ビジネスでは専門的知識を持つことが大切です。
しかし、近年では広い知識と客観的な視点、違う文化や考え方を理解する総合的な力を求められるようになってきました。
このような幅広い知識を学ぶリベラルアーツ教育が大学でもおこなわれるようになり、社会人でも専門以外の知識を身につけようとする人たちが増えています。
この記事ではリベラルアーツについての必要性と、社会人になってからの身につけ方を解説しています。
目次
リベラルアーツとは
リベラルアーツとは、古代ギリシャ・ローマ時代の自由七科に由来しており、自由七科とは、文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽のことを指します。
古代ギリシャでは非奴隷であることが自由とされており、束縛から解放され自由な生き方を手に入れるために、様々な技術が必要と考えられていました。
そして”七科”を身につけることで、本当の自由を手に入れることができるという概念が広まりました。
現代ではアメリカで幅広い知識を学べるリベラルアーツカレッジがあります。日本でも東京大学や国際基督教大学、桜美林大学など多くの大学で自由七科に準じた科目を学ぶことができます。
元となった自由七科とは学ぶ内容が少し違っていますが、自由に生きていくための実践的な知識を学ぶという部分は継承されています。
現代におけるリベラルアーツの必要性
古くから世界各地で伝えられてきたリベラルアーツですが、今の時代に改めて必要となっている理由はどのようなところにあるのでしょうか。
事業の世界展開
日本での技術や製品は、国内だけではなく世界へ発信される機会が増えています。市場は世界に加速的に広がっています。
世界を知らなければ、当然ビジネス展開が難しくなるため、これまで以上に広い視野と本質を見抜く力が必要になります。
文化や歴史の違いを受け止める思考の柔軟性を持つことでコミュニケーションが円滑になり、良いビジネスにつながります。
価値観の多様化
生活スタイル、業種、働き方など多種多様の生き方ができる現代では、同じ教育を受けた同世代であっても価値観が違います。
年代が違えば尚更その違いは顕著です。
自分の価値観に囚われすぎると、行動や思考の幅が狭くなり、問題解決能力の成長を阻みます。
これからは個人の成長が企業の成長につながる時代になります。一人ひとりの能力を最大限に発揮するためにも、広い知識と視点が必要になるのです。
新しい時代への適応力
人生100年時代と入れている現代で、人としての基礎力が必要となっていきます。経済産業省からも、社会人基礎力がこれからの時代には重要であると発信されています。
考え抜く力・チームで働く力・前に踏み出す力が必要で、さらにはどう活躍するか・何を学ぶか・どのように活躍するかという3つの視点も持つことが大切になります。
時代が変われば求められることも変わってきます。既存の方法では通用しないことがあった場合でも落ち着いて対応できるだけの柔軟性を備えなければなりません。
そのためには、社会人としての基礎力を身につけている必要があるのです。
参照サイト:経済産業省『人生100年時代の社会人基礎力について』
リベラルアーツを学ぶメリット
具体的にリベラルアーツを学ぶことで、どのような変化が起こるのでしょうか。個人だけではなく、企業全体としても多くのメリットがあります。
判断力が強化される
特定の知識や経験だけでは自信を持って判断できないことも、リベラルアーツを身につけることで、冷静に状況を見極めあらゆる方向から分析し行動に移すことができるようになります。
”明らかに正しい選択肢がある”場合もあるでしょうが、”それを選択しても正解”という場合もあります。その際に最も適切だと思う選択を自分の意志でできます。
客観性が身につく
ひとつの価値観や意見に左右されなくなります。
情報過多の時代において、望む望まないに関わらず、あらゆる方向から情報が流れてきます。
多くの人が賛同している意見に流されることもあるかもしれませんが、物事を多角的にみられるようになると、中立で客観的な視点を持つことが可能に。
そして、客観的な判断ができるようになると、迷うことや悩むことが少なくなります。
柔軟な対応力がつく
自国だけではなく世界の文化や歴史、民俗性を知ることで固定概念が薄れていきます。
狭い世界での常識や概念の中では行動が限られてしまいますが、考え方や行動のパターンをいくつも持っていることで、その時にあった発想や行動ができるようになります。
目の前で起こっていることに対して、前例に捕らわれない対応を求められる現代だからこそ、柔軟な対応力、適応力がビジネスで大きなメリットになるのです。
人間力が上がる
これからのビジネスでは個人レベルでの能力アップが必要不可欠です。企業に大切なもの『人』『モノ』『金』と言われるように、やはり人が企業の成長には重要な役割を担っています。
幅広い教養、コミュニケーションスキル、マナー、ビジネススキルなど、総合的な底上げが必要です。リベラルアーツは人間力そのものを上げるとても有効的な手法なのです。
リベラルアーツの学び方
大学でリベラルアーツ教育を受けていないとダメなのか?というと、そうではありません。社会人になってからでも身につけることができます。
特に2つの視点を持つことが必要です。
正確な情報を持つ
ビジネスでは情報収集と情報の活用がとても重要な役割を持ちます。多くの情報の中から必要なものを取捨選択しなければなりません。
まずは情報収集の手段を整理しておくと良いでしょう。
- 専門書
- 研究論文
- 雑誌
- 新聞
- テレビ
- インターネット
- 人
など、情報源はいくらでもあります。
情報の信ぴょう性や質に差がありますので、どの時にどこから情報収集するかを決めておくと、時間短縮にもなります。
そして、心に残ったこと、自分にはない価値観、仕事上必要と感じる内容などをストックしておきます。
いつでも情報を引き出せるように、ネタ帳のようなものを作ったり、本や雑誌をスクラップしたりして残すことで、いつでも見直すことができます。
判断の自分軸を持つ
自分の判断基準を持つことも大切です。
人でも物事でも、このケースではここに注目をして判断をするという、自分なりのポイントを決めておきます。
自分軸を作るには、自分の考え方や行動のパターンを知ることが大切です。と同時に、多くの人と接する、多くの本を読む、多くの情報に触れることが必要です。
自分軸を持っていると、人や情報に惑わされなくなります。
これからは多様性の時代
2020年は新しい常識が次々と提案されています。これは生活全般だけではなくビジネスにおいても同じことが言えます。
さらに多様性の時代に突入するであろう時代を生きていくには、広い知識の上に専門性を積み上げることが必要になります。
見かけではない真の価値を見出し、個人レベルでも企業レベルでも対応できる柔軟性を手に入れるために、リベラルアーツを身につけていきましょう。