積極的に発言できない組織

どんな会社にもいる、事なかれ主義の人々。モチベーション高く仕事に取り組んでいる人からすれば、厄介なことこの上ない存在です。

放置しておくと、組織をダメにしてしまうのが事なかれ主義の悪い所です。この記事では、事なかれ主義とは何か、どのような悪影響があるのかを踏まえ、原因と対策を解説していきます。

「事なかれ主義」の意味をわかりやすく説明

「事なかれ主義」とは、物事に対して波風が立たないよう、消極的に対応することです。何事もなく無事に物事が進むことを望み、問題や争いを避けるやり方です。

このように説明すると「問題も争いも起きないのは良いことだ」と思われるかもしれませんが、事なかれ主義の問題点は「消極的な対応」にあります。日常でよくある事例としては、嫁姑問題です。嫁と姑の間の確執について見て見ぬふりをしたり、その場しのぎで適当に収めたりする夫は、「事なかれ主義」と言えます。

その場を収めるのは悪いことではありませんが、問題を先送りにしているだけである場合が多いです。放置しておくと、いずれ大問題に発展し、収拾がつかなくなってしまうかもしれません。そのため、事なかれ主義は問題視されるのです。

ビジネスにおいても、事なかれ主義は好まれません。ビジネスをうまく回すには、問題があれば規模が小さいうちに対処し、大きな問題に発展するのを防ぐ必要があります。事なかれ主義のチームや組織は問題を先送りし、そのうちに問題が大きく発展して取返しがつかなくなってしまうため、ビジネスの現場でも嫌われているのです。

職場における事なかれ主義の事例

ビジネスにおいても好まれない、事なかれ主義。具体的にはどのような事例があるのか、上司、リーダー、メンバーの属性それぞれについて理解していきましょう。いずれも、「こんな人とは一緒に働きたくない」と思っってしまうような事例ですが、自分が当てはまっていないかどうかも振り返りましょう。

話をすり替えて対応を先送りにする上司

現場でのトラブルや問題、疑問点を相談すると、上司にはぐらかれてしまった、という経験がある人は多いです。「なるほど…それより、別件でお願いした件はどうなってる?」など、話をすり替える上司は事なかれ主義です。

背景には、問題に取り組むことを恐れる性格や考え方があると言えます。問題を解決しようとすれば、誰かが責任を追及されて立場が危うくなったり、関わった人どうしの関係がギクシャクしたりする可能性があります。本来であれば、上司は問題解決にあたり、立場が悪くなる人のフォローをすることで円満な解決を目指すべきですが、事なかれ主義の人たちは「そもそも問題が表面化しなければ、ギクシャクすることもないよね」と問題を掘り下げない姿勢を貫きます。

人の意見に流されて一貫性がないリーダー

事なかれ主義の人がリーダーの地位につくと、組織は大変です。メンバーの意見に左右され、リーダーが一貫した指示を出せないからです。

事なかれ主義の人は平和主義で議論が苦手な傾向があり、メンバーの意見をすべて取り入れようとします。議論において、相手を頭ごなしに否定しないなどやりすぎない対応は大切ですが、事なかれ主義の人たちは否定も異論もまったく唱えません。そのため、メンバーの意見をすべて受け入れることになってしまいます。

しかし、メンバー1人1人の意見は異なります。すべてを取り入れようとすると、「昨日はAだと言ったのに、今日はBだと言う」のように、指示に一貫性がなくメンバーは困ってしまいます。

その場しのぎで対応するだけのメンバー

同僚や部下など、チームのメンバーが事なかれ主義の人だった場合も大変です。彼らの対応はその場しのぎで、仕事上の課題を根本的に解決できるものではないからです。同じチームのメンバーや後任者が、大きな迷惑を被ります。

例えば、「この人が作る資料はミスが多いな…」という人はいませんか?どの部分がミスでどのように修正するべきか伝え、その資料の品質は向上するのですが、別の資料を作るとまた同じようなミスを連発している、という人です。その場しのぎでミスを修正するだけで、本質的な理解はできていないので、能力が向上しないのです。

これも、その場しのぎで対応はするものの、反省や改善をしないという、事なかれ主義の特徴です。こうした人がリーダーの立場になったり、年次を重ねて役職についたりすると、上述したような困ったリーダー・上司が誕生しがちです。

おすすめのリーダー研修

リーダー研修

リーダーがチームメンバーの成長とチームの成果を左右すると言っても過言ではありません。それぞれのチームが成果を上げることで企業の信用と収益を高めます。良いリーダーを育てること、それがリーダー研修の目的です。


事なかれ主義で起きる問題・デメリット

部下の話をはぐらかす上司
組織のメンバーに事なかれ主義の人が多くなると、人間関係の問題だけでなく、企業の業績にも影響を及ぼしかねません。事なかれ主義が原因で起きる問題やデメリットを解説していきます。

チャレンジしない組織になる

事なかれ主義の組織の最大の問題が、新しいことにチャレンジできなくなることです。事なかれ主義の人たちは、失敗を過度に恐れるため、リスクのあることには挑みません。新規事業に否定的で、自分から提案することはありませんし、誰かが提案しても「うまく行かなかったらどうするんだ」「失敗したら大きな損失になる」と、新規事業のリスクばかりを見て否定します。

VUCAの現代では、このように新たな価値の創出に消極的な企業は、生き残れないでしょう。新規事業には必ずうまくいく保証はありませんが、成功する確率が高まるよう、知恵を絞るのが現代のビジネスパーソンの仕事です。これを怠り、ただ失敗が怖いという理由で、既存の事業や現状維持にこだわるようでは、企業の業績も右肩下がりになってしまいます。

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小さな問題が大問題に発展する

事なかれ主義の人たちは問題の解決を先送りにするので、小さな問題だったものが大問題に発展し、取り返しのつかない事態になりがちです。本来は、問題は小さいうちに発見し、対処するべきです。そうすれば、大きな問題になる前に解決でき、トラブルには発展しません。しかし、事なかれ主義の人たちは目の前の問題から目を逸らすので、結果的に問題を大きくしてしまうのです。

例えば、顧客からクレームが来たとき、すぐに対処すれば問題は収まります。誠実に謝罪や保証をすれば、顧客の怒りも収まることがほとんどです。しかし、事なかれ主義の人たちはクレームを上司や同僚に報告せず、黙殺しようとします。対応してもらえないことに憤った顧客が会社に押し掛けてきたり、いきなり社長に電話をかけたりして、組織を巻き込む大問題に発展してしまうのです。

人間関係が悪くなる

事なかれ主義の人たちは、平和を好む性格をしていますが、それゆえに人間関係が悪くなりやすい特徴があります。何か問題が起きたとき、「自分は関わっていない」「誰それの指示どおりにした」など、自己保身のために問題から逃げ、他人に責任を押し付けようとするからです。「面倒ごとに巻き込まれる」と感じると、反射的に逃げの姿勢を取るところが、事なかれ主義らしい行動です。

しかし、自己保身で他人に責任を押し付けるような人と、信頼関係を築いて一緒に仕事をしたいと思う人はいないでしょう。事なかれ主義の人どうしも、自分のことは棚に上げてそう感じています。そのため、事なかれ主義の人が多い職場は責任の押し付け合いが起こり、人間関係も悪化していくのです。

組織が事なかれ主義に陥る原因と対策

事なかれ主義のメンバーが多いと、組織全体も事なかれ主義に染まってしまいます。早急に解決しなければならないので、メンバーが事なかれ主義に陥る原因を分析していきましょう。

事なかれ主義の考え方をする人には、以下のような心理があります。

・自分が悪者になりたくない
・気が弱くて自信がない
・当事者意識が薄い
・面倒ごとに関わりたくない
・失敗がバレて怒られるのが怖い

いずれも非常に消極的な心理です。事なかれ主義の考え方は、「自分が責任を負わされるのは嫌だ。問題から距離を置こう」とまとめられます。

事なかれ主義の組織体質を改善したいなら、以上の原因を解消できるよう、組織も人も考え方を変えていけば良いのです。つまり、以下のように考えるようにします。

・過去は変えられないので、起きたことを責めるのは意味がない
・本当の責任とは、これからどのように対処するか、という未来のこと
・失敗は誰にでもあり、それで評価が下がることはない
・面倒ごとや失敗は、早期に報告したほうがダメージが小さい

このように考えることができれば、問題から逃げたり失敗を隠したりするメリットがなくなるので、事なかれ主義の人はいなくなります。

組織の事なかれ主義をなくす方法

部下と一緒に頑張る上司
組織の事なかれ主義をなくすためには、上述のように組織も人も考え方を変える必要があります。しかし、数十年も事なかれ主義で生きてきた人が、自然に考え方を変えてくれることはありません。

そこで、どうしたら組織の事なかれ主義をなくすことができるのか、方法を紹介していきます。組織として積極的に取り組み、社員のモチベーションを高めていきましょう。

チームワークを学べる研修を導入する

企業研修を導入することで、事なかれ主義の発想を変えることができます。最近では、チームビルディング研修などチーム力を高めるための研修が増えています。このような研修を受講すると、チームに貢献するための考え方や行動がわかってくるので、事なかれ主義の人も少しずつ変わっていけます。

また、研修ならいくら失敗しても問題になりません。突拍子もない提案や行動をしても問題ありませんし、場合によっては逆にそれがうまくいった、という成功体験も得られる可能性があります。新しいことに消極的な事なかれ主義の人にとって、チャレンジや失敗を練習する場となるのが、企業研修なのです。

自分が失敗するだけでなく、メンバーの失敗をフォローすることも、事なかれ主義の人にとって良い勉強になります。気軽に提案したりチャレンジしたりできる研修を活用し、事なかれ主義のメンタルを改善しましょう。

あらゆる課題を解決できる人材を育成するアダプティブリーダーシップ研修

アダプティブリーダーシップ研修は、既成の手段では解決できない『”アダプティブな問題”解決のために発揮するリーダーシップ』を学ぶための研修です。このリーダーシップは技術的な問題に対しても活用することができます。

仕事が楽しめる人を一人でも多く増やす

言いにくいことを伝える方法を身につける

人が事なかれ主義に陥ってしまうのは、「相手を嫌な気持ちにさせたら申し訳ないから、黙っておこう」という優しさゆえでもあります。しかし、言いにくいという理由で黙っているうちに、問題が大きくなってしまっては困ります。そこで、言いにくいことを伝える方法を社員が身につけられるよう、コミュニケーション研修などを導入しましょう。

コミュニケーション研修では、クッション言葉を使ったコミュニケーション方法などを学びます。「大変申し上げにくいのですが」「私の勘違いかもしれないのですが」などのクッション言葉を使えば、言いにくいこともマイルドに相手に伝えることができます。こうした言葉でやんわりと伝えられて、「俺が悪いと言いたいのか!」と怒り狂う人はいないでしょう。事なかれ主義で相手を傷つけるのが怖い人でも、言うべきことを言えるようになっていきます。

意見が違う人とも上手く会話ができる【アサーティブコミュニケーション実践研修】

思ったことをそのままぶつけるのではなく、かといって自分の意見を押し殺すのでもなく、相手の立場を重んじながら正当な意見を主張するコミュニケーションスキルを学ぶ研修です。このスキルで、職場やプライベートでの快適な人間関係を実現できます。

社員一人ひとりのモチベーションアップが組織を活性化し業績を最大にする

積極的なメンバーを評価する仕組みを作る

社員の積極性を促せるよう、積極的な態度を評価に反映する仕組みを作ることも、事なかれ主義の改善に役立ちます。

人が事なかれ主義に陥ってしまう原因のひとつに、「失敗したら評価を下げられる」と思っていることが挙げられます。故意でない失敗が評価に響く組織はその体質を改善する必要がありますが、多くの企業では、失敗自体を問題に評価を変えることはありません。これが社員に充分伝わっておらず、社員が勘違いしているケースがあるのです。

会社のほうから誤解を解くためにも、積極性を評価する仕組みを導入しましょう。積極性には、新規事業の提案など目に見えやすい成果だけでなく、読書やセミナーに出席して業界の最新の知識を勉強するといったことも含まれます。より良い仕事のため、個人がどのような取り組みをしているかも、人事面談などでヒアリングしましょう。

おすすめのチームビルディング研修

チームビルディング研修

チームビルディングの必要性とチームビルディング研修での取り入れ方について認識を深め、働きやすい職場と業績向上を達成しましょう。


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