「グローバル人材育成研修の実施方法がわからない」「グローバル人材育成研修の他社の事例を知りたい」などとお悩みの担当者の方もいらっしゃいますよね。
この記事では、グローバル人材育成研修の実施事例やおすすめ講座などを紹介します。
グローバル人材の育成方法に迷っている方や、将来的に自社のグローバル展開を考えている企業担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- グローバル人材育成研修の目的
- グローバル人材育成研修の実施事例
- グローバル人材育成研修を実施する上でおすすめの講座
グローバル人材育成研修では海外での職務経験や国際感覚をもつ講師が必要不可欠です。キーセッションでは研修コンシェルジュが企業様に合ったグローバル人材育成研修をご提案しています。ご相談は無料です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
グローバル人材育成研修とは
グローバル人材育成研修とは、国際的に活躍できる人材を育成するための研修プログラムです。社員の主体性や異文化理解の向上を実現するために必要な研修に位置付けられています。
たとえば、以下の内容はグローバル人材育成研修で取り扱われることの多いテーマです。
- 外国人顧客への応対方法
- 外国人スタッフのマネジメント
- 海外企業との交渉スキル
グローバル人材とは
文部科学省の資料「グローバル人材の育成について」におけるグローバル人材の定義は、以下の3点に要約されます。
- 語学・コミュニケーションスキルに長けている
- 文化とルールが異なる環境でも柔軟に対応できる
- 異文化理解と日本人としてのアイデンティティをもつ
語学・コミュニケーションスキルに長けている
グローバル人材には第一に、語学や異文化コミュニケーションのスキルが求められます。海外の取引先や多国籍の同僚とともに働き、成果を上げる必要があるためです。
多くの場合、多国籍チームでの共通語となりうる英語でのコミュニケーション能力が求められます。非英語圏に赴任する場合には、現地で話されている言語でのコミュニケーション能力も必要です。
文化とルールが異なる環境でも柔軟に対応できる
第二に、文化とルールが異なる環境でも柔軟に対応できる能力が求められます。グローバルな業務では、自分にとっての常識が通用しないことも多いためです。
たとえば、外国人スタッフと日本人スタッフとが同じ職場で働く場合、働き方に関する常識が異なることも多いものです。そのためマネジメント層では、価値観の違いを理解しながらチーム内の連携を取っていくスキルなどが求められます。
グローバル人材には語学力そのものに加え、文化やルールの違いを理解しながら実務をこなす能力が求められるのです。
異文化理解と日本人としてのアイデンティティをもつ
異文化への理解を示すと同時に、日本人としてのアイデンティティをもつこともグローバル人材に欠かせません。自らのアイデンティティを理解することは、他者のアイデンティティを分析することにつながっているためです。
たとえば日本人としての特徴を把握することで、海外取引先とのコミュニケーションを円滑に進められます。
グローバル人材育成研修の目的
グローバル人材育成研修の目的は大きく分けると以下の4点です。
- 経済のグローバル化に適応する経済がグローバル化している
- 国内のグローバル人材を充足させる
- 海外から人材を受け入れられる体制を作る
- 社員の海外勤務しやすい状況を作る
経済のグローバル化に適応する
グローバル人材研修の第一の目的は、物流や人流のグローバル化に適応することです。世界全体において、国境を超えたビジネスが一般化してきているためです。
グローバル化の時代に国内のみの経済活動にとどまることは、企業利益の観点から得策とは言えません。国力や経済力を維持するためにも視野を広げ、世界各国から優秀な人材を集めることが重視されています。
国内のグローバル人材を充足させること
第二の目的は、国内のグローバル人材を充足させることです。国内で必要とされるグローバル人材が不足しているためです。たとえばインバウンド顧客(訪日外国人)に適切に対応できる人材などは、いまだ不足傾向にあります。
グローバル人材育成研修を通じて、国際感覚をもって対応できる人材を増やしていくことが求められています。
海外から人材を受け入れられる体制を作る
第三の目的は、海外からも人材を受け入れられる体制を作ることです。少子高齢化によって国内の生産労働人口が減少傾向にあるためです。
労働力を維持するために、海外からの人材を受け入れるための体制作りが急務となりつつあります。長期的な視野をもってグローバル人材を育成することで、海外から人材を入れてもうまく稼働できる体制の整備が重要です。
海外勤務しやすい状況を作る
第四の目的は、社員が海外勤務しやすい状況を作ることです。国内企業では一般的に、海外勤務に精神的負担を感じる社員が多いためです。精神的負担を感じる原因の一つとして、グローバル環境に慣れていないことが挙げられます。
グローバル人材育成研修によって精神的なハードルを下げておけば、海外勤務を推進しやすくなります。自社の生産性を維持するためにも、研修を通じて社員が海外勤務に挑戦しやすい状況を作ることが重要です。
グローバル人材育成において日本企業が抱えている課題
ここでは、グローバル人材育成において多くの企業が抱える3つの課題について解説します。
- グローバル人材育成に直結しない研修がある
- 海外の最新トレンドに対応できていない
- 自社の現状に最適な研修を取り入れられていない
グローバル人材育成に直結しない研修がある
1つめの課題は、グローバル人材育成に直結しない研修が多いことです。先述の「グローバル人材の定義」への理解が進んでいないことが背景にあると考えられます。
たとえば語学研修や短期の留学制度などを導入している企業は数多く存在します。しかし、実戦で活躍するグローバル人材育成にはいたっていないケースが多いようです。
先述のように、語学力そのものに加え、異文化を理解しながら実務を遂行する能力を養うことが重要です。
海外の最新トレンドに適応できていない
2つめの課題は、新しい時代の世界的なトレンドに適応できていないことです。すべての企業に当てはまる訳ではない一方、日本の高度経済成長期のビジネスモデルを踏襲している企業も多いためです。
たとえば年功序列や終身雇用制度などは高度経済成長期より続く日本独自の風習と考えられています。また、日本のジェンダー・ギャップ指数は先進国の中で最低水準にあるといわれています。
参照:Sustainable Japan|【国際】世界「男女平等ランキング2022」、日本は116位で史上ワースト3。G7ダントツ最下位
こういった世界水準と国内水準の間の「ズレ」は、国内企業がグローバル展開を進める際に足枷となる可能性があります。世界水準の働き方やビジネスモデルなどを学び、場合によっては自社に取り入れる柔軟性が求められているのです。
自社の現状に最適な研修を取り入れられていない
3つめの課題は、自社の現状に最適な研修を取り入れられていないことです。グローバル人材を育成する上で自社がどの立ち位置にいるのかを把握できていないためです。
その結果、効果の薄い研修が慣習的に実施されているケースも多いものです。研修を成功させるためには、他社の実施事例を知り自社の立ち位置を把握することが重要です。
グローバル人材育成研修のカリキュラム例
グローバル人材育成研修のカリキュラム例を紹介します。
ステップ | 内容 |
---|---|
前提知識 | ・近年求められるダイバーシティ経営とは ・グローバル経営で日本企業が抱える課題 ・グローバルマインドを育てる重要性 |
多様性を受け入れる | ・真の異文化理解とは何か ・誰もがもつ「アンコンシャス・バイアス=無意識の偏見」とは ・発言や行動だけで相手を判断しない |
グローバルコミュニケーションとは | ・グローバル組織で重要な「ローコンテクスト=暗黙の了解に頼らない」コミュニケーションとは ・外国人社員との信頼関係の作り方 ・グローバルなチーム運営に必要なスキル 1)トリプルシンキング 2)コーチング 3)フィードバック |
カリキュラム作成時のポイントは3点あります。
- グローバルマインドを育てる
- 異文化理解を通じてビジネスを展開する
- グローバルコミュニケーションを理解する
グローバルマインドを育てる
1つめのポイントは、スキルを学ぶ前の準備として、グローバルマインドを育てることです。多国籍の人材と協力して業務をこなすためには、異文化間で人間関係を築くための意識改革が必要であるためです。
具体的には、上記の表の「前提知識」に相当する内容を盛り込みます。
異文化理解を通じてビジネスを展開する
2つめのポイントは、異文化理解を通じてビジネスを展開する手法を学ぶことです。グローバル事業においては現地の言語のみならず、歴史や価値観なども理解しながら進める必要があります。
具体的には、上記の表の「多様性を受け入れる」に相当する内容を盛り込こむのが重要です。
グローバルコミュニケーションを理解する
3つめのポイントは、グローバルコミュニケーションのスキルを身につけることです。グローバル事業においては、自分の主張を的確に価値観の異なる相手へ届ける必要があります。
主張を論理的に伝える言語力はもちろん、ボディランゲージなどの非言語なども駆使する総合力が不可欠です。具体的には、上記の表の「グローバルコミュニケーションとは」に相当する内容を盛り込みます。
グローバル人材育成研修のラインナップ
ここではグローバル人材育成研修の実例を2つ紹介します。研修ラインナップを検討する際の参考例にしましょう。
赴任先で速やかに力を発揮しパフォーマンスを最大化できる海外赴任前研修|株式会社J-グローバル
株式会社J-グローバルのグローバル研修は海外と日本との双方向の視点から「グローバル」を捉えている点が大きな特徴です。
赴任先で速やかに力を発揮しパフォーマンスを最大化できる海外赴任前研修には、以下の特徴があります。
- マインドセットを学んでからスキル習得をおこなう
- ファシリテーションを重視し、参加者の「気づき」を重要視している
- 受講生の語学力に関係なく、2カ国語でのプレゼンテーションを実施する
- 企業別に個別のカスタマイズをおこない、学習効率を高められる
また、対面でのライブラーニングのほかに、オンラインでのデジタルラーニングにも対応しています。
これらの研修プログラムにより、知識の習得だけではなく行動・態度・コミュニケーションの変化を促します。
研修を提供している株式会社J-グローバルは、日本のチーム型重視のビジネススタイルと海外の効率重視型のスタイルとを組み合わせたスタイルの理念をもつ研修会社です。
ファシリテーションを活用して、受講者のスキルを効率的に引き出す力に長けており、スピードの早さとコストの安さに定評があります。代表者の日本でのビジネス経験に基づいて、チームの成長・成功のバックアップを重視している研修会社です。
グローバルな組織でチームのパフォーマンスを最大化するマネジメント研修
グローバルな組織で、チームのパフォーマンスを最大化するために欠かせないスキルを学びます。異なる文化を持つチームメンバーと、協力して仕事を進めるために不可欠な力を身につけることができます。
グローバル・コミュニケーションで重視される論理的思考および論理的表現力を強化する異文化コミュニケーション研修 | 株式会社ノビテク
株式会社ノビテクの研修の特徴は、グローバル・コミュニケーションで重視される論理的思考や論理的表現力を重視する点です。以下3点を研修のゴールに据えています。
- グローバルリーダーに求められる資質、能力に対する理解を深め自己研鑽を促進する。
- グローバル・コミュニケーションで重視される論理的思考および論理的表現力を強化する。
- グローバルリーダーは異文化をもつ人をまとめ、牽引しなければならない。異なる価値観、異なる見解の人との合意形成の方法を理解する。
研修は下記5科目で構成されています。
◆1.オリエンテーション
講義:研修目的、目標の共有、研修のねらいと進め方
講義:グローバルリーダーとは、グローバルリーダーに求められる資質&能力
ワーク:自社の価値観の整理
◆2.ロジカル・コミュニケーション
講義:論理的な考え方、話し方を強化する
ワーク:論理的、合理的なコミュニケーションの練習「マネジメント・コンセンサス・トレーニング」
◆3.ロジカル・コミュニケーションの振返りとマネジメントの基本講義
ワーク:コンセンサス・トレーニングの振返り
講義:マネジメントの基本
◆4.異文化コミュニケーション・トレーニング
講義:異文化の実情と価値観が異なる人を説得する
ワーク:行動変容を促す説得、メッセージの伝え方トレーニング
◆5.まとめ
講義&ワーク:まとめ、グローバルリーダーへの期待とそのための準備
講義によって基本知識をつけた上で実務への応用へと導くトレーニングの機会が用意されています。受講者の自信につながる研修内容は「眠くならない」「記憶に残る」と好評です。
グローバル・コミュニケーションでの論理的思考および論理的表現力を強化する - 異文化コミュニケーション研修
異なる価値観、異なる見解の人々とのグローバル・コミュニケーションで重視される論理的思考および論理的表現力を強化します。
グローバル人材育成研修を実施する際のポイント
グローバル人材育成研修を実施する際のポイントは以下の4つです。
- 候補者の選定
- 綿密な育成計画と継続的なフォロー
- 渡航先・業種・業界などに応じたカスタマイズ
- 実践的な研修
それぞれのポイントを理解して、うまくグローバル人材研修を実施しましょう。
候補者の選定
グローバル人材育成のための最初のポイントは、候補となる人材を選定することです。グローバル人材となり得るためには、異文化理解への柔軟性・積極性・リーダーシップなどが求められます。
より具体的には、以下の資質を満たす社員を候補に入れるのがおすすめです。
- 国内の業務にて成果をあげている
- マネジメント力がある
- ものごとに柔軟かつ前向きに挑戦できる
- 本人がグローバルの事業に前向きである
綿密な育成計画と継続的なフォロー
グローバル人材育成には、綿密な育成計画と継続的なフォローも不可欠です。半日〜1日単位の単発研修でマインドセットや異文化理解、スキルなどを習得してもらうのは難しいためです。
グローバル人材育成は、長期的な視野で実施する必要があります。海外赴任やグローバル事業の実務の事前・事後にも的確なフォローをおこなうことが重要です。
グローバル人材が育つにつれて、社内にノウハウが蓄積されます。積み重なったノウハウは、後継となるグローバル人材育成にも役立ちます。
渡航先・業種・業界などに応じたカスタマイズ
グローバル展開を進める地域や業種、業界などに応じて研修内容をカスタマイズすることが重要です。「グローバル人材」といっても、具体的に求められる動きはそれぞれの企業によって異なるためです。
具体的には、異文化理解やマネジメントスキルなどの土台を構築した後に、個別にスキルアップを図っていく必要があります。
実践的な研修
実践的な研修を実施することも重要なポイントです。実践的な内容は受講者の記憶に残りやすいためです。
たとえばロールプレイやケーススタディなど、グローバル事業で起こりうる状況を体験できるプログラムがあげられます。予期せぬ状況が起こったときに、スムーズな対応を取りやすくなるように、実践的な研修も織り交ぜましょう。
グローバル人材育成研修についてよくある質問
最後に、グローバル人材育成研修について寄せられることの多い以下の質問について解説します。
- グローバル人材育成研修はどのタイミングで実施すべき?
- グローバル人材育成研修の価格はどのくらい?
- 海外の現地でも研修プログラムをセッティングすることは可能?
- Q. グローバル人材育成研修はどのタイミングで実施すべき?
適切な実施タイミングは一概には決まっていません。実務の目的やグローバル事業の内容によっても異なるためです。
早期からグローバル人材研修を開始して、段階的に社員の能力を高めていくことは効果的です。一方「海外赴任者研修」のような研修に関しては、研修時期を考慮して実施する必要があります。海外での実務が確定する前におこなっても研修者のモチベーションが高まりにくいためです。
異文化理解や語学力などは早期から習得し、個別の業務スキルについては渡航直前に実施するなど、柔軟な設計が重要です。
- Q. グローバル人材育成研修の価格はどのくらい?
グローバル人材研修の価格は、プログラムごとに異なるため個別に問い合わせが必要です。
一般的な傾向としては、短期の研修プログラムやオンライン研修については比較的低価格で展開されています。グローバル人材育成研修に限ったことではありませんが、個別研修よりも大人数向けの公開研修の方が低価格です。
段階に応じて一般研修と個別研修を併用したりするなど、状況に合わせて研修プログラムを調整することも可能です。研修会社に予算を伝えてプランの提案をしてもらうとイメージが掴みやすくなります。
- Q. 海外の現地でも研修プログラムをセッティングすることは可能?
海外への講師派遣を実施している研修会社もあります。また、オンライン受講が可能な研修プログラムであれば、場所に関係なく受講が可能です。
海外の渡航先、マネジメントがうまくいかずに研修の必要性を感じる場面は多いものです。また、渡航してから異文化の受け入れ方に戸惑う状況もしばしば起こります。
渡航先で急に必要性を感じられた場合にも研修を受講するチャンスは十分にあります。対応可能な研修会社をお探ししますので、ぜひキーセッションにご相談ください。
- Q. グローバル人材育成研修の効果を高める方法はある?
研修受講後の実務やマネジメントの状況を確認することが重要です。研修時に習得できなかったスキルがあったとしてもフォローアップできるためです。
たとえば、習得できなかった項目に焦点を当てたフォロー研修やサポートを実施するといった方法に効果が期待できます。