「アサーション研修を実施するメリットは?」「アサーション研修の具体的なカリキュラムが知りたい」
アサーション研修の実施を検討している経営者や人事担当者の中には、上記のような疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、アサーション研修のメリットやカリキュラム例、実施する際のポイントなどを解説します。アサーション研修に関してお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- アサーション研修を実施するメリット
- アサーション研修のカリキュラム例
- おすすめのアサーション研修
研修を成功させるためには、自社に合った質の高いカリキュラムや講師を選ぶことが重要です。しかし、多くの研修会社から依頼先を探すのは困難ではないでしょうか。
キーセッションでは、複数の研修会社の中から貴社に最適なプランを紹介します。無料で相談可能なため、ぜひお気軽にお問い合わせください。
アサーション研修とは
アサーション研修とは、相手の気持ちを尊重しながら、自分の素直な意見を表現するスキルを身につけるための研修です。
アサーション(assertion)は、対話相手の意見を受け入れながら、自分の意志を素直に表明するコミュニケーション方法を指します。もともとは精神医学分野の考え方で、社会的に弱い立場にあり、自己表現や意思表示が苦手な人に対する心理療法として誕生しました。
相手の意見を取り入れた建設的な対話を促すアサーションは、ビジネスでも有益なスキルです。社内での交流はもちろん、社外の人と良好な人間関係を築く際にも役に立つでしょう。
現在、アサーション研修は多くの企業から注目されています。その背景として、ハラスメント問題の顕在化やテレワークの浸透により、企業における人間関係のトラブルや社員の孤立化が問題視される機会が増えたことが挙げられます。
円滑なコミュニケーションを促し、風通しのよい環境を形成したい企業には、アサーション研修の実施がおすすめです。
アサーション研修を実施するメリット
アサーション研修を実施するメリットは、以下の4つです。
- 社員のストレスが軽減される
- 風通しのよい職場環境になる
- 取引先との交渉がスムーズになる
- 自社に適した人材を確保できる
以下で、それぞれについて解説します。
社員のストレスが軽減される
アサーション研修を実施するメリットは、社員のストレスが軽減されることです。
会社で意見を求められたとき、率直な自分の意見を言えずに、つい目上の人に同調してしまう方は多いのではないでしょうか。相手の気分を損ねるリスクを考えると、上司に対して正直に自分の考えを伝えるのは難しいことです。それゆえに、反対意見を飲み込んでしまう方や、悩みを打ち明けられず溜め込んでしまう方は少なくありません。
アサーションは、相手を敬う気持ちを見せながら、上手に自分の意見を表明するためのスキルです。身につけることで「嫌われたらどうしよう」「怒らせてしまったらどうしよう」と悩まず、スマートに自分の意見を伝えられます。円滑なコミュニケーションにより職場に居心地のよさを感じられるようになれば、社員のストレスは軽減されるでしょう。
風通しのよい職場環境になる
アサーション研修を実施すると、風通しのよい職場環境をつくれます。
今でも日本には年功序列の風潮が残り、トップダウンで会議などの方針が決まる職場が多いのが実情です。しかし、アサーションスキルを身につけた社員は、立場の違いに臆することなく、ありのままの自分の意見を素直に発信できます。そのような社員が増えれば、年齢や役職の違いによる忖度が減り、一般社員の意見が受け入れられる環境へと企業が変化するでしょう。
さまざまな角度からの意見を取り入れられれば、社内環境の改善や、新たなプロジェクトの創出への期待が高まります。風通しのよい環境づくりは、生産性の向上にも効果的です。
取引先との交渉がスムーズになる
アサーション研修は、取引先との交渉がスムーズになることもメリットです。
経験を積んだベテラン社員でも、お客様である取引先に対して正直に意見を伝えるのはハードルが高いです。不用意な発言でトラブルを引き起こせば、個人の問題では済まず、会社の損失につながりかねません。
アサーションを身につけると、相手の置かれる立場や状況に理解を示しながら、適切に自社側の意見を提案できます。高い交渉スキルがあれば、無理な要望をかわせるだけでなく、自社に有利な方向に商談を進められます。
自社に適した人材を確保できる
アサーション研修の実施は、自社に適した人材確保にも役立ちます。
目上の人だけでなく、部下や後輩への対応にもアサーションは有効です。たとえば、多くの社員が苦手と感じる人事評価の場。アサーションのスキルを身につけていれば、よくない評価を伝える際にも、不満や意欲の低下を引き起こすことなく、相手を納得させられます。また、採用面接でも、相手を尊重した対話によって応募者の入社意欲を高められるでしょう。
目上の人とのコミュニケーションは、部下や求職者のモチベーションを左右します。アサーションのスキルにより精神的安心感を与えられれば、人材の流出が防げるばかりか、自然に優秀な人材が増えていきます。
アサーション研修のカリキュラム例
アサーション研修のカリキュラム例は、以下のとおりです。
〈研修の目的〉
- 自己理解を深め、対人関係における自分の傾向・スタイルに気づく
- 自分の考え方、主張をアサーティブに表現できるようになる
- 他者の価値観やスタイルを理解した対応ができるようになる
〈対象者〉
管理職 、若手・中堅社員、新入社員、販売スタッフ、接客スタッフ、事務スタッフ、営業担当者、営業マネジャー
〈研修時間〉
1日
テーマ | 内容 |
---|---|
1.オリエンテーション | 講義: 講師自己紹介 講義: 研修目的・目標の共有 |
2.コミュニケーションタイプを自覚する | ワーク:「日々のコミュニケーションで心がけていること」 ワーク:「自分のコミュニケーションタイプを知る」 |
3.好感を得る聴き方を体感する | ワーク:「コミュニケーションにおける質の違い」 講義: 効果的に“聴く”チカラを理解する |
4.アサーティブな自己主張方法を理解する | ワーク: 効果的に“伝える”チカラを理解する ワーク: チェックテストにより自分のアサーション度を認識する ワーク: DESC法を使って好感の持てる表現方法を理解する |
5.相手を承認する言動の大切さを理解する | 講義: 効果的に“対人関係を築く”チカラを理解する ワーク:「ストロークチェック」 |
6.まとめ | ワーク:「気づきと決意表明」 ワーク: 研修での学びを整理し、明日から実行することを宣言することで学びを行動につなげる |
おすすめのアサーション研修
おすすめのアサーション研修は、以下の3つです。
- 「自分も相手も大切にするアサーティブコミュニケーション研修」株式会社ノビテク
- 「実践を交えながら身につけていくメンタルヘルス研修」株式会社モチベーション&コミュニケーション
- 「職場活性化のきっかけになるアンガーマネジメント研修」株式会社モチベーション&コミュニケーション
以下で、それぞれについて紹介します。
「自分も相手も大切にするアサーティブコミュニケーション研修」株式会社ノビテク
株式会社ノビテクが提供するこちらの研修は、自分も相手も大切にするコミュニケーションスキルの習得が目的です。
研修では、はじめにタイプチェックシートを用いて、客観的に自分のコミュニケーションスタイルを認識します。その上で、他者の価値観やタイプを知りながら配慮の仕方を学ぶため、自分も相手も大切にする対話の仕方がわかります。カリキュラムには多様なワークが組み込まれており、アサーティブに自己主張する練習を繰り返し実践できるのも嬉しい点です。
離職の原因として上がりやすく、多くの企業が頭を悩ませる職場の人間関係。しかし、多くの社員がアサーションを身につけて、相手を尊重しつつ自分の意見を我慢せず言えるようになれば、大きく改善できます。「社員の傾聴力を養いたい」「組織全体の生産性を高めたい」と考える企業にとっても、こちらの研修はおすすめです。
「実践を交えながら身につけていくメンタルヘルス研修」株式会社モチベーション&コミュニケーション
こちらは、株式会社モチベーション&コミュニケーションが実施する、社員のメンタルヘルスを支えるための研修です。
うつや適応障害を未然に防ぐには、社員個人によるセルフケアと管理職によるラインケアが欠かせません。本研修では、一般社員が身につけたいセルフケアと管理職が知っておきたいラインケアのポイントを、実践を交えながら身につけられます。メンタルケアの重要性や不調の防ぎ方を学ぶことで、休職者も復帰しやすく、誰もが働きやすい職場環境を実現できます。
株式会社モチベーション&コミュニケーションは、これまで5,000回以上、述べ2万人以上のビジネスマンに、コミュニケーションに関するセミナーを実施してきました。そのため、経験豊富な講師だからこそできる、リアルな悩みに寄り添った効果的なメンタルヘルス研修を実現できます。事前の打ち合わせで分析してもらった状況に合わせて、自社に最適な内容にカスタマイズできるのもおすすめのポイントです。
「職場活性化のきっかけになるアンガーマネジメント研修」株式会社モチベーション&コミュニケーション
アンガーマネジメントスキルを身につけるこちらの研修も、株式会社モチベーション&コミュニケーションが提供しています。
アンガーマネジメントはもともとスポーツ選手の感情コントロール手法として知られていました。しかし、ビジネスの場でも有効であることから、近年は多くのビジネスパーソンも学ぶスキルとなっています。些細なことですぐに感情的な対立が起きてしまう職場や、常にピリピリした雰囲気が漂う職場の社員には、とくに必要なスキルです。
怒りをエネルギーに変えて成功する人、怒りに振り回されてしまう人、その差は何なのか。研修では、複数の実例を学びながら怒りへの耐性を改善するアンガーマネジメントを身につけます。学習する具体的な内容は、怒りをマネジメントする3つの手法や、人間関係を豊かにするアサーショントレーニングなどです。座学よりも実践を重視した研修なので、研修後すぐにでも役に立つスキルを習得できます。
アンガーマネジメントについて知りたい全社員の方、つい感情的になってしまう方、職場がピリピリしていると感じている方を対象にした研修プランです。
アサーション研修の対象者
アサーション研修は、新入社員や若手社員に限らず、全社員が取り組むべき研修です。
「アサーション研修のメリット」で述べたとおり、アサーションは汎用性の高いスキルです。上司や部下、取引先などと接するさまざまな場面で、仕事を円滑に進めるために利用できます。ベテラン社員にとっても、自己理解を深め、普段のコミュニケーションを見なおす機会になるため、参加してもらうことを推奨します。コミュニケーションに関する普遍的なテーマであるため、部署や役職によってとくにカリキュラムの内容を変える必要はありません。
全員が普段の業務にアサーションを取り入れることで、風通しのよい職場環境をつくれる他、人材確保や取引先との関係性の確立も期待できます。したがって、なるべく多くの社員がアサーションの重要性や方法を学べるように研修を実施しましょう。
アサーション研修で身につくコミュニケーションスキル
アサーション研修で身につくコミュニケーションスキルは、主に以下の3つです。
- DESC法
- アイメッセージ
- 非言語的コミュニケーション
以下で、それぞれについて解説します。
DESC法
アサーション研修では、「DESC(ディーイーエスシー)法」というスキルが身につきます。
「DESC法」は、他者との会話を体系的な4つのステップに分解して考えるコミュニケーション方法です。相手を傷つけない対話のために、自分の意見を「Describe(描写する)」「Express(説明する)」「Suggest(提案する)」「Choose(選択する)」の4つの段階に分けて伝えます。
たとえば上司から新しい仕事を頼まれて断りたいときは、以下のようなステップで話します。
項目 | 行動 | 具体例 |
---|---|---|
D | 客観的な事実を伝える | 「現在の状況では、仕事を受けられません。」 |
E | 自分の意見を伝える | 「すでに抱えている仕事で手が埋まっているため、新しい仕事を受けても注力できず、対応がおざなりになってしまいます。」 |
S | 解決策を提示する | 「現在の業務を他の社員に引き継げるのであれば、新しい仕事を受けられます。」 |
C | 提案に対する判断を聞いたうえで、代案を提示する | 「難しいのであれば、新しい仕事の対応期日を伸ばせないでしょうか?」 |
アイメッセージ
アサーション研修で身につくのは、自分を主語において意見を伝える「アイメッセージ(I message)」というスキルです。
たとえば、自分と違う意見をもつ人に対して反対意見を述べる機会があるとします。そのとき「あなたの意見は変だ」「世間と異なっている」などと伝えると、相手は頭ごなしに否定されたような嫌な気分になります。これは、あなた(You)を主語において「あなたは○○だ」と伝える「ユーメッセージ(You message)」の手法です。
一方で、「アイメッセージ」は、自分(I)を主語として「自分は○○と考える」と意見を伝えるスキルです。あくまで自分自身の考えを伝えたいのだというスタンスで話すことで、相手を責める印象を避け、平和的な意見交換ができます。
非言語的コミュニケーション
アサーション研修では、非言語的コミュニケーションのスキルも身につきます。
非言語的コミュニケーションとは、文字のとおり「言葉以外」で自分の気持ちを表現する方法です。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによると、人間は言語情報より非言語情報から多くの情報を得ているという研究結果が出ています。無意識的に行われるものが大半ですが、意識的に使い分けると、相手に与える印象を大きく操作できます。
研修で習得できるのは、相手に安心感を与える非言語的コミュニケーションです。対話するときの表情や、声のトーン、話を聞く姿勢などを学び、部下や取引先との円滑なコミュニケーションをサポートします。
アサーション研修を実施する際のポイント
アサーション研修を実施する際のポイントは、以下の2つです。
- 座学と実践を組み合わせる
- アサーション研修後もフォローを続ける
以下にて、それぞれについて解説します。
座学と実践を組み合わせる
アサーション研修のポイントの一つは、座学と実践を組み合わせることです。
スキルを身につけるためには、まずその重要性や実践方法を学ぶことが大切です。体系的に理論を学ぶことで、受講者にスムーズで深い理解を促せます。「どうして身につけるのか」「習得するとどのような場面で活かせるのか」がクリアになると、受講者の参加意欲も向上します。
ただ、机の上で学習するだけでは、知識を蓄えられてもスキルは身につきません。実際の場面を想定したワークなどで練習することで、学んだ理論の活かし方を肌でつかめるものです。そのため、研究ではインプットとアウトプットの両方の機会をセットで提供しましょう。
アサーション研修後もフォローを続ける
アサーション研修のもう一つのポイントは、研修後もフォローを続けることです。
アサーションスキルは、一朝一夕で身につくものではありません。日々の業務で意識的に取り入れて、自然に定着することをめざす必要があります。
しかし、研修で高まったモチベーションが、時間の経過とともに低下していくのは自然なことです。そこで鍵を握るのが、周りの継続的なフォローです。定期的なトレーニングや、面談で指導する機会をつくることで、自然に定着するまでの道のりをサポートしましょう。
アサーション研修で円滑なコミュニケーションを促進しよう
アサーション研修は、社員のストレスの軽減や、取引先との交渉の円滑化に大きく貢献します。研修後のフォロー体制を整えたうえで、年次や部署にかかわらず、なるべく多くの社員にむけて研修を実施しましょう。
アサーション研修で成果を得るためには、研修の内容や講師の質が重要です。しかし、数ある研修会社の中から、質の高い研修を選ぶのは難しいでしょう。
キーセッションでは、複数の研修会社の中から、良質かつ貴社の目的・予算に応じた研修会社をご提案します。相談は無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。