スピーチのコツとは? - 人前で緊張しない方法や説得力のある話し方を紹介

ビジネスの現場では、朝礼や会議など人前でスピーチを求められる場面が少なくありません。しかし、「スピーチのネタもないし、人前で話すのは緊張する…」と憂鬱に感じるビジネスパーソンも多いでしょう。

とはいえ、スピーチ力は上司への報告・連絡・相談や会議での発表、クライアントへのプレゼンなど様々な場面で求められる重要なスキルです。特に朝礼スピーチは、限られた時間内で要点をまとめて分かりやすく伝える訓練になり、人前で話す良いトレーニング機会にもなります。

本記事では、スピーチが苦手な方に向けて、スピーチの基本的なコツから、緊張しない方法説得力のある話し方スピーチのネタ例、そして成功するスピーチ構成のテンプレートまでを初心者・中級者向けに解説します。

スピーチ力向上の参考にしていただき、ビジネスで活かせる自信のある話し手を目指しましょう。

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スピーチのコツ

まずは押さえておきたいスピーチの基本ポイントです。スピーチ上手な人が実践している代表的なコツを紹介します。

テーマを明確にする

「結局何が言いたいのか分からない」スピーチにならないよう、まず主題(テーマ)を1つに絞って明確にしましょう。伝えたいことが曖昧だと話が散漫になり、聞き手は「何の話だったのだろう?」と感じてしまいます。

スピーチを行う目的(例:朝礼で社員の士気を高める等)に沿ってテーマを決め、「一番伝えたいメッセージは何か」をはっきりさせてください。

具体的なエピソードを盛り込む

内容に説得力と印象深さを持たせるために、抽象的な話だけでなく具体的なエピソードや事例を入れることが重要です。

例えば数量を用いて「たくさんの人が集まりました」より「1万人もの人が集まりました」と言えば規模感が伝わりやすくなります。

身近な例え話や自身の体験談を交えることで、聞き手はイメージを掴みやすくなり共感もしやすくなるでしょう。

十分な準備と繰り返し練習

スピーチ成功のカギは事前準備とリハーサルにあります。ぶっつけ本番で臨むのではなく、話す内容の構成を考えて原稿やメモを用意し、何度も練習しましょう。プロのアスリートですら大舞台では緊張するため、本番前に徹底的な練習でコンディションを整えます。スピーチも同様に、準備不足は不安要素となり失敗の原因になります。

鏡の前で話して表情や姿勢をチェックしたり、声を録音して話し方を客観的に確認したりするのも効果的です。十分に練習できれば内容に自信が持て、本番の緊張も和らぐでしょう。

話す環境に慣れておく

可能であれば、本番に近い環境でリハーサルしておくと安心です。実際にスピーチを行う会場で声を出してみたり、同僚や家族の前で練習して“人前で話す”雰囲気に慣れておきましょう。会場の下見をしてマイクや照明の有無、聴衆との距離感を把握しておくことも有効です。当日の環境をイメージできていれば過度な不安を感じにくくなります。

人前で緊張しない方法

大勢を前にすると緊張してしまうのは自然なことですが、過度の緊張はスピーチの妨げになります。ここでは、人前で話す際の緊張を和らげるポイントを紹介します。

徹底した準備で自信をつける
緊張の最大の対策は事前の準備です。本番までに内容を練り上げ十分に練習しておけば、「準備不足でうまく話せないかも」という不安を減らせます。実際、プロでも本番前には入念に準備を行い緊張を和らげています。
原稿を丸暗記しない
スピーチ原稿を一字一句暗記しようとすると、飛んでしまったときにパニックに陥りやすくなります。完璧に暗記せずとも要点を押さえていれば十分です。万一忘れてもすぐ思い出せるよう、キーワードを記したメモを用意しておくと安心感につながります。
本番前に心身をリラックス
登壇直前には深呼吸をして心を落ち着けましょう。軽くストレッチをしたり、背筋を伸ばして笑顔を作るといった身体からほぐす方法も有効です。姿勢を正せば声も出しやすくなり自信が生まれます。リラックス効果に加え、自信ありげな態度は聞き手にも良い印象を与えます。
聞き手に意識を向ける
自分の緊張ばかりに意識を向けず、「相手に伝える」ことに集中しましょう。視線をできるだけ聴衆に向け、頷いてくれている人を見れば「伝わっている」安心感で緊張が和らぎます。話している最中に聴衆の反応(頷きや笑顔)を感じ取れれば、次第に落ち着いて話せるようになるはずです。

説得力のある話し方

続いて、聞き手に「なるほど」と納得してもらうための話し方のコツを、内容面と話し方・態度面に分けて見ていきましょう。

内容面で説得力を高めるポイント

内容面で説得力を高めるポイント

序盤でテーマ・結論を伝える

スピーチの冒頭で「何についての話か」を明示しましょう。ビジネスの場では結論を先に述べてしまう(結論ファースト)話し方が有効と言われます。最初にテーマや要点を示すことで聞き手の注意を引きつけ、「この人は何の話をしているのだろう?」と迷わせるのを防ぎます。

論理的な構成を組み立てる

話の展開は筋道立てて進め、聞き手が理解しやすいように構成します。例えば「問題–原因–解決策」や「過去–現在–未来」のように順序立てると論理的です。後述するようにPREP法(Point→Reason→Example→Point)などの型を使うのも有効でしょう。

データや根拠を示す

主張に説得力を持たせるにはエビデンスが不可欠です。資料や統計データ、専門家の言葉など事実に基づく情報を盛り込みましょう。ただし難解な数字や専門用語はかえって伝わらないので、必要な範囲で平易に説明します。数字を使う場合も、「約3割増加」より「○○が30%増加」と具体的に言い切る方が明確です。

エピソードや例で補足する

主張を支える具体例を入れることで話に厚みが出ます。自分や身近な人の体験談、顧客事例、たとえ話などを交えて説明すると、聞き手はイメージしやすくなり納得感が増します。感情に訴えるエピソードは記憶にも残りやすく、共感を引き出す効果もあります。

メッセージを絞って簡潔に

一度に詰め込みすぎず、伝える内容は絞り込んで簡潔にまとめましょう。あれこれ盛り込むと焦点がぼやけてしまい、結局何が言いたいのか伝わりません。スピーチ時間にもよりますが、主張のポイントは多くても3つ程度に留めるのがおすすめです。内容が多い場合は「本日はポイントを3つお話しします」のように宣言し、聞き手が整理しながら聞ける工夫をしましょう。

話し方・態度で説得力を高めるポイント

適切な話すスピードと間(ま)

早口すぎると内容が頭に入らないため、意識してゆっくりめに話しましょう。一般に1分間に話す文字量は約300字が聞き取りやすいペースと言われます。要所要所で一呼吸置き、句読点では0.5〜1秒ほど間を作ると効果的です。沈黙を恐れて「えー」「あのー」と埋めてしまいがちですが、余計なつなぎ言葉はかえって聞きづらくなるので注意します。

明瞭な発声と声量

聞き手に届くしっかりした声で話すことも基本です。会話よりワントーンはっきりと発音し、後ろの人にも届く声量を意識しましょう。姿勢が悪いと声がこもり小さくなりますので、背筋を伸ばして胸を開き、声を遠くに飛ばすイメージで話します。

抑揚をつける

声のトーンや大きさ、話す強弱にメリハリをつけると、スピーチに臨場感が生まれ注意を引きつけます。ずっと単調な口調だと眠気を誘ってしまいがちです。ここぞという重要ポイントでは語気を強めたり、情感を込めて話すなど強弱を意識しましょう。

アイコンタクトで訴える

聞き手の目を見ることで、自信と誠意が伝わりやすくなります。原稿ばかり見ずにできるだけ聴衆に視線を配りましょう。人数が多い場合は会場をいくつかのブロックに分け、ブロックごとに代表の一人に語りかけるように視線を移すと全体に目線を届けられます。

適度なアイコンタクトは「自分たちに語りかけてくれている」という一体感を生み、聞き手の心をつかみます。

姿勢・表情・ジェスチャー

話し方だけでなく見た目の印象も説得力に影響します。猫背でうつむいていては自信なさそうに見え、声も小さくなりがちです。背筋を伸ばして堂々と立ち、適度に身振り手振りを交えて話しましょう。手振りを添えることで熱意や真剣さが伝わり、聞き手を引き込む効果があります。

また表情も大切な要素です。緊張していてもなるべく自然な笑顔を心がけると、声にも明るさが加わり好印象です。

スピーチのネタ(具体例)

「話す題材が思いつかない…」という場合に備えて、スピーチで扱いやすいネタの例をいくつか紹介します。身近な話題から時事ネタまで、聞き手の興味を引きつつメッセージを伝えられるテーマを選びましょう。

時事ネタ・ニュース
最近話題のニュースや業界の動向などをテーマにします。新聞やニュースサイト、Googleトレンドなどで気になる記事を探し、その出来事から学べることや仕事に活かせる教訓を語りましょう。ただし宗教や政治など人によって意見の分かれるテーマは避けた方が無難です。
「今日は何の日?」
スピーチをする当日が何かの記念日や◯◯の日に当たっていれば、それを切り口にする手があります。「今日は○月○日、○○の日です。そこで…」と導入し、そのテーマに絡めた話題を展開します。例えば「◯◯の日」にちなんだ豆知識やエピソードを紹介し、最後に仕事への意気込みや呼びかけにつなげるとまとまりやすいです。
名言・ことわざ
偉人の名言やことわざを引用し、その言葉から得た学びや自分の考えを語ります。「○○という言葉があります。これは〜という意味で…」と切り出せば聞き手の関心を引きやすいでしょう。その言葉を選んだ理由やそこから得た教訓を自身の経験と絡めて話すことで、スピーチにオリジナリティと深みが生まれます。
身近な経験談
自分自身のエピソードはスピーチのネタの定番です。仕事での体験はもちろん、趣味や旅行、家族との出来事など一見仕事と関係ない話題でも、そこから学んだことや気付きを共有すれば有意義な内容になります。「最近◯◯に挑戦して感じたこと」のように紹介し、得られた教訓を仕事の姿勢に結びつけると良いでしょう。個人的な話題はあなたの人柄も伝わり、聞き手との距離を縮める効果もあります。
季節の話題
季節のイベントや行事、時節ならではの話題もネタになります。例えば年度始めや年末なら目標設定や一年の振り返り、春なら新生活や桜、夏なら暑さ対策やオリンピック(開催年なら)など、タイミングに合ったテーマを選ぶと共感を得やすいです。季節行事に絡めて仕事や生活に役立つメッセージを添えれば、時宜にかなったスピーチになるでしょう。
健康・生活習慣
ビジネスパーソンにとって重要な健康管理や生活習慣も朝礼スピーチの鉄板ネタです。睡眠や運動の大切さ、効率的な時間管理術やリフレッシュ法など、自分が実践して効果を感じたことを紹介すると説得力があります。聞き手の日常にも役立つ有益な情報となるため、関心を引きやすいテーマと言えます。

以上のように、身近な話から時事的な話までネタの候補は多岐にわたります。大切なのは選んだ題材からどんなメッセージを伝えたいかです。どのようなテーマでも、「そこから何を学んだか」「その話を聞いて聞き手にどう行動してほしいか」といったポジティブな教訓や呼びかけにつなげるよう意識しましょう。

成功するスピーチの構成(テンプレート)

最後に、スピーチを効果的に伝えるための全体構成(話の組み立て方)について説明します。場当たり的に話し始めるのではなく、伝わりやすい型に沿って組み立てることで格段に話しやすく、聞き手にも理解してもらいやすくなります。

スピーチの構成としては、一般的な3部構成(序論・本論・結論)が基本です。ビジネススピーチでありがちな「起承転結」は、元々漢詩の構成法であり事実に基づくスピーチには当てはめにくい場合があります。シンプルな3部構成をベースにすると論理的でまとまりのあるスピーチになりやすいでしょう。
成功するスピーチの構成(テンプレート)

導入(序論)

スピーチのつかみとなる部分です。まず挨拶や簡単な自己紹介を行い、続いてテーマを提示します。聞き手の興味を引くエピソードや質問を冒頭に入れるのも効果的です。ここで「今日は◯◯についてお話しします」「私が最近学んだ◯◯の教訓です」といった形で主題を明示し、聞き手の注意を引きつけましょう。

展開(本論)

スピーチのメインとなる部分です。導入で提示したテーマについて具体的な事実やエピソードを示しつつ、自分の意見やメッセージを伝えていきます。主張を支える根拠や背景説明、詳細なエピソードなどを盛り込み、論理的に話を展開しましょう。長い場合は適宜段落を区切り、「第一に…」「次に…」と要点を整理しながら話すと分かりやすくなります。なお、短いスピーチでは事実(エピソード)→そこからの考察(学び)→さらに別の事実→考察…というように、事実と自分の考えを交互に織り交ぜる構成も効果的です。そうすることでエピソードに基づいた明確なメッセージが聞き手に残りやすくなります。

結び(結論)

スピーチの締めくくりです。本論で述べた内容を簡潔にまとめ、改めて伝えたいメッセージを強調します。導入で提示したテーマに立ち返り、「つまり○○ということです」と結論づけましょう。時間に余裕があれば、聞き手への問いかけや行動喚起(例えば「皆さんもぜひ○○してみてください」など)を入れて終わると、聞き手の心に残るスピーチになります。最後は「ご清聴ありがとうございました」など感謝の言葉で締めくくります。

スピーチ全体の流れを決めたら、実際に話す時間に合わせて内容を調整します。原稿を書く場合、一般に1分間に話せる文字数は300字程度と言われます。5分話すなら1500字前後が目安です。制限時間内に収まるよう長さを調節し、何度か音読してタイミングを体に染み込ませましょう。

また、結論を明確に伝えるためにPREP法(Point→Reason→Example→Point)を用いるのも有効です。最初に要点(Point)を述べ、次に理由や根拠(Reason)と具体例(Example)を示し、最後にもう一度要点(Point)を繰り返す構成です。この型はシンプルながら論理的でわかりやすいため、短いスピーチやプレゼンで重宝します。

構成と準備がしっかりしていれば、あとは落ち着いて話すのみです。伝えたいメッセージが明確であれば多少言葉が詰まっても思いは伝わります。大事なのは「何を伝えたいか」がブレないことです。軸がしっかりしていれば、自信を持ってスピーチに臨めるでしょう。

まとめ

スピーチのコツや準備方法、ネタ選びから構成例まで紹介してきました。最初は誰でも人前で話すのは緊張するものですが、念入りな準備が自信となり緊張もいくらか和らぐはずです。基本のポイントを押さえて場数を踏めば、スピーチは必ず上達します。聞き手にメッセージが伝わり心を動かすスピーチができれば、ビジネスパーソンとして大きな武器になるでしょう。

スピーチ力向上のために、ぜひ今日からできる準備や練習を始めてみてください。人前で堂々と自分の想いを語れるようになれば、きっとあなたの仕事やリーダーシップにも良い変化が現れるはずです。

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