仕事が少しくらいハードでも、人間関係が良ければ頑張れるという人は多く、それだけ職場の人間関係はモチベーションアップや心の支えになるものです。
もし職場全員に無視をされたり、意地悪をされたとしたらどうでしょうか。想像するだけでも辛いですよね。
ここでは、職場の上司や同僚から嫌がらせを長期間にわたり受け、抑うつ状態を発症し裁判となった実例をご紹介します。
集団でのパワハラは陰湿さを加速させることを認識しましょう。
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目次
同僚全員からの嫌がらせはパワハラ?裁判の実例
女性社員Aは同僚の女性社員7名から聞こえるように悪口を言われたり、非難されるようなことを言われるようになった。
男性課長から複数回に渡り、顔を殴る真似や飛び蹴りを顔すれすれにされることもあったが、それを目撃していた部長は注意をすることはなかった。
他にも以下のようなことがおこなわれてい。
・グループ会社全体の会議で受付を担当した時に、他の支社の社員からも悪口を言われた。
・同部署の女性社員に仕事を教えた時にお礼のケーキをもらったのを目撃され、「アホなの?」と言われた。
・「同じ仕事をしているのに高い給料をもらっている」と言われた。
・勤務中に、他の同僚に社内メールを使って、女性社員Aの悪口を毎日のように送った。
・お得意先へのイベント会場で、手伝いに来ている社員に女性社員Aの悪口を言った。
・席異動で女性社員Aの近くに嫌がらせをしていた女性社員がなった時、「これから本格的にいじめる」と言われた。
ここまでの嫌がらせがおこなわれていることは、周りには認識されておらず、女性社員Aが悩んでいたことも知られることはなかった。
これらの嫌がらせが2年以上続き、女性社員Aは不安障害と抑うつ症を発症した。
同僚全員からの嫌がらせがパワハラと判断されたポイント
裁判では個別なパワハラよりも陰湿である点がポイントになり、常軌を逸していると判断されました。
悪口による精神的な攻撃
本人に聞こえるように悪口を言い続けること、いじめグループ内だけではなく、支社の社員にも女性社員Aの悪口を言われるなど、職場内を超えての嫌がらせは、精神的な負担は相当なものと判断されました。
2年以上の長期間に渡っていることはさらに悪質と考えられています。
身体的攻撃
真似とはいえ、男性課長からの蹴りや殴りは女性にとっては相当な恐怖であると考えられました。
1度なら冗談が通用するかもしれませんが、複数回では身体的なパワハラと言われても仕方がありません。
直接暴力を振るい、ケガをさせなくても、恐怖を感じたり度を越えるものは身体攻撃とみなされるということになります。
他社員に相談できない状況
他の社員にはわからないように嫌がらせをおこなっていたこともあり、周囲は女性社員Aが深刻に悩んでいたとは気づいていませんでした。
上司に相談をしたこともありましたが、上司はいじめの事実に気づいていなかったため、対策をしてもらうことはできませんでした。
社内に相談しても何もしてもらえなかった事実に、会社や上司への不信感と諦めを感じたと推測されました。
同僚全員からの嫌がらせに対する適切な対処方法
身近に相談ができない、相談をしても何もしてもらえないと、周りは敵だらけに感じます。解決策は社内だけにあるとは限りませんので、諦めず行動をすることが大切です。
嫌がらせの証拠集め
本人にわかるように悪口を言ったり、嫌がらせをしている場合は、比較的証拠を集めるのは容易です。
写真や音声があれば一番説得力がありますが、日記やメモでも良いですので、嫌がらせを受けた日時、場所、相手の氏名がわかるようにしておくことがポイントです。
裁判だけではなく社内での相談にも証拠は必要ですので、できるだけ多くの客観的事実を残しておきましょう。
周囲を巻き込む
パワハラ防止法により、大企業では相談窓口の設置が義務付けられています。中小企業は努力義務ですので、相談窓口がないかもしれませんが、その場合は人事担当者に相談をします。
社内で対応が難しい場合や、言いにくい場合は、労働基準監督署などの外部組織に相談をすると、企業に対して指導をしてくれます。
ひとりで抱え込まずに、多くの人に事実を知ってもらう、会社の上層部に現状を知ってもらうために、いじめの事実を公表することが必要です。
集団での嫌がらせは、部署内だけで解決をしようとしても難しいケースが多いですので、周りを巻き込むことが必要なのです。
辛さを吐き出す
上司や社内に相談できる人がいなければ、職場に関係のない人でも良いので、誰かに嫌がらせを受けていることを話しましょう。
直接関わり合いのない分、冷静で中立的な立場でアドバイスをもらえます。
女性は話をするだけでも気持ちがスッキリすること、気分が変わることが多いものです。こんな話をしたら迷惑かもしれないと考えずに、辛さを吐き出すことを優先するようにしてください。
それでもやはり身近な人には話しにくいという時は、電話やSNSなどの相談サービスの活用も良いでしょう。
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同僚全員からの嫌がらせに対して企業側が行う対策
女性による集団の嫌がらせは、巧妙で悪質です。そのため、表に出た時には収拾がつかない状態になっていることもあります。そのため日ごろからの対策は重要です。
人間関係を入れ替える
女性社員が多いところでは、定期的に異動をさせるなどの入れ替えが効果的です。
長期的に同じメンバーで仕事をすると、お互いのペースややり方に慣れている分、仕事が早く進むメリットがあります。
その一方で、刺激が少なく緊張感に欠けるデメリットがあります。ほんの少しの刺激が欲しくなり、軽い気持ちでいたずらしたことが、エスカレートする可能性があります。
適度な緊張感を作るためにも、人間関係のリセット、入れ替えが必要です。
見えていない事実があると認識する
目に見えてパワハラがおこなわれているのを、見ないふりをすることは言語道断です。
しかし、日々の忙しさに流されて、見えていない陰の部分にまで意識が届かないのも事実だと思います。
自分には見えていない事実がどこかにある、という認識を持つことで部下や同僚から相談を受けた時に対処しやすくなります。
仕事上の人間関係と割り切る
女性は男性以上に職場での人間関係を大切にします。同僚全員と仲良くならなければいけないと思ってしまう傾向にあります。
そのため、小さなトラブルがあったとしても、目をつぶってしまう、他の人に相談をするのを躊躇してしまうのです。
仕事での人間関係は仕事だけのものと、割り切ることで不要な遠慮がなくなり、冷静な対応ができるようになります。
ハラスメントは現在70を超える種類が存在しています。ハラスメントを起こさない、起こさせないために、企業全体でハラスメント研修を通して正しい知識と行動喚起を進めていくことが大切です。