新卒社員の約3割が3年以内に退職するといわれる中、新卒/若手社員の人材流出は経営陣の重要課題です。本記事では、新卒・若手社員が仕事を辞めたいと感じる主な理由と、その対処法を詳しく解説いたします。
本記事をお読みいただくことで、新卒社員が感じている不満や会社の課題が理解できます。現在の状況を客観的に判断する材料が得られ、今後の方向性を見出すためのヒントを見つけることができます。
新卒退職が避けられない場合の手順や、退職後のキャリア形成の方法についても網羅的に解説しているため、人事担当者や企業経営者にも有益な内容となっています。
目次
新卒社員が仕事を辞めたいと感じる主な理由
新卒社員が仕事を辞めたいと感じる理由は様々ですが、主要な原因を整理してご説明します。厚生労働省の若年者雇用実態調査によると、過去1年間に若年労働者がいた事業所のうち、「自己都合により退職した若年労働者がいた」と回答した事業所は 40.9%となっております。その理由を個別に解説します。
適性の不一致
就職活動時に想像していた仕事内容と実際の業務にギャップを感じるケースが多く見られます。特に研修期間が終わり、実務に入った際にこの傾向が強まります。
主な不一致点 | 具体例 |
---|---|
業務内容 | 営業職なのに事務作業が8割を占める |
必要なスキル | 想定以上にExcelやPowerPointの高度なスキルが必要 |
職場環境 | リモートワークと説明されていたが実質全日出社 |
人間関係の悩み
職場での人間関係は、新卒社員の離職理由の上位を占めています。特に上司との関係性や、同期との過度な比較による心理的プレッシャーが大きな要因となっています。
組織内でのコミュニケーションの問題として以下が挙げられます:
- 指導者からの一方的な叱責
- 育成計画が不明確
- 相談できる先輩の不在
- パワーハラスメント
長時間労働とストレス
若者雇用促進法に基づく職場環境の整備が進められていますが、依然として長時間労働は課題となっています。
慢性的な残業や休日出勤により、心身の健康を損なうリスクが高まっている状況です。特に以下の症状が見られる場合は要注意です。
- 強い疲労感
- 睡眠障害
- 食欲不振
- 集中力の低下
給与や待遇への不満
給与面での不満は、特に都市部の新卒社員に多く見られます。同業他社との待遇差や、業務量に見合わない給与水準が主な要因です。
待遇面の不満 | 具体的な内容 |
---|---|
基本給 | 業界平均を下回る給与水準 |
福利厚生 | 社会保険の自己負担が大きい |
評価制度 | 明確な昇給基準がない |
手当 | 残業代が適切に支払われない |
新卒/若手社員の離職対策には離職防止研修が有効です。是非ご検討ください。
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新卒1年目で退職するリスクと影響
新卒1年目での退職は、その後のキャリアに大きな影響を及ぼす可能性があります。ここでは具体的なリスクと影響について詳しく解説いたします。
転職市場での評価
新卒1年目での退職は、転職市場において慎重に評価される要因となります。採用担当者からは「困難な状況への対応力が不足している」「組織への適応力に課題がある」という印象を持たれやすい傾向にあります。
特に問題となるのは、以下の3つの評価ポイントです。
評価項目 | 詳細 |
---|---|
忍耐力 | 研修期間を含む1年間という基本的な育成期間を完遂できなかった点 |
コミュニケーション力 | 職場での人間関係構築が不十分だった可能性 |
スキル習得度 | 基礎的な業務スキルの習得が未完了である懸念 |
キャリア形成への影響
リクルートキャリアの調査によると、新卒1年目での退職は、その後のキャリアパスに以下のような影響を及ぼす可能性があります。
次の就職先での年収が同期と比較して平均15%程度低くなる傾向にあり、キャリアの遅れを取り戻すまでに約3年かかるというデータが示されています。
経済的なリスク
退職に伴う経済的なリスクも看過できません。主な影響として以下が挙げられます。
- 失業保険の受給資格が得られない可能性
- 新卒採用の際に支給された入社祝金の返還義務
- 社宅や寮からの退去に伴う引越し費用
- 次の就職先が決まるまでの生活費
特に注意が必要なのは、新卒1年目での退職の場合、雇用保険の加入期間が12ヶ月未満となり、失業給付を受けられない可能性が高いという点です。
また、多くの企業では入社時に受けた研修費用の返還を求められる場合があります。これは研修制度の一環として企業が投資した育成費用の回収という観点から設定されているものです。
仕事を辞める前にやるべき対処法
仕事を辞めたいと感じる前に、まずは様々な対処法を試してみることをお勧めします。具体的な改善策を実行することで、現在の状況が好転する可能性があります。
上司や先輩への相談
一人で抱え込まずに、まずは職場の上司や先輩に相談することが重要です。多くの企業では新入社員向けの育成プログラムやメンター制度を設けており、このような制度を積極的に活用することで問題解決の糸口が見つかることがあります。
相談する際の具体的な進め方
段階 | 行動内容 | 注意点 |
---|---|---|
事前準備 | 具体的な課題を箇条書きにまとめる | 感情的な表現を避ける |
時間設定 | 上司の予定を確認し、30分程度の時間を確保 | 終業後や休憩時間を避ける |
相談実施 | 現状と改善希望点を明確に伝える | 建設的な話し合いを心がける |
相談時の注意点
相談の際は、組織における自身の役割や期待される成長についても確認しましょう。感情的になることを避け、客観的な事実を基に話し合うことが重要です。
▼ メンター制度については以下の記事もご参照ください。
メンターとは - 役割と実施のポイントを解説
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社内の異動制度の活用
多くの企業では社内公募制度やFA制度を設けています。現在の部署が合わないと感じる場合、スキルや適性に応じた異動を検討することで、新たな可能性が開けることがあります。
厚生労働省の調査によると、社内異動により約60%の従業員が職務満足度が向上したとの結果が出ています。
メンタルヘルスケア
心身の健康管理も重要です。研修で得た知識やスキルを活かせないのは、メンタル面での不調が原因である可能性もあります。
支援制度 | 内容 |
---|---|
産業医面談 | 専門家による健康相談 |
カウンセリング | 心理的なサポート |
ストレスチェック | 定期的な心理状態の確認 |
厚生労働省が定める職場におけるメンタルヘルス対策を確認し、必要に応じて企業の制度を利用することをお勧めします。
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新卒で退職を決意したときの進め方
退職を決意した場合、適切な手順で進めることが重要です。ここでは新卒社員が円満に退職するための具体的な進め方をご説明します。
退職時期の選び方
退職時期の選択は、会社への影響や自身のキャリアに大きく関わります。年度末や決算期は業務が繁忙になるため、できるだけ避けることをお勧めします。
一般的な退職までの期間の目安は以下の通りです。
役職 | 望ましい通知期間 | 最低限必要な期間 |
---|---|---|
一般社員 | 2〜3ヶ月前 | 1ヶ月前 |
主任級 | 3〜4ヶ月前 | 1.5ヶ月前 |
円満退職のための手順
退職の意思を伝える際は、まず直属の上司に申し出ることが基本的なマナーです。その後、以下の手順で進めていきます。
- 上司との面談を設定
- 人事部門への相談
- 退職届の提出
- 引き継ぎ業務の開始
- 退職金や保険の手続き
退職時に必要な社内研修や手続きもあるため、余裕を持った計画が必要です。
引き継ぎ書類の作成方法
円滑な業務の引き継ぎのために、以下の項目を含んだ文書を作成します。
項目 | 記載内容 |
---|---|
業務概要 | 担当業務の全体像と役割 |
取引先情報 | 連絡先や商談履歴 |
進行中の案件 | 現状と今後の予定 |
定期業務 | 日次/週次/月次の作業内容 |
システム関連 | アクセス権限やパスワード情報 |
組織としての継続性を保つため、業務マニュアルの整備や社内の教育資料の更新も重要な引き継ぎ項目となります。
退職後のキャリア形成を見据え、スキルの棚卸しも同時に行うことをお勧めします。これは次の転職活動における自己分析にも役立ちます。
新卒退職後のキャリアプラン
新卒での退職を決意した後は、次のキャリアを慎重に検討することが重要です。本章では、退職後の具体的なキャリアプランについて解説していきます。
転職活動の始め方
転職活動を始める際は、まず自己分析から取り組むことをお勧めします。これまでの経験や強み、今後実現したいキャリアビジョンを明確にすることで、効果的な転職活動が可能になります。
転職活動の具体的なステップは以下の通りです。
実施時期 | 取り組むべき項目 | 具体的な行動 |
---|---|---|
1ヶ月目 | 情報収集 | 転職サイトの登録、業界研究 |
2ヶ月目 | 書類作成 | 履歴書・職務経歴書の作成 |
3ヶ月目以降 | 企業へのアプローチ | 応募開始、面接対策 |
職種転換のポイント
新卒1年目での退職は、むしろ職種転換のチャンスと捉えることができます。異なる職種への転換を考える際は、自身の適性や市場ニーズを十分に研究することが成功への鍵となります。
厚生労働省のキャリア形成支援制度を活用することで、新しい職種に必要なスキル習得を支援してもらえる可能性があります。
スキルアップの方法
転職までの期間を有効活用し、次のステップに向けたスキルアップを図ることが重要です。具体的には以下のような方法があります。
- オンライン研修プログラムの受講
- 資格取得への挑戦
- 業界セミナーへの参加
- ビジネススキル講座の受講
特に、デジタルスキルの向上は、どの業界でも重要視されている組織能力の一つです。
育成面では、メンターを見つけることも有効な手段です。経験豊富な社会人からの助言は、キャリアプランの構築に大きな影響を与えるでしょう。
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