パワハラに遭っている派遣社員は少なくありません。
派遣社員は3ヶ月から3年までと契約期間が決まっており、同じ職場にいても“部外者”であるため、ターゲットになりやすいのです。
嫌がらせや理不尽なことがあったとしても、立場的に何も言えないと感じて我慢をしてしまう人もいます。
しかし、立場を利用しての行き過ぎた言動はパワハラですので、しっかりと対策をする必要があります。
今回は派遣社員に対するパワハラの事例を挙げ、被害者になった時にとるべき対処方と、会社側がとるべき対策について解説していきます。
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ハラスメントは現在70を超える種類が存在しています。ハラスメントを起こさない、起こさせないために、企業全体でハラスメント研修を通して正しい知識と行動喚起を進めていくことが大切です。
目次
派遣社員に対するパワハラ具体例
概 要
40代で初めて派遣社員として働くことになり、今まで携わったことのない業種での派遣となった。最初は慣れない仕事にミスをしたり、時間がかかることもあったが、少しずつ仕事を覚えてできることも増えていると自分では思っていた。
1ヶ月くらい経つと仕事量が他の派遣よりも多くなったり、本来社員がすべきことを頼まれたりすることもあった。
派遣の仕事ではないと感じた業務を断った後から、社員による嫌がらせが始まった。
「40代だから覚えが悪いのかな?」
「あなたの仕事が遅いとみんなに迷惑がかかるのわからないのかな?」
「できないなら残業してでも終わらせてくださいね。もちろん残業代はでませんけど。」
「出来なかったら週末返上でお願いします」
と、サービス残業や休日出勤を迫られることもあった。
通りすがりに男性社員がわざと机を蹴ることもあり、いつか直接暴力を振るわれるのではないかと恐怖を感じた。
さらには、
「無理ならやらなくても良いですよ。派遣会社に連絡して変えてもらいますから」
と、契約打ち切りを匂わせることもあった。
この他に、ことあるごとに「派遣は・・・」と差別をするような話し方もしていた。
毎日複数の社員からの心無い言葉を浴びせられ、他の派遣社員は自分がターゲットになるのを恐れて見て見ぬふりをされ、相談できる人は社内にはいなかった。
何も言い返せない、誰にも相談できない状態が続いたが、契約満了までの3ヶ月間耐えた。
パワハラになるポイント
この例では、明らかに社員と派遣に差をつけるような言動があります。契約先には逆らえないという派遣社員の思いにつけ込んだパワハラです。
恐怖や不安を与える言動
男性に大声で言われたり、机を蹴られたりすると女性は恐怖を感じることは容易に想像できます。「派遣だから・・・」というように、差別的な言葉を何度も言われると、仕事に対するモチベーションも下がります。
何度もされると恐怖が増し、言いたいことがあっても何も言えなくなってしまいますし、普段できることもできなくなります。
今度は何を言われるのだろう、どんなことをされるのだろうと、精神的な苦痛を感じさせることはパワハラ以外の何物でもないと言えます。
社内全体で嫌がらせをしている
理不尽なことを言われている場面で、助けることもせず見ているだけというのは、ターゲットの派遣社員を孤立させてしまいます。
毎日怒鳴られたり、間接的な暴力を受け続けると、心身へのストレスは相当なものです。
パワハラは継続性も重要な要素になりますので、3ヶ月間毎日嫌がらせがおこなわれたことは、パワハラと認定されるには十分と考えられます。
契約打ち切りを匂わせる
契約社員は契約を切られると収入が途絶えてしまいます。ですから、当然できるだけ満期まで働く、できれば契約更新して欲しいと思うものです。
契約打ち切りを言われてしまうと、何も言えなくなってしまいます。「明日から来なくても良い」と言われたらと思うと、不安で仕事に集中できなくなるかもしれませんね。
このように立場や優位性を使った言動は、パワハラになる可能性が高いと言えます。
適切な対処方法
派遣先でパワハラに遭った時、我慢するしかないのでしょうか。
契約を切られたくないとの思いもあるかもしれませんが、派遣社員ができる対処は4つあります。
その場では言い返さない
理不尽なことや差別的なことを言われると、言い返したくなることもあると思います。しかし、パワハラをする人に理論や正論が通用するとは限りません。むしろ状況をさらに悪化させてしまうこともあります。
この例のように、悔しいかもしれませんが、その場では何も言わないほうが良いでしょう。
ひとりで悩まない
派遣社員は社員といってもやはり部外者という立場になります。そのため正社員同士よりも距離があり、気軽に相談できる人が社内には作りにくく、悩みがあってもひとりで解決しようと思いがちです。
パワハラに関してはひとりで解決することは簡単ではありません。
派遣会社に相談をする、労基署やその他の公的機関の窓口に相談をするなど、ひとりで悩まないことが大切です。
相談することで、自分では考えつかなかった対処方法のアドバイスをもらえると気持ちが楽になります。
契約期間中でも辞める
契約が満了にならないと辞められないと考えがちですが、どうしても辛い時は契約期間中でも辞める選択肢を持つことも大切です。
派遣会社に相談をして改善が見られないのであれば、契約を終了してもらいましょう。そして他の派遣先を紹介してもらうようにします。
我慢をしてうつ病や心身に影響が出てからでは遅いですので、早めに対処するようにしましょう。
パワハラの証拠を集める
少しでも「パワハラかも?」と感じたら、証拠を集めを始めます。
会話を録音する、パワハラの場面にいた人の名前をメモする、相談をした時は相談の相手や内容を記録しておくなどをしておくと良いでしょう。
例のように、複数の社員からのパワハラの場合、組織で隠蔽しようとされることもありますので、いざという時のために証拠集めは大切です。
パワハラを起こさせないために
パワハラを受けることを前提に働くのは悲しいですよね。しかし、いつ誰が被害に遭うかわかりませんし、自分の言動がパワハラと言われてしまうかわかりません。
パワハラをしない、させないための対策を講じておきましょう。
パワハラに関する社内規定を周知させる
パワハラ防止法では大企業では対策を義務化しており、中小企業は準備期間として義務は猶予されています。
しかし、企業規模に関わらず従業員が安心して働き、企業が成長するには人間関係のトラブルは避けなければなりません。
パワハラに関する規定を作り、正社員、派遣社員、パートなど立場に関係なく全員に周知するようにします。
共通認識があるとパワハラかな?と感じた時にすぐ対処しやすくなります。
意見を言いやすい環境作り
派遣社員は社員に何を言われても仕方がないと諦めずに、声を上げましょう。そのためには、職場が立場を超えて意見を言いやすい、相談しやすい雰囲気と体制を整えることが必要です。
パワハラが横行している組織では風通しが悪く、従業員同士のコミュニケーションも希薄だという共通点があります。
雰囲気の良い職場は働きやすく、従業員全員の最高のパフォーマンスが期待できます。人材の定着率も高いので人材育成をおこなう上でも非常に高い効果が見込めるのです。
ハラスメントは現在70を超える種類が存在しています。ハラスメントを起こさない、起こさせないために、企業全体でハラスメント研修を通して正しい知識と行動喚起を進めていくことが大切です。