VMDとは?ディスプレイとの違いや成功事例をわかりやすく解説
戦略的な配置を通じて売上を増加

「VMDとは、わかりやすく説明すると何を意味する?」「効果的なVMDを実現するポイントが知りたい」

このような疑問を抱えている店舗責任者や販促担当者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、VMDの概要や基本要素、成果につながるVMDのポイントについて解説していきます。VMDの成功事例もあわせて紹介するので、VMDの習得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • VMDの概要やディスプレイとの違い
  • VMDを構成する3つの基本要素
  • 成果を挙げるVMDのポイント

高い専門性を要するVMDは、研修を利用してプロから直接学ぶのが効率的です。

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【この記事の監修者】
株式会社NATURE代表取締役社長 キムラサオリ

元アスリート、男性XL着用⇒自分を変えるためアパレル業界へ⇒1200枚の服を所有するもおしゃれに慣れず自信を無くす⇒整理収納、骨格、カラー資格取得⇒'15年TBSあさチャン出演⇒全国、世界から問い合わせ⇒'19年㈱NATURE設立/年間300案件/お客様満足度98%/口コミ紹介80%/依頼が絶えないスタイリスト。

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VMDとは?

VMD(Visual Merchandising)とは、わかりやすく説明すると、店舗などの見た目を整えることで購買へと結びつけるマーケティング手法です。

具体的には、店舗のレイアウトやディスプレイに視覚的な工夫を加えることで、消費者が商品やサービスに惹きつけられるよう導き、売上アップを目指します。

VMDが優れているのは、単に表面的な金銭上の利益増加にとどまらない点です。

VMDによる展示を通してブランドのイメージやストーリーを伝えることで、消費者との関係性をさらに深められます。快適で印象的な店舗体験を顧客に提供すれば、滞在時間が延び、根強いファンも獲得できるため、ブランド強化を図れるでしょう。

VMDが最も活用されているのはアパレル業界です。しかし、スーパーマーケットや書店、インテリアショップ、家電量販店など、さまざまなジャンルの店舗で幅広く取り入れられています。

さらに、VMDは実店舗だけでなく、ECサイトなどのバーチャル店舗にも活用されます。オンライン・オフラインを問わずオムニチャネルに適応できるので、時代に則したマーチャンダイジングが可能です。

なお、Visual MerchandisingがVMDと略されるのは日本での話です。英語圏ではVMと略されるのが一般的なため、海外との取引がある方は注意しましょう。

VMDとディスプレイの違い

VMDとディスプレイは、それぞれ指しているものや目的が異なります。

VMDは、商品やサービスを効果的に展示・配置する技術やアプローチ、概念などを指します。また、ときにVMDの担当者を指すこともあるようです。

VMDの主な目的は、戦略的な配置により購買意欲を刺激し、商品の販売を促進することですが、ブランドイメージの強化を図る狙いもあります。

一方ディスプレイは、商品・情報を視覚的に提示するツールや方法を指す、広義の概念です。その用途は多岐にわたり、情報伝達・装飾配置・特定空間のアクセントなど、さまざまなケースで使われます。

つまり、VMDは視覚的に商品の魅力を引き出すことで購買促進を図りますが、ディスプレイはより汎用性の高い視覚的な提示を意味します。

それぞれの概要は、以下の表の通りです。

項目 VMD (Visual Merchandising) ディスプレイ (General Display)
定義 商品やサービスを効果的に展示・配置する技術やアプローチ 情報や商品を視覚的に提示するツールや方法
特徴
  • 購買意欲を刺激するための戦略的な配置
  • ブランドイメージの強化
  • 情報の提示や装飾のための配置
  • 多目的
使用目的
  • 商品の販売促進
  • ブランドイメージの形成
  • 情報伝達
  • 装飾
  • 特定空間のアクセント

VMDを取り入れている業界

VMDを取り入れている業界は、主に以下の通りです。

  • アパレル業界
  • インテリアショップ
  • 家電量販店
  • 化粧品店
  • 書店・文房具店
  • カーディーラー
  • 飲食業界
  • スーパーマーケット

たとえば家電量販店では、製品の機能や最新技術などの魅力をわかりやすく伝えて購入に結びつけるために、VMDを活用しています。また、書店や文房具店では、新刊や人気商品を目に付く場所に配置し、ときに季節やイベントに合わせたテーマディスプレイを行うこともあるようです。

飲食業界では、メニューや新商品のプロモーションにVMDの原則が活用されることが多いです。

このようにVMDは、顧客とのエンゲージメントを強化する不可欠なツールとして、アパレル以外の業界でも幅広く取り入れられています

VMDの3つの基本

VMDの基本要素は、以下の3つです。

  • VP(ビジュアル・プレゼンテーション)
  • IP(アイテム・プレゼンテーション)
  • PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)

それぞれ詳しく説明していきます。

VP(ビジュアル・プレゼンテーション)

VP(ビジュアル・プレゼンテーション)とは、ひと言でいうと顧客の目を引く手法です。具体的には、店舗やブランドイメージを、特定のコンセプトやテーマに沿って視覚的に表現することを指します。

VPは、ブランド独自の世界観を打ち出すことで顧客の目を引きつけ、店内へと誘導する重要な役割をもちます。そのため、店舗の入口やショーウィンドウ、メインステージなど、外部からでも目立つ場所に利用されるのが一般的です。

VPの例としては、スポーツ用品店の入口に設置された巨大なぬいぐるみが該当します。大きなクマのぬいぐるみがサッカーのユニフォームを着ていることで、人目を惹きつつ、店舗の特徴を端的に示しているのです。

また、スーパーマーケットの野菜売り場にディスプレイされた農園のような飾り付けも、VPの一例です。

IP(アイテム・プレゼンテーション)

IP(アイテム・プレゼンテーション)とは、顧客が実際に商品を手に取るよう誘導する陳列手法です。一定の規則性をもたせて商品を分類・整理のうえ配置すれば、商品が選びやすくなり、購入にも結び付きやすいです。

ジャンル・サイズ・カラー・季節感・用途などで商品をまとめれば、売り場が見やすくなり、商品を魅力的に見せる効果も見込めます。

IPは、棚やハンガーラックなどの什器を利用し、売り場内の広い面積に適用されるのが一般的です。

PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)

PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)とは端的にいえば、顧客に立ち止まってもらうための手法です。IPの中から特定の商品を選び出してデコレーションすることで、顧客の注意を引く役割をもちます。

PPは、各コーナーの顔となる商品を、ラックエンドや壁面上部などの目立つ場所に設置するのが一般的です。アパレルの場合には、マネキンを使ったコーディネートの形で展示をすることも多々あります。

顧客はPPからPPへと移動しやすいため、望む動線を加味しながらPPを設置すると効果的です。

効果的なVMDを実現するポイント

効果的なVMDを実現するためには、以下の3つがポイントです。

  • コンセプトを明確にする
  • 消費者の視点から考える
  • ディスプレイの基本構成を意識する

具体的に解説していきます。

コンセプトを明確にする

VMDの効果を高めるには、コンセプトを明確にするのが大切です。

ブランドイメージや取扱商品を意識したブレの無いテーマをVMDで体現すれば、集客したいターゲット層を効果的に呼び寄せられます。顧客のミスマッチを防ぐことで、売上アップを目指せるのも利点です。

ブランディングにより他店との差別化を図ることで、商品を魅力的に見せたり、ファンを獲得したりする効果も期待できます。

あれもこれもと詰め込みすぎると乱雑になるので、ブランドカラーや店舗の指針にもとづき、統一のとれたコンセプトでまとめるのがおすすめです。

消費者の視点から考える

消費者の視点に立って考えるのも、VMDの効果を高める重要なポイントです。

顧客目線を意識せずに商品を陳列すると、意図せず商品が見にくい、手に取りにくい、買いにくい展示になる恐れがあります。これでは顧客の離脱につながりかねません

消費者は、店内を回遊しながら商品をチェックしていく傾向があるため、動線の確保も重要です。

また、ターゲット層を意識したレイアウトも有用です。

たとえば、子どもや高齢者層をターゲットにする店舗では、高い場所に商品を置かないレイアウトの方が顧客の利便性が高まります。コロナ禍以降は、衛生面を気にする人も増加傾向にあるため、空間的な余裕のある陳列が好まれる場合もあります。

自分が顧客になったつもりで想像を巡らせ、VMDの手法を活用すれば、失敗が少ないでしょう。

ディスプレイの基本構成を意識する

装飾のフォルムに焦点を当てた「ディスプレイの基本構成」を意識することも、VMDの効果を高めます。

ディスプレイの基本構成は、以下の4つです。

呼称 概要 効果
トライアングル サイズ差・高低差がある商品は、正面から見たときに三角形になるよう、背の高い商品を真ん中に据えて陳列する 乱雑になりがちな商品群にまとまりが生まれ、安定感・審美性・視認性が高まる
リピート 規則性をもたせたパターンの陳列を繰り返す リズム感や連動性が生まれ、特定の商品を強調できる
シンメトリー 左右対称に陳列する 安定感と同時に緊張感が生まれ、落ち着きのあるフォーマルなイメージを演出できる
アシンメトリー 左右非対称に陳列する 左右の強弱により斬新さが生まれ、力強さやカジュアル感が演出できる

これらの基本構成を使い分けたり、組み合わせたりすることで、顧客の視線を集め、感情を動かす効果が見込めます。販売商品や客層、季節要因などを考慮したうえで、適切な基本構成を選択するよう意識するのが賢明です。

アパレル・小売業におけるVMDの成功事例

アパレルや小売業におけるVMDの成功事例を以下の2つ解説します。

  • niko and ...(ニコアンド)の事例
  • アパレル販売店舗の事例

実際にVMDを導入することで、どんな効果があったのか事例をもとにチェックしてみましょう。

niko and ...(ニコアンド)の事例

小売業におけるVMDの成功事例として、「niko and ...(ニコアンド)」を紹介します。

niko and ...は、25~35歳の男女をメインターゲットに据えた、アパレルやインテリア雑貨を取り扱うブランドです。

人やものの気持ちに寄り添う同社では、顧客の気持ちを想像すると同時に、商品の製作者にまで思いを馳せつつ店舗づくりを行うそうです。架空のストーリーを想像しながら各店舗のコンセプトを練りあげ展示を行うことで、ブランドのもつ世界観をうまく体現させています。

開業当初は、VMD担当者自ら店内の施工や什器づくりに奔走していたこだわりぶりです。

VMDを通じたブランディングに成功したことで、niko and ...は急成長をとげました。

2007年に福岡で1号店をオープンしたのを皮切りに、現在では国内に141店舗(※1)を展開しています。海外にも28店舗(※2)を構える人気ブランドとして、広く支持を得ています。

この事例から、VMDを有効活用することで根強いファンを獲得し、企業の成長にもつながることがわかるのではないでしょうか。

※1:2023年2月末時点の情報
※2:2022年12月時点での情報

アパレル販売店舗の事例

アパレル販売店舗で、VMDを導入して売上を伸ばした事例です。

VMDに注力することで、他店舗と比べてファッショングッズの売上を約1.7倍に伸ばすことに成功しました。

アパレル商品の販売数を落とさず、ファッショングッズの売上を伸ばすことで、全体の売上拡大につながっています。

中でも一部アイテムは、他店舗の週販売数が平均30点のところ、週販売数120点と4倍近くの販売数を達成しています

商品購入の意思決定に視覚的要素の比重が強いアパレル販売だからこそ、VMDの効果が売上に直結した事例といえるでしょう。

なお、この成功事例はキーセッションでVMD研修を担当するキムラサオリのものです。

キーセッションでは、この事例でお伝えしたようなVMDのノウハウを伝える研修を実施しています。

キムラサオリの提供するVMD研修や講師プロフィールが気になる方は、ぜひ以下の講師ページからご確認ください。

【VMD研修講師】
株式会社NATURE代表取締役社長 キムラサオリ

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VMDを習得するならVMD研修がおすすめ

VMDを習得するのであれば、VMDのプロから学べるVMD研修がおすすめです。研修を通してスキルを効率的に学べるため、必要な知識が無理無く身につきやすいメリットがあります。

しかし、専門性の高いVMDスキルは、ただ研修を実施するだけでは十分な効果が得られません。十分な実績のある講師の選別が重要です。

キーセッションでは、貴社の要望を取り入れながら、質の高い講師が実施するVMD研修をご案内可能です。相談は無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

VMD研修のカリキュラム内容や担当講師については、以下のページで詳しく紹介しています。

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最速購買に繋げるVMD研修応用編。店舗の特徴と強みを活かし、VMD課題の抽出から行動動線を作成。内容にはVMD企画の振り返り、売る棚の作り方、接客方法など。対象は全スタッフ、VMD担当者、数値管理者。

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セルフ購入UP&接客アシストのPOP/VMD研修

売り場作りにおけるお客様への第一印象は極めて重要です。近年、商品の単純な並べ方や物的価値だけでなく、購入後の「買ってよかった!」という感情を呼び起こす情緒的価値の時代が到来しています。VMDやPOPはその感情を伝え、引き寄せるためのツールとして注目されています。VMDとの連携を取り入れた接客は、顧客満足度を上げリピート購入に繋げる重要な要素となっています。「セルフ購入UP&接客アシストのPOP/VMD研修」は、これらのテクニックや戦略を学ぶためのプログラムです。

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VMDとは、商品の視覚的なプレゼンテーションにより、顧客の購買意欲やブランド認知に好影響をもたらす手法です。売上アップはもとより、ブランドのストーリーやメッセージを効果的に消費者に伝えることで、根強いファンの獲得も期待できます。

VMDは、アパレル業界をはじめ、スーパーマーケットや書店など幅広い業界で有効活用できます。各業界でキャリアを築きたい方や、現在のキャリアに付加価値をもたせたいと考える方は、習得することで大きなメリットが享受可能です。

高度な専門性を要するVMDは、研修を通して身につけるのが効率的です。キーセッションでは、高い実績をもつ講師によるVMD研修をご紹介可能なので、研修の実施を検討している方は、ぜひお問い合わせください。

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