体験型研修

研修を企画・担当する人事部や管理職の皆様の中には、
「座学中心の研修では効果が薄い」
「参加者が受け身で研修に集中してくれない」
といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

近年、こうした課題を解決し、社員の成長や組織の活性化を促す手法として「体験型研修」が注目を集めています。

本記事では、幅広い業界の人事・総務ご担当者様や管理職・経営層・リーダーの方向けに、体験型研修の概要やメリット、導入のポイント、注意すべき課題などを解説します。貴社の人材育成戦略に体験型研修を取り入れるヒントとしてぜひご覧ください。

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体験型研修とは?

体験型研修とは、講義や座学中心の従来型研修とは異なり、参加者が自身で体を動かしたり頭を使ったりしながら能動的に学ぶ研修スタイルです。

いわゆる「アクティブラーニング」や「体験学習」の考え方に基づいており、単に知識をインプットするだけでなく、実践を通じてスキルや知見を身につけることを重視します。

例えば、架空のビジネスシナリオで意思決定を行うシミュレーション研修、山間部での野外活動を通じたチームビルディング研修、ロールプレイで営業や接客対応を練習する研修など、参加者が「体験」を通じて学ぶ様々なプログラムが含まれます。参加者はその場で試行錯誤し、時には失敗や成功を経験することで、より深い学びと気づきを得ることができるのです。

従来の講義形式の研修では、講師の話を受動的に聞くだけになりがちです。そのため、一度に多くの知識を伝えられる反面、内容が頭に残りにくいという課題がありました。しかし体験型研修では、参加者自身が課題に取り組み、体験しながら学ぶことで理解が深まり、学習内容が記憶に定着しやすくなります。

実際、アメリカ国立訓練研究所(NTL)の調査によれば、講義形式の学習では平均わずか5%程度しか知識が定着しないのに対し、自ら体験する学習では約75%もの高い定着率が得られると報告されています。これは学習方法を変えるだけで知識の定着率が大きく向上することを示唆しています。

体験型研修のメリット

次に、体験型研修を導入することで期待できる主なメリットについて見ていきましょう。社員や組織にもたらす効果を理解すれば、研修手法として体験型を採用する意義がより明確になるはずです。

知識・スキルの定着率向上

前述のように、体験を通じた学習は知識の定着率を高めます。参加者は机上の理論だけでなく、自ら行動した経験と結びつけて理解するため、研修で得た知識やスキルが長期にわたり記憶に残りやすくなります。また、体験後に振り返り(レビュー)やディスカッションの時間を設けることで、気づきを言語化し整理できます。このプロセスにより理解が一層深まり、現場で実践しやすい形で知識が腹落ちするでしょう。

チームワーク・コミュニケーションの強化

体験型研修の多くはグループで協力して課題に取り組む形式が採用されます。その過程で自然と参加者同士のコミュニケーションが増え、協力して目標を達成する体験を共有することで、チームワークが醸成されます。

普段接点の少ない他部署のメンバーや異なる役職の社員同士が同じ研修に参加することで、新たな交流が生まれ組織横断的な連帯感も高まります。 例えば、野外で協力して障害物を乗り越えるアウトドア研修や、複数チームで競い合うビジネスゲーム研修では、お互いの役割分担や助け合いが不可欠です。こうした体験を通じて、メンバーは互いの強み・弱みを理解し補完し合う関係を築くことができます。その結果、研修後の職場でも円滑なコミュニケーションや協働が促進されるでしょう。

問題解決力・判断力の向上

体験型研修では、参加者は未知の状況や想定外のトラブルに直面し、自ら考えて乗り越える経験を積みます。限られた時間やリソースの中で最善策を模索することで、論理的思考力や意思決定力、問題解決スキルが鍛えられます。

例えば、経営シミュレーションゲームの研修では、市場変化や競合の動きに対応しながら経営判断を下す疑似体験を行います。参加者は情報収集・分析から戦略立案、実行までを仮想体験し、失敗すればなぜ上手くいかなかったかを振り返ります。このように安全な研修環境下でトライ&エラーを重ねることで、実際の業務でも柔軟かつ的確に対処する力が養われます。

モチベーションと主体性の向上

座学中心の研修では受け身になりがちだった参加者も、体験型研修では自ら主体的に取り組む機会が多いため、学習に対する興味や意欲が高まりやすくなります。ゲーム性のある研修であれば競争心や達成感が刺激となり、課題を乗り越える中で自己効力感(やればできるという感覚)も高まります。

また、自分の行動や判断が研修内の成果につながる実感を得られることで、「もっと学び成長したい」という前向きな姿勢が醸成されます。こうした高いモチベーションは研修終了後の現場業務にも波及し、積極的な行動変革やチャレンジ精神の向上といった効果が期待できます。

新たな視点・創造性の喚起

日常業務から一歩離れたシチュエーションでの体験は、固定観念にとらわれない新鮮な視点を参加者に与えてくれます。普段とは異なる役割を演じたり、全く別業種のモデルケースを体験したりすることで、物事を多角的に捉える力が養われ、発想力や創造性が刺激されます。 例えば、異業種のビジネスモデルを疑似体験する研修では、自社の業務を見つめ直すヒントが得られるかもしれません。

あるいは、サバイバル研修のように極限状態を経験するプログラムでは、メンバーがお互いの潜在的なリーダーシップや協調性に気づく機会となります。このように、体験型研修は日頃気づけない新たな長所や改善点を発見する場にもなり得るのです。

体験型研修の種類と主なプログラム例

一口に体験型研修といっても、その内容や形式は多岐にわたります。自社の研修目的に合わせて最適なプログラムを選択することが重要です。以下に、代表的な体験型研修の種類とその概要をいくつか紹介します。

アウトドア研修
山登りやキャンプ、サバイバルゲームなど自然環境で行う研修です。非日常の環境で協力し合うことで、チームワークやリーダーシップが育まれます。困難な状況を乗り越える達成感が自信につながり、健康増進やストレス発散の効果も期待できます。

自然の中で学ぶ - 自然体験型研修でチーム力を向上させる

亀山温泉リトリートで自然体験型研修:風倒木整備や焚き火体験などのアクティビティを通して、チームビルディング・コミュニケーション強化・健康意識向上を目指す。

ビジネスゲーム研修
経営シミュレーション、マーケティングゲーム、財務ボードゲーム等、ビジネスの仕組みを模したゲーム形式の研修です。楽しみながら経営視点や課題解決力を養えるため、管理職研修から新入社員研修まで幅広く活用されています。

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ロールプレイ研修
営業商談やクレーム対応、面接官役と応募者役など、役割を設定して実演する研修です。現場で起こりうる場面を再現し、適切な対応方法を体験的に学びます。上司や講師からフィードバックをもらうことで実践力を磨けます。

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創作・ものづくり体験研修
実際に何かを作り上げるプロセスを通じて学ぶ研修です。例えば、チームで簡単な製品を企画・制作するワークショップや、料理教室形式の研修などがあります。企画力やプロセス管理、チーム内での役割分担と協働の重要性を学べます。
インプロ研修
即興劇(インプロビゼーション)の手法を用いた研修です。与えられたお題に対し咄嗟に演じることで、創造力や瞬発力、傾聴力を鍛えます。失敗を恐れず挑戦する風土づくりや、プレゼンテーション力向上にもつながります。
オンライン体験型研修
ZoomなどのWeb会議ツール上で行う体験型研修です。遠隔地の参加者同士で協力し、オンライン脱出ゲームやバーチャル謎解きゲームなどに挑戦します。地理的制約なく実施できるため、コロナ禍以降に導入する企業も増えています。

この他にも、工場での現場体験実習や、異文化体験を通じたダイバーシティ研修、新規事業立案のハッカソン型研修など、目的に応じて様々なプログラムが考案されています。自社の課題や育成したい能力に照らして、最適な手法を選びましょう。

体験型研修導入のポイント

では、いざ自社で体験型研修を導入する際、どのような点に留意すれば効果的に実施できるでしょうか。ここでは、研修を成功させるための企画・運営上のポイントを解説します。

研修の目的・期待効果を明確にする

まず最初に、研修の目的を明確に定めましょう。何のために体験型研修を行うのか、参加者にどんな成長や成果を期待するのかをはっきりさせることが重要です。例えば「新人社員のチームワーク醸成」なのか「管理職の意思決定力向上」なのかによって、適切なプログラム内容や進め方も異なってきます。目的が明確であれば、研修後に得られる効果を評価しやすくなり、社内での説明や参加者の納得感も高まるでしょう。

自社の課題に合ったプログラム選定

目的に沿って、研修プログラムの選定を行います。世の中には数多くの体験型研修プランがありますが、大切なのは自社の課題や業種・職種にマッチした内容を選ぶことです。例えば、製造業であればモノづくり体験を取り入れた研修が有効かもしれませんし、IT企業であればチームで問題解決するビジネスゲームが適しているかもしれません。また、既存の研修プログラムをそのまま導入するだけでなく、自社の実例や商品の要素を織り交ぜてカスタマイズすると、より実践的で効果的な研修になります。

経営層の理解と現場巻き込み

体験型研修を成功させるには、経営層や管理職の理解・協力が欠かせません。研修の狙いや重要性を事前にしっかり共有し、上層部から後押しを得ることで、研修実施への社内調整がスムーズになります。また、参加者の直属の上司が研修前後にフォローを行ったり、自ら研修に一部参加して一緒に学ぶ姿勢を見せたりすると、部下も安心して研修に臨みやすくなります。「現場と研修の学びを橋渡しする」意味でも、上司層の巻き込みは重要なポイントです。

有能なファシリテーターの起用

体験型研修では、研修を進行し参加者から学びを引き出すファシリテーターの役割が極めて重要です。どんなに優れた内容の研修でも、進行役の力量次第で成果が大きく変わります。社内に研修ファシリテーターの適任者がいない場合は、外部の研修会社や専門の講師に依頼することも検討しましょう。その際、事前に自社の業界動向や社風、参加者の特性を共有しておくと、研修内容を実情に合わせてアレンジしてもらいやすくなります。

参加者が主体的に取り組める工夫

せっかく体験型のプログラムを用意しても、参加者が積極的に取り組まなければ効果は半減してしまいます。参加者の主体性を引き出す工夫として、事前に研修の趣旨や期待する役割を伝えモチベーションを高める、グループ分けを異なる部署や年代が混ざるように工夫する、適度な競争要素を盛り込む、といった仕掛けが有効です。また、安全に失敗できる場であることを強調し、リラックスして臨める雰囲気づくりも大切です。

成果の振り返りと現場への定着

研修が終わったらそれでおしまいではなく、成果を振り返り職場での実践につなげる仕組みを用意しましょう。研修直後に参加者同士で学んだことや感じたことを共有し合い、仕事にどう活かすかを話し合う場を設けると効果的です。さらに、研修後一定期間が経過した時点で上司がフォロー面談を行い、研修で得た知識・スキルを現場で活用できているか確認・支援することが望ましいでしょう。

このように振り返りと実践支援を行うことで、研修の一過性を防ぎ、組織への定着度を高めることができます。

体験型研修導入時の課題と対策

体験型研修には多くのメリットがありますが、導入にあたって注意すべき課題も存在します。ここでは、よく挙がる懸念点とその対処法について整理します。

コストや時間の確保
アウトドア研修や外部講師を招く研修では、座学に比べ費用や準備時間がかさむ傾向があります。この点は研修の目的や効果を社内に説明し、必要な予算・日程を確保する工夫が必要です。また、一度に長期間実施が難しければ、半日〜1日程度の短いプログラムから始めてみる、オンライン研修で移動コストを抑えるなど段階的な導入も検討しましょう。
伝えられる知識量の限界
体験型研修は参加者の能動性を引き出す反面、一度の研修で網羅的に知識を教えることには向きません。詰め込みすぎを避け、研修で習得させたいポイントを絞り込むことが大切です。細かな知識のインプットは事前学習資料やeラーニングで補完し、研修本番では体験を通じた理解深化にフォーカスするなど、組み合わせて効果を最大化しましょう。
ファシリテーターのスキル差
進行役のファシリテーションスキルが研修効果を左右します。もし社内に経験豊富な人材がいない場合は、外部の専門サービスの活用を検討してください。体験型研修を提供する企業やコンサルタントと連携し、自社のニーズに合ったプログラム設計や運営サポートを受けることで、質の高い研修実施が可能となります。
参加者の抵抗感
普段の業務とは異なるゲームや演習に最初は戸惑う社員もいるかもしれません。特にベテラン層ほど研修手法の変化に抵抗を示すケースもあります。対策として、事前に研修の趣旨やメリットを丁寧に説明し、不安を取り除くことが重要です。「遊びではなく真剣な学びの場」であることを強調し、過去に導入した企業の例や成果データなどを共有すると理解が得られやすくなります。
効果測定の難しさ
定性的な変化が多い体験型研修は、効果測定が難しいという指摘もあります。研修後のアンケートによる満足度評価だけでなく、数ヶ月後に具体的な行動変容が見られたか、業績指標に好影響が出たかなど、定量・定性双方で評価する仕組みを設けましょう。研修前にKPI(例えば離職率低下や営業成績向上など)を設定しておき、定期的に追跡することで投資対効果を検証できます。

上記のような課題にあらかじめ目配りし対策を講じておけば、体験型研修の導入・運用は決して難しくありません。

特に小規模企業の場合は、社内リソースが限られる分、外部の研修プログラムを活用したり、地域の他企業と合同で研修を実施したりといった工夫も有効です。自社の規模や状況に合わせて柔軟に対応しましょう。

体験型研修の導入事例

実際に国内企業でも、体験型研修を取り入れて成果を上げている事例が増えています。その一部をご紹介します。

伊藤忠商事株式会社「農園合宿研修」

大手総合商社の伊藤忠商事では、新入社員研修に農業体験を取り入れた「農園合宿研修」を実施しています。

新入社員約100名を8グループに分け、滋賀県の農園や牧場での農作業や地域清掃活動に挑む合宿型研修です。土を耕し作物を育てるといった一次産業の現場を体験することで、生産者の思いに触れ、商社マンとして製品を扱う責任感や使命感を学ぶ狙いがあります。また、厳しい作業をチームで乗り越えることで、同期社員同士の強い絆とコミュニケーションが培われる効果もあります。

TDK株式会社「ものづくり研修」

電子部品メーカー大手のTDKでは、新入社員研修の一環として「竹とんぼ作り」を題材にしたものづくり体験研修を行っています。

3人1組のチームで竹とんぼの企画・制作から販売戦略立案、仮想通貨を用いた販売コンテストまでを一連の流れで体験します。製品開発から市場への売り込みまで疑似的に経験することで、メーカーの一員としての視点やTDKの企業文化(TDKマインド)を楽しみながら体得することが目的です。単なる工作に留まらず、企画書作成や発表、表彰まで盛り込むことで、仕事に必要なプロセスとチームワークを総合的に学べる工夫がされています。

これらは一例ですが、他にも様々な企業が自社ならではの創意工夫を凝らした体験型研修を導入しています。自社の理念や事業特性に合わせて研修テーマを設定すれば、社員にとってより意義深い体験となり、大きな効果を生むでしょう。

まとめ 体験型研修の導入で組織の成長を加速させよう

体験型研修は、従来型研修では得られない貴重な学びと効果をもたらす研修手法です。社員自らが体験し考えることで知識定着率が飛躍的に向上し、チームワークや問題解決力、モチベーション向上など多面的な成果が期待できます。実施にあたってはいくつか留意点もありますが、ポイントを押さえて進めれば、企業規模や業界を問わず導入可能です。 グローバルな競争が激化し変化の激しいビジネス環境において、社員一人ひとりの成長と組織力の強化は欠かせません。体験型研修を人材育成戦略に取り入れることは、そうした課題に対応する有効な投資と言えるでしょう。

まだ体験型研修を導入していない企業も、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。 研修の企画や適切なプログラム選びに不安がある場合は、研修会社や導入支援サービスの活用も選択肢の一つです。専門家の知見を借りながら、自社に最適な体験型研修を設計・実施することで、人材育成の新たな一歩を踏み出しましょう。

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