フィードバックの正しいやり方について考えたことはありますか?
つねに成長し続けているチームにおいて、必ずと言っていいほど行われているのが「正しいフィードバック」なのです。
評価面談では必ずフィードバックをしているけれど…という方もいるかと思います。
しかし、漫然と行うだけのフィードバックには効果がないことがわかっています。
この記事では、よりチームが成長するフィードバックの方法について解説していきます。
チームだけではなく、会社全体の成長に欠かせないフィードバック。成果を出すためのフィードバック方法について見ていきましょう。
目次
適切なフィードバックがされている職場は働きやすさへの満足度が高い
正しいフィードバックが職場に与える力は大きく、次のような効果があります。
- メンバーに活気があり、働くことへの満足度が高くなる
- チームのPDCAサイクルが効果的に回る
- プラス行動の再現性が高くなり、マイナス行動の改善を促す
フィードバックがもたらす職場への効果については、厚生労働省がまとめた興味深いデータがあります。
出典:「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」(厚生労働省)
「上司からのフィードバックが実施されない」人が働きやすさを感じている割合は27.8%である一方で、「毎日上司からのフィードバックが行われている」人が働きやすさを感じている割合は43.5%にも上ります。
しかし、フィードバックはただやればいいものではありません。
フィードバックが行われていた場合でも、「上司からのフィードバックが効果的でなかった」と答えたグループは、働きやすさよりも働きづらさを感じる割合の方が高くなっているのです。
つまり、フィードバックで大切なのは正しく行うこと。
適切な頻度と内容で行うことではじめて、チームの士気を上げ成長性を高める効果が生まれるのです。
フィードバックの基本~ティーチングとコーチングの使い分け~
ビジネスにおけるフィードバックには、2つの基本があります。
- 客観的な視点で情報を伝えること
- 部下を正しい方向へ導くサポートをすること
この2点を押さえたフィードバックをするには、ティーチングとコーチングの使い分けが必要です。
ティーチングとコーチングは、相手の経験値や性格によって使い分けていきます。
フィードバックにおけるティーチングとは
ティーチングとは相手に答えを教える教育方法であり、例えば座学の勉強会がティーチングに当たります。主に経験や知識レベルが不十分と思われる相手に対し「説明」を主体として教育する方法です。
ティーチングでは、答えを直接教えることが目的になります。
フィードバックにおいてのティーチングは、一対一の場で行うので「説明」と「質問」を使いながらのアプローチで効果を高めることができます。相手のレベルに合わせて「説明」と「質問」の割合を調節すると、部下一人ひとりにあったティーチングを組み立てることが可能です。
フィードバックにおけるコーチングとは
コーチングとは、相手が目標達成するためのサポートをおこなう教育方法です。
相手の中にある答えを引き出すことを目的とするのが、答えを教えるティーチングと異なる点です。
フィードバックの際のコーチングでは、「質問」と「整理」が大切です。
コーチングでは、「質問」を多用して考えさせることで、答えにたどり着く手助けをします。「整理」の工程では、質問の答えを相手にまとめてもらうことで理解を定着させます。
フィードバックの場ではしっかりと考えさせる時間を与え、対話を通じて相手の回答を引き出すようにしましょう。
コーチングを人材育成や能力開発のために取り入れている企業が増えています。個人の成長を促す効果があり組織全体に良い影響を与えます。組織成長の為にコーチング研修の導入をご検討下さい。
正しいフィードバックをする上での3大要素
正しいフィードバックをする上での3大要素は「場所」「内容」「頻度」です。
「場所」が不適切だと相手は聞き入れる態勢がとれず、「内容」が不適切だと相手は成長できず、「頻度」が不適切だとフィードバックは意味の無いものになります。
「場所」「内容」「頻度」これら3つの要素を踏まえた上で、チームの成長させるフィードバックの具体的なポイントを紹介します。
正しい「場所」:一対一の個室でリラックスして
フィードバックの鉄則は、一対一の個室で行うことです。
フィードバックでは相手に注意や指導をすることになりますので、こちらの話を聞き入れてもらい、自ら話してもらうための環境づくりが重要になるのです。
フィードバックを始める際は、アイスブレイクから行うのが良いでしょう。上司に呼ばれた部下はそれでもなく緊張しているわけですから、緊張を解くことから始めます。
雑談からスタートし威圧感を与えない雰囲気で臨みましょう。
正しい「内容」:事実確認が最重要、アドバイスは具体的に
アイスブレイクが終わりフィードバックを始めました。その際、まず客観的事実を述べた上で具体的なアドバイスをします。
客観的な事実というのは、「相手がどういった状況でどういった行動をとり、その結果何が起こったか」という事実です。事実確認があやふやなフィードバックには、相手が不信感をいだき本心を話してもらえない原因になります。
フィードバックする内容の事実確認は怠らないようにしましょう。
また、アドバイスには具体性が必要です。主語を「I(私は)」にして、将来の行動につながる具体的なアドバイスを行います。
抽象的なアドバイスは、意図した内容が相手に伝わらない恐れがあります。また、相手に「結局何が言いたかったの?」と思わせることに。
こうなると、相手はフィードバック自体を「効果のないもの」と認識し、成長につなげることができなくなります。
正しい「頻度」:少なくとも月1回行う
フィードバックは、最低でも月1回、できれば週1回以上行うようにしましょう。
言いたいことが過去になればなるほど、フィードバックの効果はどんどん薄れていきます。
フィードバックすべき、仕事の体験は鮮度が命。鮮明な記憶があるうちに相手に伝えたほうが、より自分ごととして捉えることができるのです。
また、チームの成長にはPDCAサイクルを回し続けることが肝心です。フィードバックでしたアドバイスや忠告が、行動に活かされているかどうか。
フィードバック結果に対するフィードバックをすることが、PDCAサイクルを回し続けることになるのです。
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正しいフィードバック技術は訓練で身につけて
フィードバック方法のポイントをまとめると、以下の通りになります。
✅ 基本の「ティーチング」「コーチング」スキルを使い分ける
✅「場所」の適切さ…リラックスできる環境を用意する
✅「内容」の適切さ…事実確認を徹底し、具体的なアドバイスをする
✅「頻度」の適切さ…最低でも月1回以上行い、繰り返すことでPDCAサイクルを回す
自分の職務もこなしながら、チームに対して正しいフィードバックを継続するのは簡単なことではありません。しかし、正しいフィードバック技術は、研修等の訓練で誰でも身につける事ができます。
チームを成長させるフィードバックができることは、マネジメント層にとって必須の能力といっても過言ではありません。
職場の満足度アップにも貢献できるフィードバックスキル。社内研修を利用した定期的な訓練で、会社全体の成長につなげていきたいですね。