【2021年】職場で起こりえるハラスメントの種類と対策方法

ハラスメント研修, 研修の導入
近年よく耳にする『ハラスメント』という言葉ですが、実はその実態を良く理解していないという方が多いです。
数年前までは当たり前とされていた言動が今はNGとされ、困惑しているベテラン社員もいるかもしれません。

ここでは、正しくハラスメントを理解するために必要なハラスメントの実態と対策方法をご紹介しています。

ハラスメントを取り巻く環境


誰もが安心して働けるように働き方改革が叫ばれている昨今ですが、ハラスメントに関する課題も表面化してきています。
ハラスメントは個人の問題ではなく、社会問題として取り上げられる問題なのです。

ハラスメントとは

ハラスメントとは、嫌がらせや人を困らせる言動と定義されています。
具体的な行動で線引きをするのは難しいのですが、相手が「気分が悪い」「嫌な思いをした」と感じたらそれはハラスメントになってしまいます。どんなに「そんなつもりじゃなかった」「冗談くらいわかれよ」と言っても遅いのです。
最近ではハラスメントの法整備が進んでおり、具体的な内容が示されるようになってきましたが、まだまだ完全ではありません。

国を挙げてのハラスメント対策

2014年の男女雇用機会均等法が改定され、セクシャルハラスメントに関する内容が盛り込まれました。2019年にはパワーハラスメント対策が事業主の義務となり、ハラスメントへの注目が増してきています。

厚生労働省の調べによると、各都道府県労働局に寄せられる相談で、ハラスメントに関する内容が右肩上がりになっています。裁判に発展するケースも増えており、2018年では民事の相談件数が8万件を超えています。

これらのことから、国を挙げてハラスメント対策に乗り出しているのが現状です。

参考:「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」より


職場で起こりえるハラスメントの種類


ハラスメントと言われるものは現在50を超えています。その中でも特に注目が高いハラスメント5つについて解説します。

パワーハラスメント(パワハラ)

パワハラと略されているもので、職場での立場や関係性を盾に、業務の範囲を超えて苦痛を与えることを言います。管理職や上司と部下の間で起こるハラスメントです。

厚生労働省ではパワハラを6つに分類しています。
  • 身体的な攻撃~殴る、蹴る
  • 精神的な攻撃~人前で必要以上に怒鳴る
  • 人間関係からの切り離し~無視、情報を伝えない
  • 過大要求~仕事を押し付ける
  • 過小な要求~仕事を回さない
  • 個の侵害~勝手にデスクの中を見る
などが、パワハラの言動とされていますが、これ以外がパワハラにならないということではありません。

⇒怒りのコントロールを可能にするアンガーマネジメントとは?

セクシャルハラスメント(セクハラ)

セクハラと略されているもので、異性に対するハラスメントを指します。
職場において性的な言動により不快感を与えられることなのですが、ここでの職場は社内だけではなく、仕事上の飲食の場も職場とみなされています。飲み会の席でお酌を強要したり、しつこく恋人や妻、夫について聞くこともセクハラになる可能性が高いので要注意です。

時短ハラスメント(ジタハラ)

時短ハラスメントとは、上司や企業が残業禁止や定時退社を強いることを言います。
働き方改革の中で就業時間や残業時間についての規定が強化されたことにより、労働者は業務量が同じにも関わらず、実際に働く時間が削られることになりました。
時間内に仕事が終わるような改善策や具体案が提示されていると良いのですが、実際は休日も持ち帰りの仕事で休めないという現状になっており、制度遂行のひずみとも言えるハラスメントです。

モラルハラスメント(モラハラ)

モラハラと略されるハラスメントで、人の尊厳を無視するような言動で精神的なダメージを与えることです。無視をする、皮肉を言う、行動や意見を否定する、バカにしたような態度をするなどがこれに当たります。

暴力を振るうことはないため、表面化しにくく周囲が気づかないケースもあります。

マタニティーハラスメント(マタハラ)

マタハラと呼ばれるハラスメントで、妊娠・出産に関する嫌がらせを指します。産休や育休の取得に関する不当な扱いも、マタハラに含まれますので、女性ばかりではなく男性もターゲットになるのが特徴です。

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)

性別に関する嫌がらせや不公平感を与えるハラスメントです。同じ業務にも関わらず性別により給料が違う、性別を理由に採用されないなどのケースがあります。また、男性らしさ、女性らしさを強要するのもこれに含まれます。

アルコールハラスメント(アルハラ)

アルコールハラスメントは、飲酒に関するハラスメントで5つの定義があります。

・飲酒の強要
・イッキ飲ませ
・意図的な酔い潰し
・飲めない人への配慮を欠くこと
・酔った上での迷惑行為

アルコールによるハラスメントは人権侵害にもなりますし、急性アルコール中毒による命の危険も考えることが大切です。ハラスメントをしている側は酔っているため自覚がないケースも多く、直接ハラスメントをしていなくてもお酒を強要する雰囲気を作った責任を負うこともありますので注意してください。

エアコンハラスメント(エアハラ)

エアコンの設定温度が高すぎる、低すぎることで起こるハラスメントを言います。
その場にいる人たちが快適を感じる温度の差ではなく、体調不良を起こす可能性がある、実際に起こした場合にハラスメントとなります。少し前のデータになりますが、ダイキンの調査によると、夏場の冷房が苦手という割合は、女性で64.7%、男性で44.8%となっています。
男女関係なくエアコンに対して敏感な人がいることを職場全体で理解し、体調を崩さない温度を模索していく必要があります。

参考:ダイキン工業株式会社『全国700名に聞いた「夏場のエアコン利用と健康管理」に関する意識調査 』

スメルハラスメント(スメハラ)

スメルとは『におい』『香り』を表す言葉で、スメルハラスメントは体臭や口臭、香水、柔軟剤などの匂いにより周囲に不快感を与えるものを指します。
8割以上の人が生活の中で他人や周囲の匂いについて気になると感じていますが、ほとんどの人は相手に指摘することはせず、我慢しているというデータがあります。特に体臭は自分では気づかないことも多く、自覚のないまま周囲に迷惑をかけているということが考えられます。
最近『香害』という言葉があるように、柔軟剤や香水などの香りも周囲に何かしらの影響を与えていることを知っておくことが必要です。

参考:「ニオイ・体臭」についてのアンケート調査

スモークハラスメント(スモハラ)

スモークハラスメントは、タバコに関連するハラスメントです。
2020年4月に健康増進法の改定され、屋内禁煙や敷地内禁煙などがルールとなりました。仕事中にデスクでタバコを吸うことは実質不可能ですが、昼食や飲み会などでは吸える機会はあります。

上司や先輩に目の前で吸ってほしくないが、言えずに苦痛な時間を過ごす人もいます。社内に喫煙所を設置したとしてもドアの開け閉め時に煙が流れてくる、飲み会で隣の人がタバコを吸っている、喫煙所に呼び出されて上司から話をされた、などが職場におけるスモハラとして考えられます。

ハラスメントが起きたときに企業が負うリスク

ハラスメントの問題は予防が大切です。対策が十分に機能しないと大きなリスクを負うことになります。特に重大となるリスク3つをご紹介します。

法的責任を負う可能性がある

ハラスメントは基本的に個人同士の問題となりますが、労働者からの相談を受けた際、適切な対応がなされなければ会社も当事者(加害者)となる可能性があります。

都道府県労働局に寄せられる相談内容で、『いじめ・嫌がらせ』が上昇の一途をたどり、民事上の個別労働紛争の相談件数も同様に右肩上がりとなっています。ひと昔前の日本では労働紛争はごく一部のことでしたが、現在では身近なものとして捉える必要があります。

参考:厚生労働省『令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況』
参考:厚生労働省『データで見るハラスメント』

社会の信頼を損なう

信頼を勝ち取るのは時間がかかりますが、なくすのは一瞬です。事実はどうであれ、ハラスメントがあったと噂されるだけでも会社にとっては大きな損失となります。
今はSNSの普及により誰でも簡単に情報を発信することができ、その拡散速度は想像を超えています。一度広まったことはたとえ噂だとしても収めることが難しいと理解し、信頼を損なわない社員教育と対策が求められます。

優秀な社員の離職

ハラスメントにより健康を害し退職を余儀なくされる場合もあります。
これからを担う若手社員、若手を育てる中堅社員、技術や知識を次の世代に受け渡すベテラン社員、どの年代が抜けても会社にとっては大きな損失となるはずです。

ハラスメントは職場の雰囲気を悪くさせ、社員の士気を下げます。このような状況ではハラスメントの当事者ではなくても仕事をするのが辛くなり、人材の定着が難しくなります。

パワハラ防止法の概要

厚生労働省が定期的におこなってきたパワハラの調査結果と、労働基準監督署に寄せられるパワハラ相談の増加を深刻な問題と捉え、パワハラ防止対策を企業に義務化しました。

今まで当たり前としてきた指導も、言葉使いや内容が適切かどうかを見直し、必要に応じた行動変容を企業が促さなければなりません。
  • 正式名称…改正労働施策総合推進法
  • 施行時期…2020年6月1日
  • 罰則…特にないが、場合によっては企業名を公表されることがある
詳しくはこちら⇒パワハラ防止法により明確になったパワハラの定義と企業の義務

企業で取り組むハラスメント対策


多くのハラスメントが存在する中で、企業ではどのような対策が必要となるのでしょうか。

ハラスメントを放置していると、職場環境が悪化し業務に悪影響をきたす恐れがありますので、適切な措置を講じることが求められます。

相談窓口の設置

まずは社内にハラスメントの相談窓口を設置することが急務です。相談することで、他の人に話が漏れてしまうのではないかという不安から、なかなか相談できない可能性もありますので、守秘義務があること、相談によって不利益がないことを明言するようにします。

社員への周知と教育

ハラスメントに関する教育は必須です。外部セミナーへの参加、社内でハラスメント研修などをおこない、被害者目線だけでではなく、自分が加害者になり得ることを意識してもらうことも必要です。

ひとりひとりの意識が変化すると、職場全体の雰囲気も良くなっていきますので、組織全体で取り組むことが大切になります。事業主がハラスメント対策の意思を明言し、従業員全員に会社の方針を浸透させることも忘れてはいけません。

ハラスメントを生まない環境づくり

正しい知識を習得し、個人が行動を振り返ることで、ハラスメントのリスクを軽減させることができます。

特にベテラン社員は、ハラスメントに対する意識が薄いため、人間関係に関する情報と知識を更新してもらうことも必要です。ハラスメントを受けたと感じた時に、本人にその旨を伝えられる、上司に冷静に報告できるような人間関係を築くのも効果的です。

今後の課題:パワハラを気にしすぎて適切な指導ができない

ハラスメントは相手が不快や恐怖を感じるとハラスメントとなる可能性があります。言った人が「そんなつもりではなかった」と言っても通用しないこともあるのです。

このような中で、指導する側は自分の言動が気になり思うように指導できない、注意することが怖いという現実があります。このため、上司と部下だけではなく従業員間のコミュニケーション不足を引き起こす可能性が出てきます。

ハラスメントの中でも職場で問題になりやすいパワハラについては、正しい知識を身につけることが重要です。それと同時に、パワハラと受け取られない指導方法と人間関係の築き方などの実践に結び付く研修もおこなう必要があります。

ハラスメント研修を選ぶポイント

ハラスメント研修を導入する企業が非常に増えています。ニーズに応えるべく、研修会社でも研修プログラムが紹介されています。

ハラスメント研修を選ぶ時のポイントは次の3つです。

・ハラスメントに関する幅広い知識が得られるか
・今ある自社の課題解決が可能か
・研修講師の実績

全社員で共有する必要がある知識だからこそ、基本中の基本から学べなければ意味がありません。また、研修にあたり自社が研修に求めること、現状で解決したい事例などを具体的に研修会社に伝え相談することが重要です。例えば、未だに部下に罵声を浴びせる完全パワハラ型管理職への研修なのか、それともパワハラを気にしすぎて適正な指導ができない状態の管理職への研修なのかでプログラムは変わってくるのです。
研修会社との打ち合わせでは、”なぜ社員へハラスメント研修を受けさせたいのか”を詳しく伝えましょう。

ハラスメント研修

ハラスメントを起こさない、起こさせないために、企業全体で教育と行動喚起を進める



ハラスメント対策は企業の義務



人材育成のために社員研修をおこなっている企業は多いですが、今後はハラスメント研修も実施することが必要になってきます。ハラスメントが問題となっている背景や具体的な事例、対策方法を学ぶことで自分事として捉えることができます。

ハラスメント対策は企業の義務ですので、快適な職場づくりに向けてぜひ取り組んでください。
(作成日:2021年7月12日 更新日:2021年7月14日)

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