新型コロナウイルスの流行を機に、多くの企業でリモートワークが急速に普及しました。対面でのコミュニケーションが減少した環境下では、心理的安全性の構築に新たな課題が生じています。
オンライン空間特有の心理的距離感や、コミュニケーションの取りづらさを克服し、チームの連帯感と生産性を維持するための取り組みが重要となっています。
KeySessionでは貴社の心理的安全性研修導入をお手伝いをいたします。
目次
オンライン環境での心理的安全性の構築方法
リモートワーク環境では、対面で行われていた何気ない会話や表情からの感情読み取りが困難になります。そのため、意識的に心理的安全性を構築する必要があります。
まず、オンラインミーティングでは「発言の機会均等化」が重要です。リモート環境では発言の偏りが生じやすく、特定のメンバーだけが意見を述べる状況になりがちです。リーダーは積極的に全員に発言を促し、質問を投げかけることで、チーム全体の参加意識を高める必要があります。
ビデオ会議では、可能な限りカメラをオンにすることで、表情や反応を共有することが大切です。これにより、テキストベースのコミュニケーションでは伝わりにくい感情の機微を捉えやすくなります。ただし、カメラオンを強制するのではなく、個人の環境や事情を尊重することも同時に重要です。
さらに、定期的な「チェックイン」の時間を設けることも効果的です。業務の話し合いの前に、簡単な近況報告や気分の共有をする時間を設けることで、メンバー間の心理的距離を縮め、お互いの状況理解を深めることができます。
リモート環境での課題 | 対応策 | 期待される効果 |
---|---|---|
発言の偏り | 全員に発言機会を意識的に作る、指名制の活用 | 多様な意見の集約、チーム全体の参画意識向上 |
非言語コミュニケーションの不足 | ビデオオンの推奨、絵文字やリアクション機能の活用 | 感情共有の促進、誤解の減少 |
孤独感・疎外感 | 定期的なチェックイン、1on1ミーティングの増加 | 心理的距離の縮小、チーム帰属意識の強化 |
雑談機会の減少 | バーチャルコーヒーブレイクの設定、交流専用チャンネルの設置 | 自然な情報共有、チームの一体感醸成 |
Google社内の研究でも、リモート環境でのプロジェクトでは心理的安全性の構築に特に配慮が必要との結果が出ています。メンバー同士が対面で会う機会が減少する中、意識的な関係構築の取り組みが成果を左右する重要な要素となっているのです。
ハイブリッドワークにおける注意点
現在多くの企業で採用されているハイブリッドワーク(出社とリモートの併用)では、オンライン・オフラインの両方の環境で心理的安全性を維持する必要があります。このハイブリッド環境特有の課題に対応することが、組織の生産性向上には不可欠です。
ハイブリッドワークの情報格差に注意をはらう
ハイブリッドワークの最大の課題は「情報格差」の発生です。オフィスにいるメンバーと、リモートで参加しているメンバーの間で情報共有の質や量に差が生じやすくなります。これが心理的安全性に直接影響を与え、リモート参加者が「取り残されている」と感じる原因となります。
この課題に対応するために、組織は「デジタルファースト」の方針を検討すべきです。つまり、重要な情報共有やディスカッションは、オフィスの廊下やコーヒーブレイク中ではなく、全員がアクセス可能なデジタルツール上で行うことを原則とします。会議でも、オフィス参加者とリモート参加者が同等に発言できる環境を整えることが重要です。
ハイブリッドワークでは、意思決定プロセスの透明性が特に重要になります。どのような判断がなされ、誰がどのように関わったのかを明確にすることで、リモート参加者の疎外感を防ぎ、チーム全体の心理的安全性を高めることができます。
1on1ミーティングの質を高める
1on1ミーティングの質も重要な要素です。リモートワークでは上司と部下の直接的なコミュニケーション機会が減少するため、定期的で質の高い1on1ミーティングを通じて信頼関係を構築することが、心理的安全性の維持に大きく貢献します。
ここでは業務の進捗だけでなく、メンタルヘルスやキャリア開発についても話し合う時間を確保するとよいでしょう。
デジタルツールを活用した心理的安全性の促進
リモートワーク環境では、適切なデジタルツールの選択と活用が心理的安全性の構築を左右します。ツールの特性を理解し、目的に応じて使い分けることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
リアルタイムコミュニケーションツールの活用
Slack、Microsoft Teams、Chatworkなどのチャットツールは、リアルタイムでの情報共有と気軽なコミュニケーションを促進します。これらのツールを活用する際は、以下のポイントに注意することで心理的安全性を高められます。
- 雑談専用チャンネルの設置(#random、#おしゃべりルームなど)
- チーム全体での「今日の気分」や「週末の過ごし方」といった共有の習慣化
- 絵文字やGIFを活用した感情表現の奨励
- 質問や困りごとを投稿しやすい雰囲気づくり
ビデオ会議ツールの効果的な使い方
Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなどのビデオ会議ツールは、対面に近いコミュニケーションを可能にします。心理的安全性を高めるための工夫として、以下のような活用法が考えられます。
- ミーティング冒頭のアイスブレイク(2分間の近況共有など)
- 「挙手」機能や「チャット」機能を活用した発言機会の均等化
- ブレイクアウトルームを活用した少人数ディスカッション
- 録画機能を活用した情報共有(参加できなかったメンバーへの配慮)
特に大人数でのビデオ会議では、発言しづらい雰囲気が生まれやすいため、ファシリテーターが積極的に介入し、全員が意見を述べられる環境を整えることが重要です。
非同期コミュニケーションツールの重要性
リモートワークでは、時差や個人の働く時間帯の違いを考慮した「非同期コミュニケーション」も重要です。Notion、Confluence、Google Docsなどのドキュメント共有ツールや、Trello、Asanaなどのタスク管理ツールを活用することで、時間や場所に縛られない効率的な協働が可能になります。
非同期コミュニケーションでの心理的安全性を高めるためには、以下の点に注意するとよいでしょう。
- ドキュメントへのコメント機能を活用した建設的なフィードバック
- 進捗状況の可視化による透明性の確保
- 「検討中」「レビュー待ち」などの状態表示による誤解防止
- 定期的な振り返りと改善点の共有
ツールの種類 | 主な目的 | 心理的安全性を高める使い方 |
---|---|---|
チャットツール | 日常的な情報共有、気軽な質問 | 雑談チャンネルの活用、質問しやすい雰囲気づくり |
ビデオ会議 | リアルタイムでの議論、意思決定 | 発言機会の均等化、アイスブレイクの実施 |
ドキュメント共有 | 情報の蓄積、じっくりした議論 | 建設的なコメント文化、共同編集の促進 |
プロジェクト管理 | 業務の可視化、進捗共有 | 透明性の確保、適切な状態表示 |
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