営業に必要なスキル

企業の売上や利益に直結するのが、営業部門の成果です。企業として成長したいなら、営業担当者のスキルアップは欠かせません。

しかし営業ノウハウは属人性が高く、体系的な理論もあまり知られていません。優秀な営業担当者を育成したくても、その方法がわからず悩んでいる企業が多いのです。営業担当者自身も、成長したいと思ってはいるものの、どうすれば良いのかわからず困りがちです。

この記事では、営業担当者に必要なスキルやその身につけ方について解説していきます。

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営業担当者に必要なスキルとは

営業の仕事に必要だと思うスキル
参考:リクナビNEXT「営業職1500人に聞いた「16分野別」絶対不可欠スキル」より

実際に営業を担当している方が必要と感じているスキルには、以下のようなスキルがあります。
ロジカルシンキングのスキル

  • 課題を発見する力
  • 論点を絞る力
  • 情報を伝える力
  • 数理的能力
  • 仮説を立てる力

対人スキル

  • 人の話を聞く力(ヒアリング力)
  • コミュニケーション力
  • 人脈を作る力
  • 利害を調整する力
  • 部門間の調整をする力

基礎的なビジネススキル

  • 情報収集力
  • 行動力
  • 探求力
  • プロジェクトを立案する力

なかでも特に多くの営業職が共感する課題を発見する力、人の話を聞く力、コミュニケーション力について詳しく解説します。

課題を発見する力

課題発見力は、営業の成果を高めるために非常に重要なスキルです。顧客との対話のなかから、顧客すら気づいていない課題を見つけるのが、営業のもっとも大切な仕事だからです。

顧客は自分の悩みに気づいていないことがほとんどです。人間は窮地に立たされているとき以外、「今は困っていない」「現状維持で大丈夫」と楽観的に構えるからです。困っていないとしても、利益を高めたり経費を削減したりして、より良い状態に成長できると気づかせることも営業の仕事です。

顧客との対話を通し、顧客すら気づいていないニーズを掘り起こすため、課題を発見する力が必要なのです。

人の話を聞く力

人の話を聞く力も、営業職に必要なスキルのひとつです。ヒアリング力、傾聴力とも言われます。

営業では、顧客との対話が欠かせません。対話のなかで顧客の興味関心や困りごとを見つけていくからです。しかし、「何か困っていることはありませんか?」「どんなことに興味がありますか?」と聞いても、具体的な解答が返って来ることはないでしょう。「いきなり言われても困るな…」「特にないですよ」と、無難に返されることがほとんどです。

顧客の本音を聞きだすには直球で質問するのではなく、相手の話を丁寧に聞く力が大切です。

コミュニケーション力

コミュニケーション力も、営業に必要なスキルのひとつです。顧客にとって心地よいコミュニケーションを重ねることができれば、顧客は営業担当者に心を開き、信用してくれるからです。契約にも結び付きやすくなります。

また、顧客に合わせてコミュニケーション方法を変えることも大切です。雑談に付き合ってくれる人を好む顧客もいれば、必要最低限のやりとりで商談を完結させたい顧客もいます。顧客の性格に合わせて対応を変えることも、営業に必要なコミュニケーションのスキルです。

営業に必要なスキルを向上させるポイント

対人スキルを中心に、営業に必要なスキルは多岐にわたります。しかし、いずれも「本を1冊読むだけで身につけられる」といったお手軽なものではありません。実践を繰り返しながら、少しずつスキルを高めていくものです。

この章では、少しでも効率よく営業に必要なスキルを高めるために、意識するべきポイントについて解説していきます。以下のポイントを踏まえ、営業や商談の経験を積んでいきましょう。

自分の強みを見つける

営業に必要なスキルは多岐にわたりますが、1人ですべてを身につけていなければ一人前ではない、という意味ではありません。すべてのスキルを高めようとするより、自分の強みを活かした営業スタイルを見つけるほうが早く成長できます。

例えば、口下手で大人しい人は「自分にはコミュニケーション力がない」と感じていることが多いです。しかし、営業の現場で営業担当者がペラペラしゃべり続ける必要はありません。むしろ人の話を聞く力を伸ばし、顧客が悩みを相談しやすい営業担当者を目指したほうが良いのではないでしょうか。

苦手なことを克服するよりも、得意なことを伸ばすほうが簡単ですし、短時間で成果を出すことができます。まずは自分の強みを見つけ、強みを活かした営業スタイルをイメージしてみましょう。

自分の課題と改善方法を考える

今、自分には営業スキルが足りないと感じているなら、自分にはどんな課題があって、何を改善しなければならないのかを考えましょう。これは、自分を相手に営業の練習をする方法です。営業は顧客の課題を見つけ、解決策を考える仕事なので、現場では他人に対して行うことを、自分に対してやって練習していきましょう。

例えば、売上の目標がいくらで現状どれくらい足りないのかを考えて見ます。売上が足りないといっても、新規の顧客が足りないのか、既存の顧客が足りないのか、商談におけるアピールが弱いのか、そもそも商談の数が足りていないのか…など、原因はさまざまです。

このような実践を通し、課題発見力や情報収集力など、営業に必要なスキルを体得することができます。自分を営業相手に見立て、練習をしていきましょう。

良い点・悪い点を振り返る

商談が終わったら、良かった点と反省点を振り返りましょう。両方のポイントを把握し、良い点はさらに伸ばし、反省点は改善する方法を考え、次の商談に挑みます。これを繰り返すことで、自然と営業に必要なスキルを高めることができます。

例えば商談の感触が良くなかったら、なにが原因だったのかを考えます。商談がうまくいかない原因には、商品に魅力がない、営業担当者の説明がわかりにくい、決め手にかけるといったさまざまな原因が考えられます。顧客の顔色が変わったのはいつなのかをよく思い出し、原因を特定しましょう。

振り返りを継続することで、自分の得意と不得意がわかってきます。得意なスキルを伸ばすことで、営業成果につなげていきましょう。また、不得意なスキルを把握することも大切です。不得意なスキルが致命的な失敗につながらないよう、人並みのレベルまで高める努力をしたり、得意なスキルでカバーする方法を考えたりできるからです。

優秀な営業担当者に共通する特徴

優秀な営業担当者は、営業に必要なスキルを多く持ち合わせています。しかし、彼らは最初から営業の才能があったわけではありません。地道な努力により、トップセールスに結びついているのです。

優秀な営業担当者たちの努力は、以下のような特徴にも表れています。誰にでも真似できる特徴なので、これから取り入れていきましょう。

準備に時間をかける

優秀な営業担当者は、商談を始める前の準備に時間をかけています。顔合わせ程度の簡単な打ち合わせでも、事前に相手の企業や業界についての情報を集め、顧客の悩みを想像しておきます。商談では商品の説明を必ず行うので、わかりやすい資料を準備し、カンニングペーパーを見なくても紹介できるように商品の情報を頭に入れておきます。顧客と契約を結ぶ場合に備え、重要事項の説明書や契約書を持参するのは必須です。

商談をうまく進めるためには営業担当者のペースで進める必要がありますが、顧客の思いを無視して商談を進めるのは逆効果です。優秀な営業担当者は、顧客の疑問や不安を解消しつつ自分のペースで進めるためにも、ありとあらゆる問題を想定して準備しておくのです。

ところが準備をせずに場当たり的な対応を行い、その場で解決できないことを毎回「社に戻って確認します」と言っていては、成約に至るのは難しいでしょう。もたもたしている間に、競合他社に顧客を取られてしまうかもしれません。そのため、優秀な営業担当者は準備に時間をかけるのです。

メモをしっかり取る

優秀な営業担当者はよくメモを取ります。顧客から聞いた話はもちろん、社内外で耳にした話やプライベートで聞いたおもしろい話などは、メモを取っておくのです。営業は情報戦なので、どの情報がいつ役に立つかわからないからです。

いまいち成果が上がらない営業担当者にありがちなのが、顧客との対話中にメモを取っていないことです。商談中に気分が乗ってきた顧客は、他社の営業担当者には言っていない話をしてくれることがあります。こうした些細な情報が次回の提案の役に立つので、メモを取らずに忘れてしまうのは損失です。

人の目の前でメモを取るのはちょっと怖い…と感じる方もいますが、相手側はそこまで気にしないものです。相手の視線が気になるなら、小さめのメモ帳を持ち歩き、ちょこっとメモを取るようにしましょう。

相手のために提案をする

優秀な営業担当者は、顧客のために提案を行います。ドラマなどでは、自分の営業成績のためにあくどい手段を使って顧客に売りつける営業担当者がよく登場しますが、現実にいる優秀な営業担当者は自分本位の提案はしません。顧客にとって必要だと考える商品を提案し、顧客も自社も得ができるように計らいます。

成果が上がらない営業担当者は、自分のノルマに追われるあまり、顧客のことが見えていないケースがあります。こうした考えを隠して顧客との商談に臨んでも、顧客のほうは敏感に察知するものです。顧客は他社を含めて大勢の営業担当者と会っているので、顧客のために提案してくれているのか、営業担当者が保身のために提案しているのかはわかってしまいます。

優秀な営業担当者は、顧客のために提案をしますし、顧客にもそれは伝わります。顧客から選ばれる営業担当者だから、成果が上がって「優秀な営業担当者」と呼ばれるのです。

営業担当者がスキルアップするための方法

成績がいまいちな営業担当者が、優秀な営業担当者にスキルアップするためには、どうすれば良いのでしょうか。営業に必要なスキルを身につけるための方法を解説していきます。

営業研修を受講する

営業に必要なスキルを身につけるには、営業研修の受講がもっともおすすめです。営業研修では営業経験のある一流のビジネスパーソンが講師を務め、営業で使えるスキルやノウハウを教えます。現場で使える実践的な方法を学べるので、営業成績を上げたい企業の方には導入することをおすすめします。

営業研修ではケーススタディやロールプレイングを通じ、社員が営業の練習をする時間を設けます。実際に起こりうるシチュエーションを用意されるので、翌日からの営業で役に立つはずです。また、ロールプレイングを見て講師からフィードバックを受けることもできます。自分だけでは気づかなかった営業スタイルの問題点に気づくことができるので、その後の大きな成長につながります。

後述するように、社内勉強会を開いたりビジネス書で独学したりして、営業スキルを高めることは可能です。しかし、自己評価や同僚の評価は甘くなりがちで、なあなあになってしまうことも多いです。利害関係のない社外の講師が社員の営業スキルをチェックすることで、より客観的に改善点を探すことができます。

おすすめの営業研修

営業研修

営業成績が上がると社員のモチベーションが上がり、業績を非常に良くなります。優秀な営業マンを育てるために営業研修を導入しましょう。より実践的で効果の高い営業研修を紹介します。

営業研修におすすめの会社26選!失敗しない選び方も解説

社内で勉強会を開く

社内で勉強会を開くのも、営業スキルを高めるのにおすすめの方法です。営業成績のよい社員に講師を務めてもらい、普段実践していることを教えてもらいましょう。研修のような形式が難しければ、座談会のような気軽な集まりにするのもおすすめです。

社内で勉強会を開催するメリットは、自社商品の営業実績がある社員が講師を務めることです。うまくいった商談の事例を聞くだけでも、翌日以降の営業に活かせることを数多く学べます。

一方で、優秀な営業担当者といえど、体系的に営業の知識があるわけではありません。営業担当者が講師になる場合、参考になる事例は学べますが、未知の場面に出くわしたときにうまく対処する方法は学べません。営業におけるどんな場面にも対応できる人材を育てたいなら、営業研修のほうがおすすめです。

ビジネス書を読む

営業スキルについて書かれたビジネス書を読むこともおすすめです。最近は営業の流れや使いやすいフレームワークを解説した本がたくさん出版されています。本でノウハウを学び、実践していくことで営業に必要なスキルを身につけることができます。

研修や勉強会と異なり、ビジネス書なら自分が好きな時間に勉強できるメリットがあります。忙しくて通勤時間くらいしか勉強できる時間がない人にもおすすめです。

ただし、本は疑問点があっても質問できないデメリットがあります。「本のノウハウを試しているけど、なぜかうまくいかない…」といった悩みを抱えていても、どうすれば良いのか教えてくれる人はいません。本で解説される一般的なノウハウを超えて、個別の指導を受けたいなら、営業研修のほうがおすすめです。

営業活動の結果を出す環境構築が重要

営業の成果を高めるためには、営業担当者の努力だけではなく、企業として環境を構築することが大切です。例えば、評価・報酬制度の見直しや、ITツールの活用などが挙げられます。

まず、評価・報酬制度の見直しを行いましょう。自分の頑張りが人事評価や報酬に反映されないと、どんな営業担当者もやる気がなくなってしまうからです。評価・報酬制度は営業担当者の成果だけでなく能力や姿勢を評価できる仕組みになっているか、その枠組みは評価を受ける営業担当者にとってわかりやすいものになっているかを確認しましょう。

また、現代の営業にはITツールが必須と言われています。営業担当者の個別のスキルだけに頼るのではなく、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理ツール)といったツールを導入して組織的な営業力を高めていきましょう。

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