「働き方改革が重要なのはわかるけど、実際どうやって進めていったらいいのかわからない」
「実際に働き方改革をして成功した事例を教えてほしい」
このようなお悩みや疑問にお答えします。
結論、企業ごとに課題が違うため、働き方改革の進め方に正解はありません。しかし、成功事例から取り組み方を学ぶことはできます。そこでこの記事では、働き方改革を成功するためのアイディアや成功事例について紹介します。
働き方改革とは?
働き方改革について、2019年に厚生労働省は以下のように定義しています。
働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講じます。
引用:(厚生労働省・「働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」)
そして具体的な見直し内容について、以下7つの項目を掲げています。
- 残業時間の規制
- 勤務間インターバル制度の導入
- 1年に5日以上の有給休暇取得義務
- 月60時間を超える残業は、割増賃金率を25→50%に引上げ
- 労働時間の状況を客観的に把握
- フレックスタイム制の推進
- 高度プロフェッショナル制度(、働く人の健康を守る措置を義務化・成果型労働)の創設
これらを見直すことで、組織の生産性の向上と長時間労働の是正を目的にしました。
【即実行可】働き方改革を成功させるアイデア8選
働き方改革を何をヒントに始めればいいかわからないという方は多いです。
そこでこの章では、働き方改革を成功させるアイディア8選について紹介します。これから自社で行う働き方改革のヒントにしてください。
1. マニュアルの作成と標準化の推進
マニュアルの作成と業務の標準化を進めましょう。
業務の効率化と無駄な労働力の削減ができるからです。
例えば、日々繰り返し行う業務は実施方法をマニュアルで統一すると良いです。誰が行ってもクオリティーコントロールできたり、標準化はミスの予防に効果的だったりするため、結果として業務の効率化になります。
参考記事:暗黙知とは?具体例や形式知化につながるナレッジマネジメントを解説
2. テレワークの推進・会議の低減
会議時間の低減や削減で業務の効率化が図れます。
議題を決めずに行う会議は、実施することが目的になっており、無駄な業務時間を社員へ強要していることになります。昨今テレワークの普及で会議の必要性や実施方法などが見直され、業務改善する機会ができました。
そこで議題・所要時間・出席者を事前に決めて、有意義な会議にすると有意義な会議が行えます。
3. 副業の解禁・給与規定の見直し
副業解禁や給与規定の見直しも働き方改革を推進するための重要な活動です。
特に正規・非正規雇用者の給料や待遇の格差は深刻な問題であり、早急な改善が求められます。また副業を解禁すると、働き方の選択肢が増えたり、個人の見識を広げたりもできます。
4. 人事評価制度の導入
人事評価制度の導入で社員を適材適所に配置できます。
従来の人事評価制度は、学歴や資格・年齢などハードスキルで評価していたため、最適な配置が行えず、結果として個人のスキルを最大化できませんでした。
そこで、個人の性格や将来ビジョン、仕事への姿勢などソフトスキル評価基準を設けることで、適材適所の配置ができ、企業全体の生産性の向上もできるのです。
また適材適所の配置ができると、社員の仕事へのモチベーションが向上し、自身の存在意義を感じることができます。
5. 研修制度の充実
新人社員に加え、既存の社員に対して研修を導入して、企業全体の底上げを目指しましょう。特にこれから企業を牽引していくリーダーや管理職の研修は、未来に大きな利益をもたらします。
また研修で統一した教育をすると、社員の足並みを揃えることができます。チーム内のコミュニケーションの向上にもなり、社員同士の連携がスムーズになるメリットもあります。
6. 休暇制度の充実
休暇制度の充実を行いましょう。特に有給休暇の取得について、働き方改革でも年間5日以上を義務付けています。
本来取得しなければいけない有給休暇ですが、職場の状況や雰囲気によっては希望を出しにくい状況があります。
企業には社員に対して休暇希望のヒアリングをしたり、希望が出しやすい申請システムを新設したりするなどの対応が求められているのです。
また社員の休暇取得率が向上できた実績があれば、新卒者への企業アピールにもなり、採用活動の強みになります。
7. フレックスタイム・時短勤務で残業時間の削減
フレックスタイム制とは、社員が始業・終業時刻、労働時間を決められる制度です。そのため、ライフスタイルに合わせた就業形態で効率的に働けるというメリットがあります。
配偶者の仕事形態や子供の行事などに合わせて就業時間を決定できるため、柔軟に働けて、離職率の低下も期待できます。
また時短勤務や残業の削減により、限られた就業時間の見直しができます。これまで行っていた残業が必要であったか見直し、改善する機会を作りましょう。
8. CWO(チーフ・ワークスタイル・オフィサー)の任命
CWO(チーフ・ワークスタイル・オフィサー)とは、社員の健康を管理する最高健康責任者のことです。
働き方改革で注目されるのが生産性の向上や業務の効率化など業務内容についてばかりです。しかし、これでは社員一人ひとりが尊重されていません。
働き方改革で第一に考えるべきは、社員の健康の維持・推進です。過剰労働による離職率の増加やストレスによる健康被害などを予防し、健全な組織作りをするためにもCWOを任命すると良いでしょう。
具体的には、健康管理シートやストレスチェックテストなど、各社員を評価できる方法を設けるなどがあります。
マインドフルネスへの注目が高まり、世界の名だたる企業でマインドフルネス研修が取り入れられ、ビジネスの場面で良い成果をあげています。良い働き場所づくりに最適なマインドフルネス研修をご紹介します。
働き方改革における成功事例3選
この章では、働き方改革における3つの成功事例について紹介します。
1. 生産性を向上した事例(例: 株式会社サカタ製作所)
株式会社サカタ製作所は、専門家から長時間労働の弊害を指摘され、働き方改革に踏み切りました。
具体的な改革方法は、以下の2つです。
- 基幹業務システムのコンピュータを刷新
- 見積もりシステムを新たに開発
これら取り組みで、受注や見積もり業務が3日から5分に短縮、月間の残業時間が18時間から1時間に軽減されました。参考:厚生労働省・シリーズ「働き方改革」の成功例/「システムや設備の見直しによる生産性の向上」で残業時間を削減 編」
2. 業務方法の見直した事例(例: 株式会社マエダハウジング)
株式会社マエダハウジングは、プランや見積書の作成で残業が当たり前になっていました。
そこで以下の改革に取り組みました。
- マンションリフォームプランを分類(カテゴライズ)
- プランごとにオプションの設定
- オプションを反映させたモデルルームの新設
これら取り組みで、見積書の作成や打ち合わせ業務の効率化、一人当たりの平均残業率40%削減を実現しました。参考:厚生労働省・シリーズ「働き方改革」の成功例/「業務のやり方の見直し」で残業時間を削減 編
3. 研修を通して人間関係やモチベーションの向上ができた事例(例: 本田技研工業株式会社)
本田技研工業株式会社は、昨今のウイルス蔓延で県をまたぐ移動が危惧される中、600名の新人社員の研修をどのように対応するか悩んでいました。
そこで新たな取り組みとして、研修担当者を数名に絞り、600名の新人社員をオンラインで実施しました。
その結果、自社の未来を創る社員へ統一した育成が実現しました。また、これまでは研修を現場任せにしていましたが、新人全員が参加できる研修にすることで、一人ひとりの主体性が育まれるメリットもありました。参考:talentbook・本田技研工業株式会社「コロナ禍で激変した新入社員研修。オンラインで600名を育てた研修担当の原動力とは」
働き方改革推進支援助成金について
この章では、働き方改革推進支援助成金について以下の4つのコースを紹介します。
- 労働時間短縮・年休促進支援コース
- 勤務間インターバル導入コース
- 団体推進コース
- 労働時間適正管理推進コース
自社の取り組みに該当する助成金を探す参考にしてください。
では、順番に解説します。
1. 労働時間短縮・年休促進支援コース
労働時間短縮・年休促進支援コースは、中小企業事業主が社内環境整備の推進をするための助成金です。
時間外労働の上限規制や生産性の向上、有給休暇の取得率増加を目標にしています。
支給対象となる事業主は、以下の3つに該当する中小企業事業主です。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること。
- 交付申請時点で、「成果目標」1から3の設定に向けた条件を満たしていること。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
また以下の詳細については、厚生労働省ホームページを参照ください。
- 成果目標の設定
- 事業実施期間
- 支給額
2. 勤務間インターバル導入コース
勤務間インターバル導入コースは、勤務時間間隔を一定以上開けて休息時間を設けることで社員の以下4つを守るものです。
- 生活時間
- 睡眠時間
- 健康
- 過重労働の防止
2019年4月から制度の導入が努力義務化されました。
支給対象となる事業主は、以下の5つに該当する中小企業事業主です。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 次のアからウのいずれかに該当する事業場を有する事業主であること
- 全ての対象事業場において、交付申請時点及び支給申請時点で、36協定が締結・届出されていること。
- 全ての対象事業場において、原則として、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
また以下の詳細については、厚生労働省ホームページを参照ください。
- 成果目標の設定
- 事業実施期間
- 支給額
3. 団体推進コース
団体推進コースは、中小企業事業主の団体や、その連合団体が労働条件の改善を目的として、以下の2点を行った場合に適応となる助成金です。
- 時間外労働の削減
- 賃金引上げ
支給対象となる事業主は、以下の2つに該当する企業です。
- 事業主団体(法律で規定する団体業協同小組合、信用協同組合、協同組合…etc)
- 共同事業主(共同する全ての事業主の合意に基づく協定書を作成していることの要件を満たすこと)
また以下の詳細については、厚生労働省ホームページを参照ください。
- 成果目標の設定
- 事業実施期間
- 支給額
4. 労働時間適正管理推進コース
労働時間適正管理推進コースは、以下内容を推進するものです。
- 企業の生産性の向上
- 適正な労働時間の管理
これら職場環境を整えられた場合に適応となる助成金です。取り組みに際して、社員の性格な賃金管理のため台帳等の書類の保存期間が5年に延ばされました。
支給対象となる事業主は、以下の5つに該当する中小企業事業主です。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること。
- 全ての対象事業場において、交付決定日より前の時点で、勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用していないこと。
- 全ての対象事業場において、交付決定日より前の時点で、賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することが就業規則等に規定されていないこと。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、36協定が締結・届出されていること。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
また以下の詳細については、厚生労働省ホームページを参照ください。
- 成果目標の設定
- 事業実施期間
- 支給額
研修を導入して働き方改革を推進する
働き方改革で「生産性の向上」や「業務の効率化」など推進する企業は増えてきています。この記事で紹介した働き方改革を成功させるアイデアを基に、政府からの助成金を活用しつつ取り組みを進めましょう。
また研修による組織力の底上げで働き方改革を推進したいなら、当社の研修会社の紹介サービスをご活用ください。研修プログラム作成前に、以下内容をヒアリングし、貴社に最適な働き方改革研修をご紹介します。
- 研修目的
- 自社の抱える課題
相談料は無料で、研修会社への紹介料を支払う必要はございません。
研修の実施で働き方改革を推進したいとお考えの方は、ぜひ当社の研修会社の紹介サービスをご利用ください。
働き方改革に取り組むことは、会社の社員のみならず、企業にとってもメリットがあります。生産性の向上が業績の向上につながり、事業拡大や株価の上昇につながるからです。社員の意識を変革するために有効な「働き方改革研修」について解説していきます。