日本の女性管理職比率は、2024年に初めて10%を超え、2025年は11.1%(帝国データバンク調査)となりました。一方で、政府目標「2025年までに30%」には遠く及ばず、国際的に見ても依然として低い水準にとどまっています。
こうした状況を受け、2025年6月には女性活躍推進法が改正され、2026年4月から常時雇用101人以上の企業に女性管理職比率と男女間賃金格差の公表が義務化されます。企業には、女性管理職の登用に向けた具体的な取り組みが求められています。
この記事では、女性管理職の最新データ、増えない理由、企業・本人にとってのメリット、そして女性管理職を増やすための実践的な方法を解説します。
この記事でわかること
- 日本の女性管理職比率の最新データと国際比較
- 2026年4月施行の女性活躍推進法改正のポイント
- 女性管理職が増えない構造的な理由
- 女性管理職を増やすことの企業・本人のメリット
- 企業が取り組むべき具体的な推進策
女性管理職とは — 日本の現状と最新データ

女性管理職とは、企業や組織において課長・部長・役員など意思決定権を持つポジションに就く女性のことを指します。日本では女性管理職の登用が国際的にも遅れており、政府・企業ともに重要な経営課題として取り組みが進められています。
日本の女性管理職比率は11.1%
帝国データバンクの「女性登用に対する企業の意識調査(2025年)」によると、日本企業の女性管理職比率は平均11.1%で、調査開始以降の過去最高を更新しました。2024年に初めて10%を超え、緩やかな上昇傾向にあります。
厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査」では、課長相当職以上の女性比率は13.1%と報告されています。役職が上がるほど女性比率は低下する傾向があり、以下のような格差が見られます。
| 役職 | 女性比率 |
|---|---|
| 係長相当職 | 23.5% |
| 課長相当職 | 13.2% |
| 部長相当職 | 8.3% |
参考:厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」
政府目標「2025年30%」は未達成
政府は2003年に「2020年までに女性管理職比率30%」という目標を掲げ、その後「2025年30%」へと先送りされました。しかし2025年時点でも目標達成には遠く及ばず、企業の取り組みの加速が求められています。
上場企業の女性役員比率は18.4%
経団連の「上場企業役員ジェンダー・バランス調査(2025年版)」によると、東証プライム上場企業の女性役員比率は18.4%まで上昇しました。東京証券取引所は、2030年までに女性役員比率30%以上を目指すことを上場企業に求めています。
2026年4月施行 — 女性活躍推進法改正のポイント
2025年6月、女性活躍推進法の改正法が公布されました。2026年4月1日から、常時雇用101人以上の企業に対して、女性管理職比率と男女間賃金格差の公表が義務化されます。
これまで公表義務の対象は常時雇用301人以上の企業でしたが、改正により対象が大きく拡大されます。中小企業も含めた幅広い企業で、女性活躍に関する情報開示の対応が必要になります。
公表が義務化される主な項目
- 女性管理職比率(課長相当職以上)
- 男女間賃金格差
- その他、女性活躍に関する情報
企業に求められる対応
義務化に向けて、企業は以下のような準備を進める必要があります。
- 自社の女性管理職比率と男女間賃金格差の現状把握
- 公表方法(自社サイト・厚労省データベースなど)の決定
- 女性管理職の登用計画の策定
- 管理職候補となる女性社員の育成
公表義務の対象拡大は、単なる情報開示にとどまらず、企業のブランドイメージや採用活動、投資家からの評価にも影響します。早期の取り組みが、企業の競争力強化につながります。
女性管理職が増えない理由
日本で女性管理職が増えない背景には、複数の構造的な要因があります。
ロールモデルが不足している
女性管理職そのものが少ないため、後進の女性社員にとって目指すべきキャリアパスが見えにくい状況にあります。「自分の会社で女性が管理職として活躍している姿」を見ることができない環境では、昇進への意欲や具体的なキャリアイメージが持ちにくくなります。
これは「ロールモデルの欠如」と呼ばれ、女性管理職が少ないからさらに増えないという悪循環を生み出しています。
企業の制度や働き方が女性のキャリアを阻害している
管理職への昇進には、長時間労働や頻繁な出張が求められる企業がいまだに多く、家庭との両立が困難になりがちです。育児休業からの復職後にキャリアが停滞するケースもあり、女性が管理職を目指すうえでの障壁となっています。
経営層の意識・コミットメントが不足している
経営層が女性登用の重要性を本気で認識していなければ、組織全体の取り組みは進みません。経営層自身の多様性が乏しい組織では、女性のリーダーシップや潜在力を見過ごしてしまう傾向があります。
社会に根強い男女の役割意識
「男性が仕事、女性が家庭」という伝統的な性別役割分業の意識が、いまだに企業文化や家庭内の慣習に根強く残っています。出産・育児によるキャリア中断が「当然」とされる風潮が、女性管理職への道を遠ざける要因となっています。
女性管理職を増やすメリット
女性管理職を増やすことは、企業に多くのメリットをもたらします。主なメリットを4つに整理して紹介します。
多様な視点による意思決定の質向上
女性管理職が加わることで、男性中心の意思決定プロセスに多様な視点が加わります。顧客層や市場ニーズが多様化する現代において、組織の意思決定の幅広さは競争力に直結します。創造性やイノベーションの促進にもつながります。
女性社員のロールモデルとなりキャリア意欲が高まる
身近に女性管理職がいることで、他の女性社員にとって「自分も目指せる」という具体的なキャリアイメージが生まれます。心理的な障壁が下がり、管理職を志望する女性社員が増えていく好循環が生まれます。
定着率が向上し優秀な人材を確保できる
女性管理職が増える企業では、ワークライフバランスや柔軟な働き方への配慮が進みやすく、従業員満足度が高まる傾向があります。結果として定着率が向上し、長期的な人材育成が可能になります。また、多様性を重視する企業文化は、優秀な人材の獲得にも有利に働きます。
ESG評価・企業ブランドの向上
女性管理職比率は、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の重要な評価指標の一つです。女性管理職比率の向上は、投資家・顧客・求職者からの企業評価を高め、ブランドイメージの向上にもつながります。2026年4月の公表義務化以降は、この観点がさらに重要性を増していきます。
女性が管理職になることのメリット
女性自身にとっても、管理職になることには様々なメリットがあります。
年収・経済的自立の向上
管理職に昇進することで、責任の増加に伴い年収が上昇します。経済的な自立度が高まり、長期的なキャリアの安定性にもつながります。
スキルアップと自己成長
リーダーシップ・問題解決・戦略的思考など、管理職としての経験を通じて多様なスキルを磨くことができます。新しい挑戦の機会が増えることで、自己成長を実感しやすくなります。
キャリアの選択肢が広がる
管理職経験は転職市場での強みになります。異なる業界や企業へのキャリアチェンジ、より良い条件への移籍など、選択肢が広がります。
ワークライフバランスの自由度向上
管理職になると業務の裁量が大きくなり、自身の時間配分をコントロールしやすくなります。フレックスタイムや在宅勤務など、柔軟な働き方を選択できる場面が増えるケースもあります。
女性管理職を増やすために企業が取り組むべきこと
女性管理職を増やすには、制度面・文化面の両方からアプローチが必要です。2026年4月の公表義務化を見据えて、計画的に取り組みましょう。
仕事と家庭の両立を支援する制度の整備
リモートワーク・フレックスタイム・短時間勤務など、柔軟な働き方を可能にする制度の導入が効果的です。育児休業から復職後のキャリア継続を支援するプログラムも整備しましょう。重要なのは、制度を作るだけでなく、男女問わず実際に利用しやすい職場文化を醸成することです。
公平な人事評価制度の構築
性別による無意識のバイアスを排除し、能力と実績に基づいた評価を行う仕組みづくりが重要です。目標管理制度(MBO)の導入や、評価者へのアンコンシャス・バイアス研修なども効果的です。
女性管理職候補の計画的な育成
管理職候補となる女性社員に対して、リーダーシップ研修やメンタリングプログラムを提供します。階層別の育成計画(パイプライン)を作成し、計画的にキャリア形成を支援することで、管理職候補を着実に育てていきます。
ロールモデルの可視化と発信
すでに活躍している女性管理職のキャリアやワークスタイルを社内で発信することで、後進の女性社員に具体的なイメージを与えます。社内報・キャリアセミナー・1on1などを活用しましょう。
経営層のコミットメントを明確化する
女性管理職比率の数値目標を経営計画に組み込み、経営層自らが取り組みを発信することが、組織全体の意識変革を促します。トップのコミットメントなしに、女性活躍は進みません。
管理職に向いている女性の特徴
管理職として成果を出している女性には、いくつかの共通する特徴があります。
感情に左右されず冷静に判断できる
困難な状況やプレッシャーのかかる場面でも、感情を抑えて合理的な判断を下せることは、管理職に欠かせない資質です。
メンバーを信頼し、適切にサポートできる
チームメンバーの能力を信じ、必要なときに的確なサポートを提供できる姿勢は、メンバーからの信頼と尊敬を得るうえで重要です。優れたコミュニケーション能力と共感力が、この特性を支えます。
細やかな気配りができる
チーム内の人間関係や雰囲気に気を配り、職場環境を良好に保つ力があります。メンバーの変化に気づき、早期にフォローできる点は、組織のパフォーマンス維持に貢献します。
向上心がありチームを牽引できる
自己成長への意欲が高く、新しい挑戦に積極的に取り組む姿勢は、チーム全体の成長を促進します。学び続ける管理職の姿は、メンバーにとって最良のロールモデルとなります。
女性リーダー育成研修の活用
女性管理職を増やすには、候補となる女性社員に対するリーダーシップ研修の実施が効果的です。女性特有のキャリア課題(ライフイベントとの両立、自信の育成、ロールモデル不足)に対応した研修プログラムを通じて、管理職としての実践力を高めることができます。
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