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セクショナリズムとは何か 組織にもたらすリスクと改善方法

セクショナリズムとは、自部門の利益や立場を優先し、他部門との協力を拒む「縄張り意識」のことです。過剰なセクショナリズムは部門間の連携を阻害し、生産性の低下や社員の離職、DX推進の停滞など、組織に深刻なリスクをもたらします。

この記事では、セクショナリズムの意味や種類、発生原因、組織へのリスクをわかりやすく解説したうえで、具体的な改善方法を紹介します。

この記事でわかること

  • セクショナリズムの定義・種類・具体例
  • セクショナリズムが生まれる4つの原因
  • 組織にもたらす5つのリスク
  • 実践的な改善方法5選

セクショナリズムとは?意味をわかりやすく解説

セクショナリズム(sectionalism)とは、自分が所属する部門の利益や権限を過度に優先し、他部門との協力や情報共有を拒む考え方です。日本語では「割拠主義」「縄張り意識」「縦割り主義」などと訳されます。

英単語の"sectional"(部分的な・局地的な)に"ism"(主義)を付けた言葉で、組織の一部分にしか目を向けない姿勢を表しています。

適度な部門意識は「隣のチームに負けたくない」という健全な競争心につながります。しかし、それが過剰になると部門間の対立を生み、組織全体の成果を損なう原因になります。

セクショナリズムの言い換え・類語

セクショナリズムは、文脈に応じてさまざまな言葉で言い換えられます。

言い換え ニュアンス
縄張り意識・縄張り根性 自部門の領域を守ろうとする心理を強調
派閥主義 グループ間の対立構造を強調
縦割り主義 組織構造に起因する非効率を強調
大企業病 大規模組織で硬直化した状態を総称
サイロ化 部門間で情報やシステムが分断された状態
タコツボ化 狭い範囲に閉じこもり外部と交流しない状態

特に近年は、IT・DXの文脈で「サイロ化」という表現が使われる機会が増えています。

セクショナリズムの対義語

セクショナリズムの明確な対義語として使われるのが「コーポレーショニズム(corporationism)」です。コーポレーショニズムは、部門単位ではなく組織全体の利益を優先する考え方を指します。

また、「協働」「横断的連携」「ホラクラシー(階層を排した役割ベースの組織運営)」なども、セクショナリズムと反対の方向性を持つ概念です。目指すべきは、部門の壁を越えて組織全体で課題を解決できる状態といえるでしょう。

セクショナリズムの具体例

セクショナリズムは、日常の業務のなかでさまざまな形で表面化します。

  • 営業部門とマーケティング部門の対立:営業は「資料の質が低い」と言い、マーケティングは「営業の活用力が足りない」と言い合う
  • 情報の囲い込み:自部門に有利な情報を他部門に共有せず、全体の意思決定が遅れる
  • 他部門への責任転嫁:プロジェクトが失敗したとき、自部門の問題を認めず他部門のせいにする
  • 協力要請の無視:他部門からの依頼や相談に対し、「うちの仕事ではない」と対応を拒否する

こうした対立の多くは、片方だけに非があるケースはまれです。本来は両者が歩み寄って解決策を見つけるべきですが、「自分は頑張っている」という思いが強すぎると、問題を他者のせいにしがちになります。

セクショナリズムの種類

セクショナリズムは、大きく「無関心型・非協力型」と「批判型・排他型」の2つに分類できます。自組織にどちらのタイプが見られるかを把握することが、改善の第一歩です。

無関心型・非協力型セクショナリズム

「自分たちさえ良ければ、他部門のことはどうでもいい」というタイプです。

無関心型
自部門の業務領域にしか関心を持たず、他部門の状況を把握しようとしません。仕事は複数の部門が連携して進めるものであるため、無関心な社員がいると業務が停滞する原因になります。
非協力型
他部門の状況に関心がないだけでなく、困っている部門があっても助けようとしません。「関係ないことに首を突っ込んで責任を取らされたくない」という事なかれ主義にもつながります。

いずれも根底にあるのは「自分が良ければあとはどうでもいい」という考え方です。直接的な攻撃はないものの、チームワークを静かに蝕みます。

批判型・排他型セクショナリズム

他部門に対して攻撃的な姿勢をとるタイプです。

批判型
他部門や他の社員に敵対心を持ち、ミスを必要以上に責めたり、自分のミスを他者になすりつけたりします。常に「自分は被害者だ」という意識があり、周囲にストレスを与えます。
排他型
気に食わない社員や部門を排除しようとするタイプです。隣の部署の悪い噂を流す、顧客を強引に奪うなど、積極的に他部門の足を引っ張ります。

批判型・排他型は、無関心型と異なり他部門の業務に強い関心を持っています。「自分ならもっとうまくできる」という妬みの感情が攻撃に転じているケースが多く、組織の雰囲気を急速に悪化させます。

セクショナリズムが生まれる原因

セクショナリズムは個人の性格だけでなく、組織の構造や制度が原因で生まれることも少なくありません。根本原因を理解することが、効果的な改善につながります。

不安や縄張り意識

セクショナリズムの最も大きな要因は、自分の立場や評価に対する不安です。

「協力したら自分の業績を奪われるのではないか」「他人の仕事がうまくいくのを見るのが面白くない」といった感情が、他部門との協力を拒む行動につながります。他人が評価されることで自分の縄張りが脅かされるように感じてしまうのです。

評価制度の問題

部門間の相対評価や過度な成果主義は、セクショナリズムを助長します。「他部門の評価を下げれば、自部門の評価が相対的に上がる」という構造があると、協力よりも足の引っ張り合いが合理的な行動になってしまいます。

評価制度が競争を煽る仕組みになっていないか、組織として点検する必要があります。

他部門の業務への無理解

人事異動が少ない組織では、他部門の業務内容や大変さを実感する機会がありません。経験したことのない業務の苦労は想像しにくいため、「自分の方が頑張っている」「あの部門は楽をしている」と思い込みやすくなります。

近年は業務の専門化が進み、同じ部門に長く勤めるスペシャリスト志向の社員が増えています。その結果、部門間の相互理解が薄れ、セクショナリズムが生まれやすい土壌ができています。

リモートワークによるコミュニケーション機会の減少

コロナ禍以降のリモートワーク普及は、セクショナリズムを深刻化させる新たな要因となっています。

オフィスでの偶発的な会話(廊下ですれ違う、休憩室で雑談するなど)は、部門を越えた相互理解に大きな役割を果たしていました。リモートワーク環境では、こうした非公式なコミュニケーションが激減し、他部門の状況が見えにくくなります。

意識的に部門横断のコミュニケーション機会を設けなければ、各部門がますます「タコツボ化」するリスクがあります。

セクショナリズムが組織にもたらすリスク

セクショナリズムを放置すると、組織にさまざまな悪影響が生じます。問題が深刻化する前に、リスクを正しく認識しておきましょう。

部門間の連携停滞と生産性低下

セクショナリズムが進むと、部門間の情報共有やコミュニケーションが滞り、業務のスピードと質が低下します。

たとえば、チームリーダーから「メンバー全員に伝えておくように」と依頼された情報が、自部門にだけ共有され他部門には届かないといった事態が起こり得ます。こうした情報の分断が積み重なると、意思決定の遅れやプロジェクトの停滞につながります。

社員のストレス増加と離職リスク

セクショナリズムによる業務妨害や攻撃的な態度は、周囲の社員に大きなストレスを与えます。セクショナリズムの影響は、当人よりも被害を受ける側に強く現れます。むしろ本人は他部門への攻撃によってストレスを発散しているケースも多いのです。

ストレスを抱えた社員が体調を崩したり、退職を選んだりすれば、組織全体の人材力が低下します。

顧客・取引先の信用喪失

セクショナリズムの影響は社外にも波及します。たとえば、顧客からの問い合わせに対して、他部門に確認すれば正確に答えられるにもかかわらず、「他部門には頼りたくない」と自力で対応し、不正確な回答をしてしまうケースです。

たった一人の不適切な対応でも、会社全体の信用問題に発展するリスクがあります。

DX推進の阻害(サイロ化問題)

経済産業省が公表した「DXレポート」では、部門ごとにシステムが分断される「サイロ化」がDX推進の大きな障壁になると指摘されています。レポートでは、この問題を放置した場合、2025年以降に最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると警告しています。

セクショナリズムが強い組織では、部門ごとに異なるシステムやツールを使い続け、データの統合や業務プロセスの最適化が進みません。組織の壁がデジタル化の壁にもなっているのです。

不祥事・コンプライアンス違反のリスク

部門間の情報共有が不足すると、問題の早期発見が遅れ、不祥事やコンプライアンス違反のリスクが高まります。ある部門で起きている問題が他部門に伝わらず、組織として対応が後手に回るケースは少なくありません。

透明性の高い組織運営のためにも、セクショナリズムの解消は重要な課題です。

セクショナリズムの改善方法

セクショナリズムの改善には、個人の意識改革だけでなく、組織の仕組みを変えることが不可欠です。以下の方法を組み合わせて取り組みましょう。

ジョブローテーション(人事異動)を導入する

他部門の業務を実際に経験してもらうことで、部門間の相互理解を促進できます。

無関心型・非協力型の社員には、さまざまな領域を経験させることで「無関心でいられない状態」をつくります。批判型・排他型の社員には、他部門の実態を知ることで「あの部門は楽をしている」といった誤解を解消するきっかけになります。

一度でも他部門を経験すれば、外から見ていた印象と現実の違いを実感でき、協力的な姿勢が生まれやすくなります。

評価制度を見直す

相対評価から絶対評価への移行は、セクショナリズム改善の有効な手段です。

相対評価では「他部門の評価を下げれば自部門が有利になる」という構造が生まれます。一方、絶対評価であれば各部門が自らの目標達成に集中でき、足の引っ張り合いが起きにくくなります。

絶対評価を機能させるためには、事前に明確な目標設定を行うことが重要です。目標が曖昧だと上司の主観に左右され、かえって不公平感を生んでしまいます。

部門横断プロジェクトを導入する

異なる部門のメンバーが共通の目標に向かって協働するプロジェクトは、セクショナリズムの解消に効果的です。

通常業務では接点のない社員同士が一つのチームとして成果を出す経験は、部門間の壁を低くします。プロジェクトを通じて互いの専門性や強みを理解し、日常業務でも協力しやすい関係が築けます。

全社的な業務改善や新規事業の検討など、複数部門の知見が必要なテーマを選ぶと、参加者の当事者意識も高まります。

心理的安全性を確保する

Googleが180以上のチームを分析した社内調査「Project Aristotle」では、チームの生産性に最も影響する要因は「心理的安全性」であると結論づけています。心理的安全性とは、チーム内で自分の意見や疑問を安心して発言できる状態のことです。

心理的安全性が低い組織では、「余計なことを言って批判されたくない」という防衛意識が働き、部門の壁がさらに高くなります。反対に、心理的安全性が確保されていれば、部門を越えた率直な意見交換が生まれ、セクショナリズムが緩和されます。

心理的安全性の概念や高め方について詳しくは、「心理的安全性とは?重要と言われている理由と、作りかたを徹底解説」をご覧ください。

企業研修を活用する

外部の専門講師によるチームビルディング研修は、セクショナリズム改善の実践的な手段です。職場で「チームワークが大切だ」と説くだけでは行動変容につながりにくいですが、研修というアクティビティの場であれば、社員が素直に新しい考え方を受け入れやすくなります。

たとえば、メンバーが協力して一つの目標に取り組むチームビルディング研修は、部門を越えた協力の成功体験を積む機会になります。リーダー候補・幹部候補には、組織全体を俯瞰する力を養うリーダーシップ研修やマネジメント研修も有効です。

研修は練習の場であり、失敗しても実務に影響がありません。良い意味で肩の力を抜けるため、過度なセクショナリズムをほぐすきっかけになります。

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まとめ

セクショナリズムは、部門間の縄張り意識から生まれる組織の分断です。無関心型から排他型まで程度はさまざまですが、放置すれば生産性の低下、社員の離職、顧客の信用喪失、DX推進の停滞など、組織全体に深刻な影響を及ぼします。

改善のためには、ジョブローテーション、評価制度の見直し、部門横断プロジェクト、心理的安全性の確保、そして企業研修の活用を組み合わせて取り組むことが重要です。一つの施策だけで解決することは難しいため、組織の状況に合わせて複数のアプローチを並行して進めましょう。

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2026.04.30 KeySession編集部
この記事の作者
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