5つの代表的なリーダーシップの種類を解説

本記事では多様なリーダーシップのスタイルを深掘りします。これらのリーダーシップ論は、現代の職場での人材管理とチームビルディングにおけるリーダーシップの重要性を示し、リーダーが直面する様々な課題に対する効果的な手法を提案しています。

これらの理論から学ぶことで、リーダーシップスキルを向上させ、より生産的で満足度の高い職場環境を実現するための気づきを得ることができます。

リーダーシップ種類 早見表
理論 主な特徴 適用場面
PM理論 従業員の動機付けを「P(パフォーマンス)」と「M(メンテナンス)」のバランスで考える。 組織の文化や個人の価値観に適応する場面。
サーバント・リーダーシップ リーダーはまずサーバント(奉仕者)であり、他者の成長と福祉を優先する。 従業員の自律性を重んじ、組織の成長を促す文化が求められる場面。
フォロワーシップ理論 フォロワーの能動的参加を促し、リーダーとフォロワーの関係性を強化する。 チームの協働とイノベーションを促進する場面。
ダニエル・ゴールマンのリーダーシップ 感情的知性(EQ)を基にした6つのリーダーシップスタイルを提案。 組織の状況やチームメンバーのニーズに応じたスタイルの適用。
クルト・レヴィンの3種類のリーダーシップ型 民主的、権威的、放任的の3つのスタイルを提案。 組織の目標達成やチームの成熟度に応じたリーダーシップスタイルの選択。

研修相談のお問い合わせ案内

PM理論

PM理論は、リーダーシップの考え方の一つで、職場における人材管理に焦点を当てています。この理論は、管理職が従業員を効果的に導くために、二つの主要な側面、つまり「P(Performance、業績)」と「M(Maintenance、維持)」をバランス良く扱う必要があると提唱します。ここでの「業績」は、目標達成やタスクの効率的な実行に関連する要素です。一方で「維持」は、チームの士気や連帯感、個々の従業員の満足度といった、職場環境の質に重点を置いています。

PM理論に基づくリーダーシップは、成果を上げることとチームの健全性を保つことの両方を同時に追求することにあります。

例えば、あるプロジェクトチームが締め切りに追われる中でも、チームリーダーがメンバーの働きやすさを考慮し、ストレスを軽減する取り組みを行うことは、「維持」の観点を示しています。これにより、従業員はモチベーションを維持し、最終的に高い業績を出来るようになるとされています。

PM理論は、成果と人間関係の両方に価値を置くことで、効果的なリーダーシップのあり方を示唆しています。従業員一人ひとりのニーズと目標達成のバランスを見極め、これらを同時に満たすことが、今日の職場で求められるリーダーの姿です。

【こんなシチュエーションで有効】
・組織の文化や価値観が多様で、従業員一人ひとりの動機付けが異なる場合。
・チームメンバーが自己管理能力を持ち、個人の責任感を重んじる環境。

【こんな人におすすめ】
・個々の従業員のニーズと価値観を理解し、それに基づいてマネジメントしたいリーダー。
・従業員の自律性を重んじ、パフォーマンスとウェルビーイングのバランスを取りながら組織を牽引したい管理職。

▼ PM理論についての詳しい解説はこちらの記事をご参照ください。

サーバント・リーダーシップ

サーバント・リーダーシップは、リーダーがチームや組織の奉仕者として振る舞うことを重視する考え方です。

このスタイルの中心にあるのは、リーダーが部下の成長と福祉を最優先に考え、彼らが最高のパフォーマンスを発揮出来るようにサポートすることにあります。リーダーは、権威を振りかざすのではなく、聞き手としての能力や共感、チームのニーズを理解し、それに応えることを通じて、信頼と尊敬を築きます。

例えば、あるプロジェクトチームのリーダーが、メンバー一人一人のキャリア目標に耳を傾け、それを実現するための機会を提供することです。

このアプローチは、従業員のモチベーションを高め、組織全体の生産性向上に繋がります。サーバント・リーダーシップは、人々が仕事で成功し、個人として成長出来るようにするための強力な方法であり、現代の多様で動的な職場環境において特に価値があります。

【こんなシチュエーションで有効】
・チームメンバーが自主性を重んじ、自己実現を目指す環境。
・組織が変化に対応し、柔軟な思考と創造性を奨励する文化を育んでいる場面。
・従業員の能力開発と成長を促進し、長期的な組織の成功を目指す状況。
【こんな人におすすめ】
・他者の成長と発展を支援することに喜びを感じる人。
・優れた聴き手であり、共感能力が高く、人々のニーズに敏感な人。
・権力を行使するよりも、影響力を通じてチームを導くことを好む人。

▼ サーバント・リーダーシップについての詳しい解説はこちらの記事をご参照ください。

フォロワーシップ理論

フォロワーシップ理論は、リーダーシップの議論でよく見過ごされがちな、もう一方の重要な側面に光を当てます。この考え方は、組織の成功はリーダーだけでなく、フォロワーの質にも依存すると主張します。

具体的には、優れたフォロワーは自律性を持ち、批判的思考能力を発揮し、状況に応じてリーダーをサポートし、時には挑戦する勇気も持っています。この理論の魅力は、全員がアクティブな役割を担うことで、より健全で生産的な職場環境を創出できる点にあります。

例えば、一般的な会社で働く社員が、プロジェクトの方向性について異議を唱える場面を想像してみてください。ここでのキーは、彼らの意見が価値あるフィードバックとして受け入れられ、組織全体の成長に寄与することです。

フォロワーシップ理論は、リーダーとフォロワー間の相互作用を強調し、組織の目標達成において、双方が等しく重要な役割を果たすことを示唆しています。

【こんなシチュエーションで有効】
・組織内での変革や革新が求められる時。フォロワーが能動的に参加し、新しいアイデアや解決策を提案することが促される。
・プロジェクトが多様なスキルセットや視点を必要とする時。チームメンバーの各々が自身の専門知識を生かし、より良い成果を目指すことが可能になる。
【こんな人におすすめ】
・自律性を重んじ、自ら考えて行動することを好む人。この理論は、個人の主体性を促し、チーム全体の能力を高めることを目的としている。
・チームや組織の目標達成に向けて、積極的に貢献したいと考えている人。フォロワーシップ理論は、各個人がリーダーシップを発揮することを奨励し、組織全体の成果向上に貢献する。

▼ フォロワーシップ理論についての詳しい解説はこちらの記事をご参照ください。

ダニエル・ゴールマンのリーダーシップ

ダニエル・ゴールマンのリーダーシップは、感情知能(EQ)の概念に基づいています。彼はリーダーの成功が単にIQや技術スキルだけでなく、自己認識、自己管理、社会的スキル、共感、関係構築の能力に大きく依存すると指摘します。

ゴールマンはリーダーシップを6つのスタイルに分類し、各スタイルが特定の状況で最も効果的であると述べています。例えば、ビジョンを共有し、チームを鼓舞する「ビジョン型」、厳格な目標設定で成果を追求する「強制型」、チームの能力開発に焦点を当てる「コーチ型」などです。

ビジョン型

ビジョン型リーダーシップは、魅力的な未来像を描き、その実現に向けてチームを導くスタイルです。目標に向かって情熱を持ち、その情熱をチームに伝え、共感を得ることで、高いモチベーションと目標達成を促します。

コーチ型

コーチ型リーダーシップは、個々のメンバーの成長と発展に重点を置くスタイルです。メンバー一人ひとりの強みや弱みを理解し、それぞれのポテンシャルを最大限に引き出すよう助言やサポートを行います。個人の目標達成がチームの成果に直結すると考えます。

関係重視型

関係重視型リーダーシップは、チーム内の人間関係や信頼構築を最優先に考えるスタイルです。オープンなコミュニケーションを通じて、チーム内のコミットメントや協力を促進します。働きやすい環境づくりがこのスタイルのキーとなります。

民主型

民主型リーダーシップは、意思決定プロセスにおいてチームメンバーの意見やアイデアを積極的に取り入れるスタイルです。メンバーの参加を促し、コンセンサスを形成することで、チームの結束力を高め、モチベーションを向上させます。

ペースセッター型

ペースセッター型リーダーシップは、自らが高い基準を設定し、その基準に達することをチームに求めるスタイルです。効率性と成果の追求が特徴で、短期間での高い成果を目指しますが、長期的にはチームの疲弊を招くリスクもあります。

強制型

強制型リーダーシップは、厳格な命令とコントロールによってチームを管理するスタイルです。緊急時や危機的状況での迅速な決断が必要な場合に効果的ですが、過度に用いるとチームの創造性や自主性を損なう可能性があります。

これらのスタイルは柔軟に使い分けることが推奨され、状況に応じて最適なアプローチを選択することでチームのモチベーションを高め、成果を出すことが出来るようになります。

ゴールマンの理論は、リーダーが自分自身とチームの感情を理解し、それを戦略的に管理することの重要性を強調しています。このアプローチは、現代の多様な職場において、人間関係を築き、効果的なコミュニケーションを促進し、組織全体のパフォーマンスを向上させるための鍵となります。

【こんなシチュエーションで有効】
・組織やチームが大きな変化を迎え、新しい方向性を模索している時に、ビジョンを示し、変革を導くリーダーシップスタイルが有効。
・ チームの士気が低下している時に、感情的知性を用いてメンバーのモチベーションを高め、ポジティブな関係性を築くスタイルが適している。
・チームワークと協働を促進する必要があるプロジェクトでは、民主的なアプローチを取り、メンバーの意見を尊重するスタイルが効果的。
【こんな人におすすめ】
・多様な人材をまとめる能力が求められるリーダー
・EQ(感情的知性)が高い人

クルト・レヴィンの3種類のリーダーシップ型

クルト・レヴィンのリーダーシップモデルは、職場での人間関係やチームの動きを理解する上で役立つ枠組みを提供します。このモデルには、権威主義的、民主的、放任的の3つのリーダーシップスタイルがあります。

権威主義的リーダー

権威主義的リーダーは、チームの意思決定において一方的なアプローチを取り、指示と命令でチームを導きます。このスタイルは、迅速な決定が求められる状況や、明確な指導が必要な場面で効果的ですが、チームのモチベーションや創造性を損なう可能性もあります。

権威的リーダーシップ
【こんなシチュエーションで有効】
・緊急事態や危機的状況で迅速な決断が必要な時、または新しいチームで構造がまだ確立されていない時。
【こんな人におすすめ】
・明確な指示を与え、迅速な行動を期待する状況で決断力が求められるリーダー。

民主的リーダー

対照的に、民主的リーダーはチームメンバーとの対話を重視し、意思決定過程において意見を積極的に求めます。このアプローチは、チームの参加意識を高め、多様な視点からの解決策を得ることが出来るようになります。ただし、合意形成に時間がかかることがデメリットとして挙げられます。

民主的リーダーシップ
【こんなシチュエーションで有効】
・チームメンバーが自律的で意欲的な場合や、創造的なアイデアや解決策が求められる状況。
【こんな人におすすめ】
・意見を尊重し、チームの意思決定に参加させることを重んじるリーダー。

放任的リーダー

最後に、放任的リーダーはチームに対して高い自由度を与え、自主性に基づく行動を奨励します。このスタイルは、チームメンバーが自律的であり、自己管理能力が高い場合に最も効果を発揮しますが、方向性の欠如が問題になることもあります。

放任的リーダーシップ
【こんなシチュエーションで有効】
・チームメンバーが高い専門性を持ち、自己管理が可能な場合や、チームが自発的に目標に向かって努力できる環境。
【こんな人におすすめ】
・チームの自主性を最大限に引き出し、個々の能力に対する信頼を持っているリーダー。

レヴィンのモデルは、リーダーシップスタイルが状況に応じて変わるべきであるという理解を深めるために、現代の職場でも引き続き参考にされています。

リーダーシップ研修の実施

リーダーシップ研修は、組織の中核となる人材の育成に不可欠な投資です。研修を通じて、参加者は様々なリーダーシップのスタイルを学び、自らのリーダーシップスタイルを見つけ、磨くことが出来るようになります。

これらの理論を実践的に学ぶことで、参加者はチームを効果的に導き、組織全体のパフォーマンス向上に貢献する方法を理解します。また、自己認識の向上やコミュニケーション能力の強化といった、個人の成長にも直結する利点があります。

リーダーシップ研修は、理論だけでなく、実際のケーススタディやグループディスカッションを交え、理論を実践に落とし込むことの重要性を強調します。このプロセスを経ることで、リーダーとしての自信とスキルが身につき、組織への貢献度が高まるのです。

組織に最適なリーダー研修の選定は、KeySessionにお任せください。専門的な知識と経験を持つ我々が、皆様のニーズに合わせた最良の研修プログラムをご提案します。

おすすめのリーダーシップ研修

リーダーシップ研修

組織で活躍できるリーダーには、ビジョンを語る力、マネジメント力が求められます。KeySessionでは課題解決やビジョン共有などができるリーダー育成のための「リーダーシップ研修」を紹介しています。


おすすめの記事