ストレス軽減やリラックス効果が得られることから注目を集めているマインドフルネス。本記事では「どのような効果を期待できるのかわかならい」と感じる方へ、マインドフルネスで得られる具体的な効果を紹介します。また、やり方や実践のポイント、やってはいけない人についても解説します。
マインドフルネスで重要なこと
マインドフルネスとは、目の前のことに集中する心の状態を意味します。このマインドフルネスを普段の生活に取り入れることで脳の疲労が減り、想像力や幸福感などが高まるとされています。
ただし、マインドフルネスの効果を得るにはいくつかの重要な点を押さえておかなければなりません。ここでは、3つのポイントに絞って解説します。
今この瞬間に意識を向ける
マインドフルネスの効果を得るには「今この瞬間」に意識を向ける必要があります。過去や未来のことは考えず、今の状況や環境、感情などをそのまま受け入れなければなりません。
「昨日のことは大丈夫だったかな」「このあとはすぐにあそこ行こう」といったように、ぼんやりと考えるのもNGです。自ら意識的に雑念を排除し、今この瞬間に集中します。
評価や判断はしない
マインドフルネスを実践するうえで「評価」や「判断」をしないことも重要です。瞑想をする中で頭に浮かんだ事柄に対しては判断や評価をせず、ただ受け入れるようにしてください。
また、過去に感じた怒りや妬みといった感情が蘇ってきたとしても、反応してはいけません。感情に飲み込まれないためにも、今起きている事実だけに集中して心をフラットな状態にしましょう。
目的を持って取り組む
明確な目的を持ってマインドフルネスに取り組むことも重要です。「心を穏やかにしたい」「漠然とした不安な気持ちを解消したい」など、なぜマインドフルネスを実践するのかを明らかにします。
マインドフルネスは1度の実践よりも、継続的な実践によって効果が増大します。しかし、目的が明確になっていないと改善している実感を得る前にやめてしまう事態になりかねません。
継続できなかった事実に落ち込み、かえってストレスになる可能性があるため注意が必要です。
マインドフルネスの効果
マインドフルネスの実践によって得られる代表的な効果は次の5つです。
- ストレスから解放される
- 免疫機能が向上する
- 集中力が増す
- 緊張を緩和できる
- 記憶力や決断力が向上する
自身がマインドフルネスを実践する目的と効果が合致しているかを確認していきましょう。
ストレスから解放される
マインドフルネスの実践によって「ストレスの解放」を期待できます。「夫(妻)からひどいことを言われた」「クライアントを怒らせてしまった」など、仕事と私生活のいずれもストレスにつながるシーンはさまざまに存在します。外部から受けたストレスに対して感情的に反応していると、ストレスは解放されず溜まるばかりです。
そこで、マインドフルネスによって今この瞬間に意識を向ければ、ストレスに対して自身がどのように反応しているかを理解できます。その結果として、ストレスの緩和や解放につながるのです。
免疫機能が向上する
マインドフルネスの実践は「免疫機能の向上」につながります。免疫機能を下げる要因の1つが「ストレス」です。
過度なストレスを受けると自律神経に乱れを引き起こします。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、緊張状態では交感神経が優位に、リラックス状態では副交感神経が優位に働きます。この2つが入れ替わりながら人間の体は調整されているのです。
ストレスによって自律神経が乱れると免疫力低下や不眠、血圧異常などを引き起こします。つまり、マインドフルネスによりストレスを解放することは自律神経を安定させ、その結果として免疫機能を高めてくれるのです。
集中力が増す
マインドフルネスは「集中力アップ」が期待できます。人はまだ起きていない未来に不安を抱いたり、過去の問題を引きずったりするものです。つまり、普段の多くの時間の中で過去や未来を行ったり来たりしながら生きています。
そこで、マインドフルネスを実践すると日頃は無意識のため感じきれていない自身の身体や呼吸に集中できます。その結果として雑念が排除され、今やるべきことに集中できるようになるのです。
緊張を緩和できる
マインドフルネスは「緊張の緩和」につながります。仕事や子育てに関する悩みなどで緊張から抜け出せず、常に焦りや不安を感じるといった場合は、過緊張の状態です。
過緊張とは、交感神経が過剰に優位になる状態を指します。過緊張の状態はストレス社会と呼ばれる現代においては、誰しもなりえます。この過緊張の状態もマインドフルネスによって副交感神経を優位にできれば、緊張を緩和することが可能です。
決断力が向上する
マインドフルネスによって思考が整理されると「決断力」が向上します。2014年にカナダとドイツの大学が共同で行った研究によると、マインドフルネスの継続によって「前帯状皮質(ぜんたいじょうひしつ)」が活性化したと発表しました。
前帯状皮質の役割は、血圧や心拍数を安定させるだけでなく、意思決定や共感といった認知機能にも関与しています。つまり、前帯状皮質の活性化は自身を抑制する力を高め、意思決定の質を上げるのです。その結果として、自身の決断に自信を持つことができます。
マインドフルネス瞑想のやり方
ここでは、マインドフルネス瞑想のやり方を4つ紹介します。
瞑想とは呼吸や身体の状態などに集中することで、脳内をクリアする行為です。何に意識を持たせるかで、そのやり方が異なります。ここでは、それぞれのやり方について詳しくみていきましょう。
呼吸を意識したマインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想のやり方に「呼吸」への集中があります。自身の呼吸に意識を向け、心をフラットな状態へと近づけていくのです。
この時、呼吸のやり方については、自身の好きな形で問題ありません。おなかが膨らんだり、縮んだりする様子を頭の中で実況します。もし、途中で雑念が湧いてきたら、それも同様に実況してみてください。雑念を排除できたら、再度呼吸に意識を向け直します。
最初は1日10分程度からスタートし、慣れてきら少しづつ時間を延ばしていきましょう。
食事を意識したマインドフルネス瞑想
食事を通じて、食べる行為に意識を向ける方法があります。まずは、料理の見た目や彩りなどを観察し、その後に香りに意識を向けます。
そして、料理を口に運び、しっかりと噛んで味や形に集中してみてください。この時、いつもよりゆっくりと味わうことがポイントです。食材が喉を通って胃に到達するまでの感覚を確かめてみましょう。
また、食事により集中するためにも会話をしたり、テレビなどを見たりするのは控えてください。1食あたり「30分~1時間程度」の時間をかけて実践します。
まず試してみたいという方は、一粒のレーズンを5分かけて味わう「レーズン・エクササイズ」から始めてみてください。
体の感覚を意識したマインドフルネス瞑想
「ボディスキャン」と呼ばれる体の感覚を意識したマインドフルネス瞑想のやり方があります。その名の通り、医療機器のCTスキャンで読み取るかのように、体の動きや感覚に意識を向けていきます。
この時、立っていても横になっていても構いません。自分がリラックスできる姿勢で取り組みましょう。そして、軽く目を閉じて呼吸を整えます。
まずは体全体に意識を向け、その後に体の末端から中央に向けて確認していきます。最後は頭に意識を向けて完了です。
ポイントとしては、普段は意識しないような皮膚や髪先などにも意識を向けてみてください。また、途中で雑念が浮かんできたら呼吸を整え、吐き出してみましょう。
歩行を意識したマインドフルネス瞑想
「歩行」を意識したマインドフルネス瞑想は、実際に歩きながら実施します。他の方法と同様に、自身の呼吸や体の動きに意識を向けます。
このとき、視線を前方に固定するのがポイントです。視線を定めていないと呼吸や手足の動きに集中しにくくなります。また、音楽などを聞きながらの実践もおすすめしません。
ひたすら呼吸や体の動きに集中し、前方を見ながらゆっくりと歩きましょう。歩行を意識した方法は、日常のちょっとしたタイミングでも実践できるため、家事や子育て、仕事で忙しい方におすすめです。
職場などで簡単にできるマインドフルネス
ここまでご紹介したマインドフルネス瞑想のやり方以外にも、職場などで簡単にできる方法が存在します。数ある方法の中でも「昼食休憩でリラックスする」「良い出来事を書き出す」の2つはおすすめです。
昼食休憩でリラックスする
1つ目の「昼食休憩でリラックスする」は、午後からの仕事のパフォーマンスアップにつながります。企業によってはデスクを離れず、その場で食事をとるといったケースも考えれます。
一見、仕事の生産性が上がるようにも捉えられがちです。しかし、一度席から離れて散歩をしたり、静かな場所で少し目をつむったりするほうが集中力が向上します。実際にGoogleをはじめ様々な企業で集中力や記憶力の改善を目的とした瞑想タイム制度が導入されています。
良い出来事を書き出す
2つ目の方法として「良い出来事を書き出す」もおすすめです。その日に起きた良い出来事を書き出すことで、なぜ良いと感じたのかを振り返れます。「○○さんの挨拶が気持ちよかった」「上司に褒められて嬉しかった」など、どのような内容でも構いません。
自然と前向きな内容に意識が向くようになり、自らの視野や視座が変わります。
仕事パフォーマンスアップのためのマインドフルネス研修の最大の魅力は、座学と実践のバランスの良さにあります。独自のエビデンスに基づいた内容、充実した実践部分、豊富な講義ラインナップにより、様々な企業様に導入していただいています。
マインドフルネス瞑想をやってはいけない人
ここまで、マインドフルネスにおける良い効果を挙げました。しかし、マインドフルネスをやってはいけない人がいるのも事実です。その特徴として、次の3つが挙げられます。
- 不安障害などの精神疾患を抱える人
- マインドフルネスを実践する目的が不明確な人
- マインドフルネス瞑想の効果を過信している人
うつ病や不安障害などの精神疾患を抱える人
うつ病や不安障害などの精神疾患を抱える人にはマインドフルネスをおすすめしません。なぜなら、ネガティブな感情にフォーカスしてしまい、混乱をきたす恐れがあるからです。
場合によっては、不安感が増大して症状の悪化を招く恐れがあります。精神疾患を抱える方は、事前に医師や専門家、家族などに相談をしたうえで実践しましょう。
マインドフルネスを実践する目的が不明確な人
マインドフルネスを実践する目的が不明確な人は、得られる効果が少なくなる可能性があります。前述の通り、マインドフルネスは継続的な実践によって効果を大きくします。
目的が明確になっていないために、実感を得るまで継続できないといったケースが少なくありません。マインドフルネスを実践したものの、いまいち効果を実感できなかった方は、改めて目的が明確になっているかを確認してみてください。
マインドフルネス瞑想の効果を過信している人
マインドフルネス瞑想に対して、その効果を過信している人にもおすすめしません。マインドフルネス瞑想は、あくまで思考を整理する方法の1つです。
「マインドフルネス瞑想をしておけばビジネスが成功する」「夫婦関係を改善する方法はマインドフルネス瞑想しかない」といった行き過ぎた過信は危険です。
心の状態を整え、今やるべきことに気づくことがマインドフルネスの役割であることを理解してから行いましょう。
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