「新入社員研修のカリキュラムを見直したい」「質の高い新入社員研修カリキュラムを作りたい」などの悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
新入社員研修カリキュラムの質は、適切なステップを踏むことで高められます。そこでこの記事では、新入社員研修カリキュラムに盛り込みたい内容やカリキュラムの作り方、作成時の注意点などを紹介します。
社内の新入社員研修カリキュラム作成に苦労している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
カリキュラム作成前に押さえておきたい新入社員研修の目的
新入社員研修のおもな目的は以下の三つです。
- 社会人としての意識を身につけるため
- ビジネスマナー定着のため
- 会社の理解を深めてもらうため
カリキュラム作成においても重要なので、一つずつみていきましょう。
社会人としての意識を身につけるため
新入社員研修には、社会人としての意識を身につけてもらうという目的があります。とくに新卒の場合は、早い段階で学生から社会人になる上での心構えを身につけるようにするのが重要です。
研修の初期段階に社会人としての自覚やマナーを意識づけしておきましょう。
ビジネスマナー定着のため
挨拶や服装、言葉遣いなど、社会人として守るべきマナーの定着を促すことも、新入社員研修の目的です。
ビジネスマナーの意識が低いと、お客様やお取引先とのトラブルを招き、業務に支障をきたします。
会社の損害につながる可能性もあるため、新入社員研修時にマナー定着を徹底することが重要です。
会社の理解を深めてもらうため
自社の理念や文化、独自ルールなどを理解してもらうことも、新入社員研修の目的に入ります。自社の理解が深まるほど、事業へ注力も期待できるためです。
たとえば、入社後にしか共有できない機密事項や独自の企業文化など、帰属意識を深めるための情報を共有します。
実務に入ってからの心理的な負担軽減にもつながるため、積極的に情報共有するのがおすすめです。
新入社員研修カリキュラムを作成するメリット
新入社員研修カリキュラムを作成する主なメリットは以下の三つです。
- 新入社員の教育方針を明確化できる
- 必要なスキルを網羅的に教えられる
- 研修の効果の振り返りがしやすくなる
新入社員研修を円滑に進めるためには、カリキュラムを作成することが大切です。作成のメリットを一つずつ解説します。
新入社員の教育方針を明確化できる
カリキュラムを作成するメリットの一つは、新入社員の教育方針の明確化です。カリキュラムがあれば、どの部署でも共通の教育方針を持てるため、社員教育の質を一定水準に保てます。
また、社員の教育方針における迷いや教育方針の違いによる行き違いなども減らせます。
ただし、それぞれの社員によって成長度合いも異なるため、個人や部署に合わせてカリキュラムの柔軟な変更が欠かせません。
必要なスキルを網羅的に教えられる
カリキュラムで内容を明確化することで、必要なスキルを漏れなく教えられます。
カリキュラムを作成していない場合、研修時にミスを起こす可能性があります。指導者によって伝える内容に差が生じるリスクも軽視できません。
一方カリキュラムを作成しておけば、ミスを確実に防ぎ、複数の新入社員に対して効率的に教育を施せます。たとえば、お客様対応や電話応対なども、同一の内容を関係者全員に漏れなく共有できます。
研修の効果の振り返りがしやすくなる
事前にカリキュラムを作成することで、研修後に新入社員の到達度を踏まえた振り返りができます。カリキュラムが振り返りにおける一つの指標となるためです。
たとえば、多くの社員がつまずいたところだけカリキュラムを改善するなど、振り返りと改善のサイクルを回すことです。研修の効果を最大化する上でも、カリキュラムの活用は欠かせません。
新入社員研修カリキュラムに盛り込みたい内容
新入社員研修カリキュラムに盛り込みたい内容の例は、以下の6つです。
- 職場・業務の基本情報
- 一般的なビジネスマナー
- 事務作業で必要なPCスキル
- コミュニケーションスキル
- 業務別の専門的スキル・知識
- キャリア論
それぞれの特徴を理解して、カリキュラム作成に役立ててください。
職場・業務の基本情報
職場や業務の基本情報を記載し、業界や職場、業務における基本的な知識を共有します。
具体的には自社の商品やサービスの種類、社内ルールなどが該当します。社内独自の連絡ルールや社内システムの使い方など、自社ならではの業務の進め方は新入社員研修に含んでおくと良いでしょう。
一般的なビジネスマナー
カリキュラムには社会人として一般的なビジネスマナーも盛り込みましょう。
とくに新卒が相手の場合は、ビジネスマナーを取り扱うのは重要です。ビジネスマナーは学生時代普通に過ごしていただけでは、なかなか身につきません。
社会人としての意識を身につけるためにも、身だしなみや電話対応、メールの送り方などを基本的なところから研修内容に含めましょう。
事務作業で必要なPCスキル
事務作業で必要となる基本的なPCスキルについても扱いましょう。
最低限のPCスキルとして、WordやExcel、PowerPointといったOAソフトは一通り扱えるような研修内容にすると良いでしょう。
また、Googleドキュメントやスプレッドシートといったブラウザ上で動くソフトを扱う場合もあります。自社で扱うソフトにあわせて、基本的な操作方法は押さえられるようにしてください。
コミュニケーションスキル
ソフトスキル定着を狙って、コミュニケーションスキルの内容も盛り込みましょう。適切なコミュニケーションは業務のやり直しやトラブルを防ぎ、製品やサービスの品質向上にも欠かせない要素です。
社外の人間はもちろんのこと、社内においてもコミュニケーションをスムーズにこなせるほど生産性が高まります。
業務別の専門的スキル・知識
部署や配属先によっては、業務に必要となる専門的なスキルやノウハウ共有が求められます。とくにエンジニアや経理といった専門職であれば、新入社員研修時点で、専門的な内容を扱う必要があるでしょう。
配属先に応じて、ビジネスマナーといったベーシックな内容とのバランスを考えてカリキュラムを作成する必要があります。
キャリア論
新入社員研修の段階で、入社後のキャリアを考えるうえで役立つ思考方法や業界知識もカリキュラムに盛り込むと、モチベーションアップにつながります。入社時点で自身の将来像を想像することで、日々の業務の意義を見出しやすくなるからです。
一般的なキャリア論だけでなく、先輩社員の事例などを挙げることで社内でのキャリアパスはどのようなものがあるかイメージしやすくなるでしょう。
キャリア論は入社直後に必ずしも実施する必要はありません。しかし新入社員の段階で一度考える機会を与えておくことで、日々の業務への意識が変わるでしょう。
新入社員研修カリキュラムの教育手法例
新入社員研修カリキュラムの教育手法の例は以下のとおりです。
- OJT
- OFF-JT
- ロールプレイング
- ケーススタディ
- グループワーク
- ディスカッション
- レクリエーション
それぞれの教育手法の特徴をここではご紹介します。
OJT
OJT(On-the-Job Training)とは、社内の実務を通じてさまざまなスキルを習得させる方法です。OJTでは一般的なマナーから専門性の高い業務知識に至るまで、実務に必要な内容を幅広く学びます。
マニュアルや座学などではなかなか身につかない、業務に活きるスキルを習得しやすいのが最大のメリットです。一方で体系的な教育が難しく、現場に負担がかかりやすいといったデメリットもあります。
OFF-JT
OFF-JT(Off-the-Job Training)とは、OJTとは逆に通常業務とは別の時間・場所で実施する手法のことです。
たとえば、社外でビジネスマナーやITスキルのイベントやセミナーに参加するといった研修が該当します。
社外の専門家の知見を体系的に学べるうえ、教育担当者の指導力による定着率のばらつきもありません。ただし、コストが一定かかるうえ、受け取る側の意識次第では、実践に結びつかない可能性もあります。
ロールプレイング
ロールプレイングとは、研修の参加者それぞれに営業役やお客さま役といった担当を割り当て、擬似的に業務体験させる方法です。
商品・サービスの「提供側」と「お客様側」の両視点を体験できる点にメリットがあります。
まだ業務に慣れていないOJTが難しそうな新入社員に、実践的な研修を実施するのに役立つ手法です。
ケーススタディ
ケーススタディは、業務中に起こりうるトラブルや課題に対してどのように取り組むか考えさせる方法です。参加者同士で課題の解決方法を考えさせたり、ディスカッションさせたりする中で、実務能力を磨く意図があります。
グループワーク
グループワークとは、少人数のグループで特定の課題に取り組む中で、実践的な力を養う方法です。業務の全体像を理解させ、チームの中で自分がどのように動くべきか主体的に考えさせる意図があります。
ディスカッション
ディスカッションでは、参加者同士であるテーマに沿って話し合い、意見交換を通じて特定の結論に導いていきます。コミュニケーションスキル向上が主たる目的であり、討論形式で意見を戦わせる「ディベート」とは趣旨が異なる点に注意が必要です。
レクリエーション
レクリエーションとは、アイスブレイクや簡単なゲームに取り組みながら、参加者間で関係性を構築していく方法を指します。
業務をスムーズに進めていく上では、良好な人間関係の構築が不可欠です。人間関係を構築するスキルを身につけてもらうと同時に、これから働く仲間と人間関係を築くきっかけができます。
まだ職場に慣れていない新入社員の緊張をほぐすためにも、盛り込むと良いでしょう。
新入社員研修カリキュラム作り方の4ステップ
新入社員研修カリキュラムの作り方は、以下の4ステップで進めましょう。
- 社内の意識調査
- 最終目標の設定
- 新入社員研修期間の設定
- カリキュラム内容の決定
各工程で押さえたいポイントを、それぞれ解説します。
1.社内の意識調査
各部署のチームリーダーや現場スタッフに、新入社員がどの程度の知識レベルを持っておくのが好ましいかを調査しましょう。
業務の前提となるスキルや優先的に伝えるべき知識などを、あらかじめ把握しておくことが重要なためです。現場が新入社員に求めているレベル感を把握したうえで、現実的に落とし込めそうな目標を次のステップで決定します。
2.最終目標の設定
研修が終了する段階でどの程度まで社員のスキルを伸ばしておきたいのかを定めます。研修後の到達目標は、次のような観点を考慮しながら設定するのが重要になるためです。
- 現場が求めるレベル感に合っているかどうか
- 新入社員が現実的に落とし込めそうな内容かどうか
- 会社全体の事業計画に沿うものかどうか
自社にとって社員のレベルをどこまでスキルを高めておきたいのか、明確にする段階ともいえます。
3.新入社員研修期間の設定
最終目標が定まったあとは、目標到達に必要な期間を踏まえて現実的な研修期間を設定します。
入社後数カ月間だけの日々の実務のレクチャーという短期的な目線だけだと、身にならない可能性があります。人材育成という中長期的な目線を持つことが大切です。
4.カリキュラム内容の決定
最後のステップとして、教育手法や研修期間などを踏まえて、カリキュラムを決定します。「新入社員にとって過不足ない情報量になっているか」を判断基準としてカリキュラムを構成することが重要です。
無理なくスキルが身につく研修になるよう最終調整する意識が欠かせません。
新入社員研修カリキュラムを作る上でのポイント
ここでは、効果的な新入社員研修カリキュラムを作るポイントを4つ解説します。
- スケジュールに余裕をもつ
- 新入社員がスムーズに理解できるかを意識する
- インプットとアウトプットの比重を考える
- 研修会社に依頼するのも一つの手
スケジュールに余裕をもつ
研修カリキュラムは、時間に余裕を持って作成しましょう。ある程度スケジュールに余裕を持って作成を進めることで、カリキュラムの精度が高まるためです。
作成にかかる時間の目安として、1カ月〜1カ月半程度の時間がかかることを想定してスケジュールを組んでおくと安心です。
新入社員がスムーズに理解できるかを意識する
新入社員がつまずくことなく理解できるように、分かりやすいカリキュラム構成を意識することが重要です。
カリキュラム作成側は業務についての知識も豊富であり、つい新入社員にはわかりづらい内容になってしまいがちです。また、カリキュラムにはあれこれ内容を詰め込みがちですが、状況に応じて必要な内容かどうか取捨選択が求められます。
カリキュラム作成後に現場の若手社員などからフィードバックをもらい、理解しやすい内容かどうか確認しましょう。
インプットとアウトプットの比重を考える
新入社員研修では、インプットだけでなく、アウトプットの場も同じくらい設けることを意識しましょう。新入社員研修の内容は新しく伝える内容が多く、インプットに偏りがちです。
一方的な詰め込みの研修になってしまうと、消化不良を起こして実践の場に活きません。
たとえばアイスブレイクの要素も含んだゲーム形式のアウトプットの時間を設けてみましょう。参加者の集中力も続きやすくなるうえ、学んだ内容が定着しているかを確認できます。
研修会社に依頼するのも一つの手
新入社員研修のカリキュラム作りには、外注を利用する方法もあります。
新入社員研修カリキュラム作りは時間がかかるうえ、効果の検証も長期スパンで見る必要があるため、改善のサイクルが回しづらいです。一方で研修を専門に実施している研修会社であれば、複数社に常に研修を提供しているため、ノウハウの蓄積スピードが圧倒的に早いです。
社内のリソースを抑えながら効率よくカリキュラムを作れるうえ、他社の例も踏まえて自社に適したプログラムを素早く提案してもらえるので、活用を検討してみるのも良いでしょう。
キーセッションでは、新入社員研修を含む各種研修プログラムを提供しています。貴社の業務内容や企業文化に沿った最適な研修プログラムの提案が可能です。既存の研修プログラムの改善を検討している経営者さまや人事担当者さまは、ぜひ一度ご相談ください。
新入社員研修のカリキュラムの作り方まとめ
新入社員研修は、会社の将来を担う人材の育成に欠かせない研修です。新入社員に求めるレベル感を把握しながら、無理のない範囲で質の高い新入社員研修カリキュラムを作りましょう。インプットとアウトプットのバランスを考慮すれば、研修も成功に近づいていきます。
ただし自社で研修カリキュラムを作るのが難しい場合は、研修プログラムを提供している企業へ相談しましょう。キーセッションでは各企業様の業務内容と予算感に合った新入社員研修プログラムを提案しています。これから新入社員教育の予定があれば、遠慮なくご相談ください。