷や自社の置かれた状況によって、研修に必要とされるコンテンツは変化していきます。
一方通行にならないよう、受講者の声を反映させることも大切です。
定期的なブラッシュアップを通じ、質の高い社内研修を実現させましょう。
まとめ:研修を内製化して人材育成の効率化を実現しよう
研修の内製化には、受講者のみならず講師のスキルアップを図れるメリットがあります。社内独自の研修も行いやすいため、上手に活用しましょう。
しかし、効率的に研修の内製化を図るにはいくつかのポイントがあります。研修の内製化を成功させたい場合には、研修内製化支援サービスの利用がおすすめです。
プロと一緒にカリキュラムを作成していくプロセスを体験することで、知識ゼロから社内研修のいろはが学べます。何から手を付ければよいかわからない方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
研修の内製化により、研修の質を向上させ、実務への応用能力を高めることができます。効果的な研修設計とインストラクターの質を確保するため、ADDIEモデルをはじめとする理論体系の適用について学びます。