睡眠は健康や仕事の能率へ影響

睡眠の質と量は、私たちの日常生活において重要な役割を果たしています。特に、健康維持や生活習慣病の予防において睡眠の重要性は無視できません。また、睡眠不足は心身の健康だけでなく、仕事の能率にも大きな影響を及ぼします。

この記事では、睡眠改善の重要性と、睡眠と仕事能率の関連性について詳しく掘り下げていきます。

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睡眠改善の重要性と健康への影響

睡眠改善は健康維持に不可欠であり、特に生活習慣病の予防に重要な役割を果たします。

厚生労働省の資料によると、睡眠不足は肥満、2型糖尿病、心疾患などの生活習慣病のリスクを高めることが示されています。これは、睡眠不足がホルモンバランスの乱れや代謝機能の低下を引き起こし、食欲増加やエネルギー消費の減少につながるためです。

また、睡眠不足は認知機能の低下や精神的なストレスの増加にも関連しており、これらは生活習慣病の発症に影響を与える可能性があります。

成人に推奨される平均睡眠時間は7時間以上であり、これを確保することでこれらの健康リスクを軽減し、全体的な健康状態を改善することができます。

睡眠の心の健康への影響

睡眠の質は心の健康に大きく影響し、特に睡眠による休養感の欠如は重要な指標です。米国で行われた10,000人を対象とした研究では、精神疾患患者の中で睡眠による休養感の欠如が25.0%と最も高い有訴者率を示し、中途覚醒19.9%、早朝覚醒16.7%、入眠困難16.4%と続いています。

睡眠の質を評価する際、総睡眠時間や睡眠段階出現率などの客観的指標も存在しますが、睡眠の満足度や主観的な睡眠時間、特に休養感といった主観的指標が心の健康とより強く関連していることが分かっています。

2000年の日本人成人を対象にした横断研究でも、睡眠による休養感が低いほど抑うつの度合いが強いことが示されています。これらの研究結果から、睡眠による休養感の重要性が明らかになっています。

厚生労働省 - 睡眠不足による健康リスク
厚生労働省 - 睡眠の重要性

睡眠不足は仕事の能率を低下させる

睡眠不足は、疲労や心身の健康リスクを高めるだけでなく、作業能率の低下や事故、ヒューマンエラーのリスクを増加させます。

健康成人を対象にした研究では、起床後12~13時間が覚醒状態で作業を行う限界であり、15時間以上経過すると酒気帯び運転と同程度の作業能率の低下が見られます。

睡眠不足が続くと、作業能率はさらに低下します。十分な睡眠時間が確保されると作業能率は安定しますが、睡眠時間が制限されると日に日に低下することが示されています。また、客観的に作業能率が低下していても、自覚的な眠気は少ないことが多いです。

忙しい職場では睡眠時間を削ることもありますが、これが続くと作業能率が知らず知らずのうちに低下する可能性があります。

交代勤務の場合、二交代制か三交代制かによって睡眠時間の確保方法が異なりますが、十分な睡眠時間を確保するための一致した見解はまだ得られていません。したがって、個人レベルの工夫だけでなく、職場の特性に合わせた勤務スケジュールの設計など、職場全体での取り組みが重要です。

睡眠の質

睡眠の質は、心身の健康に大きく影響します。質の高い睡眠を得るためには、日中の行動に注意することが重要です。例えば、運動不足、朝日を浴びない、朝食を食べない、寝床でのスマートフォンの使用、就寝前の飲酒や喫煙、カフェイン摂取などは睡眠の質を低下させる要因となります。これらの行動は、脳の覚醒状態を維持し、睡眠の質を損なうことがあります。

厚生労働省 - 睡眠と生活習慣病

運動不足、乱れた食生活

定期的な運動は良質な睡眠に寄与することが研究で示されています。日本の高齢者を対象にした研究では、週5日以上、1日30分以上の歩行や運動を行う人々が入眠困難や中途覚醒の問題を少なく経験していることが明らかになりました。さらに、これらの活動を継続することで、中途覚醒の発症リスクが低下することも判明しています。米国の成人を対象にした別の研究では、運動時間が短い人ほど睡眠時無呼吸の重症度が高いことが示されており、これはBMIの影響を考慮しても変わりません。これらの結果から、身体的制約がない限り、定期的な運動が良い睡眠に効果的であることが分かります。ただし、過度に激しい運動は睡眠を妨げる可能性があるため、適度な運動量を心がけることが重要です。

朝食を摂らない

朝食を摂ることは、身体と心の目覚めに重要な役割を果たします。日本の成人を対象にした研究では、睡眠覚醒リズムが不規則な人々は朝食を食べない傾向があり、これが昼食や夕食の摂取量の増加につながっていることが示されています。朝食を摂ることで、一日を元気に始めることができます。ブラジルの健康な成人を対象にした研究では、夜食や間食で摂取するカロリーの多さが睡眠潜時の長さや睡眠効率の低下と関連していることが明らかになっています。また、日本の中学生と高校生を対象にした別の研究では、朝食を食べない頻度が高いほど、入眠困難や中途覚醒、早朝覚醒、不眠の問題を訴える割合が高いことが示されています。これらの研究結果は横断研究に基づくものであり、食習慣と睡眠の因果関係については最終的な結論は得られていないものの、朝食の重要性を示唆しています。

睡眠薬代わりの寝酒

日本人の寝酒の習慣は、睡眠の質に悪影響を及ぼすことが研究で示されています。日本人成人を対象にした横断研究では、週に1回以上寝酒をする男性は48.3%、女性は18.3%に上ります。しかし、睡眠薬を同頻度で使用する人は男性で4.3%、女性で5.9%に留まります。また、日本人は睡眠問題があっても医師に相談する頻度が低く、睡眠のためにアルコールを摂取する割合が他国と比べて高いことが判明しています。

短期的には、飲酒により眠気が強まることが示されていますが、睡眠の質は悪化します。飲酒により睡眠前半のレム睡眠が減少し、浅いノンレム睡眠が増加することが確認されています。また、飲酒は睡眠時無呼吸を悪化させることも示されており、飲酒量が多いほど上気道の安定性が低下することが分かっています。これらの研究結果から、特にいびきや睡眠時無呼吸を有する人は飲酒に注意が必要であることが明らかになっています。

就床前の喫煙やカフェイン摂取

就床前の喫煙やカフェイン摂取は、睡眠の質を悪化させる要因です。タバコに含まれるニコチンには強い覚醒作用があり、喫煙本数が多いほど不眠の割合が増加することが横断研究で示されています。ニコチンは約1時間作用するため、就床1時間前や夜中に目覚めた際の喫煙は避けるべきです。喫煙は寝つきを悪くするだけでなく、睡眠の質を低下させ、浅い睡眠を増やし深い睡眠を減らす影響があります。また、喫煙は睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める可能性もあります。

カフェインには覚醒作用があり、コーヒー、緑茶、ココアなどに含まれています。夕方から就寝前のカフェイン摂取は入眠を妨げ、睡眠時間を短くし、睡眠を浅くする傾向があります。カフェインは摂取後30分から1時間で血中濃度がピークに達し、その効果は約3時間持続します。また、カフェインには利尿作用もあり、夜間の尿意で目が覚める原因となることもあります。したがって、夕食以降はカフェイン含有飲料の摂取に注意が必要です。

睡眠の質を知る
睡眠の質を知る方法としては、「アテネ不眠尺度(AIS)」のような自己評価ツールが有効です。この尺度は、睡眠の質を定量的に評価し、不眠の程度を判断するのに役立ちます。睡眠時間と質のバランスを取ることは、日々の活力や健康維持に不可欠です。平均的な睡眠時間は7時間以上が推奨されており、この時間を確保しつつ、睡眠の質を高める生活習慣を取り入れることが重要です。

具体的な睡眠改善策

自分にあったリラックス法を見つける

睡眠を妨げる覚醒水準の高さや興奮状態を和らげるためには、リラックスすることが重要です。寝床に就く少なくとも1時間前には何もしない時間を確保することが効果的です。また、無理に眠ろうとするとリラックスできず、寝つきが悪くなるため、30分以上寝床で目が覚めていたら一度寝室を離れることが推奨されます。リラクゼーション法は、身体的なリラックスを通じてネガティブな思考や不安感情を低減し、入眠の改善に寄与しますが、個人に合った方法を見つけることが重要です。

睡眠と体温の関係を利用して、就寝0.5~6時間前の入浴は睡眠の質を向上させます。40℃程度の湯温での入浴は精神的なリラックス効果に加え、体温上昇後の放熱により深い睡眠を増加させます。しかし、就寝直前の42℃以上の高温浴は体温を上昇させすぎ、心身を覚醒させるため、入眠を妨げる可能性があります。

自分の睡眠に適した環境を作る

睡眠の質には寝室の環境が大きく影響します。寝室は静かで暗く、適切な温度と湿度を保つことが重要です。温度に関しては、気温が29~34℃の範囲で睡眠が安定しますが、これより低いまたは高い気温では中途覚醒が増加します。実際の生活環境では、許容室温範囲は13~29℃で、寝床内の身体近傍温度が33℃前後であれば睡眠の質的低下は見られません。また、高湿度環境では覚醒が増加し、深睡眠が減少します。

夜間の騒音は45~55dBでも不眠や夜間覚醒を増加させますが、感覚刺激が少なすぎると覚醒度が高まる可能性があります。光に関しては、夜間の室内照明程度の明るさでも覚醒作用が生じます。朝の起床前に寝室を明るくすると睡眠が浅くなり、目覚めが良くなりますが、入眠前の明るい光は入眠を妨げます。青白い光や白っぽい光は暖色系の光より覚醒作用が強いです。

朝に目が覚めたら日光を浴びる

健康成人を対象にした観察研究によると、起床後に太陽光を浴びることで体内時計がリセットされ、その後15〜16時間後に眠気が出現することが示されています。

毎朝起床直後に太陽光を浴びない場合、寝つく時刻が遅れる傾向があります。通常の室内明るさは200〜500ルクスで、太陽光の10分の1以下ですが、曇りの日でも屋外では室内の5倍以上の明るさになります。そのため、体内時計を同調させるには屋外の太陽光を利用することが効果的です。

起床後2時間以上室内にいると体内時計の同調が十分に行われず、就寝時刻が遅れることが指摘されています。

睡眠改善で仕事の生産性を高める

睡眠は単に体を休めるだけでなく、心身の健康維持や生産性向上にも不可欠です。睡眠不足は作業能率の低下やヒューマンエラーのリスクを高め、職場でのパフォーマンスにも影響を与えます。

睡眠の質を向上させるためには、リラックス法の見つけや適切な睡眠環境の整備、日光の浴び方など、日々の生活習慣を見直すことが重要です。さらに深い理解と実践的なアプローチを学ぶために、「睡眠生活改善講座」に参加し、仕事と休息のバランスを最適化しましょう。

この講座では、睡眠のメカニズムを理解し、実践可能な睡眠改善技術を学ぶことができます。

「睡眠生活改善講座」では、健康と生産性を高める睡眠について学ぶ事ができます。デスクワーク、夜勤、マネジメント職など、様々な職種に適したカリキュラムで、ヨガやストレッチを取り入れた実践的なアプローチを提供します。

睡眠生活改善講座

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