接遇とは
接遇という言葉を聞いたことがあっても、どのようなことを指すのか曖昧という方が多いのではないでしょうか。接遇は、業務上でお客様に対するサービスのことで、接客マナーや言動、空間作りなど広範囲に渡ります。
接客と混同してしまいがちですが、ただ接するのではなく、お客様が快適に過ごせるように、心地良さを感じてもらえるようにというところまで考え行動するのが接遇です。
接遇研修を受けるメリット
接遇研修が人気の理由には、接遇を身につけることで3つの大きなメリットがあるからです。競合が増え、様々な業態で自由度が高まってる今だからこそ、お客様に選んでもらえる企業を目指すために、これらのメリットを最大限に生かすことが大切です。
おもてなしの心が学べる
接遇はおもてなしです。おもてなしという言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような言動がおもてなしになるのか、理解し切れていない人もいるのではないでしょうか。
正しい知識を持って行動をしなければ、自己満足で終わってしまうかもしれません。サービスという言葉だけでは終わらせない、ワンランク上の作法や振る舞い、気遣いを学ぶ、これが接遇研修を受けるメリットです。
顧客満足度が上がる
接遇が身につくと、立ち居振る舞いがスマートになり、お客様へのサービスの質も上がります。お客様の気持ちを先回りして、どうしたら居心地が良いと思ってもらえるか、どうしたら喜んでいただけるかという視点で行動ができるようになります。
そのおもてなしの思いは必ずお客様に伝わり、ファンを増やします。現存の顧客の満足度を上げることは、新しい顧客を生む結果につながります。
今は情報が簡単に手に入る時代です。消費者の目もどんどん肥えてきてます。そのような中でいかに安全で安心のサービスを提供しているかがポイントになりますので、接遇を身につけ、お客様にアピールをしたいものですね。
従業員満足度が上がる
接遇を学ぶと、お客様だけではなく、社員がお互いに気持ち良く仕事をすることにも意識を向けるようになります。社員間の人間関係が良くなり、会社全体の雰囲気が良いと、働いていても心地よいですよね。
さらに、お客様に選んでもらえる企業となった時、業績も伸びますし、個人の努力も報われます。
顧客満足度が上がるとクレームや接客トラブルも減りますので、社員のストレスや負担が減るのもうれしい効果です。
接遇研修で取得できること

接遇研修ではどのようなカリキュラムがあり、どのようなスキルが得られるのでしょうか。
個人が本を読んでも学ぶことも可能なのかもしれませんが、研修でしか得られない情報や知識が多数あります。幅の広い接遇の範囲ですが、特にどのようなことが学べるのかまとめてみました。
接客スキル
直接お客様と接するときのマナーやスキルを学ぶことができます。敬語の使い方や印象の良い話し方はもちろんですが、笑顔の練習をすることもあります。笑顔は接客の基本です。作りすぎず自然な笑顔になるように鏡を見たり、写真を撮ったりして確認します。
ワークやロールプレイングを通して、与えらえた課題をクリアすべく、接客の仕方を考えるなどの、即実践できる内容が盛り込まれています。
さりげない言動でお客様の心を穏やかにする、そんなスキルが身につきます。どのような業種でも、直接お客様と接する機会がある人は、受けて損はありません。
ビジネスマナー
ビジネスで必要な知識やマナーも学ぶことができます。身だしなみ、名刺交換の仕方や挨拶、お辞儀についてなどの基本動作から、電話やメールの基礎知識もマスターできます。
日常生活でおこなっているマナーがビジネスシーンでも通用するとは限りません。仕事ならではのマナーも多々ありますので、改めて知るきっかけになります。
研修によっては新聞の読み方や、情報の整理の仕方など、情報過多な時代背景を加味した内容をおこなっている企業もあります。
コミュニケーションスキル
働く上で避けて通れないのが、人間関係です。コミュニケーションが苦手で、人間関係を築くのが苦手という声をよく聞きませんか?人間関係に対してどのような特徴を持っているのか、どのような話し方、聞き方の癖があるのかなど、自分を分析する内容もありますので、自分を振り返る機会にもなります。
傾聴や質問の仕方など、会話術も身につきますので、コミュニケーションが苦手な人ほど受けてみると新たな能力を開花させることができるかもしれませんね。
特にコミュニケーションでは話題を広げるためにも『訊く力』が必要です。質問力とも言いますが、どんな訊き方をしたら、相手は心地良く答えてくれるか、思いを引き出せるかということも学べます。
マネジメント能力
安心安全、心地良さを与える対応は、自分の心の状態が整っていないとできないですよね。落ち着いた状態で仕事に臨むには、業務の整理や管理の方法、自分自身の仕事の仕方、心身のケアの方法を理解し、確立している必要があります。
マネジメント力は管理職だけのスキルではなく、社会人であれば誰にでも必要な能力です。社員全員がマネジメント能力を伸ばすことで、組織全体の仕事の仕方やスピード感が良くなります。
また、マネジメント力が高くなると、問題の早期発見と解決力もアップしていきます。課題を見つけ出し、対処することは顧客満足度にもつながりますので、ぜひ取得したい能力です。
クレーム対応力
どんなに人気の企業でも、必ず一定数のクレームやお客様からの要望はあるものです。誰がどのタイミングで対応するかわかりませんので、社員全員で対応方法を習得する必要があります。クレーム対応が上手くいかないと、自分のせいだと責めてしまったり、心が折れてしまい仕事が続けられなくなってしまいます。
せっかくの優秀な人材を手放す結果にならないような、クレームからファンになってもらえるような、正しいクレーム対応を知るきっかけになります。
失敗しない接遇研修の要点

研修を開催したけれど、実践されない、期待した効果が得られないという結果は避けたいですよね。
せっかく受けてもらう研修ですから、すぐにでも活用して良い方向に進めるように、研修の企画段階で気をつけるポイントがあります。
ここを押さえておくと、失敗は少なくなりますので必ずチェックしてくださいね。
専門性の高い講師を選ぶ
研修をおこなう時に困るのは講師選びです。社内の人材を使うこともあるかもしれませんが、外部委託の場合は講師に対してある程度要望を伝えることができます。
研修で得たい結果を明確にし伝えることで、その分野に精通した講師を派遣してもらいやすくなります。
講師の中には、得意な業界がある人も多くいます。
医療系が得意な講師、営業系が得意な講師、販売系が得意な講師など、自分の業界を得意としている講師を見つけるとさらに深く具体的な内容の研修がおこなえます。
内容を絞り込む
接遇はどの業界にも必要なスキルですが、業界により習得したい内容に差があります。飲食業界なのにビジネスマナーを中心に研修をおこなっても、活用されにくいですよね。自分の業界にあった内容を考え開催するようにしましょう。
接遇の範囲はかなり広いですから、いっぺんにすべてを学ぼうとするのは難しいかもしれません。
できれば数回にわけて、内容を絞り込むほうがお勧めです。せっかく学んでもどこから何を実践してよいかわからないとなったら、もったいないですよね。社員の負担防止にも内容は絞ることを意識してください。
実践につながりやすい内容
理論を聞いただけで実践できる人もいるかもしれませんが、体験して覚える人もいます。講義形式の内容だけではなく、個人ワークやグループワーク、ロールプレイング、事例検討など、様々な方向から考えられる内容ですと、受講者全員がわかりやすく実践につながりやすくなります。
研修が絵に描いた餅にならないように、いかに実践につなげるかが課題となります。
接遇リーダーの養成が可能
接遇はすぐに身につくものではありません。時間をかけてゆっくと浸透するものです。社員全員の接遇スキルを上げるためには、現場での実践に勝るものはありません。それは研修では得られにくいものですから、社内で指導をする役目が必要になります。
社員全員が研修を受けると同時に、指導役となる接遇リーダーの養成もおこなうことが大切です。
リーダー育成の内容も入っている研修ですとより良いものになります。最終的に得たことを活用するのは社員の力にかかっています。
継続しやすさ
何度も繰り返しになりますが、接遇の範囲は広くすぐに身につくものではありません。そのため、継続して学び続ける必要があります。長時間の研修を年に1回や数年に1回おこなっても、効果は薄くなる可能性が高くなります。
1回の時間が短くても、内容がひとつひとつだとしても、継続できる方法で開催するのがお勧めです。
出来ればひと通りの内容が終わるまでは、同じ講師にお願いをするのが良いでしょう。
なぜなら、講師により小さな違いがあるためです。前回言われた内容と違うことを言われたら混乱しますよね。
講師選び、開催時期の検討、プログラムの決定、開催場所などは、継続することを念頭に決定していきましょう。