ビジネスマンは初対面の人と会う機会も多く、部署異動や転勤などで全く新しい職場で仕事を始めることもあります。
しかし、昔から初対面の人と打ち解けるのが苦手、初対面の人と話す機会が多いけど会話に詰まってしまって気まずい……といったお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
そんな不安をお持ちの方でも、ちょっとした会話のコツを押さえるだけでも会話をスムーズに運び人間関係も円滑になります。
本記事では、社会心理学と社会言語学の観点から「初対面でも心を開いてもらいやすい会話の仕方」について紹介します。
目次
相手のことを知るにはまず自分のことを話す
相手のことについて知りたい時は、まず自分から自分自身のことを明かすという方法をご紹介します。
社会心理学には「返報性の原理」というものがあります。
人は他者から何らかの好意や施しを受けた時、それに対して同程度のお返しをしなければならないという感情になりやすいのです。
身近な例を挙げるならスーパーの試食やバレンタインのチョコレートです。
自己開示の返報性
「返報性」には色々な種類があるのですが、ここで取り上げるのは「自己開示の返報性」です。
自分自身のことを話すことによって、相手に「この人はこんなに自分について教えてくれたんだから私も自分の情報を何か教えてあげよう」と思わせるテクニックです。
当たり障りのない話題から少しずつ始める
話題にできる内容と言えば日頃のニュースや流行といった当たり障りのない話からごくプライベートな話まで幅広いのですが、まずは当たり障りのない話をしつつ相手の様子を伺いながら段階的に自己開示をしていくのがオススメです。
家庭に関する話などの個人的な話は年齢や社会的な立場が近い場合ですと親近感を与えることができるのですが、そうでない場合は相手の立場からすると過剰な自己開示を強いられているようで窮屈さを与えてしまいます。
ですから初対面で慣れていない頃は、誰もが知っているような当たり障りのない話題から少しずつ始めてみましょう。
それから趣味や興味のあること、更にその部分に突っ込んだ話といった具合で段階を踏んでいくと自然に無理なく心を開いてもらえるようになります。
汎用性の高い話題を用意しておこう
汎用性の高い話題としてはネットで話題になっている出来事やPC関係、書籍関係などです。
PCはビジネスでもプライベートでも欠かせないツールなので触れている人が多く汎用性の高い話題ですし、書籍はその人の好みが如実に表れるので相手の嗜好を把握したい時に「読書はしますか?どんなものを読みますか?」などと聞くのはとても有効です。
頑張って話しているのに相手に引かれている気がする、そもそも会話の取っ掛かりがないという方はぜひお試しください。
自分と相手の属性を把握して話し方を変えてみる
次に、自分と相手の属性を把握して話し方を変えることも効果があります。
属性というのは年齢や性別、性格、地位などのことを指します。
相手が年上なら会話をリードしてもらう
もしこちらが相手よりも年下なら、会話の進行は相手にお任せしましょう。
その際ただぼんやり聞くだけではなく、適度に相槌を打ったり、相手の言ったキーワードを繰り返したり、気になった部分がある時は発言が終わった時に尋ねてみるといいです。更に、余裕があるのであれば相手の話に対して自分の思ったことや考察を付け加えるのもオススメです。
聞く姿勢は自分で思っている以上に相手には見られているものですし、熱意を持って話を聞ける力を持っていると人からも好かれやすいです。
相手が年下なら自分が会話をリードする
もし相手が年下なら、こちら側が会話をリードすると良いです。
その際はわかりやすく話すようにしたり、相手が反応できるようなペースで発話したりすることを心がけましょう。
相手と対等な関係なら会話も互いに発展させる
もし自分と相手が同年代、同僚のように力関係が等しい場合は、互いに対等に話題を導入・発展させていくと良いです。
勿論性格によって話し上手、聞き上手というものがありますから、何度か話してみて相手がどちらのタイプなのかを見極めてどちらが会話を主導するのか決めていきましょう。
営業対クライアントのような場面でしたら、営業側の立場でしたら説明するべきところは丁寧簡潔にわかりやすく話すことが求められますし、発話のスピードやトーンも普段よりやや落とした方がいいです。
というのも、人は無意識のうちに話す早さや声のトーンからその人が信頼できる人物か判断しているからです。
発話のスピードは遅い方が聞き手への気配りが感じられますし、内容に重さを持たせることができます。
そして声のトーンは高いよりは落ち着かせる方が、相手に真面目で誠実な人物という好印象を与えやすく交渉時に有利に働くとされています。
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どういった話し方が好まれるかという傾向を知る
また、どういった話し方が好まれるのかという傾向を知ることも円滑に会話を進める上では役に立ちます。
ここでは主に話し手と聞き手の性別の組み合わせに焦点を当てて解説していきます。
現在では言葉・話し方の中性化が進み以前ほど男女差はなくなってきているとはいえ、男性と女性では異なる好まれる会話の仕方や話題、空気感が根強く残っています。
男性の話し方の特徴と好まれる話題
例えば男性だと競合的で会話を支配しようという傾向にあり、多弁でしばしば相手の話を遮って自分の意見を述べがちです。
話題については答えがハッキリ出せるものや、議論の余地のある話題、モノに関する話題(例えばPCやスマホなどのガジェット、アウトドア、乗り物や時計など)が好まれます。
そうした背景には自己主張できず弱い存在だと思われることを回避したいという思いがあったり、問題解決のための議論が普段から身近であったりといった環境が少なからず作用しています。
女性の話し方の特徴と好まれる話題
女性の場合はこれに対して、互いに協力的で話す順番を意識し、相手を気遣う発言も度々見られます。
そして話題は特に答えが決まっておらず終着点がないものや、ごく身近な人間関係内で起きたことや芸能関係など人に関するものが好んで語られる傾向にあります。
誰かと手を取らなければ簡単には生きられない女性の社会では協力的な態度の方が何かと楽ですし、そうした生活の中で相手を気遣うことも習慣化されています。
そして話す目的はコミュニケーションやストレス解消としての面が大きいので、このような会話の仕方や話題が好まれていると言われています。
ここで挙げたのはステレオタイプなので、男性全てが競合的でよく話す、女性全てが当てのない話が好きというわけではないことは留意しましょう。
相手の傾向を知ることで円滑に会話を進めることができる
好まれる話し方を知っておくのと知らないのとでは、相手の抱く親しみやすさは大きく異なってきます。
好まれる話し方がわからなければ「この人の話し方は性に合わない」と悩んだりその人を避けたりしてしまいますが、どう話せば好まれるのかを知っていれば、相手がなぜその話をするのか疑問に思うこともなくスマートに対応できるようになります。
コミュニケーションを円滑に進める助けになるように、参考程度に覚えておくといいでしょう。
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まとめ
社会心理学と社会言語学と聞くと難解な印象を抱いた方もいらっしゃるかと思いますが、実際はとても身近で親しみやすい分野です。
始めから全てを意識して実践するのは大変ですので、本記事の情報を活かせる場面を少しずつ見つけてお役立ていただけると幸いです。